(貯蓄銀行条例中改正法律)
法令番号: 法律第17号
公布年月日: 明治28年3月16日
法令の形式: 法律

改正対象法令

提案理由 (AIによる要約)

現行の貯蓄銀行条例では、貯蓄払戻の保証として資本金の半額を公債証書で供託することが定められているが、この規定には問題がある。例えば資本金10万円の銀行で300万円の預金がある場合、5万円の保証では不十分である。また、この規定により資本金を大きくできず、多くの貯蓄銀行が3万円程度の小規模な資本金に留まっている。さらに、資金運用が国債・地方債証券関連に限定されているため、全国300か所あった貯蓄銀行が20か所まで減少した。そこで、保証額を預金額に応じて定めることとし、資金運用の範囲も拡大する。また、預金者保護のため、供託物に対する預金者の先取特権を規定する。

参照した発言:
第8回帝国議会 衆議院 本会議 第9号

審議経過

第8回帝国議会

衆議院
(明治28年1月16日)
(明治28年2月7日)
(明治28年2月9日)
貴族院
(明治28年2月15日)
(明治28年3月2日)
朕帝國議會ノ協贊ヲ經タル明治二十三年法律第七十三號貯蓄銀行條例中改正法律ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治二十八年三月十三日
內閣總理大臣 伯爵 伊藤博文
大藏大臣 渡邊國武
法律第十七號
明治二十三年法律第七十三號貯蓄銀行條例第三條第四條第五條第六條左ノ通改正ス
第三條 貯蓄銀行ノ取締役ハ在任中ニ生シタル銀行ノ義務ニ付連帶無限ノ責任ヲ負フモノトス
但其責任ハ退任後二箇年ノ滿了ニ因リテ消滅ス
第四條 貯蓄銀行ハ貯蓄預金拂戾ノ擔保トシテ預金總高ノ四分ノ一ヨリ少ナカラサル金額ヲ利付國債證券又ハ地方債證券ニテ備ヘ置キ之ヲ供託所ニ預ケ入ルヘシ
但擔保金額カ資本金半額以上ニ及フトキハ商業手形及確實ナル會社ノ債券又ハ株券等ヲ用井ルコトヲ得
第五條 前條ノ金額ハ每半箇年末日現在ノ預金高ニ依リ之ヲ定ム
第六條 預ケ人ハ第四條ノ供託諸證券ニ就キ優先權ヲ有ス
朕帝国議会ノ協賛ヲ経タル明治二十三年法律第七十三号貯蓄銀行条例中改正法律ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治二十八年三月十三日
内閣総理大臣 伯爵 伊藤博文
大蔵大臣 渡辺国武
法律第十七号
明治二十三年法律第七十三号貯蓄銀行条例第三条第四条第五条第六条左ノ通改正ス
第三条 貯蓄銀行ノ取締役ハ在任中ニ生シタル銀行ノ義務ニ付連帯無限ノ責任ヲ負フモノトス
但其責任ハ退任後二箇年ノ満了ニ因リテ消滅ス
第四条 貯蓄銀行ハ貯蓄預金払戻ノ担保トシテ預金総高ノ四分ノ一ヨリ少ナカラサル金額ヲ利付国債証券又ハ地方債証券ニテ備ヘ置キ之ヲ供託所ニ預ケ入ルヘシ
但担保金額カ資本金半額以上ニ及フトキハ商業手形及確実ナル会社ノ債券又ハ株券等ヲ用井ルコトヲ得
第五条 前条ノ金額ハ毎半箇年末日現在ノ預金高ニ依リ之ヲ定ム
第六条 預ケ人ハ第四条ノ供託諸証券ニ就キ優先権ヲ有ス