本案は二つの目的で提出された。第一に孤児という用語の法的解釈を明確にすることである。従来、棄子や遺児など習慣上の用語はあるものの、法律上の「孤児」の定義が定まっていなかった。第二に、孤児が婚姻や養子縁組などの法律行為を行う際の便宜を図ることである。現行の民法下では、孤児には親族会議の召集や法定代理人の選定において不便があり、養子縁組などの手続きが円滑に進まない状況があった。この法律によってそれらの不便を解消し、各地方における救恤事業の円滑な遂行を図ろうとするものである。
参照した発言:
第14回帝国議会 衆議院 本会議 第20号