(所得税法中改正法律)
法令番号: 法律第17号
公布年月日: 明治34年4月4日
法令の形式: 法律

改正対象法令

提案理由 (AIによる要約)

本改正案の主眼は2点ある。第一に、法人所得の算定において、剰余金・交際費・償却金等を会社の損金として控除対象とすることを明文化する点である。これは、各税務署や管理局での取扱いが統一されておらず、また行政裁判所の判決で控除を認めない判例が出たことへの対応である。第二に、山林所得の算定基準を当該年の予算から前年の所得に改める点である。現行法では伐木時期(9-10月)と所得調査時期(4月)の関係で適切な課税が困難なため、前年の所得に基づく算定方式に変更するものである。

参照した発言:
第15回帝国議会 衆議院 本会議 第4号

審議経過

第15回帝国議会

衆議院
(明治34年1月29日)
(明治34年3月18日)
貴族院
(明治34年3月20日)
(明治34年3月24日)
衆議院
(明治34年3月24日)
朕帝國議會ノ協贊ヲ經タル所得稅法中改正法律ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治三十四年四月二日
內閣總理大臣 侯爵 伊藤博文
大藏大臣 子爵 渡邊國武
法律第十七號
所得稅法中左ノ通改正ス
第二條中「職業ヲ有スルトキ」ヲ「職業ヲ有シ若ハ公債社債ノ利子支拂ヲ受クルトキ」ニ改ム
第四條第一項第三號中「割賦賞與金」ヲ削リ「田畑ヨリノ所得」ヲ「山林ノ所得ハ前年ノ所得ニ依ル田畑ノ所得」ニ改ム
第五條第七號「配當金」ノ下ニ「及割賦賞與金」ヲ加フ
第九條ニ左ノ一項ヲ加フ
調査委員會閉會後第三種ノ所得アル者新ニ納稅義務アルコトヲ申出タルトキハ政府其ノ所得金額ヲ決定ス
第三十七條ニ左ノ一項ヲ加フ
第三十一條ノ規定ハ之ヲ審査委員會ノ決議ニ準用ス
第四十條 山林ノ所得ヲ除クノ外第三種ノ所得ニ付納稅義務アル者所得金額四分ノ一以上ヲ減損シタルトキハ政府ニ申出テ所得金額ノ更訂ヲ求ムルコトヲ得但シ翌年一月三十一日ヲ過クルトキハ所得金額ノ更訂ヲ求ムルコトヲ得ス
所得金額決定後贈與ヲ爲シタル爲所得金額ヲ減損シタル場合ニハ前項ヲ適用セス
第四十三條ヲ第四十三條ノ一トシ次ニ左ノ一條ヲ加フ
第四十三條ノ二 第三種ノ所得ニ付二箇以上ノ稅務署管內ニ於テ所得金額ノ決定アリタルトキハ政府ハ納稅者ノ住所地若住所ナキトキハ居所地以外ニ於ケル所得金額ノ決定ヲ取消スヘシ
附 則
此ノ法律ハ明治三十四年分所得稅ヨリ之ヲ適用ス
朕帝国議会ノ協賛ヲ経タル所得税法中改正法律ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治三十四年四月二日
内閣総理大臣 侯爵 伊藤博文
大蔵大臣 子爵 渡辺国武
法律第十七号
所得税法中左ノ通改正ス
第二条中「職業ヲ有スルトキ」ヲ「職業ヲ有シ若ハ公債社債ノ利子支払ヲ受クルトキ」ニ改ム
第四条第一項第三号中「割賦賞与金」ヲ削リ「田畑ヨリノ所得」ヲ「山林ノ所得ハ前年ノ所得ニ依ル田畑ノ所得」ニ改ム
第五条第七号「配当金」ノ下ニ「及割賦賞与金」ヲ加フ
第九条ニ左ノ一項ヲ加フ
調査委員会閉会後第三種ノ所得アル者新ニ納税義務アルコトヲ申出タルトキハ政府其ノ所得金額ヲ決定ス
第三十七条ニ左ノ一項ヲ加フ
第三十一条ノ規定ハ之ヲ審査委員会ノ決議ニ準用ス
第四十条 山林ノ所得ヲ除クノ外第三種ノ所得ニ付納税義務アル者所得金額四分ノ一以上ヲ減損シタルトキハ政府ニ申出テ所得金額ノ更訂ヲ求ムルコトヲ得但シ翌年一月三十一日ヲ過クルトキハ所得金額ノ更訂ヲ求ムルコトヲ得ス
所得金額決定後贈与ヲ為シタル為所得金額ヲ減損シタル場合ニハ前項ヲ適用セス
第四十三条ヲ第四十三条ノ一トシ次ニ左ノ一条ヲ加フ
第四十三条ノ二 第三種ノ所得ニ付二箇以上ノ税務署管内ニ於テ所得金額ノ決定アリタルトキハ政府ハ納税者ノ住所地若住所ナキトキハ居所地以外ニ於ケル所得金額ノ決定ヲ取消スヘシ
附 則
此ノ法律ハ明治三十四年分所得税ヨリ之ヲ適用ス