海軍被服条例
法令番号: 勅令第四號
公布年月日: 明治34年2月14日
法令の形式: 勅令
朕海軍被服條例ノ改正ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治三十四年二月十三日
海軍大臣 山本權兵衞
勅令第四號
海軍被服條例
第一條 准士官以上初任及候補生採用ノ際ハ武裝手當トシテ左ノ金額ヲ給シ兵曹長及機關兵曹長ヨリ各其ノ上官ニ進級シタル者ニハ士官初任ト同額ヲ給ス但シ准士官ヨリ士官ニ任セラレタルトキハ武裝手當ヲ給セス
士官以上 八十圓
准士官 四十圓
候補生 三十圓
第二條 准士官以上及候補生ニシテ艦船ノ破壞又ハ沈沒ニ因リ被服物品ヲ亡失シタルトキハ其ノ狀況ニ應シ服裝手當トシテ左ノ金額以內ヲ給スルコトヲ得
將 官 二百四十圓
上長官 二百圓
士 官 百六十圓
准士官 八十圓
候補生 六十圓
第三條 現役下士卒及召集中ノ豫備役後備役下士卒ニハ官職相當ノ被服物品ヲ交付ス但シ歸休兵ハ此ノ限ニ在ラス
現役下士卒ニ交付スヘキ定數ハ別表ニ依ル
召集中ノ豫備役後備役下士卒ニ交付スヘキ定數ハ別表ノ範圍內ニ於テ海軍大臣之ヲ定ム歸休兵ヲ召集シタルトキ亦同シ
第四條 熱帶地方若ハ惡疫流行地ニ在ル下士卒又ハ同地方ニ航行スル艦船乘組ノ下士卒ニハ腹卷ヲ臨時交付ス
結氷期ニ際シ凍港ニ在ル軍艦乘組ノ下士卒若ハ之ニ均シキ地方ニ在ル下士卒ニハ適宜防寒服ヲ給與スルコトヲ得
第五條 下士卒ニ交付スル被服物品ハ交換期限、交換定數ヲ定メ之ヲ交換ス其ノ期限及定數ハ海軍大臣之ヲ定ム但シ夏服略帽、麻襟、襟紐、襟飾、帽覆、袴釣、靴、靴下、手袋、折メス紐、紺足袋、正服帽徽章、臂章、腹卷ハ還付セシメス
第六條 下士卒ニハ被服物品修補料トシテ一箇月十錢ヲ給ス但シ入院、在監又ハ逃亡中ノ者ニハ之ヲ給セス
第七條 下士卒現役ヲ離レ若ハ歸休ヲ命セラレタルトキハ數額ヲ定メ其ノ被服物品ヲ給與ス其ノ定數ハ海軍大臣之ヲ定ム
豫備役後備役下士卒歸休兵ニシテ召集ヲ解キタル場合ニ於テ被服物品ノ給與ヲ必要トスルトキハ適宜之ヲ給與スルコトヲ得
第八條 下士卒死亡シタル場合ニ於テ被服物品ノ給與ヲ必要トスルトキハ適宜之ヲ給與スルコトヲ得
第九條 記章佩用ノ資格ヲ有スル下士卒ニハ其ノ記章ヲ給與ス
第十條 左ニ揭クル場合ニ於テ被服物品ノ給與ヲ必要トスルトキハ適宜之ヲ給與スルコトヲ得
一、 難破船乘組ノ者又ハ漂流人ヲ救護スルトキ
二、 局外中立ノ際交戰國ノ軍務ニ從事スル者ニシテ傷痍ヲ受ケ若ハ疾病ニ罹リタル者其ノ他避難者ヲ帝國艦船ニ於テ救護スルトキ
三、 外國ニ於ケル戰亂又ハ事變ニ際シ帝國臣民ヲ艦船ニ於テ保護スルトキ
附 則
本令ハ明治三十四年四月一日ヨリ之ヲ施行ス但シ本令ニ依リ品目ヲ新設又ハ改正シ若ハ交付定數ヲ增加シタル被服物品ノ交付ハ漸次執行スルコトヲ得
本令ニ依リ品目ヲ廢止シ若ハ交付定數ヲ減シタル被服物品ハ當分ノ內舊條例ニ依リ交付交換スルコトヲ得
(別表)
【表】
朕海軍被服条例ノ改正ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治三十四年二月十三日
海軍大臣 山本権兵衛
勅令第四号
海軍被服条例
第一条 准士官以上初任及候補生採用ノ際ハ武装手当トシテ左ノ金額ヲ給シ兵曹長及機関兵曹長ヨリ各其ノ上官ニ進級シタル者ニハ士官初任ト同額ヲ給ス但シ准士官ヨリ士官ニ任セラレタルトキハ武装手当ヲ給セス
士官以上 八十円
准士官 四十円
候補生 三十円
第二条 准士官以上及候補生ニシテ艦船ノ破壊又ハ沈没ニ因リ被服物品ヲ亡失シタルトキハ其ノ状況ニ応シ服装手当トシテ左ノ金額以内ヲ給スルコトヲ得
将 官 二百四十円
上長官 二百円
士 官 百六十円
准士官 八十円
候補生 六十円
第三条 現役下士卒及召集中ノ予備役後備役下士卒ニハ官職相当ノ被服物品ヲ交付ス但シ帰休兵ハ此ノ限ニ在ラス
現役下士卒ニ交付スヘキ定数ハ別表ニ依ル
召集中ノ予備役後備役下士卒ニ交付スヘキ定数ハ別表ノ範囲内ニ於テ海軍大臣之ヲ定ム帰休兵ヲ召集シタルトキ亦同シ
第四条 熱帯地方若ハ悪疫流行地ニ在ル下士卒又ハ同地方ニ航行スル艦船乗組ノ下士卒ニハ腹巻ヲ臨時交付ス
結氷期ニ際シ凍港ニ在ル軍艦乗組ノ下士卒若ハ之ニ均シキ地方ニ在ル下士卒ニハ適宜防寒服ヲ給与スルコトヲ得
第五条 下士卒ニ交付スル被服物品ハ交換期限、交換定数ヲ定メ之ヲ交換ス其ノ期限及定数ハ海軍大臣之ヲ定ム但シ夏服略帽、麻襟、襟紐、襟飾、帽覆、袴釣、靴、靴下、手袋、折メス紐、紺足袋、正服帽徽章、臂章、腹巻ハ還付セシメス
第六条 下士卒ニハ被服物品修補料トシテ一箇月十銭ヲ給ス但シ入院、在監又ハ逃亡中ノ者ニハ之ヲ給セス
第七条 下士卒現役ヲ離レ若ハ帰休ヲ命セラレタルトキハ数額ヲ定メ其ノ被服物品ヲ給与ス其ノ定数ハ海軍大臣之ヲ定ム
予備役後備役下士卒帰休兵ニシテ召集ヲ解キタル場合ニ於テ被服物品ノ給与ヲ必要トスルトキハ適宜之ヲ給与スルコトヲ得
第八条 下士卒死亡シタル場合ニ於テ被服物品ノ給与ヲ必要トスルトキハ適宜之ヲ給与スルコトヲ得
第九条 記章佩用ノ資格ヲ有スル下士卒ニハ其ノ記章ヲ給与ス
第十条 左ニ掲クル場合ニ於テ被服物品ノ給与ヲ必要トスルトキハ適宜之ヲ給与スルコトヲ得
一、 難破船乗組ノ者又ハ漂流人ヲ救護スルトキ
二、 局外中立ノ際交戦国ノ軍務ニ従事スル者ニシテ傷痍ヲ受ケ若ハ疾病ニ罹リタル者其ノ他避難者ヲ帝国艦船ニ於テ救護スルトキ
三、 外国ニ於ケル戦乱又ハ事変ニ際シ帝国臣民ヲ艦船ニ於テ保護スルトキ
附 則
本令ハ明治三十四年四月一日ヨリ之ヲ施行ス但シ本令ニ依リ品目ヲ新設又ハ改正シ若ハ交付定数ヲ増加シタル被服物品ノ交付ハ漸次執行スルコトヲ得
本令ニ依リ品目ヲ廃止シ若ハ交付定数ヲ減シタル被服物品ハ当分ノ内旧条例ニ依リ交付交換スルコトヲ得
(別表)
【表】