(伝染病予防法中改正法律)
法令番号: 法律第五十六號
公布年月日: 明治38年3月13日
法令の形式: 法律
朕帝國議會ノ協贊ヲ經タル傳染病豫防法中改正法律ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治三十八年三月十一日
內閣總理大臣 伯爵 桂太郞
內務大臣 子爵 芳川顯正
法律第五十六號
傳染病豫防法中左ノ通改正ス
第五條第一項中「傳染病患者アリタル家」ノ下ニ「其ノ他傳染病毒ニ汚染シ若ハ汚染ノ疑アル家」ヲ加ヘ同條第二項ヲ削ル
第七條第二項ヲ削ル
第八條 當該吏員ニ於テ必要ト認ムルトキハ一定ノ日時間傳染病患者アリタル家其ノ他傳染病毒ニ汚染シ若ハ汚染ノ疑アル家ノ交通ヲ遮斷シ又ハ病毒感染ノ疑アル者ヲ隔離所其ノ他適當ノ場所ニ隔離スルコトヲ得
第十四條中「又ハ管理人」ヲ「、管理人又ハ代理者」ニ改ム
第十六條ノ次ニ左ノ一條ヲ加フ
第十六條ノ二 市町村ハ地方長官ノ指示ニ從ヒ鼠族ノ驅除及之ニ關スル施設ヲ爲スヘシ
第十七條ノ次ニ左ノ一條ヲ加フ
第十七條ノ二 第十九條第七又ハ第八ニ依リ市街村落ノ全部又ハ一部ニ對シ家用水ノ使用ヲ停止シタル場合ニ於テハ市町村ハ地方長官ノ指示ニ從ヒ其ノ停止期間家用水ノ供給ヲ爲スヘシ
第十八條第三項中「其ノ地」ヲ「附近」ニ改メ「收容治療セシ」ノ下ニ「メ及病毒感染ノ疑アル者ヲ附近市町村立ノ隔離所ニ入ラシ」ヲ加フ
同條第三項ノ次ニ左ノ一項ヲ加フ
船舶汽車ノ檢疫ヲ施行セサル場合ニ於テ船舶汽車中ニ傳染病患者若ハ病毒感染ノ疑アル者アリタルトキハ前二項ノ規定ヲ準用ス在監人出獄スルニ際シ傳染病ニ罹リタル者若ハ病毒感染ノ疑アル者アリタルトキ亦同シ
第十九條第一號ヲ左ノ如ク改ム
一 健康診斷又ハ死體檢案ヲ行フコト
同條第二號中「又」ヲ「若」ニ改メ「遮斷」ノ下ニ「シ又ハ人民ヲ隔離」ヲ加フ
同條第六號ヲ左ノ如ク改ム
六 汽車、船舶、製造所若ハ多人數ノ集合スル場所ニ醫師ノ雇入其ノ他豫防上必要ノ設備ヲ爲サシムルコト
同條第八號ノ次ニ左ノ一號ヲ加フ
九 鼠族ノ驅除及之ニ關スル施設ヲ爲サシムルコト
第十九條ノ次ニ左ノ一條ヲ加フ
第十九條ノ二 傳染病毒ニ汚染シタル建物ニシテ消毒方法ノ施行ヲ不適當ト認ムルトキハ地方長官ハ關係市町村會ノ意見ヲ聽キ內務大臣ノ認可ヲ得テ其ノ建物ニ對シ別段ノ處分ヲ行ヒ且其ノ處分ノ爲必要ナル土地ヲ使用スルコトヲ得
前項ノ場合ニ於テハ損害ヲ受ケタル建物ノ所有者ニ手當金ヲ交付スヘシ
手當金ノ交付竝手當金額ノ決定ニ關シ必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第二十一條第六號中「交通遮斷」ノ下ニ「隔離」ヲ加フ
同條第七號ノ次ニ左ノ三號ヲ加フ
八 市町村ニ於テ施行スル鼠族ノ驅除及其ノ施設ニ關スル諸費
九 第十七條ノ二ニ依レル家用水ノ供給ニ關スル諸費
十 第十九條ノ二ニ依リ交付スヘキ手當金
第二十二條第一號乃至第三號ヲ左ノ如ク改ム
一 第十八條ニ關スル諸費
二 手當金ヲ除ク外第十九條ノ二ニ關スル諸費
三 第十九條第二ニ依レル交通遮斷、隔離ニ關スル諸費、交通遮斷、隔離ノ爲自活シ能ハサル者ノ生活費及隔離所ニ關スル諸費
第二十六條第二項、第二十七條第二項中「滯納處分」ヲ「徵收」ニ改ム
第三十一條 第四條、第五條、第九條、第十條、第十一條第一項、第十二條ニ違背シタル者、交通遮斷ヲ犯シタル者、當該吏員ノ尋問ニ對シ答辯ヲ爲サス若ハ虛僞ノ陳述ヲ爲シタル者又ハ醫師ニ請託シテ第三條ノ屆出ヲ爲サシメス若ハ其ノ屆出ヲ妨ケタル者ハ二圓以上二十圓以下ノ罰金ニ處ス
附 則
本法ハ明治三十八年七月一日ヨリ之ヲ施行ス
朕帝国議会ノ協賛ヲ経タル伝染病予防法中改正法律ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治三十八年三月十一日
内閣総理大臣 伯爵 桂太郎
内務大臣 子爵 芳川顕正
法律第五十六号
伝染病予防法中左ノ通改正ス
第五条第一項中「伝染病患者アリタル家」ノ下ニ「其ノ他伝染病毒ニ汚染シ若ハ汚染ノ疑アル家」ヲ加ヘ同条第二項ヲ削ル
第七条第二項ヲ削ル
第八条 当該吏員ニ於テ必要ト認ムルトキハ一定ノ日時間伝染病患者アリタル家其ノ他伝染病毒ニ汚染シ若ハ汚染ノ疑アル家ノ交通ヲ遮断シ又ハ病毒感染ノ疑アル者ヲ隔離所其ノ他適当ノ場所ニ隔離スルコトヲ得
第十四条中「又ハ管理人」ヲ「、管理人又ハ代理者」ニ改ム
第十六条ノ次ニ左ノ一条ヲ加フ
第十六条ノ二 市町村ハ地方長官ノ指示ニ従ヒ鼠族ノ駆除及之ニ関スル施設ヲ為スヘシ
第十七条ノ次ニ左ノ一条ヲ加フ
第十七条ノ二 第十九条第七又ハ第八ニ依リ市街村落ノ全部又ハ一部ニ対シ家用水ノ使用ヲ停止シタル場合ニ於テハ市町村ハ地方長官ノ指示ニ従ヒ其ノ停止期間家用水ノ供給ヲ為スヘシ
第十八条第三項中「其ノ地」ヲ「附近」ニ改メ「収容治療セシ」ノ下ニ「メ及病毒感染ノ疑アル者ヲ附近市町村立ノ隔離所ニ入ラシ」ヲ加フ
同条第三項ノ次ニ左ノ一項ヲ加フ
船舶汽車ノ検疫ヲ施行セサル場合ニ於テ船舶汽車中ニ伝染病患者若ハ病毒感染ノ疑アル者アリタルトキハ前二項ノ規定ヲ準用ス在監人出獄スルニ際シ伝染病ニ罹リタル者若ハ病毒感染ノ疑アル者アリタルトキ亦同シ
第十九条第一号ヲ左ノ如ク改ム
一 健康診断又ハ死体検案ヲ行フコト
同条第二号中「又」ヲ「若」ニ改メ「遮断」ノ下ニ「シ又ハ人民ヲ隔離」ヲ加フ
同条第六号ヲ左ノ如ク改ム
六 汽車、船舶、製造所若ハ多人数ノ集合スル場所ニ医師ノ雇入其ノ他予防上必要ノ設備ヲ為サシムルコト
同条第八号ノ次ニ左ノ一号ヲ加フ
九 鼠族ノ駆除及之ニ関スル施設ヲ為サシムルコト
第十九条ノ次ニ左ノ一条ヲ加フ
第十九条ノ二 伝染病毒ニ汚染シタル建物ニシテ消毒方法ノ施行ヲ不適当ト認ムルトキハ地方長官ハ関係市町村会ノ意見ヲ聴キ内務大臣ノ認可ヲ得テ其ノ建物ニ対シ別段ノ処分ヲ行ヒ且其ノ処分ノ為必要ナル土地ヲ使用スルコトヲ得
前項ノ場合ニ於テハ損害ヲ受ケタル建物ノ所有者ニ手当金ヲ交付スヘシ
手当金ノ交付並手当金額ノ決定ニ関シ必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第二十一条第六号中「交通遮断」ノ下ニ「隔離」ヲ加フ
同条第七号ノ次ニ左ノ三号ヲ加フ
八 市町村ニ於テ施行スル鼠族ノ駆除及其ノ施設ニ関スル諸費
九 第十七条ノ二ニ依レル家用水ノ供給ニ関スル諸費
十 第十九条ノ二ニ依リ交付スヘキ手当金
第二十二条第一号乃至第三号ヲ左ノ如ク改ム
一 第十八条ニ関スル諸費
二 手当金ヲ除ク外第十九条ノ二ニ関スル諸費
三 第十九条第二ニ依レル交通遮断、隔離ニ関スル諸費、交通遮断、隔離ノ為自活シ能ハサル者ノ生活費及隔離所ニ関スル諸費
第二十六条第二項、第二十七条第二項中「滞納処分」ヲ「徴収」ニ改ム
第三十一条 第四条、第五条、第九条、第十条、第十一条第一項、第十二条ニ違背シタル者、交通遮断ヲ犯シタル者、当該吏員ノ尋問ニ対シ答弁ヲ為サス若ハ虚偽ノ陳述ヲ為シタル者又ハ医師ニ請託シテ第三条ノ届出ヲ為サシメス若ハ其ノ届出ヲ妨ケタル者ハ二円以上二十円以下ノ罰金ニ処ス
附 則
本法ハ明治三十八年七月一日ヨリ之ヲ施行ス