本案は昨年七月の特別議会で可決されたものの、貴族院での審議未了により成立しなかった法案に、新たな条項を加えて改正を図るものである。改正の要旨は、人権侵害問題の防止と救済、および時代の進展に伴う個人の権利拡張と人権擁護にある。具体的には、刑事訴訟法において、聴取書の証拠能力制限、弁護人の被告人訊問権の付与、公判始末書への記載事項追加、大審院での執行猶予権限の拡大、被告人・弁護人への非常上告申立権の付与などを規定。また刑法では、公務執行妨害罪への財産刑の追加や、業務上横領罪の量刑範囲の見直しなど、より柔軟な刑の適用を可能にすることを目的としている。
参照した発言:
第44回帝国議会 衆議院 本会議 第25号