砲兵工廠条例
法令番号: 勅令第三百五號
公布年月日: 明治30年9月11日
法令の形式: 勅令
朕砲兵工廠條例改正ノ件ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治三十年九月九日
陸軍大臣 子爵 高島鞆之助
勅令第三百五號
砲兵工廠條例
第一條 砲兵工廠ハ陸軍大臣ノ管理ニ屬シ陸軍所要ノ兵器、彈藥、器具、材料ヲ製造修理シ及海軍所要ノ火藥ヲ製造スル所トス
第二條 砲兵工廠ハ之ヲ東京、大阪及臺北ニ置ク
東京及大阪砲兵工廠ニ在テハ製造所ヲ設クルコト左ノ如シ
東京砲兵工廠
小銃製造所
銃包製造所
砲具製造所
目黑火藥製造所
板橋火藥製造所
岩鼻火藥製造所
大阪砲兵工廠
火砲製造所
砲架製造所
彈丸製造所
火具製造所
宇治火藥製造所
門司兵器製造所
第三條 兵器支廠所在地ニハ所要ニ應シ砲兵工廠ノ派出所ヲ置キ支廠長ヲシテ其業務ヲ管掌セシム但其位置及新設ハ陸軍大臣之ヲ定ム
第四條 砲兵工廠ニ左ノ職員ヲ置ク
東京及大阪砲兵工廠
提理 少將若クハ砲兵大佐
副提理 砲兵少佐
檢査官 砲兵中少佐大中尉
廠員 砲兵少佐大中尉
製造所長 砲兵中少佐大尉若クハ技師
所員 砲兵大中尉若クハ技師
軍醫
軍吏
技師
臺北砲兵工廠
提理 砲兵中少佐
檢査官 砲兵少佐大尉
廠員 砲兵少佐大中尉若クハ技師
軍醫
軍吏
右ニ揭クル職員ノ外衞生部下士及判任文官ヲ置ク但判任文官ニ代ユルニ砲兵上等監護及砲兵科下士ヲ用ユルコトヲ得
第五條 提理ハ陸軍大臣ニ隸シ工廠ノ業務ヲ總理シ特ニ工廠ノ建築ニ關スル事項ヲ管掌ス
東京砲兵工廠提理ハ砲兵工科學校ヲ管理ス
臺北砲兵工廠提理ハ戰時若クハ事變ニ際シテハ臺灣總督ノ命ヲ受クルコトアリ
第六條 副提理ハ提理ヲ輔佐シ事務ヲ整理ス
第七條 檢査官ハ製造ノ兵器、彈藥、器具、材料及其材料素品ノ檢査ヲ掌ル
第八條 廠員ハ提理ノ命ヲ受ケ技術上ノ調査ニ任ス但臺北砲兵工廠ノ廠員ニ在テハ尙ホ提理ヲ補佐シ業務ヲ分擔ス
第九條 製造所長ハ製造所ノ業務ヲ擔任シ所員ハ所長ノ命ヲ受ケ所務ニ服ス
東京砲兵工廠製造所長ハ砲兵工科學校ノ實業敎授ヲ擔任ス
第十條 軍醫、軍吏、技師ハ提理ノ命ヲ受ケ各分擔ノ事務ニ服ス
第十一條 派出所ニハ陸軍屬ヲ分遣シ兵器支廠長ノ命ヲ受ケ兵器、器具、材料ノ製造修理ニ關スル費用及材料素品ノ出納ヲ掌ラシム
第十二條 軍用制式ノ兵器、彈藥、器具、材料ハ軍用ノ爲メ製造スルモノノ外陸軍大臣ノ許可ヲ經ルニアラサレハ製造スルコトヲ得ス但砲工兵會議ヨリ試驗用ノ爲メ要求スルモノ竝海軍造兵廠ヨリ要求スル火藥、火具ハ此限リニアラス
第十三條 官廳又ハ人民ヨリ物品ノ製造ヲ依賴スルトキハ軍用ノ製造事業ニ妨ケナキ限リハ之ニ應スルコトヲ得
第十四條 砲兵工廠附近ノ地ニ騷擾警戒ノ事アレハ提理ヨリ衞戍司令官ニ牒吿シテ衞兵ノ派遣ヲ請フコトヲ得但門司兵器製造所ニ在テハ所長ヨリ直ニ衞戍司令官ニ衞兵ノ派遣ヲ請フコトヲ得
附 則
第十五條 本條例ハ明治三十年九月十五日ヨリ施行ス
第十六條 明治二十九年勅令第百九十八號臺灣兵器修理所條例ハ本條例施行ノ日ヨリ廢止ス
朕砲兵工廠条例改正ノ件ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治三十年九月九日
陸軍大臣 子爵 高島鞆之助
勅令第三百五号
砲兵工廠条例
第一条 砲兵工廠ハ陸軍大臣ノ管理ニ属シ陸軍所要ノ兵器、弾薬、器具、材料ヲ製造修理シ及海軍所要ノ火薬ヲ製造スル所トス
第二条 砲兵工廠ハ之ヲ東京、大阪及台北ニ置ク
東京及大阪砲兵工廠ニ在テハ製造所ヲ設クルコト左ノ如シ
東京砲兵工廠
小銃製造所
銃包製造所
砲具製造所
目黒火薬製造所
板橋火薬製造所
岩鼻火薬製造所
大阪砲兵工廠
火砲製造所
砲架製造所
弾丸製造所
火具製造所
宇治火薬製造所
門司兵器製造所
第三条 兵器支廠所在地ニハ所要ニ応シ砲兵工廠ノ派出所ヲ置キ支廠長ヲシテ其業務ヲ管掌セシム但其位置及新設ハ陸軍大臣之ヲ定ム
第四条 砲兵工廠ニ左ノ職員ヲ置ク
東京及大阪砲兵工廠
提理 少将若クハ砲兵大佐
副提理 砲兵少佐
検査官 砲兵中少佐大中尉
廠員 砲兵少佐大中尉
製造所長 砲兵中少佐大尉若クハ技師
所員 砲兵大中尉若クハ技師
軍医
軍吏
技師
台北砲兵工廠
提理 砲兵中少佐
検査官 砲兵少佐大尉
廠員 砲兵少佐大中尉若クハ技師
軍医
軍吏
右ニ掲クル職員ノ外衛生部下士及判任文官ヲ置ク但判任文官ニ代ユルニ砲兵上等監護及砲兵科下士ヲ用ユルコトヲ得
第五条 提理ハ陸軍大臣ニ隷シ工廠ノ業務ヲ総理シ特ニ工廠ノ建築ニ関スル事項ヲ管掌ス
東京砲兵工廠提理ハ砲兵工科学校ヲ管理ス
台北砲兵工廠提理ハ戦時若クハ事変ニ際シテハ台湾総督ノ命ヲ受クルコトアリ
第六条 副提理ハ提理ヲ輔佐シ事務ヲ整理ス
第七条 検査官ハ製造ノ兵器、弾薬、器具、材料及其材料素品ノ検査ヲ掌ル
第八条 廠員ハ提理ノ命ヲ受ケ技術上ノ調査ニ任ス但台北砲兵工廠ノ廠員ニ在テハ尚ホ提理ヲ補佐シ業務ヲ分担ス
第九条 製造所長ハ製造所ノ業務ヲ担任シ所員ハ所長ノ命ヲ受ケ所務ニ服ス
東京砲兵工廠製造所長ハ砲兵工科学校ノ実業教授ヲ担任ス
第十条 軍医、軍吏、技師ハ提理ノ命ヲ受ケ各分担ノ事務ニ服ス
第十一条 派出所ニハ陸軍属ヲ分遣シ兵器支廠長ノ命ヲ受ケ兵器、器具、材料ノ製造修理ニ関スル費用及材料素品ノ出納ヲ掌ラシム
第十二条 軍用制式ノ兵器、弾薬、器具、材料ハ軍用ノ為メ製造スルモノノ外陸軍大臣ノ許可ヲ経ルニアラサレハ製造スルコトヲ得ス但砲工兵会議ヨリ試験用ノ為メ要求スルモノ並海軍造兵廠ヨリ要求スル火薬、火具ハ此限リニアラス
第十三条 官庁又ハ人民ヨリ物品ノ製造ヲ依頼スルトキハ軍用ノ製造事業ニ妨ケナキ限リハ之ニ応スルコトヲ得
第十四条 砲兵工廠附近ノ地ニ騒擾警戒ノ事アレハ提理ヨリ衛戍司令官ニ牒告シテ衛兵ノ派遣ヲ請フコトヲ得但門司兵器製造所ニ在テハ所長ヨリ直ニ衛戍司令官ニ衛兵ノ派遣ヲ請フコトヲ得
附 則
第十五条 本条例ハ明治三十年九月十五日ヨリ施行ス
第十六条 明治二十九年勅令第百九十八号台湾兵器修理所条例ハ本条例施行ノ日ヨリ廃止ス