砲兵方面条例
法令番号: 勅令第百十四號
公布年月日: 明治29年4月1日
法令の形式: 勅令
朕砲兵方面條例改正ノ件ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治二十九年四月一日
陸軍大臣 侯爵 大山巖
勅令第百十四號
砲兵方面條例
第一條 砲兵方面ハ陸軍大臣ノ管理ニ屬シ陸軍所要ノ兵器彈藥ノ購買貯藏保存修理支給交換及要塞備砲其ノ他之ニ關スル砲兵事業ヲ掌ル所トス
第二條 砲兵方面ハ第一方面第二方面第三方面トス第一方面ハ本署ヲ東京ニ置キ近衞、第一、第二、第七及第八師管ヲ管轄シ第二方面ハ本署ヲ大阪ニ置キ第三、第四、第九及第十師管ヲ管轄シ第三方面ハ本署ヲ門司ニ置キ第五、第六、第十一及第十二師管ヲ管轄ス
第三條 師團司令部竝要塞所在ノ地ニ砲兵方面支署ヲ置キ其ノ他樞要ナル衞戍地ニ武庫ヲ置ク但武庫ハ支署ノ管轄トス
支署ハ三等ニ區分シ其ノ新設及等位竝武庫ノ新設ハ陸軍大臣之ヲ定ム
第四條 砲兵方面本署支署ニ左ノ職員ヲ置ク
本署
本署長 砲兵大中佐
署員 砲兵少佐大中尉
軍吏
支署
支署長 砲兵中少佐大尉
署員 砲兵大中尉
軍吏
第五條 前條ニ揭クル職員ノ外本、支署ニ砲兵上等監護砲兵科下士軍吏部下士及要塞所在地支署ニ技手ヲ置キ武庫ニ砲兵科下士ヲ置ク但シ支署及武庫附下士ニ在テハ所在地隊附下士ヲシテ其業務ヲ兼ネシムルコトヲ得
第六條 本署長ハ陸軍大臣ニ隸シ砲兵方面ノ事務ヲ總理シ管掌ノ事項ニ就テハ其ノ責ニ任シ且ツ所管要塞ノ新設若クハ補修ニ關スル砲兵事業ノ調査ニ任ス
第七條 支署長ハ本署長ニ屬シ砲兵方面ノ事務ヲ分擔シ管掌ノ事項ニ就テハ其ノ責ニ任シ且ツ所在地砲兵工廠派出所ノ事業ヲ管掌ス
師團及要塞ノ兵器彈藥ノ事ニ就テハ當該師團長及要塞司令官ノ命ヲ受ク
第八條 署員及軍吏ハ本、支署長ノ命ヲ受ケ各事務ヲ分擔シ其ノ責ニ任ス
第九條 武庫附下士ハ支署長ノ統轄ニ屬スト雖モ其職務ニ就テハ尙ホ所在地衞戍司令官ノ監督ヲ受ク
第十條 砲兵方面保管ノ兵器彈藥ハ之ヲ分テ本須及支須トシ本署支署武庫ニ分配貯藏ス
第十一條 砲兵方面保管ノ兵器彈藥庫ニハ衞兵ヲ置キ尙ホ下士又ハ定番人ヲ置クコトヲ得但シ場地ノ便宜ニ依リ衞兵ヲ要セサルトキハ本署長ノ上申ニ依リ陸軍大臣之ヲ定ム
新ニ衞兵ヲ置クトキハ本署長又ハ支署長ヨリ該地衞戍司令官ニ請求スルモノトス
要塞備付ノ兵器彈藥ハ砲臺監守ヲシテ之ヲ監守セシム
第十二條 兵器彈藥庫附近ノ地ニ騷擾警戒ノ事アレハ本署長又ハ支署長ヨリ該地衞戍司令官ニ牒吿シ守衞ヲ嚴ニスヘシ
附 則
第十三條 當分ノ內藝豫要塞ノ新設若クハ補修ニ關スル砲兵事業ノ調査ハ特ニ砲兵第二方面本署長ノ任トシ且ツ當該支署ハ同方面ノ管轄ニ屬ス
第十四條 明治三十年三月盡日迄ハ第二條ニ揭クル管轄區域ニ拘ハラス名古屋支署ハ砲兵第一方面ノ管轄ニ屬シ廣島、下ノ關、熊本及對馬支署ハ砲兵第二方面ノ管轄ニ屬ス
第十五條 要塞司令部設置ニ至ル迄本署長及支署長ハ其ノ所管要塞ノ防務ニ參與セシムルコトアリ
朕砲兵方面条例改正ノ件ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治二十九年四月一日
陸軍大臣 侯爵 大山巌
勅令第百十四号
砲兵方面条例
第一条 砲兵方面ハ陸軍大臣ノ管理ニ属シ陸軍所要ノ兵器弾薬ノ購買貯蔵保存修理支給交換及要塞備砲其ノ他之ニ関スル砲兵事業ヲ掌ル所トス
第二条 砲兵方面ハ第一方面第二方面第三方面トス第一方面ハ本署ヲ東京ニ置キ近衛、第一、第二、第七及第八師管ヲ管轄シ第二方面ハ本署ヲ大阪ニ置キ第三、第四、第九及第十師管ヲ管轄シ第三方面ハ本署ヲ門司ニ置キ第五、第六、第十一及第十二師管ヲ管轄ス
第三条 師団司令部並要塞所在ノ地ニ砲兵方面支署ヲ置キ其ノ他枢要ナル衛戍地ニ武庫ヲ置ク但武庫ハ支署ノ管轄トス
支署ハ三等ニ区分シ其ノ新設及等位並武庫ノ新設ハ陸軍大臣之ヲ定ム
第四条 砲兵方面本署支署ニ左ノ職員ヲ置ク
本署
本署長 砲兵大中佐
署員 砲兵少佐大中尉
軍吏
支署
支署長 砲兵中少佐大尉
署員 砲兵大中尉
軍吏
第五条 前条ニ掲クル職員ノ外本、支署ニ砲兵上等監護砲兵科下士軍吏部下士及要塞所在地支署ニ技手ヲ置キ武庫ニ砲兵科下士ヲ置ク但シ支署及武庫附下士ニ在テハ所在地隊附下士ヲシテ其業務ヲ兼ネシムルコトヲ得
第六条 本署長ハ陸軍大臣ニ隷シ砲兵方面ノ事務ヲ総理シ管掌ノ事項ニ就テハ其ノ責ニ任シ且ツ所管要塞ノ新設若クハ補修ニ関スル砲兵事業ノ調査ニ任ス
第七条 支署長ハ本署長ニ属シ砲兵方面ノ事務ヲ分担シ管掌ノ事項ニ就テハ其ノ責ニ任シ且ツ所在地砲兵工廠派出所ノ事業ヲ管掌ス
師団及要塞ノ兵器弾薬ノ事ニ就テハ当該師団長及要塞司令官ノ命ヲ受ク
第八条 署員及軍吏ハ本、支署長ノ命ヲ受ケ各事務ヲ分担シ其ノ責ニ任ス
第九条 武庫附下士ハ支署長ノ統轄ニ属スト雖モ其職務ニ就テハ尚ホ所在地衛戍司令官ノ監督ヲ受ク
第十条 砲兵方面保管ノ兵器弾薬ハ之ヲ分テ本須及支須トシ本署支署武庫ニ分配貯蔵ス
第十一条 砲兵方面保管ノ兵器弾薬庫ニハ衛兵ヲ置キ尚ホ下士又ハ定番人ヲ置クコトヲ得但シ場地ノ便宜ニ依リ衛兵ヲ要セサルトキハ本署長ノ上申ニ依リ陸軍大臣之ヲ定ム
新ニ衛兵ヲ置クトキハ本署長又ハ支署長ヨリ該地衛戍司令官ニ請求スルモノトス
要塞備付ノ兵器弾薬ハ砲台監守ヲシテ之ヲ監守セシム
第十二条 兵器弾薬庫附近ノ地ニ騒擾警戒ノ事アレハ本署長又ハ支署長ヨリ該地衛戍司令官ニ牒告シ守衛ヲ厳ニスヘシ
附 則
第十三条 当分ノ内芸予要塞ノ新設若クハ補修ニ関スル砲兵事業ノ調査ハ特ニ砲兵第二方面本署長ノ任トシ且ツ当該支署ハ同方面ノ管轄ニ属ス
第十四条 明治三十年三月尽日迄ハ第二条ニ掲クル管轄区域ニ拘ハラス名古屋支署ハ砲兵第一方面ノ管轄ニ属シ広島、下ノ関、熊本及対馬支署ハ砲兵第二方面ノ管轄ニ属ス
第十五条 要塞司令部設置ニ至ル迄本署長及支署長ハ其ノ所管要塞ノ防務ニ参与セシムルコトアリ