(取引所法中改正法律)
法令番号: 法律第六十號
公布年月日: 大正11年4月20日
法令の形式: 法律
朕帝國議會ノ協贊ヲ經タル取引所法中改正法律ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
攝政名
大正十一年四月十九日
內閣總理大臣 子爵 高橋是淸
農商務大臣 男爵 山本達雄
法律第六十號
取引所法中左ノ通改正ス
第四條 株式會社組織ノ取引所ハ他ノ株式會社組織ノ取引所ヲ合併スル場合ニ限リ政府ノ認可ヲ受ケ其ノ存在シタル地區內ニ支所ヲ設クルコトヲ得支所ノ數ハ其ノ合併ニ依リ消滅スル取引所及支所ノ數ヲ超ユルコトヲ得ス
第四條ノ二 有價證券ヲ賣買取引スル市場ハ取引所ト看做シ本法ニ依ルニ非サレハ之ヲ設立スルコトヲ得ス
第六條中「仲買人及」ヲ削リ「仲買人ニ」ヲ「取引員ニ」ニ改ム
第八條 取引所ハ政府ノ認可ヲ受ケ取引所ノ賣買取引ニ附帶スル業務ヲ營ムコトヲ得
第二十二條ノ規定ニ依リ賠償ノ責ニ任スル株式會社組織ノ取引所ハ倉庫業ヲ除クノ外前項ノ業務ヲ營ムコトヲ得ス但シ物件又ハ銘柄ノ一部ニ付賠償ノ責ニ任セサル場合ニ於テ其ノ一部ニ付テハ此ノ限ニ在ラス
第三章 取引所ノ會員及取引員
第十條第一項ヲ削リ同條中「仲買人」ヲ「取引員」ニ改ム
第十一條中「帝國臣民」ノ下ニ「又ハ帝國法令ニ依リ設立シタル會社」ヲ加ヘ「仲買人」ヲ「取引員」ニ、「婦女、未成年者、」ヲ「無能力者、」ニ、「其ノ執行ヲ受クルコトナキニ至リ」ヲ、「刑ノ執行ノ免除ヲ得」ニ改メ同條ニ左ノ一項ヲ加フ
合名會社、合資會社又ハ株式合資會社ニ在リテハ其ノ無限責任社員ノ全員カ帝國臣民タルモノ、株式會社ニ在リテハ其ノ資本ノ半額以上及議決權ノ過半數カ帝國臣民又ハ帝國法令ニ依リ設立シタル法人ニ屬シ其ノ取締役其ノ他ノ業務ヲ執行スル役員ノ全員カ帝國臣民タルモノニ非サレハ會員又ハ取引員トナルコトヲ得ス無限責任社員又ハ取締役其ノ他ノ業務ヲ執行スル役員中前二項ニ該當スル者アル場合亦同シ
第十一條ノ二中「第十條第一項ノ要件ヲ缺キ又ハ」及「第十條第一項ノ要件ヲ缺キ若ハ」ヲ削リ「第一項若ハ第二項」ヲ「第一項、第二項又ハ第四項」ニ、「第一項第二項」ヲ「第一項、第二項若ハ第四項」ニ、「仲買人」ヲ「取引員」ニ、「第一項又ハ第三項」ヲ「第一項、第三項又ハ第四項」ニ、「第一項若ハ第三項」ヲ「第一項、第三項若ハ第四項」ニ改ム
第十一條ノ三 取引員取引所ノ役員タル認可ヲ受ケタルトキハ其ノ免許ハ效力ヲ失フ
第十一條ノ四 會員又ハ取引員ハ第二項但書ノ場合ヲ除クノ外支店、出張所其ノ他何等ノ名義ヲ以テスルヲ問ハス二以上ノ場所ヲ以テ同一取引所ノ賣買取引ノ取扱ヲ爲ス場所ト爲スコトヲ得ス
何人ト雖取引所ノ賣買取引ノ委託ノ代理、媒介又ハ取次ヲ營業ト爲スコトヲ得ス但シ會員又ハ取引員ニシテ農商務大臣ノ認可ヲ受ケタルモノハ此ノ限ニ在ラス
第十二條第一項ヲ削リ同條中「仲買人」ヲ「會員又ハ取引員」ニ改ム
第十三條中「取引所ノ仲買人」ヲ「取引員」ニ改ム
第十四條中「取引所ノ會員及仲買人」ヲ「會員又ハ取引員」ニ改ム
第十五條中「仲買人」ヲ「取引員」ニ、「五百圓」ヲ「千圓」ニ改ム
第十五條ノ二中「若ハ仲買人」ヲ「若ハ取引員」ニ、「又ハ仲買人ノ」ヲ「又ハ其ノ」ニ改ム
第十五條ノ三中「仲買人」ヲ「取引員」ニ改メ「死亡シ」ノ下ニ「、解散シ」ヲ、「死亡、」ノ下ニ「解散、」ヲ加フ
第四章 取引所ノ役員及商議員會
第十六條中「取引所ノ仲買人」及「仲買人」ヲ「取引員」ニ改メ「取引スル」ノ下ニ「株式會社組織ノ」ヲ加フ
第十六條ノ二、第二十七條及第二十八條中「仲買人」ヲ「取引員」ニ改ム
第十七條中「役員又ハ取引所ノ」ヲ「株式會社組織ノ取引所ノ役員又ハ」ニ、「仲買人」ヲ「取引員」ニ改ム
第十七條ノ二 取引所ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ商議員會ヲ置キ取引所ニ關スル重要ナル事項ヲ付議スヘシ
第十八條 取引所ノ賣買取引ノ期限ハ有價證券ニ在リテハ二箇月、米ニ在リテハ三箇月、蠶絲ニ在リテハ六箇月、其ノ他ノ商品ニ在リテハ勅令ノ定ムル期間ヲ超ユルコトヲ得ス
第二十二條第一項ヲ左ノ如ク改ム
取引所ハ農商務大臣ノ認可ヲ受ケ賣買取引ノ違約ヨリ生スル損害ニ付賠償ノ責ニ任スルコトヲ得
第二十二條ノ二 株式會社組織ノ取引所ハ前條ノ規定ニ依リ賠償ノ責ニ任スルトキハ營業保證金ヲ政府ニ納ムヘシ
第二十四條ノ二 取引所ノ賣買取引ノ委託者ハ會員又ハ取引員カ委託契約ニ違ヒタル場合ニ於テ其ノ違約ニ因ル債權ニ關シ違約シタル會員又ハ取引員ノ身元保證金ニ付他ノ債主ニ對シ優先權ヲ有ス
前條ノ優先權ハ前項ノ優先權ニ對シ優先ノ效力ヲ有ス
第二十五條中「仲買人」ヲ「會員又ハ取引員」ニ、「定期取引」ヲ「賣買取引」ニ、「三箇月」ヲ「一箇月」ニ改ム
第二十六條中「各仲買人」ヲ「各會員又ハ各取引員」ニ改ム
第二十六條ノ二 差金取引ヲ爲ス取引所類似施設ヲ爲シ又ハ其ノ施設ニ依リテ取引ヲ爲スコトヲ得ス
第三十一條 第十七條第一項ノ規定ニ違反シ又ハ同條第二項ノ特別ノ利害關係ヲ生スルコトヲ目的トスル行爲ヲ爲シタル者ハ五千圓以下ノ罰金ニ處ス
第三十二條ノ三第一項ニ左ノ一號ヲ加フ
四 免許ヲ受ケスシテ取引所ヲ設立シタル者又ハ第二十六條ノ二ノ規定ニ違反シタル者
第三十二條ノ六中「仲買人」ヲ「取引員」ニ改メ「若ハ第十二條第一項」ヲ削ル
第三十二條ノ七 本法ノ罰則ハ法人ニ在リテハ其ノ行爲ヲ爲シタル理事、取締役其ノ他ノ業務ヲ執行スル役員ニ之ヲ適用ス
附 則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第十八條ノ改正規定中有價證券ノ賣買取引ノ期限ニ關スル規定ハ勅令ヲ以テ他ノ規定ヨリ後ニ之ヲ施行スルコトヲ得但シ其ノ施行ノ期日ヲ大正十四年四月一日ヨリ後ト爲スコトヲ得ス
本法施行ノ際現ニ營業スル仲買人ハ其ノ營業部類ニ付本法ニ依リ其ノ取引所ノ取引員タル免許ヲ受ケタルモノト見做ス
本法施行前ニ爲シタル取引所ノ賣買取引ニ付テハ其ノ取引ノ結了ニ至ル迄仍從前ノ例ニ依ル
朕帝国議会ノ協賛ヲ経タル取引所法中改正法律ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
摂政名
大正十一年四月十九日
内閣総理大臣 子爵 高橋是清
農商務大臣 男爵 山本達雄
法律第六十号
取引所法中左ノ通改正ス
第四条 株式会社組織ノ取引所ハ他ノ株式会社組織ノ取引所ヲ合併スル場合ニ限リ政府ノ認可ヲ受ケ其ノ存在シタル地区内ニ支所ヲ設クルコトヲ得支所ノ数ハ其ノ合併ニ依リ消滅スル取引所及支所ノ数ヲ超ユルコトヲ得ス
第四条ノ二 有価証券ヲ売買取引スル市場ハ取引所ト看做シ本法ニ依ルニ非サレハ之ヲ設立スルコトヲ得ス
第六条中「仲買人及」ヲ削リ「仲買人ニ」ヲ「取引員ニ」ニ改ム
第八条 取引所ハ政府ノ認可ヲ受ケ取引所ノ売買取引ニ附帯スル業務ヲ営ムコトヲ得
第二十二条ノ規定ニ依リ賠償ノ責ニ任スル株式会社組織ノ取引所ハ倉庫業ヲ除クノ外前項ノ業務ヲ営ムコトヲ得ス但シ物件又ハ銘柄ノ一部ニ付賠償ノ責ニ任セサル場合ニ於テ其ノ一部ニ付テハ此ノ限ニ在ラス
第三章 取引所ノ会員及取引員
第十条第一項ヲ削リ同条中「仲買人」ヲ「取引員」ニ改ム
第十一条中「帝国臣民」ノ下ニ「又ハ帝国法令ニ依リ設立シタル会社」ヲ加ヘ「仲買人」ヲ「取引員」ニ、「婦女、未成年者、」ヲ「無能力者、」ニ、「其ノ執行ヲ受クルコトナキニ至リ」ヲ、「刑ノ執行ノ免除ヲ得」ニ改メ同条ニ左ノ一項ヲ加フ
合名会社、合資会社又ハ株式合資会社ニ在リテハ其ノ無限責任社員ノ全員カ帝国臣民タルモノ、株式会社ニ在リテハ其ノ資本ノ半額以上及議決権ノ過半数カ帝国臣民又ハ帝国法令ニ依リ設立シタル法人ニ属シ其ノ取締役其ノ他ノ業務ヲ執行スル役員ノ全員カ帝国臣民タルモノニ非サレハ会員又ハ取引員トナルコトヲ得ス無限責任社員又ハ取締役其ノ他ノ業務ヲ執行スル役員中前二項ニ該当スル者アル場合亦同シ
第十一条ノ二中「第十条第一項ノ要件ヲ欠キ又ハ」及「第十条第一項ノ要件ヲ欠キ若ハ」ヲ削リ「第一項若ハ第二項」ヲ「第一項、第二項又ハ第四項」ニ、「第一項第二項」ヲ「第一項、第二項若ハ第四項」ニ、「仲買人」ヲ「取引員」ニ、「第一項又ハ第三項」ヲ「第一項、第三項又ハ第四項」ニ、「第一項若ハ第三項」ヲ「第一項、第三項若ハ第四項」ニ改ム
第十一条ノ三 取引員取引所ノ役員タル認可ヲ受ケタルトキハ其ノ免許ハ効力ヲ失フ
第十一条ノ四 会員又ハ取引員ハ第二項但書ノ場合ヲ除クノ外支店、出張所其ノ他何等ノ名義ヲ以テスルヲ問ハス二以上ノ場所ヲ以テ同一取引所ノ売買取引ノ取扱ヲ為ス場所ト為スコトヲ得ス
何人ト雖取引所ノ売買取引ノ委託ノ代理、媒介又ハ取次ヲ営業ト為スコトヲ得ス但シ会員又ハ取引員ニシテ農商務大臣ノ認可ヲ受ケタルモノハ此ノ限ニ在ラス
第十二条第一項ヲ削リ同条中「仲買人」ヲ「会員又ハ取引員」ニ改ム
第十三条中「取引所ノ仲買人」ヲ「取引員」ニ改ム
第十四条中「取引所ノ会員及仲買人」ヲ「会員又ハ取引員」ニ改ム
第十五条中「仲買人」ヲ「取引員」ニ、「五百円」ヲ「千円」ニ改ム
第十五条ノ二中「若ハ仲買人」ヲ「若ハ取引員」ニ、「又ハ仲買人ノ」ヲ「又ハ其ノ」ニ改ム
第十五条ノ三中「仲買人」ヲ「取引員」ニ改メ「死亡シ」ノ下ニ「、解散シ」ヲ、「死亡、」ノ下ニ「解散、」ヲ加フ
第四章 取引所ノ役員及商議員会
第十六条中「取引所ノ仲買人」及「仲買人」ヲ「取引員」ニ改メ「取引スル」ノ下ニ「株式会社組織ノ」ヲ加フ
第十六条ノ二、第二十七条及第二十八条中「仲買人」ヲ「取引員」ニ改ム
第十七条中「役員又ハ取引所ノ」ヲ「株式会社組織ノ取引所ノ役員又ハ」ニ、「仲買人」ヲ「取引員」ニ改ム
第十七条ノ二 取引所ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ商議員会ヲ置キ取引所ニ関スル重要ナル事項ヲ付議スヘシ
第十八条 取引所ノ売買取引ノ期限ハ有価証券ニ在リテハ二箇月、米ニ在リテハ三箇月、蚕糸ニ在リテハ六箇月、其ノ他ノ商品ニ在リテハ勅令ノ定ムル期間ヲ超ユルコトヲ得ス
第二十二条第一項ヲ左ノ如ク改ム
取引所ハ農商務大臣ノ認可ヲ受ケ売買取引ノ違約ヨリ生スル損害ニ付賠償ノ責ニ任スルコトヲ得
第二十二条ノ二 株式会社組織ノ取引所ハ前条ノ規定ニ依リ賠償ノ責ニ任スルトキハ営業保証金ヲ政府ニ納ムヘシ
第二十四条ノ二 取引所ノ売買取引ノ委託者ハ会員又ハ取引員カ委託契約ニ違ヒタル場合ニ於テ其ノ違約ニ因ル債権ニ関シ違約シタル会員又ハ取引員ノ身元保証金ニ付他ノ債主ニ対シ優先権ヲ有ス
前条ノ優先権ハ前項ノ優先権ニ対シ優先ノ効力ヲ有ス
第二十五条中「仲買人」ヲ「会員又ハ取引員」ニ、「定期取引」ヲ「売買取引」ニ、「三箇月」ヲ「一箇月」ニ改ム
第二十六条中「各仲買人」ヲ「各会員又ハ各取引員」ニ改ム
第二十六条ノ二 差金取引ヲ為ス取引所類似施設ヲ為シ又ハ其ノ施設ニ依リテ取引ヲ為スコトヲ得ス
第三十一条 第十七条第一項ノ規定ニ違反シ又ハ同条第二項ノ特別ノ利害関係ヲ生スルコトヲ目的トスル行為ヲ為シタル者ハ五千円以下ノ罰金ニ処ス
第三十二条ノ三第一項ニ左ノ一号ヲ加フ
四 免許ヲ受ケスシテ取引所ヲ設立シタル者又ハ第二十六条ノ二ノ規定ニ違反シタル者
第三十二条ノ六中「仲買人」ヲ「取引員」ニ改メ「若ハ第十二条第一項」ヲ削ル
第三十二条ノ七 本法ノ罰則ハ法人ニ在リテハ其ノ行為ヲ為シタル理事、取締役其ノ他ノ業務ヲ執行スル役員ニ之ヲ適用ス
附 則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第十八条ノ改正規定中有価証券ノ売買取引ノ期限ニ関スル規定ハ勅令ヲ以テ他ノ規定ヨリ後ニ之ヲ施行スルコトヲ得但シ其ノ施行ノ期日ヲ大正十四年四月一日ヨリ後ト為スコトヲ得ス
本法施行ノ際現ニ営業スル仲買人ハ其ノ営業部類ニ付本法ニ依リ其ノ取引所ノ取引員タル免許ヲ受ケタルモノト見做ス
本法施行前ニ為シタル取引所ノ売買取引ニ付テハ其ノ取引ノ結了ニ至ル迄仍従前ノ例ニ依ル