陸軍法務官及海軍法務官懲戒令
法令番号: 勅令第百號
公布年月日: 大正11年3月31日
法令の形式: 勅令
朕樞密顧問ノ諮詢ヲ經テ陸軍法務官及海軍法務官懲戒令ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
攝政名
大正十一年三月三十日
內閣總理大臣 子爵 高橋是淸
海軍大臣 男爵 加藤友三郞
陸軍大臣 山梨半造
勅令第百號
陸軍法務官及海軍法務官懲戒令
第一條 陸軍法務官及海軍法務官ノ懲戒ハ各陸軍法務官懲戒委員會又ハ海軍法務官懲戒委員會ノ議決ニ依リ之ヲ爲ス
第二條 陸軍法務官及海軍法務官ノ懲戒ヲ受クヘキ場合左ノ如シ
一 職務上ノ義務ニ違背シ又ハ職務ヲ怠リタルトキ
二 職務ノ內外ヲ問ハス官職上ノ威嚴又ハ信用ヲ失フヘキ所爲アリタルトキ
第三條 懲戒ハ左ノ如シ
一 譴責
二 減俸
三 停職
四 免官
第四條 減俸ハ一月以上一年以下年俸月割額ノ三分ノ一以內ヲ減ス
第五條 停職ハ三月以上一年以下職務ノ執行ヲ停止ス
停職中ハ俸給ヲ給セス
第六條 免官ノ處分ヲ受ケタル者ハ其ノ官ヲ失ヒタル日ヨリ二年間官職ニ就クコトヲ得ス
第七條 勅任官ノ免官、停職及減俸ハ懲戒委員會ノ議決ヲ具シ內閣總理大臣之ヲ奏請シ、奏任官ノ免官及停職ハ懲戒委員會ノ議決ヲ具シ內閣總理大臣ヲ經テ陸軍法務官ニ在リテハ陸軍大臣、海軍法務官ニ在リテハ海軍大臣之ヲ奏請シ裁可ニ依リ之ヲ行フ
譴責及奏任官ノ減俸ハ懲戒委員會ノ議決ニ依リ陸軍法務官ニ在リテハ陸軍大臣、海軍法務官ニ在リテハ海軍大臣之ヲ行フ
第八條 懲戒ニ付セラルヘキ事件刑事裁判所ニ繫屬スル間ハ同一事件ニ對シ懲戒委員會ヲ開クコトヲ得ス
懲戒委員會ノ議決前懲戒ニ付スヘキ者ニ對シ同一事件ニ付刑事訴追ノ始リタルトキハ其ノ事件ノ裁判確定ニ至ル迄懲戒委員會ノ開會ヲ停止ス
第九條 各懲戒委員會ハ委員五人ヲ以テ組織ス委員中上席者ヲ以テ委員長トス
委員ハ陸軍法務官懲戒委員會ニ在リテハ三人ハ陸軍法務官、二人ハ陸軍將校ノ中ヨリ、海軍法務官懲戒委員會ニ在リテハ三人ハ海軍法務官、二人ハ海軍將校ノ中ヨリ各陸軍大臣又ハ海軍大臣ノ奏請ニ依リ內閣ニ於テ之ヲ命ス
各委員會ニ豫備委員三人ヲ置ク陸軍法務官懲戒委員會ニ在リテハ二人ハ陸軍法務官、一人ハ陸軍將校ノ中ヨリ、海軍法務官懲戒委員會ニ在リテハ二人ハ海軍法務官、一人ハ海軍將校ノ中ヨリ前項ノ例ニ依リ之ヲ命ス
第十條 各委員會ニ書記二人ヲ置ク
書記ハ各陸軍判任文官又ハ海軍判任文官ノ中ヨリ陸軍大臣又ハ海軍大臣之ヲ命ス
第十一條 委員會ノ議事ハ多數ニ依リ之ヲ決ス
第十二條 委員事故アルトキハ委員長ハ豫備委員ノ中ヨリ代理ヲ命ス
第十三條 陸軍大臣及海軍大臣ハ各陸軍法務官又ハ海軍法務官カ懲戒ニ當ルヘキ所爲アリト思料スルトキハ證憑ヲ具ヘ書面ヲ以テ委員會ノ審査ヲ要求スヘシ
第十四條 前條ノ要求アリタルトキハ委員長ハ期日ヲ定メテ委員會ヲ召集スヘシ
委員會ハ必要ト認ムル場合ニ於テハ本人ノ出頭ヲ命スルコトヲ得
第十五條 委員會ニ於テ議決ヲ爲シタルトキハ其ノ理由ヲ具シ各陸軍大臣又ハ海軍大臣ニ之ヲ報告スヘシ
第十六條 委員ハ自己又ハ其ノ親族ニ關スル事件ノ會議ニ參與スルコトヲ得ス
第十七條 委員會ノ審査手續ハ委員會之ヲ定ム
附 則
本令ハ大正十一年四月一日ヨリ之ヲ施行ス
朕枢密顧問ノ諮詢ヲ経テ陸軍法務官及海軍法務官懲戒令ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
摂政名
大正十一年三月三十日
内閣総理大臣 子爵 高橋是清
海軍大臣 男爵 加藤友三郎
陸軍大臣 山梨半造
勅令第百号
陸軍法務官及海軍法務官懲戒令
第一条 陸軍法務官及海軍法務官ノ懲戒ハ各陸軍法務官懲戒委員会又ハ海軍法務官懲戒委員会ノ議決ニ依リ之ヲ為ス
第二条 陸軍法務官及海軍法務官ノ懲戒ヲ受クヘキ場合左ノ如シ
一 職務上ノ義務ニ違背シ又ハ職務ヲ怠リタルトキ
二 職務ノ内外ヲ問ハス官職上ノ威厳又ハ信用ヲ失フヘキ所為アリタルトキ
第三条 懲戒ハ左ノ如シ
一 譴責
二 減俸
三 停職
四 免官
第四条 減俸ハ一月以上一年以下年俸月割額ノ三分ノ一以内ヲ減ス
第五条 停職ハ三月以上一年以下職務ノ執行ヲ停止ス
停職中ハ俸給ヲ給セス
第六条 免官ノ処分ヲ受ケタル者ハ其ノ官ヲ失ヒタル日ヨリ二年間官職ニ就クコトヲ得ス
第七条 勅任官ノ免官、停職及減俸ハ懲戒委員会ノ議決ヲ具シ内閣総理大臣之ヲ奏請シ、奏任官ノ免官及停職ハ懲戒委員会ノ議決ヲ具シ内閣総理大臣ヲ経テ陸軍法務官ニ在リテハ陸軍大臣、海軍法務官ニ在リテハ海軍大臣之ヲ奏請シ裁可ニ依リ之ヲ行フ
譴責及奏任官ノ減俸ハ懲戒委員会ノ議決ニ依リ陸軍法務官ニ在リテハ陸軍大臣、海軍法務官ニ在リテハ海軍大臣之ヲ行フ
第八条 懲戒ニ付セラルヘキ事件刑事裁判所ニ繋属スル間ハ同一事件ニ対シ懲戒委員会ヲ開クコトヲ得ス
懲戒委員会ノ議決前懲戒ニ付スヘキ者ニ対シ同一事件ニ付刑事訴追ノ始リタルトキハ其ノ事件ノ裁判確定ニ至ル迄懲戒委員会ノ開会ヲ停止ス
第九条 各懲戒委員会ハ委員五人ヲ以テ組織ス委員中上席者ヲ以テ委員長トス
委員ハ陸軍法務官懲戒委員会ニ在リテハ三人ハ陸軍法務官、二人ハ陸軍将校ノ中ヨリ、海軍法務官懲戒委員会ニ在リテハ三人ハ海軍法務官、二人ハ海軍将校ノ中ヨリ各陸軍大臣又ハ海軍大臣ノ奏請ニ依リ内閣ニ於テ之ヲ命ス
各委員会ニ予備委員三人ヲ置ク陸軍法務官懲戒委員会ニ在リテハ二人ハ陸軍法務官、一人ハ陸軍将校ノ中ヨリ、海軍法務官懲戒委員会ニ在リテハ二人ハ海軍法務官、一人ハ海軍将校ノ中ヨリ前項ノ例ニ依リ之ヲ命ス
第十条 各委員会ニ書記二人ヲ置ク
書記ハ各陸軍判任文官又ハ海軍判任文官ノ中ヨリ陸軍大臣又ハ海軍大臣之ヲ命ス
第十一条 委員会ノ議事ハ多数ニ依リ之ヲ決ス
第十二条 委員事故アルトキハ委員長ハ予備委員ノ中ヨリ代理ヲ命ス
第十三条 陸軍大臣及海軍大臣ハ各陸軍法務官又ハ海軍法務官カ懲戒ニ当ルヘキ所為アリト思料スルトキハ証憑ヲ具ヘ書面ヲ以テ委員会ノ審査ヲ要求スヘシ
第十四条 前条ノ要求アリタルトキハ委員長ハ期日ヲ定メテ委員会ヲ召集スヘシ
委員会ハ必要ト認ムル場合ニ於テハ本人ノ出頭ヲ命スルコトヲ得
第十五条 委員会ニ於テ議決ヲ為シタルトキハ其ノ理由ヲ具シ各陸軍大臣又ハ海軍大臣ニ之ヲ報告スヘシ
第十六条 委員ハ自己又ハ其ノ親族ニ関スル事件ノ会議ニ参与スルコトヲ得ス
第十七条 委員会ノ審査手続ハ委員会之ヲ定ム
附 則
本令ハ大正十一年四月一日ヨリ之ヲ施行ス