(著作権法中改正法律)
法令番号: 法律第六十四號
公布年月日: 昭和6年6月1日
法令の形式: 法律
朕帝國議會ノ協贊ヲ經タル著作權法中改正法律ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和六年五月三十日
內閣總理大臣 男爵 若槻禮次郞
內務大臣 安達謙藏
法律第六十四號
著作權法中左ノ通改正ス
第一條第一項中「美術」ヲ「美術(音樂ヲ含ム以下之ニ同ジ)」ニ改ム
第十一條第二號中「新聞紙」ノ下ニ「又ハ雜誌」ヲ加ヘ「記載」ヲ「揭載」ニ、「時事ノ記事」ヲ「時事ヲ報道スル記事」ニ改ム
第十五條第二項中「無名又ハ變名著作物ノ著作者ハ」ノ下ニ「現ニ其ノ著作權ヲ有スルト否トニ拘ラズ」ヲ加フ
第十八條 他人ノ著作物ヲ發行又ハ興業スル場合ニ於テハ著作者ノ生存中ハ著作者ガ現ニ其ノ著作權ヲ有スルト否トニ拘ラズ其ノ同意ナクシテ著作者ノ氏名稱號ヲ變更若ハ隱匿シ又ハ其ノ著作物ニ改竄其ノ他ノ變更ヲ加ヘ若ハ其ノ題號ヲ改ムルコトヲ得ズ
他人ノ著作物ヲ發行又ハ興行スル場合ニ於テハ著作者ノ死後ハ著作權ノ消滅シタル後ト雖モ其ノ著作物ニ改竄其ノ他ノ變更ヲ加ヘテ著作者ノ意ヲ害シ又ハ其ノ題號ヲ改メ若ハ著作者ノ氏名稱號ヲ變更若ハ隱匿スルコトヲ得ズ
前二項ノ規定ハ第二十條、第二十條ノ二、第二十二條ノ五第二項及第三十條第一項第二號乃至第六號ノ場合ニ於テモ之ヲ適用ス
第二十條 新聞紙又ハ雜誌ニ揭載シタル政治上ノ時事問題ヲ論議シタル記事(學術上ノ著作物ヲ除ク)ハ特ニ轉載ヲ禁ズル旨ノ明記ナキトキハ其ノ出所ヲ明示シテ之ヲ他ノ新聞紙又ハ雜誌ニ轉載スルコトヲ得
第二十條ノ二 時事問題ニ付テノ公開演述ハ著作者ノ氏名、演述ノ時及場所ヲ明示シテ之ヲ新聞紙又ハ雜誌ニ揭載スルコトヲ得但シ同一著作者ノ演述ヲ蒐輯スル場合ハ其ノ著作者ノ許諾ヲ受クルコトヲ要ス
第二十二條ノ二 文藝、學術又ハ美術ノ範圍ニ屬スル著作物ノ著作權ハ其ノ著作物ヲ活動寫眞術又ハ之ト類似ノ方法ニ依リ複製(脚色シテ映畫ト爲ス場合ヲ含ム)シ及興行スルノ權利ヲ包含ス
第二十二條ノ三 活動寫眞術又ハ之ト類似ノ方法ニ依リ製作シタル著作物ノ著作者ハ文藝、學術又ハ美術ノ範圍ニ屬スル著作物ノ著作者トシテ本法ノ保護ヲ享有ス其ノ保護ノ期間ニ付テハ獨創性ヲ有スルモノニ在リテハ第三條乃至第六條及第九條ノ規定ヲ適用シ之ヲ缺クモノニ在リテハ第二十三條ノ規定ヲ適用ス
第二十二條ノ四 他人ノ著作物ヲ活動寫眞術又ハ之ト類似ノ方法ニ依リ複製(脚色シテ映畫ト爲ス場合ヲ含ム)シタル者ハ著作者ト看做シ本法ノ保護ヲ享有ス但シ原著作者ノ權利ハ之ガ爲ニ妨ゲラルルコトナシ
第二十二條ノ五 文藝、學術又ハ美術ノ範圍ニ屬スル著作物ノ著作權ハ其ノ著作物ノ無線電話ニ依ル放送ヲ許諾スルノ權利ヲ包含ス
無線電信法及之ニ基キ發スル命令ニ依リ主務大臣ノ許可ヲ受ケタル放送無線電話施設者ハ旣ニ發行又ハ興行シタル他人ノ著作物ヲ放送セントスルトキハ著作權者ト協議ヲ爲スコトヲ要ス協議調ハザルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ主務大臣ノ定ムル相當ノ償金ヲ支拂ヒ其ノ著作物ヲ放送スルコトヲ得
前項ノ償金ノ額ニ付異議アル者ハ民事裁判所ニ出訴スルコトヲ得
第三十二條ノ二 削除
第三十五條第三項中「及樂譜」ヲ「、樂譜及活動寫眞術又ハ之ト類似ノ方法ニ依リ製作シタル著作物」ニ改ム
第三十六條ノ二 第十八條ノ規定ニ違反シタル行爲ヲ爲シタル者ニ對シテハ著作者ハ著作者タルコトヲ確保シ又ハ訂正其ノ他其ノ聲望名譽ヲ囘復スルニ適當ナル處分ヲ請求シ及民法第三編第五章ノ規程ニ從ヒ損害ノ賠償ヲ請求スルコトヲ得
第十八條ノ規定ニ違反シタル行爲ヲ爲シタル者ニ對シテハ著作者ノ死後ニ於テハ著作者ノ親族ニ於テ其ノ著作者タルコトヲ確保シ又ハ訂正其ノ他其ノ聲望名譽ヲ囘復スルニ適當ナル處分ヲ請求スルコトヲ得
前二項ノ規定ニ依ル民事ノ訴訟ニ付テハ前二條ノ規定ヲ準用ス
第三十九條中「第二十條」ノ下ニ「、第二十條ノ二」ヲ加フ
第四十一條 削除
附 則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
朕帝国議会ノ協賛ヲ経タル著作権法中改正法律ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和六年五月三十日
内閣総理大臣 男爵 若槻礼次郎
内務大臣 安達謙蔵
法律第六十四号
著作権法中左ノ通改正ス
第一条第一項中「美術」ヲ「美術(音楽ヲ含ム以下之ニ同ジ)」ニ改ム
第十一条第二号中「新聞紙」ノ下ニ「又ハ雑誌」ヲ加ヘ「記載」ヲ「掲載」ニ、「時事ノ記事」ヲ「時事ヲ報道スル記事」ニ改ム
第十五条第二項中「無名又ハ変名著作物ノ著作者ハ」ノ下ニ「現ニ其ノ著作権ヲ有スルト否トニ拘ラズ」ヲ加フ
第十八条 他人ノ著作物ヲ発行又ハ興業スル場合ニ於テハ著作者ノ生存中ハ著作者ガ現ニ其ノ著作権ヲ有スルト否トニ拘ラズ其ノ同意ナクシテ著作者ノ氏名称号ヲ変更若ハ隠匿シ又ハ其ノ著作物ニ改竄其ノ他ノ変更ヲ加ヘ若ハ其ノ題号ヲ改ムルコトヲ得ズ
他人ノ著作物ヲ発行又ハ興行スル場合ニ於テハ著作者ノ死後ハ著作権ノ消滅シタル後ト雖モ其ノ著作物ニ改竄其ノ他ノ変更ヲ加ヘテ著作者ノ意ヲ害シ又ハ其ノ題号ヲ改メ若ハ著作者ノ氏名称号ヲ変更若ハ隠匿スルコトヲ得ズ
前二項ノ規定ハ第二十条、第二十条ノ二、第二十二条ノ五第二項及第三十条第一項第二号乃至第六号ノ場合ニ於テモ之ヲ適用ス
第二十条 新聞紙又ハ雑誌ニ掲載シタル政治上ノ時事問題ヲ論議シタル記事(学術上ノ著作物ヲ除ク)ハ特ニ転載ヲ禁ズル旨ノ明記ナキトキハ其ノ出所ヲ明示シテ之ヲ他ノ新聞紙又ハ雑誌ニ転載スルコトヲ得
第二十条ノ二 時事問題ニ付テノ公開演述ハ著作者ノ氏名、演述ノ時及場所ヲ明示シテ之ヲ新聞紙又ハ雑誌ニ掲載スルコトヲ得但シ同一著作者ノ演述ヲ蒐輯スル場合ハ其ノ著作者ノ許諾ヲ受クルコトヲ要ス
第二十二条ノ二 文芸、学術又ハ美術ノ範囲ニ属スル著作物ノ著作権ハ其ノ著作物ヲ活動写真術又ハ之ト類似ノ方法ニ依リ複製(脚色シテ映画ト為ス場合ヲ含ム)シ及興行スルノ権利ヲ包含ス
第二十二条ノ三 活動写真術又ハ之ト類似ノ方法ニ依リ製作シタル著作物ノ著作者ハ文芸、学術又ハ美術ノ範囲ニ属スル著作物ノ著作者トシテ本法ノ保護ヲ享有ス其ノ保護ノ期間ニ付テハ独創性ヲ有スルモノニ在リテハ第三条乃至第六条及第九条ノ規定ヲ適用シ之ヲ欠クモノニ在リテハ第二十三条ノ規定ヲ適用ス
第二十二条ノ四 他人ノ著作物ヲ活動写真術又ハ之ト類似ノ方法ニ依リ複製(脚色シテ映画ト為ス場合ヲ含ム)シタル者ハ著作者ト看做シ本法ノ保護ヲ享有ス但シ原著作者ノ権利ハ之ガ為ニ妨ゲラルルコトナシ
第二十二条ノ五 文芸、学術又ハ美術ノ範囲ニ属スル著作物ノ著作権ハ其ノ著作物ノ無線電話ニ依ル放送ヲ許諾スルノ権利ヲ包含ス
無線電信法及之ニ基キ発スル命令ニ依リ主務大臣ノ許可ヲ受ケタル放送無線電話施設者ハ既ニ発行又ハ興行シタル他人ノ著作物ヲ放送セントスルトキハ著作権者ト協議ヲ為スコトヲ要ス協議調ハザルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ主務大臣ノ定ムル相当ノ償金ヲ支払ヒ其ノ著作物ヲ放送スルコトヲ得
前項ノ償金ノ額ニ付異議アル者ハ民事裁判所ニ出訴スルコトヲ得
第三十二条ノ二 削除
第三十五条第三項中「及楽譜」ヲ「、楽譜及活動写真術又ハ之ト類似ノ方法ニ依リ製作シタル著作物」ニ改ム
第三十六条ノ二 第十八条ノ規定ニ違反シタル行為ヲ為シタル者ニ対シテハ著作者ハ著作者タルコトヲ確保シ又ハ訂正其ノ他其ノ声望名誉ヲ回復スルニ適当ナル処分ヲ請求シ及民法第三編第五章ノ規程ニ従ヒ損害ノ賠償ヲ請求スルコトヲ得
第十八条ノ規定ニ違反シタル行為ヲ為シタル者ニ対シテハ著作者ノ死後ニ於テハ著作者ノ親族ニ於テ其ノ著作者タルコトヲ確保シ又ハ訂正其ノ他其ノ声望名誉ヲ回復スルニ適当ナル処分ヲ請求スルコトヲ得
前二項ノ規定ニ依ル民事ノ訴訟ニ付テハ前二条ノ規定ヲ準用ス
第三十九条中「第二十条」ノ下ニ「、第二十条ノ二」ヲ加フ
第四十一条 削除
附 則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム