官役職工人夫扶助令
法令番号: 勅令第百八十六號
公布年月日: 明治40年5月10日
法令の形式: 勅令
朕官役職工人夫扶助令ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治四十年五月九日
內閣總理大臣 侯爵 西園寺公望
大藏大臣 法學博士 阪谷芳郞
勅令第百八十六號
官役職工人夫扶助令
第一條 政府ニ於テ使役スル職工、人夫其ノ他ノ傭人自己ノ重大ナル過失ニ因ルニ非スシテ業務上傷痍ヲ受ケ、疾病ニ罹リ又ハ死亡シタルトキハ特別ノ規定アルモノヲ除クノ外本令ニ依リ扶助金ヲ給ス
第二條 扶助金ヲ分テ左ノ五種トス
一 療治料
二 給助料
三 不具癈疾者扶助料
四 遺族扶助料
五 葬祭料
第三條 療治料ハ傷痍ヲ受ケ又ハ疾病ニ罹リ治療ヲ要スル者、給助料ハ療養ノ爲休業中ノ者又ハ治療數月ヲ要スル見込ヲ以テ退業シタル者ニ之ヲ給ス
不具癈疾者扶助料ハ終身自用ヲ辨スルコト能ハサル者、終身業務ヲ營ムコト能ハサル者其ノ他ノ不具癈疾者ニ之ヲ給ス
葬祭料及遺族扶助料ハ死亡ノトキ死者ト同一ノ家ニ在リタル遺族ニ之ヲ給ス
死者ニシテ前項ノ遺族ナキトキハ葬儀ヲ行フ者ニ葬祭料ヲ給スルコトヲ得
第四條 遺族中葬祭料及遺族扶助料ヲ受クヘキ者ハ左ノ順位ニ依ル
配偶者
父母
祖父母
兄弟
姊妹
前項同順位內ニ於テハ男ハ女ニ、長ハ幼ニ先ツ但シ家督相續人ハ最先トス
第五條 不具癈疾者扶助料ヲ受ケ又ハ治療數月ヲ要スル見込ヲ以テ退業シタルトキハ療治料、葬祭料及遺族扶助料ヲ給セス
第六條 扶助金ノ額ハ別表ニ依ル
附 則
本令ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
官役人夫死傷手當規則ハ之ヲ廢止ス
(別表)
療治料
實費
給助料
療養ノ爲休業中ノ者
日給 三分ノ一以上二分ノ一以下
治療數月ヲ要スル見込ヲ以テ退業シタル者
日給 三十日分以上五十日分以下
不具癈疾者扶助料
終身自用ヲ辨スルコト能ハサル者
日給 百二十日分以上百七十日分以下
終身業務ヲ營ムコト能ハサル者
日給 六十日分以上百四十日分以下
其ノ他ノ不具癈疾者
日給 四十日分以上百日分以下
葬祭料
十圓以上十五圓以下
遺族扶助料
日給 八十日分以上百五十日分以下
朕官役職工人夫扶助令ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治四十年五月九日
内閣総理大臣 侯爵 西園寺公望
大蔵大臣 法学博士 阪谷芳郎
勅令第百八十六号
官役職工人夫扶助令
第一条 政府ニ於テ使役スル職工、人夫其ノ他ノ傭人自己ノ重大ナル過失ニ因ルニ非スシテ業務上傷痍ヲ受ケ、疾病ニ罹リ又ハ死亡シタルトキハ特別ノ規定アルモノヲ除クノ外本令ニ依リ扶助金ヲ給ス
第二条 扶助金ヲ分テ左ノ五種トス
一 療治料
二 給助料
三 不具廃疾者扶助料
四 遺族扶助料
五 葬祭料
第三条 療治料ハ傷痍ヲ受ケ又ハ疾病ニ罹リ治療ヲ要スル者、給助料ハ療養ノ為休業中ノ者又ハ治療数月ヲ要スル見込ヲ以テ退業シタル者ニ之ヲ給ス
不具廃疾者扶助料ハ終身自用ヲ弁スルコト能ハサル者、終身業務ヲ営ムコト能ハサル者其ノ他ノ不具廃疾者ニ之ヲ給ス
葬祭料及遺族扶助料ハ死亡ノトキ死者ト同一ノ家ニ在リタル遺族ニ之ヲ給ス
死者ニシテ前項ノ遺族ナキトキハ葬儀ヲ行フ者ニ葬祭料ヲ給スルコトヲ得
第四条 遺族中葬祭料及遺族扶助料ヲ受クヘキ者ハ左ノ順位ニ依ル
配偶者
父母
祖父母
兄弟
姉妹
前項同順位内ニ於テハ男ハ女ニ、長ハ幼ニ先ツ但シ家督相続人ハ最先トス
第五条 不具廃疾者扶助料ヲ受ケ又ハ治療数月ヲ要スル見込ヲ以テ退業シタルトキハ療治料、葬祭料及遺族扶助料ヲ給セス
第六条 扶助金ノ額ハ別表ニ依ル
附 則
本令ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
官役人夫死傷手当規則ハ之ヲ廃止ス
(別表)
療治料
実費
給助料
療養ノ為休業中ノ者
日給 三分ノ一以上二分ノ一以下
治療数月ヲ要スル見込ヲ以テ退業シタル者
日給 三十日分以上五十日分以下
不具廃疾者扶助料
終身自用ヲ弁スルコト能ハサル者
日給 百二十日分以上百七十日分以下
終身業務ヲ営ムコト能ハサル者
日給 六十日分以上百四十日分以下
其ノ他ノ不具廃疾者
日給 四十日分以上百日分以下
葬祭料
十円以上十五円以下
遺族扶助料
日給 八十日分以上百五十日分以下