本案は、第56回帝国議会で田中内閣が提出し衆議院で可決されたものの、貴族院で審議未了となった法案である。現行法では、繰越欠損金のある法人が利益を計上した場合、その利益に対して通常の所得税に加えて過大な超過所得税が課されることになり、健全経営の法人と比べて著しく不公平な税負担が生じている。この不合理な状況を是正するため、所得税法第6条第2項を削除し、繰越欠損金の早期補填を可能にすることで、不健全な企業の経営改善を促し、産業の健全な発展を図ることを目的としている。これは自力更生を掲げる現内閣の産業政策とも合致するものである。
参照した発言:
第65回帝国議会 衆議院 昭和九年度一般会計歳出の財源に充つる為公債発行に関する法律案外三件委員会 第13号