(郡制ヲ施行セサル島嶼ヨリ選出スヘキ府県会議員ノ選挙ニ関スル件)
法令番号: 勅令第二百二十七號
公布年月日: 明治30年6月26日
法令の形式: 勅令
朕郡制ヲ施行セサル島嶼ヨリ選出スヘキ府縣會議員ノ選擧ニ關スル件ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治三十年六月二十三日
內務大臣 伯爵 樺山資紀
勅令第二百二十七號
第一條 郡制ヲ施行セサル島嶼ニ於テハ島嶼內各郡ヲ通シテ之ヲ一選擧區トシ其ノ選出ノ府縣會議員定數ハ內務大臣ノ認可ヲ得テ府縣知事之ヲ定ム
第二條 帝國臣民ニシテ公權ヲ有シ且滿二十五歲以上ノ男子ニシテ一戶ヲ構ヘ島嶼內ニ二年以來住居シ府縣內ニ於テ一年以來直接國稅年額五圓以上ヲ納ムル者ハ府縣會議員ノ選擧權ヲ有ス
帝國臣民ニシテ公權ヲ有シ且滿二十五歲以上ノ男子ニシテ一戶ヲ構ヘ島嶼內ニ二年以來住居シ府縣內ニ於テ一年以來直接國稅年額十圓以上ヲ納ムル者ハ府縣會議員ノ被選擧權ヲ有ス
左ニ揭クル者ハ府縣會議員ノ選擧權被選擧權ヲ有セス
一 治產ノ禁ヲ受ケタル者
一 公權停止中又ハ租稅滯納處分中ノ者
一 家資分㪚若ハ破產ノ宣吿ヲ受ケ未タ復權ノ決定ヲ得サル者
一 公權剝奪若ハ停止ヲ附加スヘキ重罪輕罪ノ爲メ公判ニ付セラレ其ノ裁判ノ確定ニ至ラサル者
一 陸海軍ノ現役ニ服スル者又ハ現役以外ノ兵役ニ在ル者ニシテ戰時若ハ事變ニ際シ召集セラレタル者
本條ノ外府縣會議員ノ選擧ニ關シテハ府縣制第四條第三項乃至第五項ヲ適用ス
第三條 戶長ハ每年九月一日ヲ期トシ其ノ現在資格ニ依リ其ノ役場管內ノ選擧人名簿二本ヲ調製シ其ノ一本ヲ十月一日マテニ島司ニ送付スヘシ
島司ハ戶長ヨリ送付シタル選擧人名簿ヲ合シ每年十月二十日マテニ其ノ所管內ノ選擧人名簿ヲ調製スヘシ
第四條 選擧人名簿ニハ選擧人ノ氏名住所生年月竝ニ直接國稅年額及其ノ納稅地其ノ他選擧資格ノ要件ヲ記載スヘシ
第五條 選擧人其ノ住居スル戶長役場管外ニ於テ直接國稅ヲ納ムルトキハ其ノ納稅地戶長又ハ市町村長ノ證明書ヲ添ヘ九月一日マテニ其ノ住居地ノ戶長ニ屆出ヘシ
前項ノ屆出ヲ爲ササルトキハ其ノ納稅額ハ選擧資格ニ算入セス
第六條 島司ハ十月二十五日ヨリ十五日間島廳ニ於テ選擧人名簿ノ寫ヲ關係者ノ縱覽ニ供スヘシ
關係者ニ於テ選擧人名簿ニ關シ異議アルトキハ縱覽期限內ニ之ヲ島司ニ申立ルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ島司ハ其ノ申立ヲ受ケタル日ヨリ十日以內ニ之ヲ決定シ申立人ニ通知スヘシ島司ニ於テ修正スヘシト決定シタルトキハ選擧人名簿ヲ修正スヘシ
選擧人名簿ハ十二月二十日ヲ以テ確定期限トシ確定名簿ハ次年ノ十二月二十日マテ之ヲ据置クモノトス
確定名簿ニ登錄セラレサル者ハ何人タリトモ選擧ニ干與スルコトヲ得ス
本條島司ノ決定ニ不服アル者ハ決定ヲ受ケタル日ヨリ十四日以內ニ府縣參事會ニ訴願シ其ノ府縣參事會ノ裁決ニ不服アル者ハ裁決ヲ受ケタル日ヨリ二十一日以內ニ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
府縣參事會ノ裁決確定シ又ハ行政裁判所ノ判決アリタルニ依リ選擧人名簿ノ修正スヘキモノアルトキハ島司ニ於テ其ノ通知ヲ受ケタル時ヨリ二十四時間以內ニ之ヲ修正スヘシ
本條ニ依リ島司ニ於テ選擧人名簿ヲ修正シタルトキハ其ノ要領ヲ公吿シ且本人住居地ノ戶長ニ通知スヘシ
第七條 選擧ノ效力ニ關スル訴願ノ裁決確定シ又ハ訴訟ノ判決アリタルニ依リ選擧人名簿ノ無效ト爲リタルトキハ前選擧人名簿ニ記載スヘキ選擧人資格ニ依リ府縣知事ノ指定シタル期日マテニ新ニ名簿ヲ調製スヘキモノトス其ノ縱覽修正ニ關スル期限等ハ總テ前條ノ例ヲ準用ス
第八條 府縣會議員ノ選擧ハ島司之ヲ管理スヘシ
第九條 府縣知事ハ投票ヲ行フヘキ日ヨリ少クトモ三十日前其ノ日時ヲ吿示スヘシ
天災若ハ其ノ他ノ事故ニ依リ更ニ投票ヲ行フ場合ニ於テハ府縣知事ハ島司ヲシテ其ノ日時ヲ定メ之ヲ吿示セシムヘシ
島嶼內交通不便ノ地ニ對シテハ府縣知事ハ島司ヲシテ適宜投票ノ期日ヲ變更セシムルコトヲ得
第十條 戶長役場所轄區域ヲ以テ投票所區域ト爲ス
投票所ハ戶長役場又ハ戶長ノ指定シタル場所ニ於テ之ヲ設ケ戶長其ノ事務ヲ管理スヘシ
島司ハ事情ニ依リ數戶長役場區域ヲ以テ一投票所區域ト爲スコトヲ得此ノ場合ニ於テハ島司ハ投票所竝投票所管理ノ戶長ヲモ指定スヘシ
第十一條 戶長ハ其ノ管理スル投票區域內ニ於ケル選擧人中ヨリ立會人二名以上五名以下ヲ選任スヘシ
第十二條 選擧人ノ外何人タリトモ投票所ニ入ルコトヲ得ス
選擧人ハ投票所ニ於テ協議又ハ勸誘ヲ爲スコトヲ得ス
第十三條 選擧ハ投票ヲ以テ之ヲ行フ
投票ハ選擧人名簿ノ對照ヲ經テ選擧人自ラ投票函ニ投入スヘシ
投票ニハ選擧人自ラ投票所ニ於テ被選擧人ノ氏名ヲ記シ次ニ自己ノ氏名及住所ヲ記シテ捺印スヘシ
第十四條 選擧人ニシテ文字ヲ書スルコト能ハサル由ヲ申立ルトキハ戶長ハ吏員ヲシテ代書セシメ之ヲ本人ニ讀ミ聞カセ捺印投票セシメ其ノ由ヲ投票錄ニ記載スヘシ
第十五條 戶長ハ投票錄ヲ製シ投票ニ關スル顚末ヲ記錄シ立會人ト共ニ之ニ署名捺印スヘシ
第十六條 投票ヲ終リタルトキハ戶長ハ一名ノ立會人ト共ニ投票函及投票錄ヲ選擧會場ニ護送スヘシ
第十七條 選擧會ハ島廳又ハ島司ノ指定シタル場所ニ於テ之ヲ設ク
第十八條 島司ハ各投票所ヨリ參會シタル立會人ノ中ヨリ抽籤ヲ以テ選擧掛三名以上七名以下ヲ定ムヘシ
第十九條 島司ハ選擧掛長ト爲リ投票函ノ總テ送達シタル翌日選擧掛立會ノ上投票函ヲ開キ投票ノ總數ト投票人ノ總數トヲ計算スヘシ若シ投票ト投票人トノ總數ニ差異ヲ生シタルトキハ其ノ由ヲ選擧錄ニ記載スヘシ
前項ノ計算終リタルトキハ選擧掛長ハ選擧掛ト共ニ投票ヲ㸃檢スヘシ
第二十條 選擧人ハ選擧會ニ參觀ヲ求ムルコトヲ得
第二十一條 投票ニ記載シタル人員其ノ選擧スヘキ定數ニ過キ又ハ不足アルモ其ノ投票ヲ無效トセス其ノ定數ニ過クルモノハ末尾ニ記載シタル人名ヲ順次ニ棄却スヘシ
左ノ投票ハ之ヲ無效トス
一 被選擧人ノ氏名讀ミ難キモノ
二 被選擧人ノ何人タルヲ確認シ難キモノ
三 被選擧權ナキ者ノ氏名ヲ記載スルモノ
以上三種ノ投票中他ニ列記ノ被選擧人ニ付テハ仍其ノ效アルモノトス
四 選擧人被選擧人ノ氏名ヲ記載セサルモノ
五 選擧人ノ氏名讀ミ難キモノ
六 選擧人ノ何人タルヲ確認シ難キモノ
七 選擧人名簿ニ記載ナキ者ノ投票
八 第十三條第三項ニ規定シタル外他事ヲ記入スルモノ但シ爵位職業身分住所又ハ敬稱ノ類ヲ記入スルモノハ無效ト爲ス限ニアラス
九 投票用紙ヲ一定シタル場合ニ於テ其ノ用紙ヲ用井サルモノ
第二十二條 投票ノ效力ニ關スル事項ハ選擧掛之ヲ議決ス可否同數ナルトキハ選擧掛長之ヲ決ス
第二十三條 議員ノ選擧ハ有效投票ノ多數ヲ得タル者ヲ以テ當選トス投票ノ數相同シキトキハ年長者ヲ取リ同年月ナルトキハ選擧掛長自ラ抽籤シテ其ノ當選ヲ定ム
同時ニ補闕員數名ヲ選擧スルトキハ投票數ノ多キ者ヲ以テ殘任期ノ長キ前任者ノ補闕ト爲シ投票ノ數相同キトキハ選擧掛長自ラ抽籤シテ其ノ順序ヲ定ム
第二十四條 選擧掛ハ選擧錄ヲ製シテ選擧ノ顚末ヲ記錄シ之ニ署名捺印シ選擧人名簿投票錄其ノ他關係書類ト共ニ少クトモ四年間之ヲ保存スヘシ
投票ハ之ヲ選擧錄ニ附屬シ選擧ノ效力確定スルニ至ルマテ之ヲ保存スヘシ
第二十五條 二人以上投票同數ニシテ年長ニ依テ當選シタル者其ノ當選ヲ辭シタルトキハ年少ニ依テ當選セサリシ者ヲ以テ當選人トス但シ年少ニ依テ當選セサリシ者二人以上アルトキハ第二十三條第一項ノ例ヲ適用ス
二人以上投票同數ニシテ抽籤ニ依テ當選シタル者其ノ當選ヲ辭シタルトキハ抽籤ノ爲當選セサリシ者ヲ以テ當選人トス但シ抽籤ノ爲當選セサリシ者二人以上アルトキハ選擧掛長自ラ抽籤シテ其ノ當選ヲ定ム
第二十六條 選擧ヲ終リ當選人ノ定マリタルトキハ島司ハ直ニ當選人ニ通知シ及府縣知事ニ報吿スヘシ
當選人其ノ當選ノ通知ヲ受ケタルトキハ二十日以內ニ其ノ當選ヲ承諾スルヤ否ヲ府縣知事ニ屆出ヘシ
一人ニシテ數箇所ノ選擧ニ當リタルトキハ同期限內ニ何レノ選擧ニ應スヘキコトヲ府縣知事ニ屆出ヘシ
前二項ノ屆出ヲ其ノ期限內ニ爲ササルトキハ總テ選擧ヲ辭スル者ト視做スヘシ
第二十七條 當選人其ノ當選ヲ辭シタルトキハ府縣知事ハ更ニ選擧ヲ行ハシムヘシ
第二十八條 府縣會議員ノ選擧ニ關シテハ衆議院議員ノ選擧ニ關スル罰則ヲ適用ス
第二十九條 此ノ勅令施行ノ爲必要ナル命令ハ內務大臣之ヲ定ムヘシ
朕郡制ヲ施行セサル島嶼ヨリ選出スヘキ府県会議員ノ選挙ニ関スル件ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治三十年六月二十三日
内務大臣 伯爵 樺山資紀
勅令第二百二十七号
第一条 郡制ヲ施行セサル島嶼ニ於テハ島嶼内各郡ヲ通シテ之ヲ一選挙区トシ其ノ選出ノ府県会議員定数ハ内務大臣ノ認可ヲ得テ府県知事之ヲ定ム
第二条 帝国臣民ニシテ公権ヲ有シ且満二十五歳以上ノ男子ニシテ一戸ヲ構ヘ島嶼内ニ二年以来住居シ府県内ニ於テ一年以来直接国税年額五円以上ヲ納ムル者ハ府県会議員ノ選挙権ヲ有ス
帝国臣民ニシテ公権ヲ有シ且満二十五歳以上ノ男子ニシテ一戸ヲ構ヘ島嶼内ニ二年以来住居シ府県内ニ於テ一年以来直接国税年額十円以上ヲ納ムル者ハ府県会議員ノ被選挙権ヲ有ス
左ニ掲クル者ハ府県会議員ノ選挙権被選挙権ヲ有セス
一 治産ノ禁ヲ受ケタル者
一 公権停止中又ハ租税滞納処分中ノ者
一 家資分散若ハ破産ノ宣告ヲ受ケ未タ復権ノ決定ヲ得サル者
一 公権剥奪若ハ停止ヲ附加スヘキ重罪軽罪ノ為メ公判ニ付セラレ其ノ裁判ノ確定ニ至ラサル者
一 陸海軍ノ現役ニ服スル者又ハ現役以外ノ兵役ニ在ル者ニシテ戦時若ハ事変ニ際シ召集セラレタル者
本条ノ外府県会議員ノ選挙ニ関シテハ府県制第四条第三項乃至第五項ヲ適用ス
第三条 戸長ハ毎年九月一日ヲ期トシ其ノ現在資格ニ依リ其ノ役場管内ノ選挙人名簿二本ヲ調製シ其ノ一本ヲ十月一日マテニ島司ニ送付スヘシ
島司ハ戸長ヨリ送付シタル選挙人名簿ヲ合シ毎年十月二十日マテニ其ノ所管内ノ選挙人名簿ヲ調製スヘシ
第四条 選挙人名簿ニハ選挙人ノ氏名住所生年月並ニ直接国税年額及其ノ納税地其ノ他選挙資格ノ要件ヲ記載スヘシ
第五条 選挙人其ノ住居スル戸長役場管外ニ於テ直接国税ヲ納ムルトキハ其ノ納税地戸長又ハ市町村長ノ証明書ヲ添ヘ九月一日マテニ其ノ住居地ノ戸長ニ届出ヘシ
前項ノ届出ヲ為ササルトキハ其ノ納税額ハ選挙資格ニ算入セス
第六条 島司ハ十月二十五日ヨリ十五日間島庁ニ於テ選挙人名簿ノ写ヲ関係者ノ縦覧ニ供スヘシ
関係者ニ於テ選挙人名簿ニ関シ異議アルトキハ縦覧期限内ニ之ヲ島司ニ申立ルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ島司ハ其ノ申立ヲ受ケタル日ヨリ十日以内ニ之ヲ決定シ申立人ニ通知スヘシ島司ニ於テ修正スヘシト決定シタルトキハ選挙人名簿ヲ修正スヘシ
選挙人名簿ハ十二月二十日ヲ以テ確定期限トシ確定名簿ハ次年ノ十二月二十日マテ之ヲ据置クモノトス
確定名簿ニ登録セラレサル者ハ何人タリトモ選挙ニ干与スルコトヲ得ス
本条島司ノ決定ニ不服アル者ハ決定ヲ受ケタル日ヨリ十四日以内ニ府県参事会ニ訴願シ其ノ府県参事会ノ裁決ニ不服アル者ハ裁決ヲ受ケタル日ヨリ二十一日以内ニ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
府県参事会ノ裁決確定シ又ハ行政裁判所ノ判決アリタルニ依リ選挙人名簿ノ修正スヘキモノアルトキハ島司ニ於テ其ノ通知ヲ受ケタル時ヨリ二十四時間以内ニ之ヲ修正スヘシ
本条ニ依リ島司ニ於テ選挙人名簿ヲ修正シタルトキハ其ノ要領ヲ公告シ且本人住居地ノ戸長ニ通知スヘシ
第七条 選挙ノ効力ニ関スル訴願ノ裁決確定シ又ハ訴訟ノ判決アリタルニ依リ選挙人名簿ノ無効ト為リタルトキハ前選挙人名簿ニ記載スヘキ選挙人資格ニ依リ府県知事ノ指定シタル期日マテニ新ニ名簿ヲ調製スヘキモノトス其ノ縦覧修正ニ関スル期限等ハ総テ前条ノ例ヲ準用ス
第八条 府県会議員ノ選挙ハ島司之ヲ管理スヘシ
第九条 府県知事ハ投票ヲ行フヘキ日ヨリ少クトモ三十日前其ノ日時ヲ告示スヘシ
天災若ハ其ノ他ノ事故ニ依リ更ニ投票ヲ行フ場合ニ於テハ府県知事ハ島司ヲシテ其ノ日時ヲ定メ之ヲ告示セシムヘシ
島嶼内交通不便ノ地ニ対シテハ府県知事ハ島司ヲシテ適宜投票ノ期日ヲ変更セシムルコトヲ得
第十条 戸長役場所轄区域ヲ以テ投票所区域ト為ス
投票所ハ戸長役場又ハ戸長ノ指定シタル場所ニ於テ之ヲ設ケ戸長其ノ事務ヲ管理スヘシ
島司ハ事情ニ依リ数戸長役場区域ヲ以テ一投票所区域ト為スコトヲ得此ノ場合ニ於テハ島司ハ投票所並投票所管理ノ戸長ヲモ指定スヘシ
第十一条 戸長ハ其ノ管理スル投票区域内ニ於ケル選挙人中ヨリ立会人二名以上五名以下ヲ選任スヘシ
第十二条 選挙人ノ外何人タリトモ投票所ニ入ルコトヲ得ス
選挙人ハ投票所ニ於テ協議又ハ勧誘ヲ為スコトヲ得ス
第十三条 選挙ハ投票ヲ以テ之ヲ行フ
投票ハ選挙人名簿ノ対照ヲ経テ選挙人自ラ投票函ニ投入スヘシ
投票ニハ選挙人自ラ投票所ニ於テ被選挙人ノ氏名ヲ記シ次ニ自己ノ氏名及住所ヲ記シテ捺印スヘシ
第十四条 選挙人ニシテ文字ヲ書スルコト能ハサル由ヲ申立ルトキハ戸長ハ吏員ヲシテ代書セシメ之ヲ本人ニ読ミ聞カセ捺印投票セシメ其ノ由ヲ投票録ニ記載スヘシ
第十五条 戸長ハ投票録ヲ製シ投票ニ関スル顛末ヲ記録シ立会人ト共ニ之ニ署名捺印スヘシ
第十六条 投票ヲ終リタルトキハ戸長ハ一名ノ立会人ト共ニ投票函及投票録ヲ選挙会場ニ護送スヘシ
第十七条 選挙会ハ島庁又ハ島司ノ指定シタル場所ニ於テ之ヲ設ク
第十八条 島司ハ各投票所ヨリ参会シタル立会人ノ中ヨリ抽籤ヲ以テ選挙掛三名以上七名以下ヲ定ムヘシ
第十九条 島司ハ選挙掛長ト為リ投票函ノ総テ送達シタル翌日選挙掛立会ノ上投票函ヲ開キ投票ノ総数ト投票人ノ総数トヲ計算スヘシ若シ投票ト投票人トノ総数ニ差異ヲ生シタルトキハ其ノ由ヲ選挙録ニ記載スヘシ
前項ノ計算終リタルトキハ選挙掛長ハ選挙掛ト共ニ投票ヲ点検スヘシ
第二十条 選挙人ハ選挙会ニ参観ヲ求ムルコトヲ得
第二十一条 投票ニ記載シタル人員其ノ選挙スヘキ定数ニ過キ又ハ不足アルモ其ノ投票ヲ無効トセス其ノ定数ニ過クルモノハ末尾ニ記載シタル人名ヲ順次ニ棄却スヘシ
左ノ投票ハ之ヲ無効トス
一 被選挙人ノ氏名読ミ難キモノ
二 被選挙人ノ何人タルヲ確認シ難キモノ
三 被選挙権ナキ者ノ氏名ヲ記載スルモノ
以上三種ノ投票中他ニ列記ノ被選挙人ニ付テハ仍其ノ効アルモノトス
四 選挙人被選挙人ノ氏名ヲ記載セサルモノ
五 選挙人ノ氏名読ミ難キモノ
六 選挙人ノ何人タルヲ確認シ難キモノ
七 選挙人名簿ニ記載ナキ者ノ投票
八 第十三条第三項ニ規定シタル外他事ヲ記入スルモノ但シ爵位職業身分住所又ハ敬称ノ類ヲ記入スルモノハ無効ト為ス限ニアラス
九 投票用紙ヲ一定シタル場合ニ於テ其ノ用紙ヲ用井サルモノ
第二十二条 投票ノ効力ニ関スル事項ハ選挙掛之ヲ議決ス可否同数ナルトキハ選挙掛長之ヲ決ス
第二十三条 議員ノ選挙ハ有効投票ノ多数ヲ得タル者ヲ以テ当選トス投票ノ数相同シキトキハ年長者ヲ取リ同年月ナルトキハ選挙掛長自ラ抽籤シテ其ノ当選ヲ定ム
同時ニ補闕員数名ヲ選挙スルトキハ投票数ノ多キ者ヲ以テ残任期ノ長キ前任者ノ補闕ト為シ投票ノ数相同キトキハ選挙掛長自ラ抽籤シテ其ノ順序ヲ定ム
第二十四条 選挙掛ハ選挙録ヲ製シテ選挙ノ顛末ヲ記録シ之ニ署名捺印シ選挙人名簿投票録其ノ他関係書類ト共ニ少クトモ四年間之ヲ保存スヘシ
投票ハ之ヲ選挙録ニ附属シ選挙ノ効力確定スルニ至ルマテ之ヲ保存スヘシ
第二十五条 二人以上投票同数ニシテ年長ニ依テ当選シタル者其ノ当選ヲ辞シタルトキハ年少ニ依テ当選セサリシ者ヲ以テ当選人トス但シ年少ニ依テ当選セサリシ者二人以上アルトキハ第二十三条第一項ノ例ヲ適用ス
二人以上投票同数ニシテ抽籤ニ依テ当選シタル者其ノ当選ヲ辞シタルトキハ抽籤ノ為当選セサリシ者ヲ以テ当選人トス但シ抽籤ノ為当選セサリシ者二人以上アルトキハ選挙掛長自ラ抽籤シテ其ノ当選ヲ定ム
第二十六条 選挙ヲ終リ当選人ノ定マリタルトキハ島司ハ直ニ当選人ニ通知シ及府県知事ニ報告スヘシ
当選人其ノ当選ノ通知ヲ受ケタルトキハ二十日以内ニ其ノ当選ヲ承諾スルヤ否ヲ府県知事ニ届出ヘシ
一人ニシテ数箇所ノ選挙ニ当リタルトキハ同期限内ニ何レノ選挙ニ応スヘキコトヲ府県知事ニ届出ヘシ
前二項ノ届出ヲ其ノ期限内ニ為ササルトキハ総テ選挙ヲ辞スル者ト視做スヘシ
第二十七条 当選人其ノ当選ヲ辞シタルトキハ府県知事ハ更ニ選挙ヲ行ハシムヘシ
第二十八条 府県会議員ノ選挙ニ関シテハ衆議院議員ノ選挙ニ関スル罰則ヲ適用ス
第二十九条 此ノ勅令施行ノ為必要ナル命令ハ内務大臣之ヲ定ムヘシ