(鉄道又ハ船舶ト露国ノ鉄道又ハ船舶トノ貨物ノ連絡運送ニ関スル法律)
法令番号: 法律第十三號
公布年月日: 明治45年4月4日
法令の形式: 法律
朕帝國議會ノ協贊ヲ經タル鐵道又ハ船舶ト露國ノ鐵道又ハ船舶トノ貨物ノ聯絡運送ニ關スル法律ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治四十五年四月二日
內閣總理大臣 侯爵 西園寺公望
遞信大臣 伯爵 林董
司法大臣 松田正久
外務大臣 子爵 內田康哉
法律第十三號
第一條 鐵道又ハ船舶カ主務大臣ノ認可ヲ得タル契約ニ依リ露國ノ鐵道又ハ船舶ト物品ノ聯絡運送ヲ爲ス場合ニ於テハ本法ニ依ル
第二條 鐵道營業法第五條乃至第九條ノ規定ハ船舶ニ之ヲ準用ス但シ運送品ノ發送ハ運送申込ノ順序ニ依リテ之ヲ爲スヘシ
第三條 運送契約ハ鐵道又ハ船舶カ運送ヲ爲スコトヲ約シ荷送人ヨリ運送品及運送狀ヲ受取ルニ因リテ其ノ效力ヲ生ス
鐵道又ハ船舶カ運送契約ヲ爲シタルトキハ荷送人ニ運送狀ノ副狀ヲ交付スヘシ
運送狀及運送狀ノ副狀ニ記載スヘキ事項及其ノ記載ニ關シ必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第四條 運送狀、貨物引換證及船荷證券ニ關スル商法ノ規定ハ之ヲ適用セス
第五條 鐵道又ハ船舶ノ使用人ハ運送狀ノ作成ニ付テハ荷送人ノ代理人ト爲ルコトヲ得
第六條 特定ノ者ニ對シ運送賃ノ割引ヲ爲ス特約ハ之ヲ無效トス但シ總テノ鐵道及船舶ノ合意ニ依ル場合ハ此ノ限ニ在ラス
第七條 運送品及運送狀ヲ受取リタルトキハ荷受人ハ運送狀ニ記載シタル金額ヲ鐵道又ハ船舶ニ支拂フ義務ヲ負フ
前項ノ支拂ハ荷送人竝總テノ鐵道及船舶ニ對シテ之ヲ爲シタルモノトス
第八條 鐵道又ハ船舶ハ運送品ヲ受取リタル旨ヲ記載シタル運送狀ノ副狀及運送狀ニ記載シタル金額ト引換ニ非サレハ運送品ヲ荷受人ニ引渡スコトヲ要セス但シ運送狀ノ副狀ヲ紛失シタル場合ニ於テ鐵道又ハ船舶ノ定ムル規程ニ依リ荷受人カ運送品ノ引渡ヲ請求シタルトキハ此ノ限ニ在ラス
第九條 運送品引渡ニ關スル手續ニ付テハ鐵道又ハ船舶ノ定ムル規程ニ依ル
第十條 運送品ノ全部若ハ一部ノ滅失又ハ毀損ニ關シテハ鐵道又ハ船舶ハ直ニ運送品ノ狀態竝損害ノ原因、額及發生時期ヲ證スル書面ヲ作成スヘシ運送契約ニ基キ運送品ニ付權利ヲ有スル者カ運送品ノ全部若ハ一部ノ滅失又ハ毀損アルコトヲ主張スルトキ亦同シ
前項ノ書面ニ記載シタル事項ハ請求ニ因リ利害關係人ニ之ヲ通知スヘシ
第十一條 荷受人ハ損害ノ調査ノ完了スル迄運送品ノ受取ヲ拒ムコトヲ得
第十二條 運送狀ニ揭ケタル物品中不足アルトキハ荷受人ハ運送品受取ノ際鐵道又ハ船舶ニ對シ之ヲ證スル書面ノ交付ヲ請求スルコトヲ得
第十三條 鐵道又ハ船舶ノ責任ハ荷受人カ運送品ヲ受取リ且運送賃其ノ他ノ費用ヲ支拂ヒタルトキハ消滅ス但シ左ノ各號ノ一ニ該當スル場合ハ此ノ限ニ在ラス
一 荷受人カ鐵道又ハ船舶ノ惡意又ハ重大ナル過失ニ因リテ損害ノ生シタルコトヲ證明シタルトキ
二 荷受人カ運送品ヲ受取リタル日ヨリ十四日內ニ第十六條第二項ノ鐵道又ハ船舶ノ一ニ對シ延著ニ關スル損害賠償ノ請求ヲ爲シタルトキ
三 荷受人カ第十條第一項ノ規定ニ依リテ證明セラレタル運送品ノ一部滅失又ハ毀損ニ付損害賠償ノ請求ヲ爲シタルトキ
四 鐵道又ハ船舶カ第十條第一項ノ規定ニ依リ爲スヘキ調査ヲ其ノ過失ニ因リ爲ササリシ運送品ノ一部滅失又ハ毀損ニ付荷受人カ損害賠償ノ請求ヲ爲シタルトキ
五 荷受人カ直ニ發見スルコト能ハサル運送品ノ一部滅失又ハ毀損ニ付損害賠償ノ請求ヲ爲シタルトキ但シ運送品ヲ受取リタル日ヨリ十四日內ニ鐵道又ハ船舶ニ對シ一部滅失又ハ毀損ノ通知ヲ發シタルトキニ限ル
前項ノ請求ハ書面ヲ以テ之ヲ爲スヘシ
第十四條 運送品カ到達驛又ハ到達港ニ達シタル後稅關、保稅倉庫又ハ假置場ニ之ヲ引渡シタルトキハ其ノ後ニ生シタル運送品ノ滅失又ハ毀損ニ因ル損害ニ付テハ鐵道又ハ船舶ハ其ノ責ニ任セス荷送人トノ間ニ於ケル契約ノ定ムル所ニ依リ私設倉庫ニ引渡シタルトキ亦同シ
第十五條 惡意又ハ重大ナル過失ニ因ラサル運送品ノ滅失、毀損又ハ延著ニ付テハ鐵道又ハ船舶ハ其ノ責任ニ關シ特約ヲ爲スコトヲ得
前項ノ特約ハ荷受人ニ對シ及荷受人ノ爲ニ其ノ效力ヲ生ス
第十六條 運送契約ヲ爲シタル鐵道又ハ船舶竝運送狀ト共ニ運送品ノ引繼ヲ受ケタル鐵道及船舶ハ運送品ノ滅失、毀損又ハ延著ニ付連帶シテ損害賠償ノ責ニ任ス
前項ノ損害賠償ノ請求ノ訴ハ運送契約ヲ爲シタル鐵道若ハ船舶、最後ニ運送狀ト共ニ運送品ノ引繼ヲ受ケタル鐵道若ハ船舶又ハ損害ヲ生セシメタル鐵道若ハ船舶ノ一ニ對シテノミ之ヲ提起スルコトヲ得
第一項ノ損害賠償ノ請求ハ本訴カ同一ノ運送契約ニ基ク場合ニ於テハ反訴又ハ相殺ノ抗辯ニ依リ前項以外ノ鐵道又ハ船舶ニ對シ之ヲ主張スルコトヲ得
第十七條 引渡期間滿了後三十日內ニ運送品ノ引渡ナキトキハ運送品ハ滅失シタルモノト推定ス
第十八條 鐵道又ハ船舶カ運送狀ノ副狀ノ呈示ヲ荷送人ニ請求セスシテ其ノ指圖ニ從ヒタルトキハ鐵道又ハ船舶ハ運送狀ノ副狀ヲ所持スル荷受人ニ對シ之ニ因リテ生シタル損害ヲ賠償スル責ニ任ス
第十九條 滅失シタル運送品ニ對スル賠償金ヲ受取リタル者其ノ受取證書中ニ運送品カ引渡期間滿了後四月內ニ發見セラレタル場合ニ於テ直ニ鐵道又ハ船舶ヨリ通知ヲ受クヘキ旨ヲ記載シタルトキハ其ノ通知ヲ受クル權利ヲ有ス鐵道又ハ船舶ハ此ノ記載ヲ證スル書面ヲ交付スヘシ
運送品カ發見セラレタルトキハ前項ノ權利者ハ賠償金ヲ返還シテ發送驛若ハ發送港又ハ到達驛若ハ到達港ニ於テ無償ニテ運送品ヲ引渡スヘキコトヲ請求スルコトヲ得但シ前項ノ通知ヲ受ケタル日ヨリ三十日ヲ經過シタルトキハ此ノ限ニ在ラス
第二十條 鐵道又ハ船舶ノ惡意又ハ重大ナル過失ニ因リ生シタル運送品ノ滅失、毀損又ハ延著ニ關スル損害賠償ノ請求權ハ三年ヲ經過シタルトキハ時效ニ因リテ消滅ス
第二十一條 損害賠償ノ請求權ノ消滅時效ハ運送品ノ一部滅失又ハ毀損ノ場合ニ於テハ引渡ノ日ヨリ、運送品ノ全部滅失又ハ延著ノ場合ニ於テハ引渡期間滿了ノ日ヨリ進行ス
第二十二條 運送賃又ハ附帶料金ノ不足額追徵ノ請求權ハ運送賃又ハ附帶料金ノ支拂ノ日ヨリ一年ヲ經過シタルトキハ時效ニ因リテ消滅ス
割增金徵收ノ請求權ハ運送賃支拂ノ日ヨリ、支拂フヘキ運送賃ナキトキハ運送契約ヲ爲シタル日ヨリ一年ヲ經過シタルトキハ時效ニ因リテ消滅ス
運送賃、附帶料金又ハ割增金ノ過徵額返還ノ請求權ハ過徵額支拂ノ日ヨリ一年ヲ經過シタルトキハ時效ニ因リテ消滅ス
第二十三條 鐵道又ハ船舶ニ對スル運送賃又ハ附帶料金ノ過徵額返還ノ請求ハ書面ヲ以テ之ヲ爲スヘシ
前項ノ書面ニ記載スヘキ事項及之ニ添附スヘキ書類ハ鐵道又ハ船舶ノ定ムル規程ニ依ル
第二十四條 運送賃若ハ附帶料金ノ不足額ノ追徵又ハ其ノ過徵額ノ返還ノ請求權、割增金ノ徵收又ハ返還ノ請求權及運送品ノ滅失、毀損又ハ延著ニ關スル損害賠償ノ請求權ニ付テハ書面ヲ以テ請求ヲ爲シタル時ヨリ時效ノ進行ヲ停止ス
前項ノ請求ヲ受ケタル者カ書面ヲ以テ拒絕ノ旨ヲ通知シ且請求書ニ添附シタル書類ヲ返還シタルトキハ其ノ通知及返還ノ時ヨリ殘餘期間ニ付時效ハ進行ス再請求ヲ爲スモ時效ノ進行ヲ停止セス
第二十五條 鐵道又ハ船舶ニ對スル損害賠償ノ請求權ニ付テハ民法第百四十五條及第五百八條ノ規定ヲ適用セス
第二十六條 運送契約ニ基ク裁判上ノ請求ニシテ鐵道又ハ船舶ニ對スルモノハ荷送人又ハ荷受人ニ限リ之ヲ爲スコトヲ得
第二十七條 聯絡運送ニ關スル訴訟ニ付テハ民事訴訟法第八十八條第一項ノ規定ヲ適用セス
第二十八條 鐵道又ハ船舶カ他ノ鐵道又ハ船舶ヲ共同被吿トシ聯絡運送ニ基ク損害賠償ノ求償ノ訴ヲ提起シタルトキハ裁判所ハ同一ノ判決ヲ以テ裁判ヲ爲スヘシ
第二十九條 聯絡運送ニ關シテ露國裁判所ノ爲シタル判決ノ執行判決ニ付テハ民事訴訟法第五百十五條第二項第五號ノ規定ヲ適用セス
第三十條 第八條但書、第九條及第二十三條第二項ノ規程ハ主務大臣ノ認可ヲ受ケ且之ヲ吿示スヘシ
第三十一條 本法ニ於テ裁判所ト稱スルハ裁判權ヲ行フ官廳ヲ謂フ
附 則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
朕帝国議会ノ協賛ヲ経タル鉄道又ハ船舶ト露国ノ鉄道又ハ船舶トノ貨物ノ連絡運送ニ関スル法律ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治四十五年四月二日
内閣総理大臣 侯爵 西園寺公望
逓信大臣 伯爵 林董
司法大臣 松田正久
外務大臣 子爵 内田康哉
法律第十三号
第一条 鉄道又ハ船舶カ主務大臣ノ認可ヲ得タル契約ニ依リ露国ノ鉄道又ハ船舶ト物品ノ連絡運送ヲ為ス場合ニ於テハ本法ニ依ル
第二条 鉄道営業法第五条乃至第九条ノ規定ハ船舶ニ之ヲ準用ス但シ運送品ノ発送ハ運送申込ノ順序ニ依リテ之ヲ為スヘシ
第三条 運送契約ハ鉄道又ハ船舶カ運送ヲ為スコトヲ約シ荷送人ヨリ運送品及運送状ヲ受取ルニ因リテ其ノ効力ヲ生ス
鉄道又ハ船舶カ運送契約ヲ為シタルトキハ荷送人ニ運送状ノ副状ヲ交付スヘシ
運送状及運送状ノ副状ニ記載スヘキ事項及其ノ記載ニ関シ必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第四条 運送状、貨物引換証及船荷証券ニ関スル商法ノ規定ハ之ヲ適用セス
第五条 鉄道又ハ船舶ノ使用人ハ運送状ノ作成ニ付テハ荷送人ノ代理人ト為ルコトヲ得
第六条 特定ノ者ニ対シ運送賃ノ割引ヲ為ス特約ハ之ヲ無効トス但シ総テノ鉄道及船舶ノ合意ニ依ル場合ハ此ノ限ニ在ラス
第七条 運送品及運送状ヲ受取リタルトキハ荷受人ハ運送状ニ記載シタル金額ヲ鉄道又ハ船舶ニ支払フ義務ヲ負フ
前項ノ支払ハ荷送人並総テノ鉄道及船舶ニ対シテ之ヲ為シタルモノトス
第八条 鉄道又ハ船舶ハ運送品ヲ受取リタル旨ヲ記載シタル運送状ノ副状及運送状ニ記載シタル金額ト引換ニ非サレハ運送品ヲ荷受人ニ引渡スコトヲ要セス但シ運送状ノ副状ヲ紛失シタル場合ニ於テ鉄道又ハ船舶ノ定ムル規程ニ依リ荷受人カ運送品ノ引渡ヲ請求シタルトキハ此ノ限ニ在ラス
第九条 運送品引渡ニ関スル手続ニ付テハ鉄道又ハ船舶ノ定ムル規程ニ依ル
第十条 運送品ノ全部若ハ一部ノ滅失又ハ毀損ニ関シテハ鉄道又ハ船舶ハ直ニ運送品ノ状態並損害ノ原因、額及発生時期ヲ証スル書面ヲ作成スヘシ運送契約ニ基キ運送品ニ付権利ヲ有スル者カ運送品ノ全部若ハ一部ノ滅失又ハ毀損アルコトヲ主張スルトキ亦同シ
前項ノ書面ニ記載シタル事項ハ請求ニ因リ利害関係人ニ之ヲ通知スヘシ
第十一条 荷受人ハ損害ノ調査ノ完了スル迄運送品ノ受取ヲ拒ムコトヲ得
第十二条 運送状ニ掲ケタル物品中不足アルトキハ荷受人ハ運送品受取ノ際鉄道又ハ船舶ニ対シ之ヲ証スル書面ノ交付ヲ請求スルコトヲ得
第十三条 鉄道又ハ船舶ノ責任ハ荷受人カ運送品ヲ受取リ且運送賃其ノ他ノ費用ヲ支払ヒタルトキハ消滅ス但シ左ノ各号ノ一ニ該当スル場合ハ此ノ限ニ在ラス
一 荷受人カ鉄道又ハ船舶ノ悪意又ハ重大ナル過失ニ因リテ損害ノ生シタルコトヲ証明シタルトキ
二 荷受人カ運送品ヲ受取リタル日ヨリ十四日内ニ第十六条第二項ノ鉄道又ハ船舶ノ一ニ対シ延著ニ関スル損害賠償ノ請求ヲ為シタルトキ
三 荷受人カ第十条第一項ノ規定ニ依リテ証明セラレタル運送品ノ一部滅失又ハ毀損ニ付損害賠償ノ請求ヲ為シタルトキ
四 鉄道又ハ船舶カ第十条第一項ノ規定ニ依リ為スヘキ調査ヲ其ノ過失ニ因リ為ササリシ運送品ノ一部滅失又ハ毀損ニ付荷受人カ損害賠償ノ請求ヲ為シタルトキ
五 荷受人カ直ニ発見スルコト能ハサル運送品ノ一部滅失又ハ毀損ニ付損害賠償ノ請求ヲ為シタルトキ但シ運送品ヲ受取リタル日ヨリ十四日内ニ鉄道又ハ船舶ニ対シ一部滅失又ハ毀損ノ通知ヲ発シタルトキニ限ル
前項ノ請求ハ書面ヲ以テ之ヲ為スヘシ
第十四条 運送品カ到達駅又ハ到達港ニ達シタル後税関、保税倉庫又ハ仮置場ニ之ヲ引渡シタルトキハ其ノ後ニ生シタル運送品ノ滅失又ハ毀損ニ因ル損害ニ付テハ鉄道又ハ船舶ハ其ノ責ニ任セス荷送人トノ間ニ於ケル契約ノ定ムル所ニ依リ私設倉庫ニ引渡シタルトキ亦同シ
第十五条 悪意又ハ重大ナル過失ニ因ラサル運送品ノ滅失、毀損又ハ延著ニ付テハ鉄道又ハ船舶ハ其ノ責任ニ関シ特約ヲ為スコトヲ得
前項ノ特約ハ荷受人ニ対シ及荷受人ノ為ニ其ノ効力ヲ生ス
第十六条 運送契約ヲ為シタル鉄道又ハ船舶並運送状ト共ニ運送品ノ引継ヲ受ケタル鉄道及船舶ハ運送品ノ滅失、毀損又ハ延著ニ付連帯シテ損害賠償ノ責ニ任ス
前項ノ損害賠償ノ請求ノ訴ハ運送契約ヲ為シタル鉄道若ハ船舶、最後ニ運送状ト共ニ運送品ノ引継ヲ受ケタル鉄道若ハ船舶又ハ損害ヲ生セシメタル鉄道若ハ船舶ノ一ニ対シテノミ之ヲ提起スルコトヲ得
第一項ノ損害賠償ノ請求ハ本訴カ同一ノ運送契約ニ基ク場合ニ於テハ反訴又ハ相殺ノ抗弁ニ依リ前項以外ノ鉄道又ハ船舶ニ対シ之ヲ主張スルコトヲ得
第十七条 引渡期間満了後三十日内ニ運送品ノ引渡ナキトキハ運送品ハ滅失シタルモノト推定ス
第十八条 鉄道又ハ船舶カ運送状ノ副状ノ呈示ヲ荷送人ニ請求セスシテ其ノ指図ニ従ヒタルトキハ鉄道又ハ船舶ハ運送状ノ副状ヲ所持スル荷受人ニ対シ之ニ因リテ生シタル損害ヲ賠償スル責ニ任ス
第十九条 滅失シタル運送品ニ対スル賠償金ヲ受取リタル者其ノ受取証書中ニ運送品カ引渡期間満了後四月内ニ発見セラレタル場合ニ於テ直ニ鉄道又ハ船舶ヨリ通知ヲ受クヘキ旨ヲ記載シタルトキハ其ノ通知ヲ受クル権利ヲ有ス鉄道又ハ船舶ハ此ノ記載ヲ証スル書面ヲ交付スヘシ
運送品カ発見セラレタルトキハ前項ノ権利者ハ賠償金ヲ返還シテ発送駅若ハ発送港又ハ到達駅若ハ到達港ニ於テ無償ニテ運送品ヲ引渡スヘキコトヲ請求スルコトヲ得但シ前項ノ通知ヲ受ケタル日ヨリ三十日ヲ経過シタルトキハ此ノ限ニ在ラス
第二十条 鉄道又ハ船舶ノ悪意又ハ重大ナル過失ニ因リ生シタル運送品ノ滅失、毀損又ハ延著ニ関スル損害賠償ノ請求権ハ三年ヲ経過シタルトキハ時効ニ因リテ消滅ス
第二十一条 損害賠償ノ請求権ノ消滅時効ハ運送品ノ一部滅失又ハ毀損ノ場合ニ於テハ引渡ノ日ヨリ、運送品ノ全部滅失又ハ延著ノ場合ニ於テハ引渡期間満了ノ日ヨリ進行ス
第二十二条 運送賃又ハ附帯料金ノ不足額追徴ノ請求権ハ運送賃又ハ附帯料金ノ支払ノ日ヨリ一年ヲ経過シタルトキハ時効ニ因リテ消滅ス
割増金徴収ノ請求権ハ運送賃支払ノ日ヨリ、支払フヘキ運送賃ナキトキハ運送契約ヲ為シタル日ヨリ一年ヲ経過シタルトキハ時効ニ因リテ消滅ス
運送賃、附帯料金又ハ割増金ノ過徴額返還ノ請求権ハ過徴額支払ノ日ヨリ一年ヲ経過シタルトキハ時効ニ因リテ消滅ス
第二十三条 鉄道又ハ船舶ニ対スル運送賃又ハ附帯料金ノ過徴額返還ノ請求ハ書面ヲ以テ之ヲ為スヘシ
前項ノ書面ニ記載スヘキ事項及之ニ添附スヘキ書類ハ鉄道又ハ船舶ノ定ムル規程ニ依ル
第二十四条 運送賃若ハ附帯料金ノ不足額ノ追徴又ハ其ノ過徴額ノ返還ノ請求権、割増金ノ徴収又ハ返還ノ請求権及運送品ノ滅失、毀損又ハ延著ニ関スル損害賠償ノ請求権ニ付テハ書面ヲ以テ請求ヲ為シタル時ヨリ時効ノ進行ヲ停止ス
前項ノ請求ヲ受ケタル者カ書面ヲ以テ拒絶ノ旨ヲ通知シ且請求書ニ添附シタル書類ヲ返還シタルトキハ其ノ通知及返還ノ時ヨリ残余期間ニ付時効ハ進行ス再請求ヲ為スモ時効ノ進行ヲ停止セス
第二十五条 鉄道又ハ船舶ニ対スル損害賠償ノ請求権ニ付テハ民法第百四十五条及第五百八条ノ規定ヲ適用セス
第二十六条 運送契約ニ基ク裁判上ノ請求ニシテ鉄道又ハ船舶ニ対スルモノハ荷送人又ハ荷受人ニ限リ之ヲ為スコトヲ得
第二十七条 連絡運送ニ関スル訴訟ニ付テハ民事訴訟法第八十八条第一項ノ規定ヲ適用セス
第二十八条 鉄道又ハ船舶カ他ノ鉄道又ハ船舶ヲ共同被告トシ連絡運送ニ基ク損害賠償ノ求償ノ訴ヲ提起シタルトキハ裁判所ハ同一ノ判決ヲ以テ裁判ヲ為スヘシ
第二十九条 連絡運送ニ関シテ露国裁判所ノ為シタル判決ノ執行判決ニ付テハ民事訴訟法第五百十五条第二項第五号ノ規定ヲ適用セス
第三十条 第八条但書、第九条及第二十三条第二項ノ規程ハ主務大臣ノ認可ヲ受ケ且之ヲ告示スヘシ
第三十一条 本法ニ於テ裁判所ト称スルハ裁判権ヲ行フ官庁ヲ謂フ
附 則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム