外交官及領事官試験規則
法令番号: 勅令第二百十三號
公布年月日: 明治26年11月24日
法令の形式: 勅令
朕外交官及領事官試驗規則ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治二十六年十一月二十二日
內閣總理大臣 伯爵 伊藤博文
外務大臣 陸奧宗光
勅令第二百十三號
外交官及領事官試驗規則
第一條 外交官及領事官試驗ハ須要ニ應シ外務省ニ於テ外交官及領事官試驗委員之ヲ行フ
第二條 外交官及領事官試驗ヲ行フヘキ期日ハ豫メ官報ヲ以テ之ヲ公吿ス
第三條 年齡滿二十年以上ノ男子ニシテ左ノ諸項ノ一ニ該當セサル者ハ外交官及領事官試驗ヲ受クルコトヲ得
一 重罪ヲ犯シタル者但國事犯ニシテ復權シタル者ハ此ノ限ニアラス
二 定役ニ服スヘキ輕罪ヲ犯シタル者
三 破產若クハ家資分散ノ宣吿ヲ受ケ復權セサル者又ハ身代限ノ處分ヲ受ケ債務ノ辨償ヲ終ヘサル者
第四條 外交官及領事官試驗ヲ受ケント欲スル者ハ其ノ出願書ニ履歷書及論文竝ニ之ヲ英文、佛文又ハ獨逸文ニ飜譯シタルモノヲ添ヘ之ヲ試驗委員ニ差出スヘシ
前項ノ書類ハ總テ出願人ノ自筆タルヘシ
第五條 外交官及領事官試驗ハ前條ノ履歷書及論文竝ニ其ノ譯文ニ就キ試驗ヲ受クルニ足ルヘキ者ト試驗委員ニ於テ認メタル者ヲ召集シテ之ヲ行フ
第六條 外交官及領事官試驗ヲ分チテ第一次試驗及第二次試驗トス第一次試驗ニ合格シタル者ニアラサレハ第二次試驗ヲ受クルコトヲ得ス
第七條 第一次試驗ハ左ノ科目ヲ用井テ之ヲ行ヒ仍體格ヲ檢査ス
一 作文邦文竝ニ第四條ノ譯文ニ用井タル外國文
二 外國語第四條ノ譯文ニ用井タル國語
三 公文摘要邦文
四 口述要領筆記邦文
第八條 第二次試驗ハ左ノ科目ヲ用井テ之ヲ行フ
一 憲法
二 行政法
三 經濟學
四 國際公法
五 國際私法
以上ノ科目ハ試驗ノ際選擇取捨スルコトヲ得ス
一 刑法
二 民法
三 財政學
四 商法
五 刑事訴訟法
六 民事訴訟法
七 外交史
以上ノ科目ハ受驗者ヲシテ其ノ中ニ就キ豫メ一科目ヲ選擇セシメ之ヲ試驗ス
第九條 第二次試驗ハ分チテ筆記試驗及口述試驗トス筆記試驗ニ合格シタル者ニアラサレハ口述試驗ヲ受クルコトヲ得ス
第十條 出願人ノ願ニ依リ英語、佛語又ハ獨逸語ノ外仍他ノ外國語ヲ試驗スルコトアルヘシ
前項ノ試驗ヲ受ケント欲スル者ハ其ノ旨豫メ出願書ニ記載スヘシ
第十一條 外交官及領事官試驗ヲ出願スル者ニハ手數料トシテ金十圓ヲ納メシム
第十二條 不正ノ方法ニ因リ試驗ヲ受ケント企テタル者及試驗ニ關スル規程ニ違背シタル者ハ其ノ期ノ試驗ヲ受クルコトヲ得ス試驗合格ノ後是等ノ事實發覺シタルトキハ其ノ合格ヲ無效トス
第十三條 試驗合格者ヲ定ムル方法ハ試驗委員ノ議定スル所ニ依ル
試驗合格ノ有效期限ハ合格後外交官又ハ領事官ニ任用セラレタル者ヲ除ク外一箇月間トス
第十四條 外交官及領事官試驗ニ關スル細則ハ外務大臣之ヲ定ム
朕外交官及領事官試験規則ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治二十六年十一月二十二日
内閣総理大臣 伯爵 伊藤博文
外務大臣 陸奥宗光
勅令第二百十三号
外交官及領事官試験規則
第一条 外交官及領事官試験ハ須要ニ応シ外務省ニ於テ外交官及領事官試験委員之ヲ行フ
第二条 外交官及領事官試験ヲ行フヘキ期日ハ予メ官報ヲ以テ之ヲ公告ス
第三条 年齢満二十年以上ノ男子ニシテ左ノ諸項ノ一ニ該当セサル者ハ外交官及領事官試験ヲ受クルコトヲ得
一 重罪ヲ犯シタル者但国事犯ニシテ復権シタル者ハ此ノ限ニアラス
二 定役ニ服スヘキ軽罪ヲ犯シタル者
三 破産若クハ家資分散ノ宣告ヲ受ケ復権セサル者又ハ身代限ノ処分ヲ受ケ債務ノ弁償ヲ終ヘサル者
第四条 外交官及領事官試験ヲ受ケント欲スル者ハ其ノ出願書ニ履歴書及論文並ニ之ヲ英文、仏文又ハ独逸文ニ翻訳シタルモノヲ添ヘ之ヲ試験委員ニ差出スヘシ
前項ノ書類ハ総テ出願人ノ自筆タルヘシ
第五条 外交官及領事官試験ハ前条ノ履歴書及論文並ニ其ノ訳文ニ就キ試験ヲ受クルニ足ルヘキ者ト試験委員ニ於テ認メタル者ヲ召集シテ之ヲ行フ
第六条 外交官及領事官試験ヲ分チテ第一次試験及第二次試験トス第一次試験ニ合格シタル者ニアラサレハ第二次試験ヲ受クルコトヲ得ス
第七条 第一次試験ハ左ノ科目ヲ用井テ之ヲ行ヒ仍体格ヲ検査ス
一 作文邦文並ニ第四条ノ訳文ニ用井タル外国文
二 外国語第四条ノ訳文ニ用井タル国語
三 公文摘要邦文
四 口述要領筆記邦文
第八条 第二次試験ハ左ノ科目ヲ用井テ之ヲ行フ
一 憲法
二 行政法
三 経済学
四 国際公法
五 国際私法
以上ノ科目ハ試験ノ際選択取捨スルコトヲ得ス
一 刑法
二 民法
三 財政学
四 商法
五 刑事訴訟法
六 民事訴訟法
七 外交史
以上ノ科目ハ受験者ヲシテ其ノ中ニ就キ予メ一科目ヲ選択セシメ之ヲ試験ス
第九条 第二次試験ハ分チテ筆記試験及口述試験トス筆記試験ニ合格シタル者ニアラサレハ口述試験ヲ受クルコトヲ得ス
第十条 出願人ノ願ニ依リ英語、仏語又ハ独逸語ノ外仍他ノ外国語ヲ試験スルコトアルヘシ
前項ノ試験ヲ受ケント欲スル者ハ其ノ旨予メ出願書ニ記載スヘシ
第十一条 外交官及領事官試験ヲ出願スル者ニハ手数料トシテ金十円ヲ納メシム
第十二条 不正ノ方法ニ因リ試験ヲ受ケント企テタル者及試験ニ関スル規程ニ違背シタル者ハ其ノ期ノ試験ヲ受クルコトヲ得ス試験合格ノ後是等ノ事実発覚シタルトキハ其ノ合格ヲ無効トス
第十三条 試験合格者ヲ定ムル方法ハ試験委員ノ議定スル所ニ依ル
試験合格ノ有効期限ハ合格後外交官又ハ領事官ニ任用セラレタル者ヲ除ク外一箇月間トス
第十四条 外交官及領事官試験ニ関スル細則ハ外務大臣之ヲ定ム