商事調停法
法令番号: 法律第四十二號
公布年月日: 大正15年3月30日
法令の形式: 法律
朕帝國議會ノ協贊ヲ經タル商事調停法ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
攝政名
大正十五年三月二十九日
內閣總理大臣 若槻禮次郞
司法大臣 江木翼
法律第四十二號
商事調停法
第一條 商事ニ關シ爭議ヲ生シタルトキハ當事者ハ相手方ノ住所、居所、營業所若ハ事務所ノ所在地ヲ管轄スル區裁判所又ハ當事者ノ合意ニ依リテ定リタル地方裁判所若ハ區裁判所ニ調停ノ申立ヲ爲スコトヲ得
調停ノ申立ヲ受ケタル裁判所調停ヲ爲スニ付相當ト認ムルトキハ決定ヲ以テ事件ヲ他ノ地方裁判所又ハ區裁判所ニ移送スルコトヲ得管轄權ナキ裁判所カ調停ノ申立ヲ受ケタルトキ亦同シ
前項ノ決定ニ對シテハ不服ヲ申立ツルコトヲ得ス
第二條 商事調停ニ關シテハ本法ニ別段ノ規定アルモノヲ除クノ外借地借家調停法ヲ準用ス
第三條 裁判所調停ヲ爲スニ付必要アリト認ムルトキハ計算人ヲ選定シ之ヲシテ計算ヲ爲サシムルコトヲ得
調停委員會ヲ開キタル場合ニ於テハ前項ニ規定スル裁判所ノ權限ハ調停委員會ニ屬ス
計算人ニハ旅費、日當及止宿料ヲ給ス其ノ額ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第四條 調停委員會ハ當事者ノ合意アル場合ニ於テハ第一條ノ爭議ニ付民事訴訟法ニ依ル仲裁判斷ヲ爲スコトヲ得
前項ノ場合ニ於テハ當事者ノ指定シタル調停委員會ノ屬スル裁判所ハ申立ニ因リ調停委員會ヲ開クコトヲ要ス
第五條 借地借家調停法第十八條及第二十九條乃至第三十一條ノ規定ハ前條ノ規定ニ依ル仲裁ニ關シ之ヲ準用ス
附 則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
本法施行ノ地區ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
當事者ノ一方ニシテ本法施行地區內ニ住所、居所、營業所又ハ事務所ヲ有スル者ニ對シ調停ノ申立ヲ爲シ得ヘキ事件ニ付テハ其ノ相手方ノ住所、居所、營業所及事務所カ本法施行地區外ニ在ル場合ト雖之ニ對シ其ノ住所、居所、營業所又ハ事務所ノ所在地ヲ管轄スル區裁判所ニ調停ノ申立ヲ爲スコトヲ得
朕帝国議会ノ協賛ヲ経タル商事調停法ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
摂政名
大正十五年三月二十九日
内閣総理大臣 若槻礼次郎
司法大臣 江木翼
法律第四十二号
商事調停法
第一条 商事ニ関シ争議ヲ生シタルトキハ当事者ハ相手方ノ住所、居所、営業所若ハ事務所ノ所在地ヲ管轄スル区裁判所又ハ当事者ノ合意ニ依リテ定リタル地方裁判所若ハ区裁判所ニ調停ノ申立ヲ為スコトヲ得
調停ノ申立ヲ受ケタル裁判所調停ヲ為スニ付相当ト認ムルトキハ決定ヲ以テ事件ヲ他ノ地方裁判所又ハ区裁判所ニ移送スルコトヲ得管轄権ナキ裁判所カ調停ノ申立ヲ受ケタルトキ亦同シ
前項ノ決定ニ対シテハ不服ヲ申立ツルコトヲ得ス
第二条 商事調停ニ関シテハ本法ニ別段ノ規定アルモノヲ除クノ外借地借家調停法ヲ準用ス
第三条 裁判所調停ヲ為スニ付必要アリト認ムルトキハ計算人ヲ選定シ之ヲシテ計算ヲ為サシムルコトヲ得
調停委員会ヲ開キタル場合ニ於テハ前項ニ規定スル裁判所ノ権限ハ調停委員会ニ属ス
計算人ニハ旅費、日当及止宿料ヲ給ス其ノ額ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第四条 調停委員会ハ当事者ノ合意アル場合ニ於テハ第一条ノ争議ニ付民事訴訟法ニ依ル仲裁判断ヲ為スコトヲ得
前項ノ場合ニ於テハ当事者ノ指定シタル調停委員会ノ属スル裁判所ハ申立ニ因リ調停委員会ヲ開クコトヲ要ス
第五条 借地借家調停法第十八条及第二十九条乃至第三十一条ノ規定ハ前条ノ規定ニ依ル仲裁ニ関シ之ヲ準用ス
附 則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
本法施行ノ地区ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
当事者ノ一方ニシテ本法施行地区内ニ住所、居所、営業所又ハ事務所ヲ有スル者ニ対シ調停ノ申立ヲ為シ得ヘキ事件ニ付テハ其ノ相手方ノ住所、居所、営業所及事務所カ本法施行地区外ニ在ル場合ト雖之ニ対シ其ノ住所、居所、営業所又ハ事務所ノ所在地ヲ管轄スル区裁判所ニ調停ノ申立ヲ為スコトヲ得