重要輸出品同業組合法
法令番号: 法律第四十七號
公布年月日: 明治30年4月12日
法令の形式: 法律
朕帝國議會ノ協贊ヲ經タル重要輸出品同業組合法ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治三十年四月六日
內閣總理大臣 伯爵 松方正義
農商務大臣 伯爵 大隈重信
法律第四十七號
重要輸出品同業組合法
第一條 重要輸出品ノ生產、製造又ハ販賣ニ關スル營業ヲ爲ス者ハ同業者又ハ密接ノ關係ヲ有スル營業者相集リテ本法ニ依リ同業組合ヲ設置スルコトヲ得
重要輸出品及密接ノ關係ヲ有スル營業ノ種類ハ農商務大臣ノ認定ニ依ル
第二條 同業組合ハ組合員協同一致シテ營業上ノ弊害ヲ矯正シ信用ヲ保持スルヲ以テ目的ト爲スヘシ
第三條 同業組合ヲ設置セムトスルトキハ豫メ地區ヲ定メ其ノ地區內ノ同業者五分ノ四以上ノ同意ヲ得テ創立總會ヲ開キ定款ヲ議定シ農商務大臣ノ認可ヲ受クヘシ但シ二種以上ノ營業者相集リ組合ヲ設置セムトスルトキハ各種營業每ニ五分ノ四以上ノ同意ヲ要ス
農商務大臣ハ必要ト認ムルトキハ地區ノ範圍及組合ニ加入スヘキ營業ノ種類ヲ指定シ若ハ其ノ變更ヲ命スルコトヲ得
第四條 同業組合設置ノ地區內ニ於テ組合員ト同一ノ業ヲ營ム者ハ其ノ組合ニ加入スヘシ但シ營業上特別ノ情況ニ依リ農商務大臣ニ於テ加入ノ必要ナシト認ムル者ハ此ノ限ニ在ラス
第五條 同業組合ハ法人トシテ財產ヲ所有シ及訴訟上原吿又ハ被吿ト爲ルコトヲ得
同業組合ハ營利事業ヲ爲スコトヲ得ス
第六條 同業組合ハ組合相互ノ氣脈ヲ通シ其ノ目的ヲ達スル爲同業組合聯合會ヲ設置スルコトヲ得
同業組合聯合會ヲ設置セムトスルトキハ其ノ創立總會ヲ開キ定款ヲ議定シ農商務大臣ノ認可ヲ受クヘシ
第七條 同業組合及同業組合聯合會ノ定款ノ變更ハ各其ノ定款ノ規定ニ從ヒ之ヲ議定シ農商務大臣ノ認可ヲ受クヘシ
第八條 同業組合及同業組合聯合會ハ諸般ノ事務ヲ處理スル爲左ノ役員ヲ置クヘシ
一 組長 一名
一 副組長 一名
一 評議員 若干名
役員ハ組合員中ヨリ選擧シ農商務大臣ノ認可ヲ受クヘシ
第九條 同業組合又ハ同業組合聯合會ハ各其ノ定款ニ於テ檢査規程ヲ設ケ組合員ノ營業品ヲ檢査スルコトヲ得
農商務大臣ハ必要ト認ムルトキ檢査規程ヲ設ケシムルコトヲ得
第十條 同業組合又ハ同業組合聯合會ニ於テ違約者ニ對シ過怠金ヲ徵スルノ必要アルトキハ定款ニ於テ之ヲ定ムヘシ
第十一條 同業組合及同業組合聯合會ノ經費ノ豫算竝ニ徵收法ハ各其ノ定款ノ規程ニ從ヒ之ヲ議定シ農商務大臣ノ認可ヲ受クヘシ
經費ノ決算貸借對照表及業務成蹟ハ每年少クトモ一囘組合員ニ公示シ農商務大臣ニ報吿スヘシ
第十二條 同業組合及同業組合聯合會ハ其ノ業務ニ關シ行政廳ニ建議スルコトヲ得又主務官廳ノ諮問アルトキハ調査報吿ヲ爲スヘシ
第十三條 同業組合及同業組合聯合會ハ農商務大臣ノ命シタル官吏ノ臨檢ヲ拒ムコトヲ得ス又其ノ質問ニ對シ確實ニ答辯スヘキモノトス
第十四條 農商務大臣ハ公益上必要ト認ムルトキハ同業組合及同業組合聯合會ヲ設ケシムルコトヲ得
第十五條 農商務大臣ハ同業組合及同業組合聯合會又ハ其ノ役員ノ行爲若ハ同業組合會議及同業組合聯合會會議ノ決議ニシテ法律命令ニ違背シタルトキ又ハ公益ヲ害シ若ハ同業組合及同業組合聯合會ノ目的ニ違背スルモノト認ムルトキ又ハ此ノ法律ニ依リ農商務大臣ノ命スル事項ヲ執行セサルトキハ左ノ處分ヲ爲スコトヲ得
一 同業組合及同業組合聯合會ノ解散又ハ其ノ業務ノ停止
二 役員ノ全部又ハ一部ノ改選
三 決議ノ取消
第十六條 同業組合及同業組合聯合會解散ヲ爲サムトスルトキハ其ノ事由ヲ具シ農商務大臣ノ認可ヲ受クヘシ
第十七條 第四條第十三條ノ規程ニ違背シタル者ハ二圓以上百圓以下ノ過料ニ處ス
過料ハ同業組合及同業組合聯合會ノ所在地ヲ管轄スル區裁判所ノ命令ヲ以テ之ヲ科ス但シ其ノ命令ニ對シテハ卽時抗吿ヲ爲スコトヲ得
過料ハ檢事ノ命令ニ依リ之ヲ徵收ス其ノ徵收ニ付テハ民事訴訟法第六編ノ規程ヲ準用ス但シ此ノ場合ニ於ケル檢事ノ命令ハ執行文ノ效力ヲ有ス
第十八條 同業組合若ハ同業組合聯合會ノ檢査證ヲ營業品ニ僞リテ附シタル者又ハ僞造若ハ摸造ノ檢査證ヲ營業品ニ附シタル者ハ十五日以上六月以下ノ重禁錮又ハ十圓以上百圓以下ノ罰金ニ處ス
附 則
第十九條 輸出ニ屬セサル物品ト雖同業者ニ於テ必要ト認ムルトキハ仍本法ヲ準用スルコトヲ得
朕帝国議会ノ協賛ヲ経タル重要輸出品同業組合法ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治三十年四月六日
内閣総理大臣 伯爵 松方正義
農商務大臣 伯爵 大隈重信
法律第四十七号
重要輸出品同業組合法
第一条 重要輸出品ノ生産、製造又ハ販売ニ関スル営業ヲ為ス者ハ同業者又ハ密接ノ関係ヲ有スル営業者相集リテ本法ニ依リ同業組合ヲ設置スルコトヲ得
重要輸出品及密接ノ関係ヲ有スル営業ノ種類ハ農商務大臣ノ認定ニ依ル
第二条 同業組合ハ組合員協同一致シテ営業上ノ弊害ヲ矯正シ信用ヲ保持スルヲ以テ目的ト為スヘシ
第三条 同業組合ヲ設置セムトスルトキハ予メ地区ヲ定メ其ノ地区内ノ同業者五分ノ四以上ノ同意ヲ得テ創立総会ヲ開キ定款ヲ議定シ農商務大臣ノ認可ヲ受クヘシ但シ二種以上ノ営業者相集リ組合ヲ設置セムトスルトキハ各種営業毎ニ五分ノ四以上ノ同意ヲ要ス
農商務大臣ハ必要ト認ムルトキハ地区ノ範囲及組合ニ加入スヘキ営業ノ種類ヲ指定シ若ハ其ノ変更ヲ命スルコトヲ得
第四条 同業組合設置ノ地区内ニ於テ組合員ト同一ノ業ヲ営ム者ハ其ノ組合ニ加入スヘシ但シ営業上特別ノ情況ニ依リ農商務大臣ニ於テ加入ノ必要ナシト認ムル者ハ此ノ限ニ在ラス
第五条 同業組合ハ法人トシテ財産ヲ所有シ及訴訟上原告又ハ被告ト為ルコトヲ得
同業組合ハ営利事業ヲ為スコトヲ得ス
第六条 同業組合ハ組合相互ノ気脈ヲ通シ其ノ目的ヲ達スル為同業組合連合会ヲ設置スルコトヲ得
同業組合連合会ヲ設置セムトスルトキハ其ノ創立総会ヲ開キ定款ヲ議定シ農商務大臣ノ認可ヲ受クヘシ
第七条 同業組合及同業組合連合会ノ定款ノ変更ハ各其ノ定款ノ規定ニ従ヒ之ヲ議定シ農商務大臣ノ認可ヲ受クヘシ
第八条 同業組合及同業組合連合会ハ諸般ノ事務ヲ処理スル為左ノ役員ヲ置クヘシ
一 組長 一名
一 副組長 一名
一 評議員 若干名
役員ハ組合員中ヨリ選挙シ農商務大臣ノ認可ヲ受クヘシ
第九条 同業組合又ハ同業組合連合会ハ各其ノ定款ニ於テ検査規程ヲ設ケ組合員ノ営業品ヲ検査スルコトヲ得
農商務大臣ハ必要ト認ムルトキ検査規程ヲ設ケシムルコトヲ得
第十条 同業組合又ハ同業組合連合会ニ於テ違約者ニ対シ過怠金ヲ徴スルノ必要アルトキハ定款ニ於テ之ヲ定ムヘシ
第十一条 同業組合及同業組合連合会ノ経費ノ予算並ニ徴収法ハ各其ノ定款ノ規程ニ従ヒ之ヲ議定シ農商務大臣ノ認可ヲ受クヘシ
経費ノ決算貸借対照表及業務成蹟ハ毎年少クトモ一回組合員ニ公示シ農商務大臣ニ報告スヘシ
第十二条 同業組合及同業組合連合会ハ其ノ業務ニ関シ行政庁ニ建議スルコトヲ得又主務官庁ノ諮問アルトキハ調査報告ヲ為スヘシ
第十三条 同業組合及同業組合連合会ハ農商務大臣ノ命シタル官吏ノ臨検ヲ拒ムコトヲ得ス又其ノ質問ニ対シ確実ニ答弁スヘキモノトス
第十四条 農商務大臣ハ公益上必要ト認ムルトキハ同業組合及同業組合連合会ヲ設ケシムルコトヲ得
第十五条 農商務大臣ハ同業組合及同業組合連合会又ハ其ノ役員ノ行為若ハ同業組合会議及同業組合連合会会議ノ決議ニシテ法律命令ニ違背シタルトキ又ハ公益ヲ害シ若ハ同業組合及同業組合連合会ノ目的ニ違背スルモノト認ムルトキ又ハ此ノ法律ニ依リ農商務大臣ノ命スル事項ヲ執行セサルトキハ左ノ処分ヲ為スコトヲ得
一 同業組合及同業組合連合会ノ解散又ハ其ノ業務ノ停止
二 役員ノ全部又ハ一部ノ改選
三 決議ノ取消
第十六条 同業組合及同業組合連合会解散ヲ為サムトスルトキハ其ノ事由ヲ具シ農商務大臣ノ認可ヲ受クヘシ
第十七条 第四条第十三条ノ規程ニ違背シタル者ハ二円以上百円以下ノ過料ニ処ス
過料ハ同業組合及同業組合連合会ノ所在地ヲ管轄スル区裁判所ノ命令ヲ以テ之ヲ科ス但シ其ノ命令ニ対シテハ即時抗告ヲ為スコトヲ得
過料ハ検事ノ命令ニ依リ之ヲ徴収ス其ノ徴収ニ付テハ民事訴訟法第六編ノ規程ヲ準用ス但シ此ノ場合ニ於ケル検事ノ命令ハ執行文ノ効力ヲ有ス
第十八条 同業組合若ハ同業組合連合会ノ検査証ヲ営業品ニ偽リテ附シタル者又ハ偽造若ハ摸造ノ検査証ヲ営業品ニ附シタル者ハ十五日以上六月以下ノ重禁錮又ハ十円以上百円以下ノ罰金ニ処ス
附 則
第十九条 輸出ニ属セサル物品ト雖同業者ニ於テ必要ト認ムルトキハ仍本法ヲ準用スルコトヲ得