第一條 陸軍法務官及海軍法務官ノ懲戒ハ各陸軍法務官懲戒委員會又ハ海軍法務官懲戒委員會ノ議決ニ依リ之ヲ爲ス
第二條 陸軍法務官及海軍法務官ノ懲戒ヲ受クヘキ場合左ノ如シ
二 職務ノ內外ヲ問ハス官職上ノ威嚴又ハ信用ヲ失フヘキ所爲アリタルトキ
第四條 減俸ハ一月以上一年以下年俸月割額ノ三分ノ一以內ヲ減ス
第六條 免官ノ處分ヲ受ケタル者ハ其ノ官ヲ失ヒタル日ヨリ二年間官職ニ就クコトヲ得ス
第七條 勅任官ノ免官、停職及減俸ハ懲戒委員會ノ議決ヲ具シ內閣總理大臣之ヲ奏請シ、奏任官ノ免官及停職ハ懲戒委員會ノ議決ヲ具シ內閣總理大臣ヲ經テ陸軍法務官ニ在リテハ陸軍大臣、海軍法務官ニ在リテハ海軍大臣之ヲ奏請シ裁可ニ依リ之ヲ行フ
譴責及奏任官ノ減俸ハ懲戒委員會ノ議決ニ依リ陸軍法務官ニ在リテハ陸軍大臣、海軍法務官ニ在リテハ海軍大臣之ヲ行フ
第八條 懲戒ニ付セラルヘキ事件刑事裁判所ニ繫屬スル間ハ同一事件ニ對シ懲戒委員會ヲ開クコトヲ得ス
懲戒委員會ノ議決前懲戒ニ付スヘキ者ニ對シ同一事件ニ付刑事訴追ノ始リタルトキハ其ノ事件ノ裁判確定ニ至ル迄懲戒委員會ノ開會ヲ停止ス
第九條 各懲戒委員會ハ委員五人ヲ以テ組織ス委員中上席者ヲ以テ委員長トス
委員ハ陸軍法務官懲戒委員會ニ在リテハ三人ハ陸軍法務官、二人ハ陸軍將校ノ中ヨリ、海軍法務官懲戒委員會ニ在リテハ三人ハ海軍法務官、二人ハ海軍將校ノ中ヨリ各陸軍大臣又ハ海軍大臣ノ奏請ニ依リ內閣ニ於テ之ヲ命ス
各委員會ニ豫備委員三人ヲ置ク陸軍法務官懲戒委員會ニ在リテハ二人ハ陸軍法務官、一人ハ陸軍將校ノ中ヨリ、海軍法務官懲戒委員會ニ在リテハ二人ハ海軍法務官、一人ハ海軍將校ノ中ヨリ前項ノ例ニ依リ之ヲ命ス
書記ハ各陸軍判任文官又ハ海軍判任文官ノ中ヨリ陸軍大臣又ハ海軍大臣之ヲ命ス
第十二條 委員事故アルトキハ委員長ハ豫備委員ノ中ヨリ代理ヲ命ス
第十三條 陸軍大臣及海軍大臣ハ各陸軍法務官又ハ海軍法務官カ懲戒ニ當ルヘキ所爲アリト思料スルトキハ證憑ヲ具ヘ書面ヲ以テ委員會ノ審査ヲ要求スヘシ
第十四條 前條ノ要求アリタルトキハ委員長ハ期日ヲ定メテ委員會ヲ召集スヘシ
委員會ハ必要ト認ムル場合ニ於テハ本人ノ出頭ヲ命スルコトヲ得
第十五條 委員會ニ於テ議決ヲ爲シタルトキハ其ノ理由ヲ具シ各陸軍大臣又ハ海軍大臣ニ之ヲ報告スヘシ
第十六條 委員ハ自己又ハ其ノ親族ニ關スル事件ノ會議ニ參與スルコトヲ得ス