樺太国有土地管理規則
法令番号: 勅令第八十三號
公布年月日: 明治40年3月29日
法令の形式: 勅令
朕樺太國有土地管理規則ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治四十年三月二十八日
內閣總理大臣 侯爵 西園寺公望
內務大臣 原敬
勅令第八十三號
樺太國有土地管理規則
第一條 樺太國有土地ハ樺太廳長官之ヲ管理ス
第二條 樺太國有土地ノ貸付及賣拂ハ別段ノ規定アル場合ノ外競爭ニ付セス
第三條 開墾、牧畜又ハ植樹等ニ供スル土地ハ無償ニテ貸付スルコトヲ得
前項ニ依リ貸付シタル土地ハ左ノ條件ニ該當シタル場合ニ於テ之ヲ付與スヘシ
一 開墾ヲ目的トスル貸付地ニ在リテハ其ノ事業ノ二分ノ一以上ヲ成功シ且牛、馬二頭以上ヲ所有スルコト
二 牧畜及植樹等ヲ目的トスル貸付地ニ在リテハ其ノ事業全部成功スルコト
三 前各號ノ外貸付許可ノ後一箇年以內ニ其ノ土地又ハ其ノ附近ニ住居シ且一箇月以上引續キ又ハ一箇年中六箇月以上行政廳ノ許可ナクシテ其ノ住居地ヲ離レサルコト
第四條 前條貸付地ノ面積ハ左ノ制限ヲ超ユルコトヲ得ス
一 開墾ヲ目的トスル土地 九萬坪
二 牧畜又ハ植樹ヲ目的トスル土地 五十萬坪
三 其ノ他ノ目的ノ土地 五萬坪
第五條 公用、公共ノ利益ト爲ルヘキ事業又ハ社寺若ハ敎會ノ用ニ供スル土地ハ之ヲ賣拂ヒ付與シ又ハ有償若ハ無償ニテ貸付スルコトヲ得
前項ノ外事業ノ目的ニ依リ必要ト認ムル土地ハ之ヲ賣拂フコトヲ得
第六條 市街地其ノ他土地ノ狀況ニ依リ必要ト認ムル土地ハ有償ニテ之ヲ貸付シ又ハ競爭ニ付シ之ヲ賣拂フコトヲ得
前項ニ依リ有償貸付ヲ爲シタル土地ハ隨意契約ヲ以テ之ヲ借地人ニ賣拂フコトヲ得
第七條 素地ノ儘使用セムトスル土地ハ有償又ハ無償ニテ之ヲ貸付スルコトヲ得
第八條 樺太國有土地ト民有地ノ交換ハ兩地ノ價格相均シキ場合ニ限リ之ヲ爲スコトヲ得
第九條 本令ニ依リ貸付、賣拂、付與及交換スヘキ土地ノ區域ハ樺太廳長官之ヲ吿示ス
第十條 土地ノ貸付ハ左ノ期間ヲ超ユルコトヲ得ス
一 無償貸付 十箇年
二 有償貸付 十五箇年
泥炭地ノ開墾ニ限リ特ニ二十箇年以內ノ期間ヲ以テ貸付ヲ爲スコトヲ得
天災其ノ他避クヘカラサル事故ニ因リ貸付期間內ニ成功スルコト能ハサルトキハ前二項ノ例ニ依リ之ヲ更新スルコトヲ得
第十一條 第三條ニ依リ貸付シタル土地ハ隨時之ヲ檢査シ豫定ノ事業方法ニ違反スルトキハ其ノ全部ヲ返還セシムヘシ
第十二條 第三條ニ依リ貸付シタル土地ハ貸付期間滿了後一箇年以內ニ出願シタルトキニ限リ之ヲ付與スルコトヲ得
第十三條 事業ノ不成功ニ因リ返還セシメタル土地、侵墾地及前條ニ依リ付與ヲ出願セサル土地ニシテ全部成功セサルモノハ第三條ニ依リ處分スルコトヲ得
附 則
本令ハ明治四十年四月一日ヨリ之ヲ施行ス
本令施行前ニ於テ使用特許又ハ貸付許可ヲ爲シタル土地ニ關シテハ樺太廳長官ノ定ムル所ニ從ヒ更ニ本令ニ依ル處分アル迄從前ノ例ニ依ル
朕樺太国有土地管理規則ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治四十年三月二十八日
内閣総理大臣 侯爵 西園寺公望
内務大臣 原敬
勅令第八十三号
樺太国有土地管理規則
第一条 樺太国有土地ハ樺太庁長官之ヲ管理ス
第二条 樺太国有土地ノ貸付及売払ハ別段ノ規定アル場合ノ外競争ニ付セス
第三条 開墾、牧畜又ハ植樹等ニ供スル土地ハ無償ニテ貸付スルコトヲ得
前項ニ依リ貸付シタル土地ハ左ノ条件ニ該当シタル場合ニ於テ之ヲ付与スヘシ
一 開墾ヲ目的トスル貸付地ニ在リテハ其ノ事業ノ二分ノ一以上ヲ成功シ且牛、馬二頭以上ヲ所有スルコト
二 牧畜及植樹等ヲ目的トスル貸付地ニ在リテハ其ノ事業全部成功スルコト
三 前各号ノ外貸付許可ノ後一箇年以内ニ其ノ土地又ハ其ノ附近ニ住居シ且一箇月以上引続キ又ハ一箇年中六箇月以上行政庁ノ許可ナクシテ其ノ住居地ヲ離レサルコト
第四条 前条貸付地ノ面積ハ左ノ制限ヲ超ユルコトヲ得ス
一 開墾ヲ目的トスル土地 九万坪
二 牧畜又ハ植樹ヲ目的トスル土地 五十万坪
三 其ノ他ノ目的ノ土地 五万坪
第五条 公用、公共ノ利益ト為ルヘキ事業又ハ社寺若ハ教会ノ用ニ供スル土地ハ之ヲ売払ヒ付与シ又ハ有償若ハ無償ニテ貸付スルコトヲ得
前項ノ外事業ノ目的ニ依リ必要ト認ムル土地ハ之ヲ売払フコトヲ得
第六条 市街地其ノ他土地ノ状況ニ依リ必要ト認ムル土地ハ有償ニテ之ヲ貸付シ又ハ競争ニ付シ之ヲ売払フコトヲ得
前項ニ依リ有償貸付ヲ為シタル土地ハ随意契約ヲ以テ之ヲ借地人ニ売払フコトヲ得
第七条 素地ノ儘使用セムトスル土地ハ有償又ハ無償ニテ之ヲ貸付スルコトヲ得
第八条 樺太国有土地ト民有地ノ交換ハ両地ノ価格相均シキ場合ニ限リ之ヲ為スコトヲ得
第九条 本令ニ依リ貸付、売払、付与及交換スヘキ土地ノ区域ハ樺太庁長官之ヲ告示ス
第十条 土地ノ貸付ハ左ノ期間ヲ超ユルコトヲ得ス
一 無償貸付 十箇年
二 有償貸付 十五箇年
泥炭地ノ開墾ニ限リ特ニ二十箇年以内ノ期間ヲ以テ貸付ヲ為スコトヲ得
天災其ノ他避クヘカラサル事故ニ因リ貸付期間内ニ成功スルコト能ハサルトキハ前二項ノ例ニ依リ之ヲ更新スルコトヲ得
第十一条 第三条ニ依リ貸付シタル土地ハ随時之ヲ検査シ予定ノ事業方法ニ違反スルトキハ其ノ全部ヲ返還セシムヘシ
第十二条 第三条ニ依リ貸付シタル土地ハ貸付期間満了後一箇年以内ニ出願シタルトキニ限リ之ヲ付与スルコトヲ得
第十三条 事業ノ不成功ニ因リ返還セシメタル土地、侵墾地及前条ニ依リ付与ヲ出願セサル土地ニシテ全部成功セサルモノハ第三条ニ依リ処分スルコトヲ得
附 則
本令ハ明治四十年四月一日ヨリ之ヲ施行ス
本令施行前ニ於テ使用特許又ハ貸付許可ヲ為シタル土地ニ関シテハ樺太庁長官ノ定ムル所ニ従ヒ更ニ本令ニ依ル処分アル迄従前ノ例ニ依ル