(新聞紙条例中改正法律)
法令番号: 法律第9号
公布年月日: 明治30年3月24日
法令の形式: 法律

改正対象法令

提案理由 (AIによる要約)

新聞紙条例の改正案は、言論の自由を尊重しつつ、禁止と停止に関する規定を見直すものである。禁止については行政処分ではなく裁判の結果として行われることとし、停止については茫漠とした規定を除き、制裁規定のある条項に対する告発時のみ可能とした。これにより、従来の停止制度とは趣旨を異にする。また、裁判所で罪に問われない事案には停止措置を適用できず、通常の政治的言論には停止を行わないため、濫用の懸念はない。長年の検討を経て作成された本改正案は、これらの変更点を踏まえて理解されることを期待する。

参照した発言:
第10回帝国議会 衆議院 本会議 第2号

審議経過

第10回帝国議会

衆議院
(明治30年1月8日)
(明治30年2月26日)
(明治30年2月27日)
貴族院
(明治30年3月4日)
(明治30年3月17日)
朕帝國議會ノ協贊ヲ經タル新聞紙條例中改正法律ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治三十年三月十九日
內閣總理大臣 伯爵 松方正義
拓殖務大臣 子爵 高島鞆之助
內務大臣 伯爵 樺山資紀
法律第九號
新聞紙條例中左ノ通改正ス
第十九條 削除
第二十條 削除
第二十二條 外務大臣陸軍大臣海軍大臣ハ特ニ命令ヲ發シテ外交又ハ軍事ニ關スル事項ノ記載ヲ禁スルコトヲ得
第二十三條 第二十二條第三十二條及第三十三條ニ關シ吿發ヲ爲ストキハ內務大臣又ハ拓殖務大臣ハ其新聞紙ノ發賣頒布ヲ停止シ假ニ之ヲ差押ヘ其吿發ニ係ル論說又ハ事項ト同一主旨ノ論說又ハ事項ノ記載ヲ停止スルコトヲ得
裁判所ハ犯罪ノ情狀ニ依リ第二十二條ノ禁令ヲ犯シ又ハ第三十二條及第三十三條ヲ犯シタル新聞紙ノ發行ヲ禁止スルコトヲ得
第二十四條中「裁判官」ヲ「裁判所」ト改ム
第三十條中「第二十一條ニ違ヒ」ヲ「第二十一條ノ禁令ヲ犯シ」ト改ム
第三十一條中「第二十二條ニ違フ」ヲ「第二十二條ノ禁令ヲ犯シタル」ト改ム
第三十一條ノ次ニ左ノ一條ヲ追加ス
第三十一條ノ二 第二十三條ノ停止ヲ犯ストキハ發行人編輯人ヲ二十圓以上五百圓以下ノ罰金ニ處ス
第三十二條 皇室ノ尊嚴ヲ冒瀆シ政體ヲ變壞シ又ハ朝憲ヲ紊亂セントスルノ論說ヲ記載シタルトキハ發行人編輯人印刷人ヲ二月以上二年以下ノ輕禁錮ニ處シ五十圓以上三百圓以下ノ罰金ヲ附加ス
本條ヲ犯シタル者ハ其犯罪ノ用ニ供シタル器械ヲ沒收ス
第三十三條 社會ノ秩序又ハ風俗ヲ壞亂スル事項ヲ記載シタルトキハ發行人編輯人ヲ一月以上六月以下ノ輕禁錮又ハ二十圓以上三百圓以下ノ罰金ニ處ス
朕帝国議会ノ協賛ヲ経タル新聞紙条例中改正法律ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治三十年三月十九日
内閣総理大臣 伯爵 松方正義
拓殖務大臣 子爵 高島鞆之助
内務大臣 伯爵 樺山資紀
法律第九号
新聞紙条例中左ノ通改正ス
第十九条 削除
第二十条 削除
第二十二条 外務大臣陸軍大臣海軍大臣ハ特ニ命令ヲ発シテ外交又ハ軍事ニ関スル事項ノ記載ヲ禁スルコトヲ得
第二十三条 第二十二条第三十二条及第三十三条ニ関シ告発ヲ為ストキハ内務大臣又ハ拓殖務大臣ハ其新聞紙ノ発売頒布ヲ停止シ仮ニ之ヲ差押ヘ其告発ニ係ル論説又ハ事項ト同一主旨ノ論説又ハ事項ノ記載ヲ停止スルコトヲ得
裁判所ハ犯罪ノ情状ニ依リ第二十二条ノ禁令ヲ犯シ又ハ第三十二条及第三十三条ヲ犯シタル新聞紙ノ発行ヲ禁止スルコトヲ得
第二十四条中「裁判官」ヲ「裁判所」ト改ム
第三十条中「第二十一条ニ違ヒ」ヲ「第二十一条ノ禁令ヲ犯シ」ト改ム
第三十一条中「第二十二条ニ違フ」ヲ「第二十二条ノ禁令ヲ犯シタル」ト改ム
第三十一条ノ次ニ左ノ一条ヲ追加ス
第三十一条ノ二 第二十三条ノ停止ヲ犯ストキハ発行人編輯人ヲ二十円以上五百円以下ノ罰金ニ処ス
第三十二条 皇室ノ尊厳ヲ冒涜シ政体ヲ変壊シ又ハ朝憲ヲ紊乱セントスルノ論説ヲ記載シタルトキハ発行人編輯人印刷人ヲ二月以上二年以下ノ軽禁錮ニ処シ五十円以上三百円以下ノ罰金ヲ附加ス
本条ヲ犯シタル者ハ其犯罪ノ用ニ供シタル器械ヲ没収ス
第三十三条 社会ノ秩序又ハ風俗ヲ壊乱スル事項ヲ記載シタルトキハ発行人編輯人ヲ一月以上六月以下ノ軽禁錮又ハ二十円以上三百円以下ノ罰金ニ処ス