明治18年以来40年余りの間に、日本銀行は17種類の兌換銀行券を発行し、新券発行高は5.17億円以上に達した。しかし、関東大震災や天災事故、個人の紛失等により滅失した兌換銀行券は相当額に上る。現在の日本銀行の発表する発行高には、これら滅失分が含まれているため実際の流通額と一致していない。この不一致は年々拡大している。兌換銀行券の流通額は経済界の実勢把握や金融政策決定の重要な基礎数字であるため、発行高を実際の流通額に一致させることが緊要である。また、滅失分を除去することで、日本銀行の正貨準備から過当部分を解放し、有効活用できる。整理による利得は国庫に帰属させ、国債整理基金特別会計に繰り入れ、主として震災手形整理のための国債償還に充てる方針である。
参照した発言:
第52回帝国議会 衆議院 本会議 第19号