帝国鉄道会計法
法令番号: 法律第三十七號
公布年月日: 明治39年4月11日
法令の形式: 法律
朕帝國議會ノ協贊ヲ經タル帝國鐵道會計法ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治三十九年四月十日
內閣總理大臣 侯爵 西園寺公望
大藏大臣 法學博士 阪谷芳郞
遞信大臣 山縣伊三郞
法律第三十七號
帝國鐵道會計法
第一條 帝國鐵道ノ事業ヲ經營スル爲從來出資シ及將來出資スル金額ヲ以テ資本ト爲シ特別ノ會計ヲ立テシム
前項ノ資本ハ本會計ノ負債トシ一般會計ニ對シ漸次償還スルモノトス但シ官設鐵道會計法第四條ニ依リ純益トシテ從來一般會計ノ歲入ニ編入シタル金額ハ利子ニ相當スル金額ヲ控除シタル殘額ヲ以テ負債ノ償還ニ充テタルモノト看做ス
第二條 本會計ハ之ヲ資本勘定及收益勘定ニ區分ス
第三條 資本勘定ハ帝國鐵道建設改良ノ爲一般會計ヨリ支出スル資金及所屬財產ノ賣拂代金ヲ以テ其ノ歲入トシ帝國鐵道ノ建設改良ニ要スル費用ヲ以テ其ノ歲出トス
第四條 收益勘定ハ營業上ノ諸收入及資本所屬物件ノ貸付料竝帝國鐵道用品資金會計ノ過剩金ヲ以テ其ノ歲入トシ營業上ノ諸費用及資本所屬物件ノ維持修理竝補充費ヲ以テ其ノ歲出トス
第五條 收益勘定ニ於テ歲入總額ヨリ歲出總額ヲ控除シタル金額ヲ益金トシ負債ノ利子ト負債消却金トニ區分シテ之ヲ一般會計ニ納付スヘシ
第六條 政府ハ每年帝國鐵道資本勘定及收益勘定ノ歲入歲出豫算ヲ調製シ歲入歲出ノ總豫算ト共ニ帝國議會ニ提出スヘシ
第七條 資本勘定ニ屬スル每年度豫算殘額ハ事業ノ完成ニ至ル迄順次之ヲ翌年度ニ繰越使用スルコトヲ得
第八條 收益勘定ノ歲出額ハ豫算定額內ニ於テ實際ノ歲入及第十條ニ依ル借入金ノ合計額ヲ超過スルコトヲ得ス
第九條 收益勘定ノ歲出豫算ニハ災害事變其ノ他豫期セサル歲出ノ不足ニ應スル爲豫備費ヲ設クルコトヲ得
第十條 收益勘定ノ歲出ヲ支辨スルニ當リ歲入金不足ノ場合ニ於テハ一時一般會計ヨリ五十萬圓ヲ限リ借入ヲ爲スコトヲ得
前項借入金ハ當該年度內ニ之ヲ返還スヘシ
第十一條 資本勘定及收益勘定ハ帝國鐵道用品資金ヨリ物品ヲ購入スルトキハ前金拂ヲ爲スコトヲ得
第十二條 本會計ニ關シ必要ナル事項ハ本法ニ規定スルモノノ外勅令ヲ以テ之ヲ定ム
附 則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
官設鐵道會計法ハ之ヲ廢止ス
朕帝国議会ノ協賛ヲ経タル帝国鉄道会計法ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治三十九年四月十日
内閣総理大臣 侯爵 西園寺公望
大蔵大臣 法学博士 阪谷芳郎
逓信大臣 山県伊三郎
法律第三十七号
帝国鉄道会計法
第一条 帝国鉄道ノ事業ヲ経営スル為従来出資シ及将来出資スル金額ヲ以テ資本ト為シ特別ノ会計ヲ立テシム
前項ノ資本ハ本会計ノ負債トシ一般会計ニ対シ漸次償還スルモノトス但シ官設鉄道会計法第四条ニ依リ純益トシテ従来一般会計ノ歳入ニ編入シタル金額ハ利子ニ相当スル金額ヲ控除シタル残額ヲ以テ負債ノ償還ニ充テタルモノト看做ス
第二条 本会計ハ之ヲ資本勘定及収益勘定ニ区分ス
第三条 資本勘定ハ帝国鉄道建設改良ノ為一般会計ヨリ支出スル資金及所属財産ノ売払代金ヲ以テ其ノ歳入トシ帝国鉄道ノ建設改良ニ要スル費用ヲ以テ其ノ歳出トス
第四条 収益勘定ハ営業上ノ諸収入及資本所属物件ノ貸付料並帝国鉄道用品資金会計ノ過剰金ヲ以テ其ノ歳入トシ営業上ノ諸費用及資本所属物件ノ維持修理並補充費ヲ以テ其ノ歳出トス
第五条 収益勘定ニ於テ歳入総額ヨリ歳出総額ヲ控除シタル金額ヲ益金トシ負債ノ利子ト負債消却金トニ区分シテ之ヲ一般会計ニ納付スヘシ
第六条 政府ハ毎年帝国鉄道資本勘定及収益勘定ノ歳入歳出予算ヲ調製シ歳入歳出ノ総予算ト共ニ帝国議会ニ提出スヘシ
第七条 資本勘定ニ属スル毎年度予算残額ハ事業ノ完成ニ至ル迄順次之ヲ翌年度ニ繰越使用スルコトヲ得
第八条 収益勘定ノ歳出額ハ予算定額内ニ於テ実際ノ歳入及第十条ニ依ル借入金ノ合計額ヲ超過スルコトヲ得ス
第九条 収益勘定ノ歳出予算ニハ災害事変其ノ他予期セサル歳出ノ不足ニ応スル為予備費ヲ設クルコトヲ得
第十条 収益勘定ノ歳出ヲ支弁スルニ当リ歳入金不足ノ場合ニ於テハ一時一般会計ヨリ五十万円ヲ限リ借入ヲ為スコトヲ得
前項借入金ハ当該年度内ニ之ヲ返還スヘシ
第十一条 資本勘定及収益勘定ハ帝国鉄道用品資金ヨリ物品ヲ購入スルトキハ前金払ヲ為スコトヲ得
第十二条 本会計ニ関シ必要ナル事項ハ本法ニ規定スルモノノ外勅令ヲ以テ之ヲ定ム
附 則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
官設鉄道会計法ハ之ヲ廃止ス