(陸軍補充令中改正ノ件)
法令番号: 勅令第二百六十號
公布年月日: 大正15年7月17日
法令の形式: 勅令
朕陸軍補充令中改正ノ件ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
攝政名
大正十五年七月十六日
內閣總理大臣　若槻禮次郞
陸軍大臣　宇垣一成
勅令第二百六十號
陸軍補充令中左ノ通改正ス
第十五條　經理部現役士官ハ各兵科（憲兵科ヲ除ク）ノ現役士官ニシテ陸軍經理學校ヲ卒業シタル者、現役ノ各兵科（憲兵科ヲ除ク）特務曹長、曹長若ハ經理部准士官、曹長相當官ニシテ三等主計ニ任セラルルノ資格ヲ具フル者又ハ見習主計ニシテ二等主計ニ任セラルルノ資格ヲ具フル者ヲ以テ之ヲ補充ス
第十六條　經理部士官候補者タルヘキ各兵科（憲兵科ヲ除ク）士官竝ニ三等主計候補者タルヘキ各兵科（憲兵科ヲ除ク）特務曹長、曹長及經理部准士官、曹長相當官ノ人員ハ陸軍大臣每年之ヲ定ム
第十七條　經理部士官候補者ハ身體强健勤務精勵將來發達ノ見込アリト認ムル各兵科（憲兵科ヲ除ク）現役士官ニシテ二年以上隊務ニ服シ經理部士官ヲ志願シ聯隊長ニ於テ選拔シタル者ノ中ヨリ陸軍大臣之ヲ定ム
第十八條　三等主計候補者ハ身體强健人格成績共ニ優秀且家庭良好ナル現役ノ各兵科（憲兵科ヲ除ク）特務曹長、曹長及經理部准士官、曹長相當官ニシテ經理部士官ヲ志願シ聯隊長又ハ所管經理部長ニ於テ選拔シタル者ノ中ヨリ試驗ノ上陸軍大臣之ヲ定ム
前項ノ試驗ノ方法ハ陸軍大臣之ヲ定ム
第二十一條　見習主計ハ左ノ各號ノ一ニ該當スル者ヨリ之ヲ採用ス
一　大學令ニ依ル大學ノ法學部、經濟學部又ハ商學部學生ニシテ陸軍經理部依託學生ト爲リ當該學部ノ學課ヲ修メ學士ト稱スルコトヲ得ル者
二　大學令ニ依ル大學ノ法學部、經濟學部又ハ商學部ノ學課ヲ修メ學士ト稱スルコトヲ得ル者
第二十二條　見習主計ハ陸軍大臣之ヲ命シ師團司令部所在地ノ步兵聯隊ニ配賦シ槪ネ二月間所屬隊及當該師團經理部ニ於テ經理部士官ノ勤務ヲ習得セシム
見習主計ノ身分ハ一等計手ノ階級トス
下士兵卒出身ノ見習主計ハ入隊ノ日ヲ以テ別ニ辭令ヲ用ヒス其ノ官又ハ服役ヲ免ス
第二十三條　見習主計ヲ經理部士官ト爲スノ可否ハ第二十條第一項ノ規定ニ準シ組織スル經理部士官銓衡會議ニ於テ之ヲ決ス
前項ノ會議ニ於テ可決シタル者ハ二等主計ニ任セラルルノ資格ヲ具フルモノトス
第二十四條　見習主計ニシテ左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ見習主計ヲ免ス
一　軍紀ヲ紊リ若ハ屢法則ヲ犯シ又ハ品行不正ニシテ改悛ノ目途ナキ者
二　學力乏シクシテ見習主計タルニ適セサル者
三　經理部士官タルノ才能ニ乏シキ者
四　經理部士官銓衡會議ニ於テ否決シタル者
五　疾病又ハ傷痍ニ依リ現役ノ服役ニ堪ヘサル者
六　前各號ニ揭クル者ノ外見習主計タルヲ得ヘカラスト認メタル者
前項ノ規定ニ依リ下士兵卒出身ノ見習主計ヲ免シタルトキハ第一號ニ該當スル者ハ原兵科部ノ一等卒又ハ之ト同等級ノ兵卒ト爲シ第二號乃至第四號及第六號ニ該當スル者竝ニ第五號ニ該當シ豫備役後備役ノ服役ニ堪フル者ハ一等計手ニ任ス
第二十七條第二號ヲ左ノ如ク改ム
二　官立、公立若ハ醫師法第一條第一項第一號ノ規定ニ依リ文部大臣ノ指定シタル私立醫學專門學校醫學科ノ生徒又ハ官立、公立ノ藥學專門學校、醫科大學附屬藥學專門部、醫學專門學校藥學科若ハ藥劑師法第二條第二項第一號ノ規定ニ依リ文部大臣ノ指定シタル學校ノ生徒ニシテ陸軍衞生部依託生徒ト爲リ當該學校ノ課程ヲ卒業シタル者
第二十七條第四號ヲ左ノ如ク改ム
四　前各號ニ揭クル者ノ外醫師法第一條第一項各號ノ一ニ該當スル者又ハ藥劑師法第二條第二項各號ノ一ニ該當スル者
第四十九條第二號中「看護長適任證書」ノ下ニ「又ハ磨工長適任證書」ヲ、「上等看護卒」ノ下ニ「又ハ上等磨工卒」ヲ、「現役看護長」ノ下ニ「又ハ磨工長」ヲ加フ
第六十一條ノ二中「准士官獸醫部ノ者ヲ除ク」ヲ「准士官（獸醫部ノ者ニ在リテハ獸醫免狀ヲ有スル者ニ限ル）」ニ改ム
第七十九條中「見習士官、」ノ下ニ「見習主計、」ヲ加ヘ同條ニ左ノ一項ヲ加フ
前項ノ規定ハ下士トシテ服役スヘキコトヲ志願シタル者ニ之ヲ適用ス但シ別段ノ規定アルモノハ此ノ限ニ在ラス
附　則
本令ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
本令施行ノ際現ニ經理部士官候補者又ハ三等主計候補者タル者ノ取扱ハ仍從前ノ例ニ依ル
大正十五年採用スヘキ經理部士官候補者又ハ大正十五年乃至大正十八年採用スヘキ三等主計候補者ノ資格及其ノ取扱ハ仍從前ノ例ニ依ルコトヲ得
朕陸軍補充令中改正ノ件ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
摂政名
大正十五年七月十六日
内閣総理大臣　若槻礼次郎
陸軍大臣　宇垣一成
勅令第二百六十号
陸軍補充令中左ノ通改正ス
第十五条　経理部現役士官ハ各兵科（憲兵科ヲ除ク）ノ現役士官ニシテ陸軍経理学校ヲ卒業シタル者、現役ノ各兵科（憲兵科ヲ除ク）特務曹長、曹長若ハ経理部准士官、曹長相当官ニシテ三等主計ニ任セラルルノ資格ヲ具フル者又ハ見習主計ニシテ二等主計ニ任セラルルノ資格ヲ具フル者ヲ以テ之ヲ補充ス
第十六条　経理部士官候補者タルヘキ各兵科（憲兵科ヲ除ク）士官並ニ三等主計候補者タルヘキ各兵科（憲兵科ヲ除ク）特務曹長、曹長及経理部准士官、曹長相当官ノ人員ハ陸軍大臣毎年之ヲ定ム
第十七条　経理部士官候補者ハ身体強健勤務精励将来発達ノ見込アリト認ムル各兵科（憲兵科ヲ除ク）現役士官ニシテ二年以上隊務ニ服シ経理部士官ヲ志願シ連隊長ニ於テ選抜シタル者ノ中ヨリ陸軍大臣之ヲ定ム
第十八条　三等主計候補者ハ身体強健人格成績共ニ優秀且家庭良好ナル現役ノ各兵科（憲兵科ヲ除ク）特務曹長、曹長及経理部准士官、曹長相当官ニシテ経理部士官ヲ志願シ連隊長又ハ所管経理部長ニ於テ選抜シタル者ノ中ヨリ試験ノ上陸軍大臣之ヲ定ム
前項ノ試験ノ方法ハ陸軍大臣之ヲ定ム
第二十一条　見習主計ハ左ノ各号ノ一ニ該当スル者ヨリ之ヲ採用ス
一　大学令ニ依ル大学ノ法学部、経済学部又ハ商学部学生ニシテ陸軍経理部依託学生ト為リ当該学部ノ学課ヲ修メ学士ト称スルコトヲ得ル者
二　大学令ニ依ル大学ノ法学部、経済学部又ハ商学部ノ学課ヲ修メ学士ト称スルコトヲ得ル者
第二十二条　見習主計ハ陸軍大臣之ヲ命シ師団司令部所在地ノ歩兵連隊ニ配賦シ概ネ二月間所属隊及当該師団経理部ニ於テ経理部士官ノ勤務ヲ習得セシム
見習主計ノ身分ハ一等計手ノ階級トス
下士兵卒出身ノ見習主計ハ入隊ノ日ヲ以テ別ニ辞令ヲ用ヒス其ノ官又ハ服役ヲ免ス
第二十三条　見習主計ヲ経理部士官ト為スノ可否ハ第二十条第一項ノ規定ニ準シ組織スル経理部士官銓衡会議ニ於テ之ヲ決ス
前項ノ会議ニ於テ可決シタル者ハ二等主計ニ任セラルルノ資格ヲ具フルモノトス
第二十四条　見習主計ニシテ左ノ各号ノ一ニ該当スル者ハ見習主計ヲ免ス
一　軍紀ヲ紊リ若ハ屡法則ヲ犯シ又ハ品行不正ニシテ改悛ノ目途ナキ者
二　学力乏シクシテ見習主計タルニ適セサル者
三　経理部士官タルノ才能ニ乏シキ者
四　経理部士官銓衡会議ニ於テ否決シタル者
五　疾病又ハ傷痍ニ依リ現役ノ服役ニ堪ヘサル者
六　前各号ニ掲クル者ノ外見習主計タルヲ得ヘカラスト認メタル者
前項ノ規定ニ依リ下士兵卒出身ノ見習主計ヲ免シタルトキハ第一号ニ該当スル者ハ原兵科部ノ一等卒又ハ之ト同等級ノ兵卒ト為シ第二号乃至第四号及第六号ニ該当スル者並ニ第五号ニ該当シ予備役後備役ノ服役ニ堪フル者ハ一等計手ニ任ス
第二十七条第二号ヲ左ノ如ク改ム
二　官立、公立若ハ医師法第一条第一項第一号ノ規定ニ依リ文部大臣ノ指定シタル私立医学専門学校医学科ノ生徒又ハ官立、公立ノ薬学専門学校、医科大学附属薬学専門部、医学専門学校薬学科若ハ薬剤師法第二条第二項第一号ノ規定ニ依リ文部大臣ノ指定シタル学校ノ生徒ニシテ陸軍衛生部依託生徒ト為リ当該学校ノ課程ヲ卒業シタル者
第二十七条第四号ヲ左ノ如ク改ム
四　前各号ニ掲クル者ノ外医師法第一条第一項各号ノ一ニ該当スル者又ハ薬剤師法第二条第二項各号ノ一ニ該当スル者
第四十九条第二号中「看護長適任証書」ノ下ニ「又ハ磨工長適任証書」ヲ、「上等看護卒」ノ下ニ「又ハ上等磨工卒」ヲ、「現役看護長」ノ下ニ「又ハ磨工長」ヲ加フ
第六十一条ノ二中「准士官獣医部ノ者ヲ除ク」ヲ「准士官（獣医部ノ者ニ在リテハ獣医免状ヲ有スル者ニ限ル）」ニ改ム
第七十九条中「見習士官、」ノ下ニ「見習主計、」ヲ加ヘ同条ニ左ノ一項ヲ加フ
前項ノ規定ハ下士トシテ服役スヘキコトヲ志願シタル者ニ之ヲ適用ス但シ別段ノ規定アルモノハ此ノ限ニ在ラス
附　則
本令ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
本令施行ノ際現ニ経理部士官候補者又ハ三等主計候補者タル者ノ取扱ハ仍従前ノ例ニ依ル
大正十五年採用スヘキ経理部士官候補者又ハ大正十五年乃至大正十八年採用スヘキ三等主計候補者ノ資格及其ノ取扱ハ仍従前ノ例ニ依ルコトヲ得