(所得税法中改正法律)
法令番号: 法律第八號
公布年月日: 大正15年3月27日
法令の形式: 法律
朕帝國議會ノ協贊ヲ經タル所得稅法中改正法律ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
攝政名
大正十五年三月二十七日
內閣總理大臣 若槻禮次郞
大藏大臣 濱口雄幸
法律第八號
所得稅法中左ノ通改正ス
第一條ノ二ヲ削ル
第三條 所得稅ハ左ノ所得ニ付之ヲ賦課ス
第一種
甲 法人ノ普通所得
乙 法人ノ超過所得
丙 法人ノ淸算所得
第二種
甲 本法施行地ニ於テ支拂ヲ受クル公債、社債若ハ銀行預金ノ利子又ハ貸付信託ノ利益
乙 第一條ノ規定ニ該當セサル者ノ本法施行地ニ本店又ハ主タル事務所ヲ有スル法人ヨリ受クル利益若ハ利息ノ配當、剩餘金ノ分配又ハ利益若ハ剩餘金ノ處分タル賞與若ハ賞與ノ性質ヲ有スル給與
第三種
第二種ニ屬セサル個人ノ所得
第三條ノ三 本法ニ於テ貸付信託ト稱スルハ信託會社ノ引受ケタル金錢信託ニシテ信託財產ノ運用方法ヲ預入又ハ貸付ノミニ限定シタルモノヲ謂フ
第四條中「法人ノ所得」ヲ「法人ノ普通所得」ニ改ム
第五條中「法人ノ各事業年度ノ所得」ヲ「法人ノ普通所得」ニ、「同年度」ヲ「當該事業年度」ニ改ム
第八條中「所得」ヲ「普通所得」ニ改ム
第九條 削除
第十條 削除
第十一條中「拂込株式金額、出資金額、積立金及最後ノ事業年度ニ於ケル留保所得ノ合計金額」ヲ「拂込株式金額又ハ出費金額」ニ改ム
第十四條 第三種ノ所得ハ左ノ各號ノ規定ニ依リ之ヲ算出ス
一 營業ニ非サル貸金ノ利子竝第二種ノ所得ニ屬セサル公債、社債及預金ノ利子ハ前年中ノ收入金額
二 山林ノ所得ハ前年中ノ總收入金額ヨリ必要ノ經費ヲ控除シタル金額
三 賞與又ハ賞與ノ性質ヲ有スル給與ハ前年三月一日ヨリ其ノ年二月末日迄ノ收入金額
四 法人ヨリ受クル利益若ハ利息ノ配當又ハ剩餘金ノ分配ハ前年三月一日ヨリ其ノ年二月末日迄ノ收入金額(無記名株式ノ配當ニ付テハ支拂ヲ受ケタル金額)ヨリ其ノ十分ノ四ヲ控除シタル金額
五 俸給、給料、歲費、年金、恩給、退隱料及此等ノ性質ヲ有スル給與ハ前年中ノ收入金額但シ前年一月一日ヨリ引續キ支給ヲ受ケタルニ非サルモノニ付テハ其ノ年ノ豫算年額
六 前各號以外ノ所得ハ前年中ノ總收入金額ヨリ必要ノ經費ヲ控除シタル金額但シ前年一月一日ヨリ引續キ有シタルニ非サル資產、營業又ハ職業ノ所得ニ付テハ其ノ年ノ豫算年額
株式ノ消却ニ因リ支拂ヲ受クル金額又ハ退社ニ因リ持分ノ拂戾トシテ受クル金額カ其ノ株式ノ拂込濟金額又ハ出資金額ヲ超過スルトキハ其ノ超過金額ハ之ヲ法人ヨリ受クル利益ノ配當ト看做ス
第一項第一號、第二號及第四號ノ所得ニ付テハ被相續人ノ所得ハ之ヲ相續人ノ所得ト看做シ第六號ノ所得ニ付テハ相續シタル資產又ハ營業ハ相續人カ引續キ之ヲ有シタルモノト看做シテ其ノ所得ヲ計算ス
第十五條 前條ノ規定ニ依リ算出シタル所得總額一萬二千圓以下ナルトキハ其ノ所得中勤勞所得(前條第一項第三號及第五號ノ所得)ニ付左ノ金額ヲ控除ス
一 所得總額六千圓以下ナルトキハ勤勞所得ノ十分ノ二
二 所得總額中勤勞所得以外ノ所得六千圓以上ナルトキハ勤勞所得ノ十分ノ一
三 所得總額六千圓ヲ超エ勤勞所得以外ノ所得六千圓未滿ナルトキハ勤勞所得中勤勞所得以外ノ所得ト合算シテ六千圓ニ達スル迄ノ金額ノ十分ノ二、其ノ他ノ金額ノ十分ノ一
戶主及其ノ同居家族ノ所得ハ之ヲ合算シ其ノ總額ニ付前項ノ規定ヲ適用ス戶主ト別居スル二人以上ノ同居家族ノ所得ニ付亦同シ
第十六條第一項ヲ左ノ如ク改ム
前二條ノ規定ニ依リ算出シタル所得總額三千圓以下ナルトキハ其ノ所得ヲ有スル者ノ申請ニ依リ其ノ所得ヨリ其ノ年三月一日現在ノ同居ノ戶主及家族中年齡十八歲未滿若ハ六十歲以上ノ者又ハ不具癈疾者一人ニ付百圓ヲ控除ス但シ第二條ノ規定ニ依ル納稅義務者ニ付テハ此ノ限ニ在ラス
第十六條第三項ヲ左ノ如ク改ム
前項ノ場合ニ於テ控除スヘキ金額ハ命令ノ定ムル所ニ依リ納稅義務者ノ一人又ハ數人ノ所得ヨリ之ヲ控除ス
第十七條中「郡」ヲ削ル
第十八條第七號ヲ削ル
第二十條中「八百圓」ヲ「千二百圓」ニ、「第十五條及第十六條」ヲ「第十五條、第十六條及第十六條ノ三」ニ改ム
第二十一條 第一種ノ所得ニ對スル所得稅ハ左ノ稅率ニ依リ之ヲ賦課ス
甲 普通所得
本法施行地ニ本店又ハ主タル事務所ヲ有スル法人 百分ノ五
本法施行地ニ本店又ハ主タル事務所ヲ有セサル法人 百分ノ十
乙 超過所得
超過所得金額ヲ左ノ各級ニ區分シ遞次ニ各稅率ヲ適用ス
普通所得金額中資本金額ニ對シ年百分ノ十ノ割合ヲ以テ算出シタル金額ヲ超ユル金額 百分ノ四
同百分ノ二十ノ割合ヲ以テ算出シタル金額ヲ超ユル金額 百分ノ十
同百分ノ三十ノ割合ヲ以テ算出シタル金額ヲ超ユル金額 百分ノ二十
丙 淸算所得
淸算所得金額ヲ左ノ如ク區分シ各稅率ヲ適用ス
積立金又ハ本法其ノ他ノ法律ニ依リ所得稅ヲ課セラレサル所得ヨリ成ル金額 百分ノ五
其ノ他ノ金額 百分ノ十
法人カ各事業年度ニ於テ納付シタル第二種ノ所得ニ對スル所得稅額ハ命令ノ定ムル所ニ依リ當該事業年度ノ第一種ノ所得ニ對スル所得稅額ヨリ之ヲ控除ス
前項ノ場合ニ於テ控除スヘキ第二種ノ所得ニ對スル所得稅ハ第一種ノ所得計算上之ヲ損金ニ算入セス
前二項ノ規定ハ法人ノ淸算所得ニ對スル所得稅ニ付之ヲ準用ス
第二十一條ノ二 同族會社カ各事業年度ニ於テ留保シタル金額中左ノ各號ノ一ニ該當スル金額アルトキハ政府ハ其ノ事業年度ノ普通所得ヲ年額ニ換算シタル金額中五萬圓以下ノ金額ニ百分ノ十、五萬圓ヲ超ユル金額ニ百分ノ十五、十萬圓ヲ超ユル金額ニ百分ノ二十、五十萬圓ヲ超ユル金額ニ百分ノ二十五、百萬圓ヲ超ユル金額ニ百分ノ三十ヲ乘シタル合計金額ノ普通所得年額ニ對スル割合ヲ求メ之ヲ稅率トシテ左ノ各號ノ一ニ該當スル金額(各號共ニ該當スル場合ニハ其ノ多額ナル一方)ニ付適用シテ算出シタル稅額ヲ普通所得ニ對スル所得稅ニ加算スルコトヲ得
一 事業年度ノ普通所得中留保シタル金額カ其ノ事業年度ニ於ケル普通所得ノ十分ノ三ニ相當スル金額ヲ超過スルトキハ其ノ超過金額
二 事業年度末ニ於ケル積立金及其ノ事業年度ノ普通所得中留保シタル金額ノ合計カ其ノ事業年度末ニ於ケル拂込株式金額又ハ出資金額ノ二分ノ一ニ相當スル金額ヲ超過スルトキハ其ノ超過金額但シ其ノ事業年度末ニ於ケル積立金カ拂込株式金額又ハ出資金額ノ二分ノ一ヲ超過スル場合ニ於テハ其ノ超過額ハ之ヲ控除ス
本法ニ於テ同族會社ト稱スルハ株主又ハ社員ノ一人及之ト親族、使用人等特殊ノ關係アル者ノ株式金額又ハ出資金額ノ合計カ其ノ法人ノ株式金額又ハ出資金額ノ二分ノ一以上ニ相當スル法人ヲ謂フ
第二十二條ニ左ノ二項ヲ加フ
信託會社カ其ノ引受ケタル貸付信託ノ信託財產ニ付納付シタル第二種ノ所得ニ對スル所得稅額ハ命令ノ定ムル所ニ依リ當該貸付信託ノ利益ニ對スル所得稅額ヨリ之ヲ控除ス
前項ノ場合ニ於テ控除スヘキ第二種ノ所得ニ對スル所得稅ハ其ノ貸付信託ノ利益ニ之ヲ加算ス
第二十三條中
八百圓以下ノ金額 百分ノ〇、五
八百圓ヲ超ユル金額 百分ノ一
千圓ヲ超ユル金額 百分ノ二
千二百圓以下ノ金額 百分ノ〇、八
千二百圓ヲ超ユル金額 百分ノ二
ニ改メ第一項但書ヲ左ノ如ク改ム
但シ山林ノ所得ハ山林以外ノ所得ト之ヲ區分シ其ノ所得ヲ五分シタル金額ニ對シ此ノ稅率ヲ適用シテ算出シタル金額ヲ五倍シタルモノヲ以テ其ノ稅額トス
第二十五條中「四月中」ヲ「三月十五日迄」ニ、「第十六條」ヲ「第十六條又ハ第十六條ノ三」ニ改ム
第三十一條中「前年第三種ノ所得稅ヲ納メ其ノ年第二十五條ノ申告ヲ爲シタル者」ヲ「第三種ノ所得又ハ個人ノ營業ニ付其ノ年法定ノ期限迄ニ所得金額又ハ純益金額ノ申告ヲ爲シ且其ノ決定ヲ受ケタル者」ニ、「第七十六條」ヲ「第七十六條又ハ營業收益稅法第二十八條乃至第三十條」ニ、「前項」ヲ「前二項」ニ改メ第一項ノ次ニ左ノ一項ヲ加フ
其ノ年分ノ所得金額及純益金額ノ決定前選擧ヲ行フ場合ニ於テハ前年第三種ノ所得又ハ個人ノ營業ニ付所得稅又ハ營業收益稅ヲ納メタルコトヲ以テ其ノ年所得金額又ハ純益金額ノ決定ヲ受ケタルモノト看做ス
第四十一條 調査委員及補闕員ノ任期ハ選擧期日ノ屬スル月ヨリ四年トス
選擧區域ノ變更ニ因リ其ノ區域內ニ於ケル第三種ノ所得ニ付其ノ年所得金額ノ決定ヲ受ケタル者及個人ノ營業ニ付其ノ年純益金額ノ決定ヲ受ケタル者ノ合計數ニ五分ノ一以上ノ增減ヲ來シタル場合ニ於テハ調査委員及補闕員ノ任期ハ選擧區域ノ變更アリタル月ヲ以テ終了スルモノトス但シ其ノ選擧區域ノ變更ノ月カ一月又ハ二月ナルトキハ三月、四月乃至八月ナルトキハ九月、十二月ナルトキハ翌年三月ヲ以テ終了スルモノトス
第三十一條第二項ノ規定ハ其ノ年分ノ所得金額及純益金額ノ決定前選擧區域ノ變更アリタル場合ニ之ヲ準用ス
第四十五條中「第三種ノ所得ニ付」ヲ「第三種ノ所得ニ對スル所得稅若ハ營業收益稅ノ何レニ付テモ」ニ改ム
第五十一條中「八月三十日」ヲ「五月三十一日」ニ改ム
第五十九條第一項ヲ左ノ如ク改ム
第二十六條、第五十一條若ハ第五十二條ノ規定ニ依リ第一種若ハ第三種ノ所得金額ヲ決定シタルトキ又ハ第二十一條ノ二ノ規定ニ依リ稅額ヲ加算シタルトキハ政府ハ之ヲ納稅義務者ニ通知スヘシ
第六十條中「所得金額」ヲ「所得金額又ハ加算稅額」ニ改ム
第六十四條中「收入豫算年額四分ノ一」ヲ「第十四條第一項第五號及第六號ノ所得額二分ノ一」ニ、「贈與ヲ爲シタル爲」ヲ「相續、贈與又ハ營業繼續ニ因リ」ニ改ム
第六十五條中「收入豫算年額ニ對シ四分ノ一」ヲ「二分ノ一」ニ改ム
第六十七條中「九月一日ヨリ三十日限」ヲ「七月一日ヨリ三十一日限」ニ、「十一月一日ヨリ三十日限」ヲ「十月一日ヨリ三十一日限」ニ改ム
第七十三條ノ二 同族會社ノ行爲又ハ計算ニシテ其ノ所得又ハ株主社員若ハ之ト親族、使用人等特殊ノ關係アル者ノ所得ニ付所得稅逋脫ノ目的アリト認メラルルモノアル場合ニ於テハ其ノ行爲又ハ計算ニ拘ラス政府ハ其ノ認ムル所ニ依リ此等ノ者ノ所得金額ヲ計算スルコトヲ得
第七十三條ノ三及第七十三條ノ四ヲ削ル
附 則
本法ハ大正十五年四月一日ヨリ之ヲ施行ス
第三種ノ所得ニ付テハ大正十五年分所得稅ヨリ本法ヲ適用ス但シ第二十五條、第五十一條及第六十七條ノ改正規定ハ大正十六年分所得稅ヨリ之ヲ適用ス
第十四條第一項第三號又ハ第四號ノ所得ニシテ大正十四年三月中ノ收入ニ屬スルモノハ之ヲ大正十五年分第三種所得トシテ計算セス
第十六條第一項ノ改正規定中三月一日トアルハ大正十五年ニ限リ四月一日トス
本法施行前ニ終了シタル法人ノ各事業年度分ノ所得及本法施行前ニ於ケル解散又ハ合併ニ因ル淸算所得ニ付テハ仍從前ノ例ニ依ル
所得調査委員及所得審査委員ニ關シテハ大正十五年九月三十日迄ハ仍從前ノ例ニ依ル
從前ノ規定ニ依ル所得調査委員及補闕員ノ任期ハ大正十五年九月三十日ヲ以テ終了ス
第三十一條、第四十一條及第四十五條ノ改正規定中營業收益稅ニ關スルモノハ大正十五年分ニ付テハ之ヲ營業稅ニ關スルモノトス
朕帝国議会ノ協賛ヲ経タル所得税法中改正法律ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
摂政名
大正十五年三月二十七日
内閣総理大臣 若槻礼次郎
大蔵大臣 浜口雄幸
法律第八号
所得税法中左ノ通改正ス
第一条ノ二ヲ削ル
第三条 所得税ハ左ノ所得ニ付之ヲ賦課ス
第一種
甲 法人ノ普通所得
乙 法人ノ超過所得
丙 法人ノ清算所得
第二種
甲 本法施行地ニ於テ支払ヲ受クル公債、社債若ハ銀行預金ノ利子又ハ貸付信託ノ利益
乙 第一条ノ規定ニ該当セサル者ノ本法施行地ニ本店又ハ主タル事務所ヲ有スル法人ヨリ受クル利益若ハ利息ノ配当、剰余金ノ分配又ハ利益若ハ剰余金ノ処分タル賞与若ハ賞与ノ性質ヲ有スル給与
第三種
第二種ニ属セサル個人ノ所得
第三条ノ三 本法ニ於テ貸付信託ト称スルハ信託会社ノ引受ケタル金銭信託ニシテ信託財産ノ運用方法ヲ預入又ハ貸付ノミニ限定シタルモノヲ謂フ
第四条中「法人ノ所得」ヲ「法人ノ普通所得」ニ改ム
第五条中「法人ノ各事業年度ノ所得」ヲ「法人ノ普通所得」ニ、「同年度」ヲ「当該事業年度」ニ改ム
第八条中「所得」ヲ「普通所得」ニ改ム
第九条 削除
第十条 削除
第十一条中「払込株式金額、出資金額、積立金及最後ノ事業年度ニ於ケル留保所得ノ合計金額」ヲ「払込株式金額又ハ出費金額」ニ改ム
第十四条 第三種ノ所得ハ左ノ各号ノ規定ニ依リ之ヲ算出ス
一 営業ニ非サル貸金ノ利子並第二種ノ所得ニ属セサル公債、社債及預金ノ利子ハ前年中ノ収入金額
二 山林ノ所得ハ前年中ノ総収入金額ヨリ必要ノ経費ヲ控除シタル金額
三 賞与又ハ賞与ノ性質ヲ有スル給与ハ前年三月一日ヨリ其ノ年二月末日迄ノ収入金額
四 法人ヨリ受クル利益若ハ利息ノ配当又ハ剰余金ノ分配ハ前年三月一日ヨリ其ノ年二月末日迄ノ収入金額(無記名株式ノ配当ニ付テハ支払ヲ受ケタル金額)ヨリ其ノ十分ノ四ヲ控除シタル金額
五 俸給、給料、歳費、年金、恩給、退隠料及此等ノ性質ヲ有スル給与ハ前年中ノ収入金額但シ前年一月一日ヨリ引続キ支給ヲ受ケタルニ非サルモノニ付テハ其ノ年ノ予算年額
六 前各号以外ノ所得ハ前年中ノ総収入金額ヨリ必要ノ経費ヲ控除シタル金額但シ前年一月一日ヨリ引続キ有シタルニ非サル資産、営業又ハ職業ノ所得ニ付テハ其ノ年ノ予算年額
株式ノ消却ニ因リ支払ヲ受クル金額又ハ退社ニ因リ持分ノ払戻トシテ受クル金額カ其ノ株式ノ払込済金額又ハ出資金額ヲ超過スルトキハ其ノ超過金額ハ之ヲ法人ヨリ受クル利益ノ配当ト看做ス
第一項第一号、第二号及第四号ノ所得ニ付テハ被相続人ノ所得ハ之ヲ相続人ノ所得ト看做シ第六号ノ所得ニ付テハ相続シタル資産又ハ営業ハ相続人カ引続キ之ヲ有シタルモノト看做シテ其ノ所得ヲ計算ス
第十五条 前条ノ規定ニ依リ算出シタル所得総額一万二千円以下ナルトキハ其ノ所得中勤労所得(前条第一項第三号及第五号ノ所得)ニ付左ノ金額ヲ控除ス
一 所得総額六千円以下ナルトキハ勤労所得ノ十分ノ二
二 所得総額中勤労所得以外ノ所得六千円以上ナルトキハ勤労所得ノ十分ノ一
三 所得総額六千円ヲ超エ勤労所得以外ノ所得六千円未満ナルトキハ勤労所得中勤労所得以外ノ所得ト合算シテ六千円ニ達スル迄ノ金額ノ十分ノ二、其ノ他ノ金額ノ十分ノ一
戸主及其ノ同居家族ノ所得ハ之ヲ合算シ其ノ総額ニ付前項ノ規定ヲ適用ス戸主ト別居スル二人以上ノ同居家族ノ所得ニ付亦同シ
第十六条第一項ヲ左ノ如ク改ム
前二条ノ規定ニ依リ算出シタル所得総額三千円以下ナルトキハ其ノ所得ヲ有スル者ノ申請ニ依リ其ノ所得ヨリ其ノ年三月一日現在ノ同居ノ戸主及家族中年齢十八歳未満若ハ六十歳以上ノ者又ハ不具廃疾者一人ニ付百円ヲ控除ス但シ第二条ノ規定ニ依ル納税義務者ニ付テハ此ノ限ニ在ラス
第十六条第三項ヲ左ノ如ク改ム
前項ノ場合ニ於テ控除スヘキ金額ハ命令ノ定ムル所ニ依リ納税義務者ノ一人又ハ数人ノ所得ヨリ之ヲ控除ス
第十七条中「郡」ヲ削ル
第十八条第七号ヲ削ル
第二十条中「八百円」ヲ「千二百円」ニ、「第十五条及第十六条」ヲ「第十五条、第十六条及第十六条ノ三」ニ改ム
第二十一条 第一種ノ所得ニ対スル所得税ハ左ノ税率ニ依リ之ヲ賦課ス
甲 普通所得
本法施行地ニ本店又ハ主タル事務所ヲ有スル法人 百分ノ五
本法施行地ニ本店又ハ主タル事務所ヲ有セサル法人 百分ノ十
乙 超過所得
超過所得金額ヲ左ノ各級ニ区分シ逓次ニ各税率ヲ適用ス
普通所得金額中資本金額ニ対シ年百分ノ十ノ割合ヲ以テ算出シタル金額ヲ超ユル金額 百分ノ四
同百分ノ二十ノ割合ヲ以テ算出シタル金額ヲ超ユル金額 百分ノ十
同百分ノ三十ノ割合ヲ以テ算出シタル金額ヲ超ユル金額 百分ノ二十
丙 清算所得
清算所得金額ヲ左ノ如ク区分シ各税率ヲ適用ス
積立金又ハ本法其ノ他ノ法律ニ依リ所得税ヲ課セラレサル所得ヨリ成ル金額 百分ノ五
其ノ他ノ金額 百分ノ十
法人カ各事業年度ニ於テ納付シタル第二種ノ所得ニ対スル所得税額ハ命令ノ定ムル所ニ依リ当該事業年度ノ第一種ノ所得ニ対スル所得税額ヨリ之ヲ控除ス
前項ノ場合ニ於テ控除スヘキ第二種ノ所得ニ対スル所得税ハ第一種ノ所得計算上之ヲ損金ニ算入セス
前二項ノ規定ハ法人ノ清算所得ニ対スル所得税ニ付之ヲ準用ス
第二十一条ノ二 同族会社カ各事業年度ニ於テ留保シタル金額中左ノ各号ノ一ニ該当スル金額アルトキハ政府ハ其ノ事業年度ノ普通所得ヲ年額ニ換算シタル金額中五万円以下ノ金額ニ百分ノ十、五万円ヲ超ユル金額ニ百分ノ十五、十万円ヲ超ユル金額ニ百分ノ二十、五十万円ヲ超ユル金額ニ百分ノ二十五、百万円ヲ超ユル金額ニ百分ノ三十ヲ乗シタル合計金額ノ普通所得年額ニ対スル割合ヲ求メ之ヲ税率トシテ左ノ各号ノ一ニ該当スル金額(各号共ニ該当スル場合ニハ其ノ多額ナル一方)ニ付適用シテ算出シタル税額ヲ普通所得ニ対スル所得税ニ加算スルコトヲ得
一 事業年度ノ普通所得中留保シタル金額カ其ノ事業年度ニ於ケル普通所得ノ十分ノ三ニ相当スル金額ヲ超過スルトキハ其ノ超過金額
二 事業年度末ニ於ケル積立金及其ノ事業年度ノ普通所得中留保シタル金額ノ合計カ其ノ事業年度末ニ於ケル払込株式金額又ハ出資金額ノ二分ノ一ニ相当スル金額ヲ超過スルトキハ其ノ超過金額但シ其ノ事業年度末ニ於ケル積立金カ払込株式金額又ハ出資金額ノ二分ノ一ヲ超過スル場合ニ於テハ其ノ超過額ハ之ヲ控除ス
本法ニ於テ同族会社ト称スルハ株主又ハ社員ノ一人及之ト親族、使用人等特殊ノ関係アル者ノ株式金額又ハ出資金額ノ合計カ其ノ法人ノ株式金額又ハ出資金額ノ二分ノ一以上ニ相当スル法人ヲ謂フ
第二十二条ニ左ノ二項ヲ加フ
信託会社カ其ノ引受ケタル貸付信託ノ信託財産ニ付納付シタル第二種ノ所得ニ対スル所得税額ハ命令ノ定ムル所ニ依リ当該貸付信託ノ利益ニ対スル所得税額ヨリ之ヲ控除ス
前項ノ場合ニ於テ控除スヘキ第二種ノ所得ニ対スル所得税ハ其ノ貸付信託ノ利益ニ之ヲ加算ス
第二十三条中
八百円以下ノ金額 百分ノ〇、五
八百円ヲ超ユル金額 百分ノ一
千円ヲ超ユル金額 百分ノ二
千二百円以下ノ金額 百分ノ〇、八
千二百円ヲ超ユル金額 百分ノ二
ニ改メ第一項但書ヲ左ノ如ク改ム
但シ山林ノ所得ハ山林以外ノ所得ト之ヲ区分シ其ノ所得ヲ五分シタル金額ニ対シ此ノ税率ヲ適用シテ算出シタル金額ヲ五倍シタルモノヲ以テ其ノ税額トス
第二十五条中「四月中」ヲ「三月十五日迄」ニ、「第十六条」ヲ「第十六条又ハ第十六条ノ三」ニ改ム
第三十一条中「前年第三種ノ所得税ヲ納メ其ノ年第二十五条ノ申告ヲ為シタル者」ヲ「第三種ノ所得又ハ個人ノ営業ニ付其ノ年法定ノ期限迄ニ所得金額又ハ純益金額ノ申告ヲ為シ且其ノ決定ヲ受ケタル者」ニ、「第七十六条」ヲ「第七十六条又ハ営業収益税法第二十八条乃至第三十条」ニ、「前項」ヲ「前二項」ニ改メ第一項ノ次ニ左ノ一項ヲ加フ
其ノ年分ノ所得金額及純益金額ノ決定前選挙ヲ行フ場合ニ於テハ前年第三種ノ所得又ハ個人ノ営業ニ付所得税又ハ営業収益税ヲ納メタルコトヲ以テ其ノ年所得金額又ハ純益金額ノ決定ヲ受ケタルモノト看做ス
第四十一条 調査委員及補闕員ノ任期ハ選挙期日ノ属スル月ヨリ四年トス
選挙区域ノ変更ニ因リ其ノ区域内ニ於ケル第三種ノ所得ニ付其ノ年所得金額ノ決定ヲ受ケタル者及個人ノ営業ニ付其ノ年純益金額ノ決定ヲ受ケタル者ノ合計数ニ五分ノ一以上ノ増減ヲ来シタル場合ニ於テハ調査委員及補闕員ノ任期ハ選挙区域ノ変更アリタル月ヲ以テ終了スルモノトス但シ其ノ選挙区域ノ変更ノ月カ一月又ハ二月ナルトキハ三月、四月乃至八月ナルトキハ九月、十二月ナルトキハ翌年三月ヲ以テ終了スルモノトス
第三十一条第二項ノ規定ハ其ノ年分ノ所得金額及純益金額ノ決定前選挙区域ノ変更アリタル場合ニ之ヲ準用ス
第四十五条中「第三種ノ所得ニ付」ヲ「第三種ノ所得ニ対スル所得税若ハ営業収益税ノ何レニ付テモ」ニ改ム
第五十一条中「八月三十日」ヲ「五月三十一日」ニ改ム
第五十九条第一項ヲ左ノ如ク改ム
第二十六条、第五十一条若ハ第五十二条ノ規定ニ依リ第一種若ハ第三種ノ所得金額ヲ決定シタルトキ又ハ第二十一条ノ二ノ規定ニ依リ税額ヲ加算シタルトキハ政府ハ之ヲ納税義務者ニ通知スヘシ
第六十条中「所得金額」ヲ「所得金額又ハ加算税額」ニ改ム
第六十四条中「収入予算年額四分ノ一」ヲ「第十四条第一項第五号及第六号ノ所得額二分ノ一」ニ、「贈与ヲ為シタル為」ヲ「相続、贈与又ハ営業継続ニ因リ」ニ改ム
第六十五条中「収入予算年額ニ対シ四分ノ一」ヲ「二分ノ一」ニ改ム
第六十七条中「九月一日ヨリ三十日限」ヲ「七月一日ヨリ三十一日限」ニ、「十一月一日ヨリ三十日限」ヲ「十月一日ヨリ三十一日限」ニ改ム
第七十三条ノ二 同族会社ノ行為又ハ計算ニシテ其ノ所得又ハ株主社員若ハ之ト親族、使用人等特殊ノ関係アル者ノ所得ニ付所得税逋脱ノ目的アリト認メラルルモノアル場合ニ於テハ其ノ行為又ハ計算ニ拘ラス政府ハ其ノ認ムル所ニ依リ此等ノ者ノ所得金額ヲ計算スルコトヲ得
第七十三条ノ三及第七十三条ノ四ヲ削ル
附 則
本法ハ大正十五年四月一日ヨリ之ヲ施行ス
第三種ノ所得ニ付テハ大正十五年分所得税ヨリ本法ヲ適用ス但シ第二十五条、第五十一条及第六十七条ノ改正規定ハ大正十六年分所得税ヨリ之ヲ適用ス
第十四条第一項第三号又ハ第四号ノ所得ニシテ大正十四年三月中ノ収入ニ属スルモノハ之ヲ大正十五年分第三種所得トシテ計算セス
第十六条第一項ノ改正規定中三月一日トアルハ大正十五年ニ限リ四月一日トス
本法施行前ニ終了シタル法人ノ各事業年度分ノ所得及本法施行前ニ於ケル解散又ハ合併ニ因ル清算所得ニ付テハ仍従前ノ例ニ依ル
所得調査委員及所得審査委員ニ関シテハ大正十五年九月三十日迄ハ仍従前ノ例ニ依ル
従前ノ規定ニ依ル所得調査委員及補闕員ノ任期ハ大正十五年九月三十日ヲ以テ終了ス
第三十一条、第四十一条及第四十五条ノ改正規定中営業収益税ニ関スルモノハ大正十五年分ニ付テハ之ヲ営業税ニ関スルモノトス