第一條 關東廳民政署長、民政支署長又ハ其ノ職務ヲ代理スル官吏ハ其ノ管轄區域內ニ於ケル左ノ犯罪ヲ卽決スルコトヲ得
二 三月以下ノ懲役又ハ百圓以下ノ罰金若ハ科料ノ刑ニ處スヘキ賭博ノ罪及拘留又ハ科料ノ刑ニ處スヘキ刑法第二百八條ノ罪
三 三月以下ノ懲役禁錮若ハ拘留又ハ百圓以下ノ罰金若ハ科料ノ刑ニ處スヘキ行政法規違反ノ罪
第二條 卽決ハ裁判ノ正式ヲ用井ス被吿人ノ陳述ヲ聽キ證憑ヲ取調ヘ直ニ其ノ言渡ヲ爲スヘシ
被吿人ヲ呼出スノ必要ナキトキ又ハ之ヲ呼出スモ出頭セサルトキハ直ニ其ノ言渡書ノ騰本ヲ本人又ハ其ノ住所ニ送達スルコトヲ得
第三條 卽決ノ言渡ヲ受ケタル者之ニ服セサルトキハ地方法院ニ正式裁判ノ申立ヲ爲スコトヲ得
第四條 卽決ノ言渡書ニハ被吿人ノ氏名、年齡、身分、職業、住所、犯罪ノ事實、適用シタル法條、言渡シタル刑、正式裁判ノ申立期間竝言渡ヲ爲シタル官吏ノ官職氏名及年月日ヲ記載シ所屬官署ノ印ヲ押捺スヘシ
第五條 正式裁判ノ申立ヲ爲ス者ハ卽決ノ言渡ヲ爲シタル官署ニ申立書ヲ差出スヘシ其ノ期間ハ第二條第一項ノ場合ニ於テハ言渡ノ卽日ヨリ三日、同條第二項ノ場合ニ於テハ言渡書送達ノ卽日ヨリ五日トス但シ被吿人遠隔又ハ交通不便ノ地ニ在ルトキハ刑事訴訟法第十六條ノ規定ヲ準用ス
正式裁判ノ申立書ヲ受ケタル官署ハ速ニ關係書類ヲ地方法院檢察官ニ送致スヘシ
第六條 卽決ノ言渡ハ正式裁判ノ申立期間ノ經過ニ因リ確定判決ト同一ノ效力ヲ生ス
第七條 民政署長、民政支署長又ハ其ノ職務ヲ代理スル官吏ハ懲役又ハ禁錮ノ言渡ヲ受ケタル被吿人ニ對シ勾留狀ヲ發スルコトヲ得
前項ノ勾留狀ニ關シテハ刑事訴訟法中勾留狀ニ關スル規定ヲ準用ス
第八條 拘留ノ言渡ヲ爲シタル場合ニ於テ必要アルトキハ第五條ニ定メタル期間內被吿人ヲ留置スルコトヲ得但シ言渡シタル刑期ニ相當スル日數ヲ過クルコトヲ得ス
第九條 罰金又ハ科料ノ言渡ヲ爲シタル場合ニ於テハ其ノ金額ヲ假納セシムヘシ若納メサルトキハ一圓ヲ一日ニ折算シテ被吿人ヲ留置ス其ノ一圓ニ滿タサルモノト雖尙一日ニ計算ス
第十條 留置セラレタル者正式裁判ノ申立ヲ爲シ呼出狀ノ送達アリタルトキハ直ニ其ノ留置ヲ釋クヘシ
第十一條 第八條ノ規定ニ依ル留置ノ日數ハ之ヲ拘留ノ刑期ニ算入シ第九條ノ規定ニ依ル留置ノ日數ハ一日ヲ一圓ニ折算シテ之ヲ罰金又ハ科料ノ金額ニ算入ス