(健康保険法中改正法律)
法令番号: 法律第二十號
公布年月日: 昭和4年3月28日
法令の形式: 法律
朕帝國議會ノ協贊ヲ經タル健康保險法中改正法律ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和四年三月二十七日
內閣總理大臣 男爵 田中義一
內務大臣 望月圭介
法律第二十號
健康保險法中左ノ通改正ス
第八條 保險者ハ命令ノ定ムル所ニ依リ被保險者ヲ使用スル事業主ヲシテ其ノ使用スル者ノ異動、報酬等ニ關シ報告ヲ爲サシメ又ハ文書ヲ提示セシメ其ノ他健康保險ノ施行ニ必要ナル事務ヲ行ハシムルコトヲ得
第十一條 保險料其ノ他本法ノ規定ニ依ル徵收金ヲ滯納スル者アルトキハ保險者ハ期限ヲ指定シテ之ヲ督促スベシ
前項ノ規定ニ依リ督促ヲ爲シタル場合ニ於テハ勅令ノ定ムル所ニ依リ督促手數料及延滯金ヲ徵收ス
第十一條ノ二 前條ノ規定ニ依ル督促ヲ受ケタル者其ノ指定ノ期限迄ニ保險料其ノ他本法ノ規定ニ依ル徵收金ヲ納付セザルトキハ保險者ハ國稅滯納處分ノ例ニ依リ之ヲ處分シ又ハ滯納者若ハ其ノ者ノ財產ノ在ル市町村ニ對シ之ガ處分ヲ請求スルコトヲ得但シ保險者ガ國稅滯納處分ノ例ニ依リ處分スルコトヲ得ルハ政府ガ保險者ナル場合ニ限ル
保險者ガ前項ノ規定ニ依リ市町村ニ對シ處分ノ請求ヲ爲シタルトキハ市町村ハ市町村稅ノ例ニ依リ之ヲ處分ス此ノ場合ニ於テハ保險者ハ徵收金額ノ百分ノ四ヲ當該市町村ニ交付スベシ
前二項ノ規定ニ於テ町村トアルハ町村制ヲ施行セザル地ニ在リテハ之ニ準ズベキモノトス
第十一條ノ三 保險料其ノ他本法ノ規定ニ依ル徵收金ノ先取特權ノ順位ハ市町村其ノ他之ニ準ズベキモノノ徵收金ニ次ギ他ノ公課ニ先ツモノトス
第十一條ノ四 保險料其ノ他本法ノ規定ニ依ル徵收金ニ關スル書類ノ送達ニ付テハ國稅徵收法第四條ノ七及第四條ノ八ノ規定ヲ準用ス
第十三條中「工場法ノ適用ヲ受クル工場」ヲ「工場法第一條ノ規定ニ依リ同法ノ適用ヲ受クル工場」ニ改ム
第十六條中「工場法」ヲ「工場法第一條ノ規定ニ依リ同法ノ適用ヲ受クル工場」ニ改ム
第二十條中「喪失ノ日前一年內ニ於テ百八十日以上被保險者タリシモノ又ハ」ヲ削ル
第二十七條 健康保險組合ハ事業主及其ノ事業ニ使用セラルル被保險者ヲ以テ之ヲ組織ス
第三十五條第二項ヲ削ル
第四十七條 療養ノ給付及傷病手當金ノ支給ハ同一ノ疾病又ハ負傷及之ニ因リ發シタル疾病ニ付其ノ保險給付ヲ始メタル日ヨリ起算シ百八十日ヲ經過シタルトキハ之ヲ爲サズ
第四十九條第一項中「二十日」ヲ「三十日」ニ、「二十圓」ヲ「三十圓」ニ改ム
第六十一條中「鬪爭若ハ泥醉」ヲ「鬪爭、泥醉若ハ著シキ不行跡」ニ改ム
第八十一條 保險料其ノ他本法ノ規定ニ依ル徵收金ノ賦課又ハ徵收ノ處分ニ不服アル者ハ主務大臣ニ訴願シ又ハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
第八十二條 前條ノ規定ニ依ル訴願ノ提起アリタルトキハ主務大臣ハ第三次健康保險審査會ノ審査ヲ經テ裁決ヲ爲スベシ
第八十四條 第十一條ノ二ノ規定ニ依ル處分ニ不服アル者ハ主務大臣ニ訴願シ又ハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
第八十五條第三項中「民事訴訟法ノ證據調ニ關スル規定」ノ下ニ「及民事訴訟費用法第九條及第十一條乃至第十三條ノ規定」ヲ加フ
第八十六條中「若ハ裁決書」ヲ削リ「第百六十七條及第百七十四條乃至第百七十七條」ヲ「第百五十八條第二項及第百五十九條」ニ改ム
第九十二條 事業主營業ニ關シ成年者ト同一ノ能力ヲ有セザル未成年者若ハ禁治產者ナル場合又ハ法人ナル場合ニ於テハ本法又ハ本法ニ基キテ發スル命令中事業主ニ適用スベキ罰則ハ其ノ法定代理人又ハ法令ノ規定ニ依リ法人ヲ代表スル者ニ之ヲ適用ス
第九十三條 事業主ハ其ノ代理人、戶主、家族、同居者、雇人其ノ他ノ從業者ニシテ本法若ハ本法ニ基キテ發スル命令又ハ之ニ基キテ爲ス處分ニ違反シタルトキハ自己ノ指揮ニ出デザルノ故ヲ以テ其ノ處罰ヲ免ルルコトヲ得ズ
附 則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム但シ第八十六條ノ改正規定中民事訴訟法ノ規定ノ準用ニ關スル部分ハ大正十五年法律第六十一號施行ノ日ヨリ之ヲ施行ス
朕帝国議会ノ協賛ヲ経タル健康保険法中改正法律ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和四年三月二十七日
内閣総理大臣 男爵 田中義一
内務大臣 望月圭介
法律第二十号
健康保険法中左ノ通改正ス
第八条 保険者ハ命令ノ定ムル所ニ依リ被保険者ヲ使用スル事業主ヲシテ其ノ使用スル者ノ異動、報酬等ニ関シ報告ヲ為サシメ又ハ文書ヲ提示セシメ其ノ他健康保険ノ施行ニ必要ナル事務ヲ行ハシムルコトヲ得
第十一条 保険料其ノ他本法ノ規定ニ依ル徴収金ヲ滞納スル者アルトキハ保険者ハ期限ヲ指定シテ之ヲ督促スベシ
前項ノ規定ニ依リ督促ヲ為シタル場合ニ於テハ勅令ノ定ムル所ニ依リ督促手数料及延滞金ヲ徴収ス
第十一条ノ二 前条ノ規定ニ依ル督促ヲ受ケタル者其ノ指定ノ期限迄ニ保険料其ノ他本法ノ規定ニ依ル徴収金ヲ納付セザルトキハ保険者ハ国税滞納処分ノ例ニ依リ之ヲ処分シ又ハ滞納者若ハ其ノ者ノ財産ノ在ル市町村ニ対シ之ガ処分ヲ請求スルコトヲ得但シ保険者ガ国税滞納処分ノ例ニ依リ処分スルコトヲ得ルハ政府ガ保険者ナル場合ニ限ル
保険者ガ前項ノ規定ニ依リ市町村ニ対シ処分ノ請求ヲ為シタルトキハ市町村ハ市町村税ノ例ニ依リ之ヲ処分ス此ノ場合ニ於テハ保険者ハ徴収金額ノ百分ノ四ヲ当該市町村ニ交付スベシ
前二項ノ規定ニ於テ町村トアルハ町村制ヲ施行セザル地ニ在リテハ之ニ準ズベキモノトス
第十一条ノ三 保険料其ノ他本法ノ規定ニ依ル徴収金ノ先取特権ノ順位ハ市町村其ノ他之ニ準ズベキモノノ徴収金ニ次ギ他ノ公課ニ先ツモノトス
第十一条ノ四 保険料其ノ他本法ノ規定ニ依ル徴収金ニ関スル書類ノ送達ニ付テハ国税徴収法第四条ノ七及第四条ノ八ノ規定ヲ準用ス
第十三条中「工場法ノ適用ヲ受クル工場」ヲ「工場法第一条ノ規定ニ依リ同法ノ適用ヲ受クル工場」ニ改ム
第十六条中「工場法」ヲ「工場法第一条ノ規定ニ依リ同法ノ適用ヲ受クル工場」ニ改ム
第二十条中「喪失ノ日前一年内ニ於テ百八十日以上被保険者タリシモノ又ハ」ヲ削ル
第二十七条 健康保険組合ハ事業主及其ノ事業ニ使用セラルル被保険者ヲ以テ之ヲ組織ス
第三十五条第二項ヲ削ル
第四十七条 療養ノ給付及傷病手当金ノ支給ハ同一ノ疾病又ハ負傷及之ニ因リ発シタル疾病ニ付其ノ保険給付ヲ始メタル日ヨリ起算シ百八十日ヲ経過シタルトキハ之ヲ為サズ
第四十九条第一項中「二十日」ヲ「三十日」ニ、「二十円」ヲ「三十円」ニ改ム
第六十一条中「闘争若ハ泥酔」ヲ「闘争、泥酔若ハ著シキ不行跡」ニ改ム
第八十一条 保険料其ノ他本法ノ規定ニ依ル徴収金ノ賦課又ハ徴収ノ処分ニ不服アル者ハ主務大臣ニ訴願シ又ハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
第八十二条 前条ノ規定ニ依ル訴願ノ提起アリタルトキハ主務大臣ハ第三次健康保険審査会ノ審査ヲ経テ裁決ヲ為スベシ
第八十四条 第十一条ノ二ノ規定ニ依ル処分ニ不服アル者ハ主務大臣ニ訴願シ又ハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
第八十五条第三項中「民事訴訟法ノ証拠調ニ関スル規定」ノ下ニ「及民事訴訟費用法第九条及第十一条乃至第十三条ノ規定」ヲ加フ
第八十六条中「若ハ裁決書」ヲ削リ「第百六十七条及第百七十四条乃至第百七十七条」ヲ「第百五十八条第二項及第百五十九条」ニ改ム
第九十二条 事業主営業ニ関シ成年者ト同一ノ能力ヲ有セザル未成年者若ハ禁治産者ナル場合又ハ法人ナル場合ニ於テハ本法又ハ本法ニ基キテ発スル命令中事業主ニ適用スベキ罰則ハ其ノ法定代理人又ハ法令ノ規定ニ依リ法人ヲ代表スル者ニ之ヲ適用ス
第九十三条 事業主ハ其ノ代理人、戸主、家族、同居者、雇人其ノ他ノ従業者ニシテ本法若ハ本法ニ基キテ発スル命令又ハ之ニ基キテ為ス処分ニ違反シタルトキハ自己ノ指揮ニ出デザルノ故ヲ以テ其ノ処罰ヲ免ルルコトヲ得ズ
附 則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム但シ第八十六条ノ改正規定中民事訴訟法ノ規定ノ準用ニ関スル部分ハ大正十五年法律第六十一号施行ノ日ヨリ之ヲ施行ス