(工場法施行令中改正ノ件)
法令番号: 勅令第百五十三號
公布年月日: 大正15年6月7日
法令の形式: 勅令
朕樞密顧問ノ諮詢ヲ經テ工場法施行令中改正ノ件ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
攝政名
大正十五年六月五日
內閣總理大臣 若槻禮次郞
內務大臣 濱口雄幸
勅令第百五十三號
工場法施行令中左ノ通改正ス
第一條 左ニ揭クル事業ノミヲ營ム工場ニ付テハ工場法ノ適用ヲ除外ス但シ內務大臣ノ定ムル原動機ヲ用フルモノハ此ノ限ニ在ラス
一 寒天、凍蒟蒻、凍豆腐、湯葉、麵類又ハ麩ノ製造
二 行李、簾、籠、和傘骨其ノ他ノ杞柳、籘、竹、竹ノ皮、經木、蔓、莖又ハ藁ノ手工品ノ製造
三 經木眞田又ハ麥稈眞田ノ編製
四 「アタン」、「パナマ」又ハ之ニ類スルモノヲ以テスル帽子其ノ他ノモノノ編製
五 扇子、團扇、和傘又ハ提燈ノ製造
六 紙、絲、棉、竹又ハ布帛ヲ主タル材料トスル玩具又ハ造花ノ製造
七 形紙、紙函、元結又ハ水引ノ製造
八 手工ニ依ル被服、足袋其ノ他ノ布帛類ノ裁縫
九 手工ニ依ル組紐ノ編製
一〇 刺繍、「レース」、「バテンレース」又ハ「ドローンウォーク」ノ業
第三條 左ニ揭クル事業ヲ營ム工場ハ工場法第一條第一項第二號ニ該當スルモノトス
一 毒劇物又ハ毒劇藥ノ製造
二 動物ノ剝製
三 水銀ヲ用フル計器ノ製造
四 水銀喞筒ヲ用フル魔法罎ノ製造
五 鉛ヲ用フル鑢ノ製造
六 琺瑯鐵器又ハ琺瑯藥ノ製造
七 塗料、顏料、印刷用インキ又ハ繪具ノ製造
八 亞硫酸瓦斯、「クロール」瓦斯又ハ水素瓦斯ヲ用フル事業
九 硫黃ノ精製
一〇 「チアン」加里又ハ硝酸鹽ヲ用フル金屬ノ熱處理
一一 「ファクチス」ノ製造
一二 脂肪油ノ精製
一三 「ボイル」油ノ製造
一四 乾燥油又ハ溶劑ヲ用フル擬革紙布又ハ防水紙布ノ製造
一五 溶劑ヲ用フル護謨製品ノ製造
一六 溶劑又ハ「ラバーセメント」ヲ用フル護謨製品ノ貼合
一七 溶劑ヲ用フル油脂ノ採取
一八 溶劑ヲ用フル芳香油ノ製造
一九 溶劑ヲ用フル野草莚ノ捺染
二〇 溶劑ヲ用フル模造眞珠ノ製造
二一 溶劑ヲ用フル「ドライクリーニング」(單ニ拂拭スルモノヲ除ク)
二二 溶劑ヲ用フル絆創膏ノ製造
二三 「タンニン」酸ノ製造
二四 合成染料又ハ其ノ中間物ノ製造
二五 「セルロイド」ノ製造、加熱加工又ハ鋸機ヲ用フル加工
二六 硝化綿ノ製造
二七 「コロヂウム」ヲ用フル紙撚製品ノ製造
二八 「エーテル」ノ製造
二九 酒精ノ製造又ハ變性
三〇 「ヴイスコーズ」ノ製造
三一 「テレピン」油ノ蒸溜又ハ精製
三二 鑛油ノ蒸溜、精製又ハ罐詰
三三 「アスファルト」ノ精製
三四 瀝質物ヲ用フル建築用ノ「フェルト」又ハ紙ノ製造
三五 燐寸ノ製造
三六 火藥、爆藥又ハ火工品ノ製造又ハ取扱
三七 金屬ノ熔融又ハ精煉
三八 電氣又ハ瓦斯ヲ用フル金屬ノ熔接又ハ切斷
三九 壓縮瓦斯又ハ液化瓦斯ノ製造
四〇 壓縮瓦斯又ハ液化瓦斯ヲ用フル製氷
四一 動力ニ依ル製材
四二 電氣業(發電所、變電所、蓄電所及開閉所)
四三 電球ノ製造
四四 硝子ノ製造、腐蝕、砂吹又ハ粉碎
四五 金屬、骨、角又ハ貝殼ノ乾燥硏磨
四六 動力ニ依ル金屬箔又ハ金屬粉ノ製造
四七 動力ニ依ル鑛石、土砂、貝又ハ骨ノ粉碎
四八 電氣用「カーボン」ノ製造
四九 石炭瓦斯又ハ骸炭ノ製造
五〇 「カーバイト」ノ製造
五一 石灰ノ製造
五二 「フェルト」又ハ吹付羅紗(粉狀纖維ヲ用フル模造羅紗)ノ製造
五三 起毛又ハ反毛ノ作業
五四 製綿
五五 麻ノ梳解
五六 古綿、落綿、古麻、屑紙、屑綿絲、屑毛又ハ繿褸類ノ選別
五七 骨炭又ハ血炭ノ製造
五八 毛皮ノ精製、製革又ハ製膠
五九 毛髮又ハ羽毛ノ精製
六〇 其ノ他內務大臣ノ命令ヲ以テ指定スル事業
第四條中「當該職工ノ重大ナル過失ニ因ルコトヲ證明シタル場合ヲ除クノ外」ヲ削ル
第六條 職工療養ノ爲勞務ニ服スルコト能ハサルニ因リ賃金ヲ受ケサルトキハ工業主ハ職工ノ療養中一日ニ付賃金百分ノ六十以上ノ休業扶助料ヲ支給スヘシ但シ同一ノ疾病又ハ負傷及之ニ因リ發シタル疾病ニ付其ノ支給百八十日ヲ超エタルトキハ其ノ後ノ支給額ヲ一日ニ付賃金百分ノ四十迄ニ減スルコトヲ得
第七條中「扶助料」ヲ「障害扶助料」ニ、「百七十日分」ヲ「五百四十日分」ニ、「百五十日分」ヲ「三百六十日分」ニ、「百日分」ヲ「百八十日分」ニ、「三十日分」ヲ「四十日分」ニ改ム
第七條ノ二 職工重大ナル過失ニ因リ負傷シ又ハ疾病ニ罹リ且工業主其ノ事實ニ付地方長官ノ認定ヲ受ケタル場合ニ於テハ休業扶助料又ハ障害扶助料ヲ支給セサルコトヲ得
第八條 職工死亡シタルトキハ工業主ハ遺族又ハ職工ノ死亡當時其ノ收入ニ依リ生計ヲ維持シタル者ニ賃金三百六十日分以上ノ遺族扶助料ヲ支給スヘシ
第九條 職工死亡シタルトキハ工業主ハ葬祭ヲ行フ遺族又ハ職工ノ死亡當時其ノ收入ニ依リ生計ヲ維持シタル者ニシテ葬祭ヲ行フ者ニ賃金二十日分(其ノ金額二十圓ニ滿チサルトキハ二十圓)以上ノ葬祭料ヲ支給スヘシ
第十二條第三號中「職工ノ親族又ハ職工ト同一ノ家ニ在ル者ニシテ」ヲ削ル
第十三條 第五條ノ規定ニ依リ本人ニ支給スル費用及休業扶助料ハ每月一囘以上之ヲ支給スヘシ
障害扶助料ハ職工ノ負傷又ハ疾病ノ治癒後遲滯ナク、遺族扶助料及葬祭料ハ職工ノ死亡後遲滯ナク之ヲ支給スヘシ但シ障害扶助料及遺族扶助料ハ地方長官ノ許可ヲ受ケ數囘ニ分割シテ之ヲ支給スルコトヲ得
第十三條ノ二 職工健康保險法(第四十八條第一項第二號ノ規定ヲ除ク)ニ依ル療養ノ給付又ハ療養費ノ支給ヲ受クヘキトキハ其ノ期間第五條ノ扶助ハ之ヲ爲スコトヲ要セス健康保險法ニ依ル傷病手當金ノ支給ヲ受クヘキトキ休業扶助料ノ支給ニ付亦同シ
職工ノ死亡ニ關シ健康保險法ニ依リ埋葬料又ハ埋葬ニ要シタル費用ノ支給アルヘキトキハ葬祭料ノ支給ハ之ヲ爲スコトヲ要セス
健康保險法第六十二條第一項第二項、第六十四條又ハ第六十五條第二項ノ規定ニ依リ保險給付ヲ受ケサル場合ニ於テハ前二項ノ例ニ依リ第五條ノ扶助又ハ休業扶助料若ハ葬祭料ノ支給ハ之ヲ爲スコトヲ要セス
第十四條中「扶助ヲ受クル職工」ヲ「扶助ヲ受ケ又ハ健康保險法ニ依リ療養ノ給付若ハ療養費ノ支給ヲ受クル職工」ニ、「百七十日分以上ノ扶助料」ヲ「五百四十日分以上ノ打切扶助料」ニ改ム
第十五條第一號但書及第二號中「扶助」ヲ「扶助又ハ健康保險法ニ依ル保險給付」ニ改ム
第十六條 扶助料及葬祭料算出ノ標準トスヘキ賃金ハ左ノ各號ノ金額トス
一 職工健康保險法ニ依ル被保險者タル場合ニ於テハ同法ニ基キ其ノ者ニ付定メタル標準報酬ノ日額
二 職工健康保險法ニ依ル被保險者タラサル場合ニ於テハ疾病ニ在リテハ診斷ニ據ル發病ノ日ヲ除キ、發病ノ日明ナラサルトキハ診斷前七日ヲ除キ、負傷又ハ卽死ニ在リテハ事故發生ノ日ヲ除キ其ノ前(賃金締切日アル場合ニ於テハ直前ノ賃金締切日以前)三月間(雇入後三月ニ滿チサルトキハ其ノ期間)ニ於ケル賃金總額ヲ其ノ期間ノ日數ヲ以テ除シタル金額但シ其ノ金額ハ上記賃金總額ヲ該期間中ニ於テ賃金ヲ受ケタル日數ヲ以テ除シタル金額ノ百分ノ六十ヲ下ルコトヲ得ス
前項第二號ニ規定スル期間中ニ左ノ各號ノ一ニ該當スル期間アルトキハ其ノ日數及其ノ期間ニ於ケル賃金ハ前項ノ期間及賃金總額ヨリ之ヲ控除ス
一 業務上負傷シ又ハ疾病ニ罹リ療養ノ爲休業シタル期間
二 產前又ハ產後ノ女子內務大臣ノ定ムル所ニ依リ休業シタル期間
三 試ノ雇傭期間
四 工業主ノ都合ニ依リ職工臨時ニ休業シタル期間
第一項第二號ノ賃金總額ニハ賞與又ハ臨時ニ支給セラルル手當ニシテ內務大臣ノ定ムルモノヲ包含セス
前三項ノ規定ニ依リ扶助料及葬祭料算出ノ標準トスヘキ賃金ヲ算出スルコトヲ得サル場合ニ於テハ扶助規則ノ定ムル所ニ依ル但シ扶助規則ニ定ナキトキハ地方長官之ヲ定ム
第十七條 前條第一項第二號ノ規定ニ依リ賃金ヲ算出スル場合ニ於テ工業主カ食事其ノ他ノ給與ヲ當時支給スルトキハ其ノ價額ハ賃金中ニ之ヲ加算ス但シ休業扶助料ヲ支給スル場合ニ於テ工業主カ食事其ノ他ノ給與ヲ引續キ支給スルトキハ其ノ價額ハ休業扶助料算出ノ標準トスヘキ賃金中ニ之ヲ加算セス
第十九條中「工業主ハ」ノ下ニ「遲滯ナク」ヲ加ヘ「變更セムトスルトキ」ヲ「變更シタルトキ」ニ改ム
「第三章 職工ノ雇入、解雇及周旋」ヲ「第三章 職工ノ雇入及解雇」ニ改ム
第二十一條中「工業主ハ」ノ下ニ「遲滯ナク」ヲ加フ
第二十六條 削除
第二十七條ノ二 工業主職工ニ對シ雇傭契約ヲ解除セムトスルトキハ少クトモ十四日前ニ其ノ豫告ヲ爲スカ又ハ賃金十四日分以上ノ手當ヲ支給スルコトヲ要ス但シ天災事變ニ基キ事業ノ繼續不可能ト爲リタルニ因リ又ハ職工ノ責ニ歸スヘキ事由ニ因リ已ムコトヲ得サル場合ニ於テ雇傭契約ヲ解除スルトキハ此ノ限ニ在ラス
前項ノ規定ニ依ル豫告期間ノ計算ニ付テハ左ニ揭クル期間ハ之ヲ算入セス
一 業務上負傷シ又ハ疾病ニ罹リ療養ノ爲休業スル期間但シ其ノ期間引續キ二月ヲ超ユルトキハ其ノ後ノ期間ハ此ノ限ニ在ラス
二 產前又ハ產後ノ女子內務大臣ノ定ムル所ニ依リ休業スル期間
三 工業主ノ都合ニ依リ職工臨時ニ休業スル期間但シ休業中賃金ヲ受クルトキハ此ノ限ニ在ラス
前二項ノ規定ハ試ノ雇傭期間中ノ職工ニ付之ヲ適用セス但シ雇入後十四日(工業主地方長官ノ許可ヲ受ケタルトキハ二十一日)ヲ超ユル職工ニ付テハ此ノ限ニ在ラス
第十六條及第十七條ノ規定ハ第一項ノ賃金ニ、第十八條ノ規定ハ前三項ノ場合ニ之ヲ準用ス
第二十七條ノ三 職工解雇ノ場合ニ於テ雇傭期間、業務ノ種類及賃金ニ付證明書ヲ請求シタルトキハ工業主ハ遲滯ナク之ヲ交付スヘシ
第二十七條ノ四 當時五十人以上ノ職工ヲ使用スル工場ノ工業主ハ遲滯ナク就業規則ヲ作成シ之ヲ地方長官ニ屆出ツヘシ就業規則ヲ變更シタルトキ亦同シ
就業規則ニ定ムヘキ事項左ノ如シ
一 始業終業ノ時刻、休憩時間、休日及職工ヲ二組以上ニ分チ交替ニ就業セシムルトキハ就業時轉換ニ關スル事項
二 賃金支拂ノ方法及時期ニ關スル事項
三 職工ニ食費其ノ他ノ負擔ヲ爲サシムルトキハ之ニ關スル事項
四 制裁ノ定アルトキハ之ニ關スル事項
五 解雇ニ關スル事項
地方長官必要ト認ムルトキハ就業規則ノ變更ヲ命スルコトヲ得
第三十條中「十五歲」ヲ「十六歲」ニ改メ同條第二項ヲ削ル
第三十三條 工業主ヲシテ不正ニ扶助義務、賃金支拂ノ義務、職工ノ貯蓄金返還ノ義務若ハ第二十七條第一項ノ規定ニ依ル義務ノ全部若ハ一部ヲ免レシメタル者又ハ第二十七條ノ二ノ規定ニ違反シテ雇傭契約ヲ解除セシメタル者ハ二百圓以下ノ罰金ニ處ス但シ其ノ者ノ所爲ニ付工場法第二十二條ノ規定ニ依リ工業主又ハ之ニ代ル者ヲ罰スヘキ場合ニ於テハ此ノ限ニ在ラス
第三十四條 削除
第三十五條 削除
第三十六條 削除
附 則
第一條 本令ハ大正十二年法律第三十三號施行ノ日ヨリ之ヲ施行ス
第二條 從前ノ規定ニ依リ扶助ヲ受クル者本令施行後引續キ扶助ヲ受クルトキハ本令施行後ハ本令ニ依リ之ヲ扶助スヘシ本令施行前ニ扶助ヲ受ケテ治癒シタル負傷又ハ疾病カ本令施行後再發シテ扶助ヲ受クルトキ亦同シ
第三條 本令施行ノ際大正十二年法律第三十三號又ハ本令ノ規定ニ依リ新ニ工場法ノ適用ヲ受クル工場ノ工業主カ本令施行前ニ爲シタル契約ニ付テハ第二十四條ノ規定ハ本令施行後一年間之ヲ適用セス
前項ノ工業主ハ賃金ノ支拂期ニ關シ第二十二條ノ規定ニ異ル慣習アルトキハ地方長官ノ許可ヲ受ケ本令施行後二年以內其ノ慣習ニ依ル支拂期ヲ延長セサル限度ニ於テ支拂期ヲ定ムルノ契約ヲ爲スコトヲ得
第四條 尋常小學校ノ敎科ヲ修了セサル學齡兒童ヲ使用スル場合ニ於テハ工業主ハ遲滯ナク就學ニ關シ必要ナル事項ヲ定メ地方長官ノ認可ヲ受クヘシ
第五條 附則第三條第一項ノ工業主ハ本令施行ノ日ヨリ四月以內ハ第二十二條、第二十五條及前條ノ規定ニ依ラサルコトヲ得
附則第三條第一項ノ工業主職工ノ貯蓄金ヲ引續キ管理シ又ハ尋常小學校ノ敎科ヲ修了セサル學齡兒童ヲ引續キ使用スル場合ニ於テ前項ノ期間內ニ第二十五條又ハ前條ノ認可ヲ申請シタルトキハ之ニ對スル行政處分アル迄仍從前ノ例ニ依ルコトヲ得
前項ノ規定ハ第一項ノ期間內ニ附則第三條第二項ノ許可ヲ申請シタル場合ニ之ヲ準用ス
第六條 本令中十六歲トアルハ本令施行後三年間ハ之ヲ十五歲トス
朕枢密顧問ノ諮詢ヲ経テ工場法施行令中改正ノ件ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
摂政名
大正十五年六月五日
内閣総理大臣 若槻礼次郎
内務大臣 浜口雄幸
勅令第百五十三号
工場法施行令中左ノ通改正ス
第一条 左ニ掲クル事業ノミヲ営ム工場ニ付テハ工場法ノ適用ヲ除外ス但シ内務大臣ノ定ムル原動機ヲ用フルモノハ此ノ限ニ在ラス
一 寒天、凍蒟蒻、凍豆腐、湯葉、麺類又ハ麩ノ製造
二 行李、簾、籠、和傘骨其ノ他ノ杞柳、籘、竹、竹ノ皮、経木、蔓、茎又ハ藁ノ手工品ノ製造
三 経木真田又ハ麦稈真田ノ編製
四 「アタン」、「パナマ」又ハ之ニ類スルモノヲ以テスル帽子其ノ他ノモノノ編製
五 扇子、団扇、和傘又ハ提灯ノ製造
六 紙、糸、棉、竹又ハ布帛ヲ主タル材料トスル玩具又ハ造花ノ製造
七 形紙、紙函、元結又ハ水引ノ製造
八 手工ニ依ル被服、足袋其ノ他ノ布帛類ノ裁縫
九 手工ニ依ル組紐ノ編製
一〇 刺繍、「レース」、「バテンレース」又ハ「ドローンウォーク」ノ業
第三条 左ニ掲クル事業ヲ営ム工場ハ工場法第一条第一項第二号ニ該当スルモノトス
一 毒劇物又ハ毒劇薬ノ製造
二 動物ノ剥製
三 水銀ヲ用フル計器ノ製造
四 水銀喞筒ヲ用フル魔法罎ノ製造
五 鉛ヲ用フル鑢ノ製造
六 琺瑯鉄器又ハ琺瑯薬ノ製造
七 塗料、顔料、印刷用インキ又ハ絵具ノ製造
八 亜硫酸瓦斯、「クロール」瓦斯又ハ水素瓦斯ヲ用フル事業
九 硫黄ノ精製
一〇 「チアン」加里又ハ硝酸塩ヲ用フル金属ノ熱処理
一一 「ファクチス」ノ製造
一二 脂肪油ノ精製
一三 「ボイル」油ノ製造
一四 乾燥油又ハ溶剤ヲ用フル擬革紙布又ハ防水紙布ノ製造
一五 溶剤ヲ用フル護謨製品ノ製造
一六 溶剤又ハ「ラバーセメント」ヲ用フル護謨製品ノ貼合
一七 溶剤ヲ用フル油脂ノ採取
一八 溶剤ヲ用フル芳香油ノ製造
一九 溶剤ヲ用フル野草莚ノ捺染
二〇 溶剤ヲ用フル模造真珠ノ製造
二一 溶剤ヲ用フル「ドライクリーニング」(単ニ払拭スルモノヲ除ク)
二二 溶剤ヲ用フル絆創膏ノ製造
二三 「タンニン」酸ノ製造
二四 合成染料又ハ其ノ中間物ノ製造
二五 「セルロイド」ノ製造、加熱加工又ハ鋸機ヲ用フル加工
二六 硝化綿ノ製造
二七 「コロヂウム」ヲ用フル紙撚製品ノ製造
二八 「エーテル」ノ製造
二九 酒精ノ製造又ハ変性
三〇 「ヴイスコーズ」ノ製造
三一 「テレピン」油ノ蒸溜又ハ精製
三二 鉱油ノ蒸溜、精製又ハ缶詰
三三 「アスファルト」ノ精製
三四 瀝質物ヲ用フル建築用ノ「フェルト」又ハ紙ノ製造
三五 燐寸ノ製造
三六 火薬、爆薬又ハ火工品ノ製造又ハ取扱
三七 金属ノ熔融又ハ精煉
三八 電気又ハ瓦斯ヲ用フル金属ノ熔接又ハ切断
三九 圧縮瓦斯又ハ液化瓦斯ノ製造
四〇 圧縮瓦斯又ハ液化瓦斯ヲ用フル製氷
四一 動力ニ依ル製材
四二 電気業(発電所、変電所、蓄電所及開閉所)
四三 電球ノ製造
四四 硝子ノ製造、腐蝕、砂吹又ハ粉砕
四五 金属、骨、角又ハ貝殻ノ乾燥研磨
四六 動力ニ依ル金属箔又ハ金属粉ノ製造
四七 動力ニ依ル鉱石、土砂、貝又ハ骨ノ粉砕
四八 電気用「カーボン」ノ製造
四九 石炭瓦斯又ハ骸炭ノ製造
五〇 「カーバイト」ノ製造
五一 石灰ノ製造
五二 「フェルト」又ハ吹付羅紗(粉状繊維ヲ用フル模造羅紗)ノ製造
五三 起毛又ハ反毛ノ作業
五四 製綿
五五 麻ノ梳解
五六 古綿、落綿、古麻、屑紙、屑綿糸、屑毛又ハ繿褸類ノ選別
五七 骨炭又ハ血炭ノ製造
五八 毛皮ノ精製、製革又ハ製膠
五九 毛髪又ハ羽毛ノ精製
六〇 其ノ他内務大臣ノ命令ヲ以テ指定スル事業
第四条中「当該職工ノ重大ナル過失ニ因ルコトヲ証明シタル場合ヲ除クノ外」ヲ削ル
第六条 職工療養ノ為労務ニ服スルコト能ハサルニ因リ賃金ヲ受ケサルトキハ工業主ハ職工ノ療養中一日ニ付賃金百分ノ六十以上ノ休業扶助料ヲ支給スヘシ但シ同一ノ疾病又ハ負傷及之ニ因リ発シタル疾病ニ付其ノ支給百八十日ヲ超エタルトキハ其ノ後ノ支給額ヲ一日ニ付賃金百分ノ四十迄ニ減スルコトヲ得
第七条中「扶助料」ヲ「障害扶助料」ニ、「百七十日分」ヲ「五百四十日分」ニ、「百五十日分」ヲ「三百六十日分」ニ、「百日分」ヲ「百八十日分」ニ、「三十日分」ヲ「四十日分」ニ改ム
第七条ノ二 職工重大ナル過失ニ因リ負傷シ又ハ疾病ニ罹リ且工業主其ノ事実ニ付地方長官ノ認定ヲ受ケタル場合ニ於テハ休業扶助料又ハ障害扶助料ヲ支給セサルコトヲ得
第八条 職工死亡シタルトキハ工業主ハ遺族又ハ職工ノ死亡当時其ノ収入ニ依リ生計ヲ維持シタル者ニ賃金三百六十日分以上ノ遺族扶助料ヲ支給スヘシ
第九条 職工死亡シタルトキハ工業主ハ葬祭ヲ行フ遺族又ハ職工ノ死亡当時其ノ収入ニ依リ生計ヲ維持シタル者ニシテ葬祭ヲ行フ者ニ賃金二十日分(其ノ金額二十円ニ満チサルトキハ二十円)以上ノ葬祭料ヲ支給スヘシ
第十二条第三号中「職工ノ親族又ハ職工ト同一ノ家ニ在ル者ニシテ」ヲ削ル
第十三条 第五条ノ規定ニ依リ本人ニ支給スル費用及休業扶助料ハ毎月一回以上之ヲ支給スヘシ
障害扶助料ハ職工ノ負傷又ハ疾病ノ治癒後遅滞ナク、遺族扶助料及葬祭料ハ職工ノ死亡後遅滞ナク之ヲ支給スヘシ但シ障害扶助料及遺族扶助料ハ地方長官ノ許可ヲ受ケ数回ニ分割シテ之ヲ支給スルコトヲ得
第十三条ノ二 職工健康保険法(第四十八条第一項第二号ノ規定ヲ除ク)ニ依ル療養ノ給付又ハ療養費ノ支給ヲ受クヘキトキハ其ノ期間第五条ノ扶助ハ之ヲ為スコトヲ要セス健康保険法ニ依ル傷病手当金ノ支給ヲ受クヘキトキ休業扶助料ノ支給ニ付亦同シ
職工ノ死亡ニ関シ健康保険法ニ依リ埋葬料又ハ埋葬ニ要シタル費用ノ支給アルヘキトキハ葬祭料ノ支給ハ之ヲ為スコトヲ要セス
健康保険法第六十二条第一項第二項、第六十四条又ハ第六十五条第二項ノ規定ニ依リ保険給付ヲ受ケサル場合ニ於テハ前二項ノ例ニ依リ第五条ノ扶助又ハ休業扶助料若ハ葬祭料ノ支給ハ之ヲ為スコトヲ要セス
第十四条中「扶助ヲ受クル職工」ヲ「扶助ヲ受ケ又ハ健康保険法ニ依リ療養ノ給付若ハ療養費ノ支給ヲ受クル職工」ニ、「百七十日分以上ノ扶助料」ヲ「五百四十日分以上ノ打切扶助料」ニ改ム
第十五条第一号但書及第二号中「扶助」ヲ「扶助又ハ健康保険法ニ依ル保険給付」ニ改ム
第十六条 扶助料及葬祭料算出ノ標準トスヘキ賃金ハ左ノ各号ノ金額トス
一 職工健康保険法ニ依ル被保険者タル場合ニ於テハ同法ニ基キ其ノ者ニ付定メタル標準報酬ノ日額
二 職工健康保険法ニ依ル被保険者タラサル場合ニ於テハ疾病ニ在リテハ診断ニ拠ル発病ノ日ヲ除キ、発病ノ日明ナラサルトキハ診断前七日ヲ除キ、負傷又ハ即死ニ在リテハ事故発生ノ日ヲ除キ其ノ前(賃金締切日アル場合ニ於テハ直前ノ賃金締切日以前)三月間(雇入後三月ニ満チサルトキハ其ノ期間)ニ於ケル賃金総額ヲ其ノ期間ノ日数ヲ以テ除シタル金額但シ其ノ金額ハ上記賃金総額ヲ該期間中ニ於テ賃金ヲ受ケタル日数ヲ以テ除シタル金額ノ百分ノ六十ヲ下ルコトヲ得ス
前項第二号ニ規定スル期間中ニ左ノ各号ノ一ニ該当スル期間アルトキハ其ノ日数及其ノ期間ニ於ケル賃金ハ前項ノ期間及賃金総額ヨリ之ヲ控除ス
一 業務上負傷シ又ハ疾病ニ罹リ療養ノ為休業シタル期間
二 産前又ハ産後ノ女子内務大臣ノ定ムル所ニ依リ休業シタル期間
三 試ノ雇傭期間
四 工業主ノ都合ニ依リ職工臨時ニ休業シタル期間
第一項第二号ノ賃金総額ニハ賞与又ハ臨時ニ支給セラルル手当ニシテ内務大臣ノ定ムルモノヲ包含セス
前三項ノ規定ニ依リ扶助料及葬祭料算出ノ標準トスヘキ賃金ヲ算出スルコトヲ得サル場合ニ於テハ扶助規則ノ定ムル所ニ依ル但シ扶助規則ニ定ナキトキハ地方長官之ヲ定ム
第十七条 前条第一項第二号ノ規定ニ依リ賃金ヲ算出スル場合ニ於テ工業主カ食事其ノ他ノ給与ヲ当時支給スルトキハ其ノ価額ハ賃金中ニ之ヲ加算ス但シ休業扶助料ヲ支給スル場合ニ於テ工業主カ食事其ノ他ノ給与ヲ引続キ支給スルトキハ其ノ価額ハ休業扶助料算出ノ標準トスヘキ賃金中ニ之ヲ加算セス
第十九条中「工業主ハ」ノ下ニ「遅滞ナク」ヲ加ヘ「変更セムトスルトキ」ヲ「変更シタルトキ」ニ改ム
「第三章 職工ノ雇入、解雇及周旋」ヲ「第三章 職工ノ雇入及解雇」ニ改ム
第二十一条中「工業主ハ」ノ下ニ「遅滞ナク」ヲ加フ
第二十六条 削除
第二十七条ノ二 工業主職工ニ対シ雇傭契約ヲ解除セムトスルトキハ少クトモ十四日前ニ其ノ予告ヲ為スカ又ハ賃金十四日分以上ノ手当ヲ支給スルコトヲ要ス但シ天災事変ニ基キ事業ノ継続不可能ト為リタルニ因リ又ハ職工ノ責ニ帰スヘキ事由ニ因リ已ムコトヲ得サル場合ニ於テ雇傭契約ヲ解除スルトキハ此ノ限ニ在ラス
前項ノ規定ニ依ル予告期間ノ計算ニ付テハ左ニ掲クル期間ハ之ヲ算入セス
一 業務上負傷シ又ハ疾病ニ罹リ療養ノ為休業スル期間但シ其ノ期間引続キ二月ヲ超ユルトキハ其ノ後ノ期間ハ此ノ限ニ在ラス
二 産前又ハ産後ノ女子内務大臣ノ定ムル所ニ依リ休業スル期間
三 工業主ノ都合ニ依リ職工臨時ニ休業スル期間但シ休業中賃金ヲ受クルトキハ此ノ限ニ在ラス
前二項ノ規定ハ試ノ雇傭期間中ノ職工ニ付之ヲ適用セス但シ雇入後十四日(工業主地方長官ノ許可ヲ受ケタルトキハ二十一日)ヲ超ユル職工ニ付テハ此ノ限ニ在ラス
第十六条及第十七条ノ規定ハ第一項ノ賃金ニ、第十八条ノ規定ハ前三項ノ場合ニ之ヲ準用ス
第二十七条ノ三 職工解雇ノ場合ニ於テ雇傭期間、業務ノ種類及賃金ニ付証明書ヲ請求シタルトキハ工業主ハ遅滞ナク之ヲ交付スヘシ
第二十七条ノ四 当時五十人以上ノ職工ヲ使用スル工場ノ工業主ハ遅滞ナク就業規則ヲ作成シ之ヲ地方長官ニ届出ツヘシ就業規則ヲ変更シタルトキ亦同シ
就業規則ニ定ムヘキ事項左ノ如シ
一 始業終業ノ時刻、休憩時間、休日及職工ヲ二組以上ニ分チ交替ニ就業セシムルトキハ就業時転換ニ関スル事項
二 賃金支払ノ方法及時期ニ関スル事項
三 職工ニ食費其ノ他ノ負担ヲ為サシムルトキハ之ニ関スル事項
四 制裁ノ定アルトキハ之ニ関スル事項
五 解雇ニ関スル事項
地方長官必要ト認ムルトキハ就業規則ノ変更ヲ命スルコトヲ得
第三十条中「十五歳」ヲ「十六歳」ニ改メ同条第二項ヲ削ル
第三十三条 工業主ヲシテ不正ニ扶助義務、賃金支払ノ義務、職工ノ貯蓄金返還ノ義務若ハ第二十七条第一項ノ規定ニ依ル義務ノ全部若ハ一部ヲ免レシメタル者又ハ第二十七条ノ二ノ規定ニ違反シテ雇傭契約ヲ解除セシメタル者ハ二百円以下ノ罰金ニ処ス但シ其ノ者ノ所為ニ付工場法第二十二条ノ規定ニ依リ工業主又ハ之ニ代ル者ヲ罰スヘキ場合ニ於テハ此ノ限ニ在ラス
第三十四条 削除
第三十五条 削除
第三十六条 削除
附 則
第一条 本令ハ大正十二年法律第三十三号施行ノ日ヨリ之ヲ施行ス
第二条 従前ノ規定ニ依リ扶助ヲ受クル者本令施行後引続キ扶助ヲ受クルトキハ本令施行後ハ本令ニ依リ之ヲ扶助スヘシ本令施行前ニ扶助ヲ受ケテ治癒シタル負傷又ハ疾病カ本令施行後再発シテ扶助ヲ受クルトキ亦同シ
第三条 本令施行ノ際大正十二年法律第三十三号又ハ本令ノ規定ニ依リ新ニ工場法ノ適用ヲ受クル工場ノ工業主カ本令施行前ニ為シタル契約ニ付テハ第二十四条ノ規定ハ本令施行後一年間之ヲ適用セス
前項ノ工業主ハ賃金ノ支払期ニ関シ第二十二条ノ規定ニ異ル慣習アルトキハ地方長官ノ許可ヲ受ケ本令施行後二年以内其ノ慣習ニ依ル支払期ヲ延長セサル限度ニ於テ支払期ヲ定ムルノ契約ヲ為スコトヲ得
第四条 尋常小学校ノ教科ヲ修了セサル学齢児童ヲ使用スル場合ニ於テハ工業主ハ遅滞ナク就学ニ関シ必要ナル事項ヲ定メ地方長官ノ認可ヲ受クヘシ
第五条 附則第三条第一項ノ工業主ハ本令施行ノ日ヨリ四月以内ハ第二十二条、第二十五条及前条ノ規定ニ依ラサルコトヲ得
附則第三条第一項ノ工業主職工ノ貯蓄金ヲ引続キ管理シ又ハ尋常小学校ノ教科ヲ修了セサル学齢児童ヲ引続キ使用スル場合ニ於テ前項ノ期間内ニ第二十五条又ハ前条ノ認可ヲ申請シタルトキハ之ニ対スル行政処分アル迄仍従前ノ例ニ依ルコトヲ得
前項ノ規定ハ第一項ノ期間内ニ附則第三条第二項ノ許可ヲ申請シタル場合ニ之ヲ準用ス
第六条 本令中十六歳トアルハ本令施行後三年間ハ之ヲ十五歳トス