関東都督府法院令
法令番号: 勅令第百九十八號
公布年月日: 明治39年8月1日
法令の形式: 勅令
朕關東都督府法院令ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治三十九年七月三十一日
內閣總理大臣 侯爵 西園寺公望
外務大臣 子爵 林董
勅令第百九十八號
關東都督府法院令
第一條 關東都督府法院ハ關東都督ニ直屬シ民事刑事ノ裁判ヲ爲スコトヲ掌ル
第二條 關東都督府法院ヲ分チテ地方法院及高等法院各一箇所トス
關東都督ハ必要ニ應シ地方法院出張所ヲ置クコトヲ得
第三條 地方法院ハ民事刑事ノ始審及非訟事件ノ事務ヲ行フ
第四條 高等法院ハ終審トシテ地方法院ノ裁判ニ對スル上訴ヲ審理ス
第五條 各法院ニ判官專任五人ヲ置ク
判官ハ奏任トス但シ高等法院長タル判官ハ之ヲ勅任ト爲スコトヲ得
第六條 各法院ニ院長ヲ置ク上級判官ヲ以テ之ニ充ツ
院長ハ院內一般ノ事務ヲ指揮シ其ノ行政事務ヲ監督ス
高等法院ノ院長ハ地方法院ノ行政事務ヲ監督ス
院長事故アルトキハ次級判官其ノ職務ヲ代理ス
第七條 地方法院ハ單獨判官ヲ以テ總テノ事件ヲ審理ス
第八條 高等法院ハ判官三人ヲ以テ組織シタル部ニ於テ總テノ事件ヲ審理シ上級判官ヲ裁判長トス
第九條 各法院ニ檢察官專任一人ヲ置ク奏任トス
檢察官ハ司法警察官ヲ指揮監督シ刑事訴追ヲ爲シ其ノ裁判ノ執行ヲ指揮監督ス
高等法院ノ檢察官ハ地方法院ノ檢察官ヲ指揮監督ス
地方法院ニ於テハ警視又ハ警部ヲシテ檢察官ノ職務ヲ執ラシムルコトヲ得
第十條 高等法院ニ通譯官專任一人ヲ置ク奏任トス
各法院ニ通譯生ヲ置ク判任トス其ノ定員ハ通シテ專任五人トス
通譯官及通譯生ハ通譯ニ從事ス
通譯官及通譯生ハ前項ノ外上官ノ命ヲ承ケ翻譯ニ從事ス
第十一條 各法院ニ書記ヲ置ク判任トス其ノ定員ハ通シテ專任二十人トス
書記ハ民事刑事ノ審理ニ關スル準備ヲ爲シ、調書ヲ作リ及一切ノ訴訟記錄ヲ整理保管ス
書記ハ前項ノ外上官ノ指揮ヲ承ケ庶務ニ從事ス
附 則
本令ハ明治三十九年九月一日ヨリ之ヲ施行ス
朕関東都督府法院令ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治三十九年七月三十一日
内閣総理大臣 侯爵 西園寺公望
外務大臣 子爵 林董
勅令第百九十八号
関東都督府法院令
第一条 関東都督府法院ハ関東都督ニ直属シ民事刑事ノ裁判ヲ為スコトヲ掌ル
第二条 関東都督府法院ヲ分チテ地方法院及高等法院各一箇所トス
関東都督ハ必要ニ応シ地方法院出張所ヲ置クコトヲ得
第三条 地方法院ハ民事刑事ノ始審及非訟事件ノ事務ヲ行フ
第四条 高等法院ハ終審トシテ地方法院ノ裁判ニ対スル上訴ヲ審理ス
第五条 各法院ニ判官専任五人ヲ置ク
判官ハ奏任トス但シ高等法院長タル判官ハ之ヲ勅任ト為スコトヲ得
第六条 各法院ニ院長ヲ置ク上級判官ヲ以テ之ニ充ツ
院長ハ院内一般ノ事務ヲ指揮シ其ノ行政事務ヲ監督ス
高等法院ノ院長ハ地方法院ノ行政事務ヲ監督ス
院長事故アルトキハ次級判官其ノ職務ヲ代理ス
第七条 地方法院ハ単独判官ヲ以テ総テノ事件ヲ審理ス
第八条 高等法院ハ判官三人ヲ以テ組織シタル部ニ於テ総テノ事件ヲ審理シ上級判官ヲ裁判長トス
第九条 各法院ニ検察官専任一人ヲ置ク奏任トス
検察官ハ司法警察官ヲ指揮監督シ刑事訴追ヲ為シ其ノ裁判ノ執行ヲ指揮監督ス
高等法院ノ検察官ハ地方法院ノ検察官ヲ指揮監督ス
地方法院ニ於テハ警視又ハ警部ヲシテ検察官ノ職務ヲ執ラシムルコトヲ得
第十条 高等法院ニ通訳官専任一人ヲ置ク奏任トス
各法院ニ通訳生ヲ置ク判任トス其ノ定員ハ通シテ専任五人トス
通訳官及通訳生ハ通訳ニ従事ス
通訳官及通訳生ハ前項ノ外上官ノ命ヲ承ケ翻訳ニ従事ス
第十一条 各法院ニ書記ヲ置ク判任トス其ノ定員ハ通シテ専任二十人トス
書記ハ民事刑事ノ審理ニ関スル準備ヲ為シ、調書ヲ作リ及一切ノ訴訟記録ヲ整理保管ス
書記ハ前項ノ外上官ノ指揮ヲ承ケ庶務ニ従事ス
附 則
本令ハ明治三十九年九月一日ヨリ之ヲ施行ス