選挙粛正委員会令
法令番号: 勅令第百十號
公布年月日: 昭和10年5月8日
法令の形式: 勅令
朕選擧肅正委員會令ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十年五月七日
內閣總理大臣 岡田啓介
內務大臣 後藤文夫
勅令第百十號
選擧肅正委員會令
第一條 衆議院議員選擧其ノ他公ノ選擧ノ肅正ヲ圖ル爲道府縣每ニ選擧肅正委員會ヲ置キ道府縣ノ名ヲ冠ス
第二條 選擧肅正委員會ハ地方長官ノ監督ニ屬シ地方長官(警視總監ヲ含ム)ノ諮問ニ應ジテ前條ノ選擧ニ關スル弊害ノ防止、公正ナル選擧觀念ノ普及其ノ他選擧ノ肅正ニ關スル事項竝ニ衆議院議員選擧法第百四十條第三項及第四項ノ規定ニ依ル事項ノ實施ニ關スル事項ヲ調查審議ス
選擧肅正委員會ハ前項ノ事項ニ付關係行政廳ニ意見ヲ提出スルコトヲ得
第三條 選擧肅正委員會ハ會長一人及委員三十人以內ヲ以テ之ヲ組織ス
會長ハ地方長官ヲ以テ之ニ充ツ
委員ハ左ニ揭グル者ノ中ヨリ地方長官之ヲ選任ス
一 政治家、實業家、敎育家其ノ他學識經驗アル者
二 官吏、待遇官吏及吏員
衆議院議員ノ選擧權ヲ有セザル者(衆議院議員選擧法第七條第一項ニ規定スル者ヲ除ク)ハ委員タルコトヲ得ズ
第四條 委員ハ名譽職トス
委員ノ任期ハ二年トス但シ特別ノ事由アル場合ニ於テハ任期中地方長官之ヲ解任スルヲ妨ゲズ
第五條 會長ハ會務ヲ總理ス
會長事故アルトキハ地方長官ノ代理者其ノ職務ヲ代理ス
第六條 選擧肅正委員會ノ議事ニ關スル規則ハ地方長官之ヲ定ム
第七條 選擧肅正委員會ニ幹事及書記ヲ置ク廳府縣ノ官吏ノ中ヨリ地方長官之ヲ命ズ
幹事ハ會長ノ指揮ヲ承ケ庶務ヲ整理ス
書記ハ會長及幹事ノ指揮ヲ承ケ庶務ニ從事ス
第八條 選擧肅正委員會ニ關スル費用ハ國庫ノ負擔トス但シ衆議院議員選擧以外ノ選擧ノ肅正ヲ圖ル爲特ニ必要ナル費用ハ北海道地方費又ハ府縣ノ負擔ト爲スコトヲ得
附 則
本令ハ昭和十年六月一日ヨリ之ヲ施行ス
朕選挙粛正委員会令ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十年五月七日
内閣総理大臣 岡田啓介
内務大臣 後藤文夫
勅令第百十号
選挙粛正委員会令
第一条 衆議院議員選挙其ノ他公ノ選挙ノ粛正ヲ図ル為道府県毎ニ選挙粛正委員会ヲ置キ道府県ノ名ヲ冠ス
第二条 選挙粛正委員会ハ地方長官ノ監督ニ属シ地方長官(警視総監ヲ含ム)ノ諮問ニ応ジテ前条ノ選挙ニ関スル弊害ノ防止、公正ナル選挙観念ノ普及其ノ他選挙ノ粛正ニ関スル事項並ニ衆議院議員選挙法第百四十条第三項及第四項ノ規定ニ依ル事項ノ実施ニ関スル事項ヲ調査審議ス
選挙粛正委員会ハ前項ノ事項ニ付関係行政庁ニ意見ヲ提出スルコトヲ得
第三条 選挙粛正委員会ハ会長一人及委員三十人以内ヲ以テ之ヲ組織ス
会長ハ地方長官ヲ以テ之ニ充ツ
委員ハ左ニ掲グル者ノ中ヨリ地方長官之ヲ選任ス
一 政治家、実業家、教育家其ノ他学識経験アル者
二 官吏、待遇官吏及吏員
衆議院議員ノ選挙権ヲ有セザル者(衆議院議員選挙法第七条第一項ニ規定スル者ヲ除ク)ハ委員タルコトヲ得ズ
第四条 委員ハ名誉職トス
委員ノ任期ハ二年トス但シ特別ノ事由アル場合ニ於テハ任期中地方長官之ヲ解任スルヲ妨ゲズ
第五条 会長ハ会務ヲ総理ス
会長事故アルトキハ地方長官ノ代理者其ノ職務ヲ代理ス
第六条 選挙粛正委員会ノ議事ニ関スル規則ハ地方長官之ヲ定ム
第七条 選挙粛正委員会ニ幹事及書記ヲ置ク庁府県ノ官吏ノ中ヨリ地方長官之ヲ命ズ
幹事ハ会長ノ指揮ヲ承ケ庶務ヲ整理ス
書記ハ会長及幹事ノ指揮ヲ承ケ庶務ニ従事ス
第八条 選挙粛正委員会ニ関スル費用ハ国庫ノ負担トス但シ衆議院議員選挙以外ノ選挙ノ粛正ヲ図ル為特ニ必要ナル費用ハ北海道地方費又ハ府県ノ負担ト為スコトヲ得
附 則
本令ハ昭和十年六月一日ヨリ之ヲ施行ス