第四十四條 收益ノ爲ニスル町村ノ財產ハ基本財產トシ之ヲ維持スヘシ
町村ハ特定ノ目的ノ爲基本財產ヲ設ケ又ハ金穀等ヲ積立ツルコトヲ得
樺太廳長官ハ必要ト認ムルトキハ額ヲ定メテ基本財產ノ蓄積ヲ命スルコトヲ得
第四十五條 町村ハ其ノ公益上必要アル場合ニ於テハ寄附又ハ補助ヲ爲スコトヲ得
第四十六條 第二條ノ事務ニ關スル費用及第十二條ノ事務ヲ執行スル爲必要ナル費用ハ之ヲ町村ノ負擔トス但シ法令ニ別段ノ規定アルモノハ此ノ限ニ在ラス
第四十七條 町村稅トシテ賦課スルコトヲ得ヘキモノ左ノ如シ
國稅ノ附加稅ハ均一ノ稅率ヲ以テ之ヲ徵收スヘシ但シ第七十三條ノ規定ニ依リ認可ヲ受ケタル場合ハ此ノ限ニ在ラス
第四十八條 三月以上町村內ニ滯在スル者ハ其ノ滯在ノ初ニ遡リ町村稅ヲ納ムル義務ヲ負フ
町村內ニ住所ヲ有セス又ハ三月以上滯在スルコトナシト雖町村內ニ於テ土地家屋物件ヲ所有シ使用シ若ハ占有シ、町村內ニ營業所ヲ設ケテ營業ヲ爲シ又ハ町村內ニ於テ特定ノ行爲ヲ爲ス者ハ其ノ土地家屋物件營業若ハ其ノ收入ニ對シ又ハ其ノ行爲ニ對シテ賦課スル町村稅ヲ納ムル義務ヲ負フ
第四十九條 納稅者ノ町村外ニ於テ所有シ使用シ占有スル土地家屋物件若ハ其ノ收入又ハ町村外ニ於テ營業所ヲ設ケタル營業若ハ其ノ收入ニ對シテハ町村稅ヲ賦課スルコトヲ得ス
第五十條 國又ハ公共團體ノ直接ノ公用ニ供スル土地家屋物件及營造物ニ對シテハ町村稅ヲ賦課スルコトヲ得ス但シ有料ニテ之ヲ使用セシムル者及使用收益者ニ對シテハ此ノ限ニ在ラス
國ノ事業又ハ行爲及國有ノ土地家屋物件ニ對シテハ國ニ町村稅ヲ賦課スルコトヲ得ス
神社寺院ノ用ニ供スル建物及其ノ境內地竝布敎所ノ用ニ供スル建物及其ノ構內地ニ對シテハ町村稅ヲ賦課スルコトヲ得ス但シ有料ニテ之ヲ使用セシムル者及住宅ヲ以テ布敎所ノ用ニ充ツル者ニ對シテハ此ノ限ニ在ラス
土人ノ營業又ハ行爲及土人所有ノ土地家屋物件ニ對シテハ土人ニ町村稅ヲ賦課スルコトヲ得ス
第五十一條 左ノ各號ノ一ニ該當スル所得ニ對シテハ町村稅ヲ賦課スルコトヲ得ス
六 乘馬ヲ有スル義務アル軍人カ政府ヨリ受クル馬糧、繫畜料及馬匹保續料
第五十二條 前三條ノ外町村稅ヲ賦課スルコトヲ得サルモノハ別ニ主務大臣ノ定ムル所ニ依ル
第五十三條 住所滯在數町村ニ涉ル者ノ收入ニシテ土地家屋物件又ハ營業所ヲ設ケタル營業ヨリ生スル收入ニ非サルモノニ對シ町村稅ヲ賦課スルトキハ其ノ收入ヲ各町村ニ平分シ其ノ一部ニノミ賦課スヘシ
數町村ニ涉リ營業所ヲ設ケ營業ヲ爲ス者ニシテ其ノ營業又ハ收入ニ對スル本稅ヲ分別シテ納メサルモノニ對シ附加稅ヲ賦課スルトキハ樺太廳長官ノ定ムル所ニ依リ其ノ本稅額ヲ各町村ニ分割シ其ノ一部ニノミ賦課スヘシ
第五十四條 數人ヲ利スル營造物ノ設置、維持其ノ他ノ必要ナル費用ハ其ノ關係者ニ負擔セシムルコトヲ得
町村一部ヲ利スル營造物ノ設置、維持其ノ他ノ必要ナル費用ハ其ノ部內ニ於テ町村稅ヲ納ムル義務アル者ニ負擔セシムルコトヲ得
前二項ノ場合ニ於テ營造物ヨリ生スル收入アルトキハ先ツ其ノ收入ヲ以テ其ノ費用ニ充ツヘシ前項ノ場合ニ於テ其ノ一部ノ收入アルトキ亦同シ
數人又ハ町村ノ一部ヲ利スル財產ニ付テハ前三項ノ例ニ依ル
第五十五條 數人又ハ町村ノ一部ニ對シ特ニ利益アル事件ニ關シテハ町村ハ不均一ノ賦課ヲ爲シ又ハ數人若ハ町村ノ一部ニ對シ賦課ヲ爲スコトヲ得
第五十六條 町村稅ノ賦課ニ關シ調査上必要アル場合ニ於テハ當該吏員ハ納稅義務者又ハ納稅義務アリト認ムル者ニ就キ日出ヨリ日沒迄ノ間營業者ニ付テハ仍其ノ營業時間內家宅若ハ營業所ニ臨檢シ又ハ帳簿物件ノ檢査ヲ爲スコトヲ得
前項ノ場合ニ於テハ當該吏員ハ其ノ身分ヲ證明スヘキ證票ヲ携帶スヘシ
第五十七條 町村稅ノ賦課徵收ニ關シテハ本令ニ規定アルモノノ外必要ナル事項ハ樺太廳長官之ヲ定ム
第五十八條 夫役又ハ現品ハ直接町村稅ヲ準率ト爲シ直接町村稅ヲ賦課セサル町村ニ於テハ直接國稅ヲ準率ト爲シ且之ヲ金額ニ算出シテ賦課スヘシ但シ第七十四條ノ規定ニ依リ認可ヲ受ケタル場合ハ此ノ限ニ在ラス
學藝、美術及手工ニ關スル勞務ニ付テハ夫役ヲ賦課スルコトヲ得ス
夫役ヲ賦課セラレタル者ハ本人自ラ之ニ當リ又ハ適當ノ代人ヲ出スコトヲ得
第一項及前項ノ規定ハ急迫ノ場合ニ賦課スル夫役ニ付テハ之ヲ適用セス
第五十九條 非常災害ノ爲必要アルトキハ町村ハ他人ノ土地ヲ一時使用シ又ハ其ノ土石竹木其ノ他ノ物品ヲ使用シ若ハ收用スルコトヲ得但シ其ノ損失ヲ補償スヘシ
前項ノ場合ニ於テ危險防止ノ爲必要アルトキハ町村長、警察官吏又ハ監督官廳ハ町村內ノ居住者ヲシテ防禦ニ從事セシムルコトヲ得
第一項但書ノ規定ニ依リ補償スヘキ金額ハ協議ニ依リ之ヲ定ム協議調ハサルトキハ鑑定人ノ意見ヲ徵シ樺太廳支廳長之ヲ決定ス決定ヲ受ケタル者其ノ決定ニ不服アルトキハ樺太廳長官ニ訴願スルコトヲ得
前項ノ決定ハ文書ヲ以テ之ヲ爲シ其ノ理由ヲ附シ之ヲ本人ニ交付スヘシ
第六十條 町村長ハ特別ノ事情アル者ニ對シ町村評議會ノ諮問ヲ經テ町村稅ヲ減免シ又ハ納稅ノ延期ヲ許スコトヲ得但シ當該年度內ノ納稅延期ニ付テハ町村評議會ノ諮問ヲ經ルコトヲ要セス
第六十一條 町村稅ノ賦課ヲ受ケタル者其ノ賦課ニ付違法又ハ錯誤アリト認ムルトキハ徵稅令書ノ交付ヲ受ケタル日ヨリ三月以內ニ町村長ニ異議ノ申立ヲ爲スコトヲ得
財產又ハ營造物ヲ使用スル權利ニ關シ異議アル者ハ之ヲ町村長ニ申立ツルコトヲ得
前二項ノ異議ハ町村長之ヲ決定ス其ノ決定ニ不服アルトキハ樺太廳支廳長ニ訴願シ其ノ裁決ニ不服アルトキハ樺太廳長官ニ訴願シ其ノ裁決又ハ第五項ノ裁決ニ不服アルトキハ主務大臣ニ訴願スルコトヲ得
第一項及前項ノ規定ハ使用料及手數料ノ徵收竝夫役現品ノ賦課ニ關シ之ヲ準用ス
前二項ノ規定ニ依ル裁決ニ付テハ町村長ヨリモ訴願ヲ提起スルコトヲ得
第六十二條 使用料、手數料及特別稅ニ關スル事項ハ町村規則ヲ以テ之ヲ規定スヘシ其ノ規則中ニハ十圓以下ノ過料ヲ科スル規定ヲ設クルコトヲ得
財產又ハ營造物ノ使用ニ關シテハ町村規則ヲ以テ十圓以下ノ過料ヲ科スル規定ヲ設クルコトヲ得
過料ノ處分ヲ受ケタル者其ノ處分ニ不服アルトキハ樺太廳支廳長ニ訴願シ其ノ裁決ニ不服アルトキハ樺太廳長官ニ訴願スルコトヲ得
前項ノ裁決ニ付テハ町村長ヨリモ訴願ヲ提起スルコトヲ得
第六十三條 町村稅、使用料、手數料、過料、過怠金其ノ他ノ町村ノ收入ヲ定期內ニ納メサル者アルトキハ町村長ハ期限ヲ指定シテ之ヲ督促スヘシ
夫役現品ノ賦課ヲ受ケタル者定期內ニ其ノ履行ヲ爲サス又ハ夫役現品ニ代フル金錢ヲ納メサルトキハ町村長ハ期限ヲ指定シテ之ヲ督促スヘシ急迫ノ場合ニ賦課シタル夫役ニ付テハ更ニ之ヲ金額ニ算出シ期限ヲ指定シテ其ノ納付ヲ命スヘシ
前二項ノ場合ニ於テハ町村規則ノ定ムル所ニ依リ手數料ヲ徵收スルコトヲ得
滯納者第一項又ハ第二項ノ督促又ハ命令ヲ受ケ其ノ指定ノ期限內ニ之ヲ完納セサルトキハ國稅徵收ノ例ニ依リ之ヲ處分スヘシ
第一項乃至第三項ノ徵收金ハ國稅ニ次テ先取特權ヲ有シ其ノ追徵、還付及時效ニ付テハ國稅ノ例ニ依ル
前三項ノ處分ヲ受ケタル者其ノ處分ニ不服アルトキハ樺太廳支廳長ニ訴願シ其ノ裁決ニ不服アルトキハ樺太廳長官ニ訴願スルコトヲ得
前項ノ裁決ニ付テハ町村長ヨリモ訴願ヲ提起スルコトヲ得
第四項ノ處分中差押物件ノ公賣ハ處分ノ確定ニ至ル迄執行ヲ停止ス
第六十四條 町村長ハ每會計年度歲入出豫算ヲ調製シ年度開始ノ一月前迄ニ町村評議會ノ諮問ヲ經ヘシ
町村長ハ町村評議會ノ諮問ヲ經テ旣定豫算ノ追加又ハ更正ヲ爲スコトヲ得
町村費ヲ以テ支辨スル事件ニシテ數年ヲ期シテ其ノ費用ヲ支出スヘキモノハ其ノ年期間各年度ノ支出額ヲ定メ繼續費ト爲スコトヲ得
町村ハ豫算外ノ支出又ハ豫算超過ノ支出ニ充ツル爲豫備費ヲ設クヘシ但シ特別會計ニハ之ヲ設ケサルコトヲ得
第六十五條 町村長ハ豫算ノ謄本ヲ收入役ニ交付スヘシ
收入役ハ町村長又ハ監督官廳ノ命令アルニ非サレハ支拂ヲ爲スコトヲ得ス命令アルモ支出ノ豫算ナク且豫備費支出、費目流用其ノ他財務ニ關スル規定ニ依リ支出ヲ爲スコトヲ得サルトキ亦同シ
前二項ノ規定ハ收入役ノ事務ヲ兼掌スル町村長ニ之ヲ準用ス
第六十六條 町村ノ支拂金ニ關スル時效ニ付テハ政府ノ支拂金ノ例ニ依ル
第六十七條 町村ノ出納ハ隔月之ヲ檢査シ且每會計年度一囘以上臨時檢査ヲ爲スヘシ
檢査ハ町村長之ヲ爲シ臨時檢査ニハ町村評議會ニ於テ互選シタル評議員二人以上ノ立會ヲ要ス
第六十八條 町村ノ出納ハ翌年度七月三十一日ヲ以テ閉鎖ス
決算ハ出納閉鎖後一月以內ニ證書類ト共ニ收入役ヨリ之ヲ町村長ニ提出スヘシ町村長之ヲ審査シ意見ヲ附シテ樺太廳支廳長及次ノ通常豫算ヲ諮問スル會議迄ニ町村評議會ニ報告スヘシ但シ町村長ニ於テ收入役ノ事務ヲ兼掌シタルトキハ意見ヲ附スルコトヲ要セス
町村長ハ前項ノ報告ヲ爲シタル後直ニ其ノ要領ヲ告示スヘシ
第六十九條 豫算調製ノ式、費目流用其ノ他財務ニ關シ必要ナル規定ハ樺太廳長官之ヲ定ム