狩猟規則
法令番号: 勅令第八十四號
公布年月日: 明治25年10月6日
法令の形式: 勅令
朕樞密顧問ノ諮詢ヲ經テ狩獵規則ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治二十五年十月五日
農商務大臣 伯爵 後藤象二郞
勅令第八十四號
狩獵規則
第一章 獵具獵法
第一條 此規則ニ於テ狩獵ト稱スルハ銃器、各種ノ網、放鷹、黐繩又ハ擌ヲ以テ鳥獸ヲ捕獲スルヲ謂フ
前項各獵具ノ種類及制限ハ農商務大臣ノ定ムル所ニ依ル
第二條 爆發物、据銃若クハ危險ナル罠及陷穽ヲ以テ狩獵ヲ爲スコトヲ得ス
前項ノ外ノ獵具獵法ニシテ第一條ニ揭ケサルモノニ就テハ地方長官東京府下ハ警視總監以下傚之ハ農商務大臣ノ認可ヲ經テ便宜取締規則ヲ設クルコトヲ得
第三條 日出前、日沒後又ハ市街、人家稠密ノ場所、衆人群集ノ場所ニ於テ若クハ銃丸ノ達スヘキ虞アル建物、船舶、汽車ニ向テ銃獵ヲ爲スコトヲ得ス
第四條 左ニ揭クル場所ニ於テハ狩獵ヲ爲スコトヲ得ス
一 御獵場
二 禁獵制札アル場所
三 公道
四 公園
五 社寺境內
六 墓地
七 欄、柵、圍障ヲ設ケ又ハ作物植付アル他人ノ所有地但所有者又ハ管理人ノ承諾ヲ得タルトキハ此限ニ在ラス
第五條 地方長官ハ土地所有者ノ出願又ハ其他ノ理由ニ因リ必要ト認ムル場合ニ於テハ禁獵制札ヲ建ツルコトヲ得
第二章 狩獵免許
第六條 狩獵ヲ爲サント欲スル者ハ地方長官ニ願出テ免狀ヲ受クヘシ但欄、柵、圍障アル宅地內ニ於テ銃器ヲ使用セスシテ狩獵ヲ爲ス者ハ此限ニ在ラス
第三十條ノ處罰ヲ受ケタル者ハ滿一箇年ヲ經過セサレハ再ヒ免狀ヲ受クルコトヲ得ス
第七條 免狀ヲ分チテ職獵免狀、遊獵免狀トシ更ニ分チテ各甲乙ノ二種トス
職獵免狀ハ生計ノ爲ニ狩獵ヲ爲ス者ニ下付シ遊獵免狀ハ遊樂ノ爲ニ狩獵ヲ爲ス者ニ下付スルモノトス
甲種免狀ハ銃器ヲ使用セスシテ狩獵ヲ爲ス者ニ下付シ乙種免狀ハ銃器ヲ以テ狩獵ヲ爲ス者ニ下付スルモノトス
第八條 左ニ揭クル者ハ職獵免狀ヲ受クルコトヲ得ス
一 判任以上ノ官吏及其待遇ヲ受クル者
二 所得稅ヲ納ムル者
三 地租拾五圓以上ヲ納ムル者
四 所得稅拾五圓以上ヲ納ムル者ノ家族
第九條 免狀ヲ受クル者ハ左ノ區別ニ從ヒ免許料ヲ納ムヘシ
職獵免狀
甲種 金五拾錢
乙種 金壹圓
遊獵免狀
甲種 金五圓
乙種 金拾圓
第十條 甲種免狀ノ有效期限ハ十月十五日ヨリ滿一箇年トシ乙種免狀ノ有效期限ハ十月十五日ヨリ翌年四月十五日マテトス
第十一條 免狀ノ使用ハ免許本人ニ限ルモノトス但甲種職獵免狀ヲ有スル者ハ助手トシテ無免狀ノ者三人以下ヲ同伴スルコトヲ得
第十二條 獵者ハ出獵ノ際必ス免狀ヲ携帶スヘシ
警察官、憲兵、森林官及市町村長ハ獵者ノ免狀ヲ檢査スルコトヲ得獵區管理人其管理スル獵區內ニ於テモ亦同シ
前項ノ場合ニ於テ獵者ハ免狀ノ檢査ヲ拒ムコトヲ得ス
第十三條 免狀ヲ亡失シタルトキハ其地ノ所轄警察署及當初之ヲ下付シタル官廳ニ屆出ツヘシ
免狀ヲ亡失シ若クハ毀損シタルトキハ其再渡又ハ書換ヲ請求スルコトヲ得此場合ニ於テハ手數料金貳拾五錢ヲ納ムヘシ
第十四條 十六歲未滿ノ者ハ乙種ノ免狀ヲ受クルコトヲ得ス
第十五條 免狀ハ其效力ヲ失ヒタル日ヨリ三十日以內ニ當初之ヲ下付シタル官廳ニ返納スヘシ
第三章 獵區設定
第十六條 日本臣民ニシテ獵區ヲ設定セント欲スル者ハ十箇年以內ノ期限ヲ定メ地方長官ヲ經由シテ農商務大臣ニ願出テ免許ヲ受クヘシ
獵區ノ設定ニ關スル制限ハ農商務大臣ノ定ムル所ニ依ル
第十七條 官有ノ森林、原野、水面ヲ借用シテ獵區ト爲サント欲スル者ハ管轄官廳ニ願出テ許可ヲ受クヘシ
獵區設定ノ場所他人ノ所有ニ係ルトキハ先ツ其所有者又ハ管理人ノ承諾ヲ受クヘシ
第十八條 一獵區ノ面積ハ千五百町步ヲ以テ最大限トシ一箇年金拾圓ノ割ヲ以テ免許料ヲ納ムヘシ連續ノ面積最大限ヲ越ユルトキハ其越ユル所百町步マテ每ニ一箇年金壹圓ノ割ヲ以テ免許料ヲ增納スヘシ
農商務大臣ハ土地ノ情況ニ因リ前項ノ免許料ヲ低減スルコトヲ得
第十九條 獵區內ニ於テハ免許本人及其承諾ヲ受ケタル者ノ外狩獵ヲ爲スコトヲ得ス
第二十條 獵區內ト雖モ免狀ヲ有スル者ニ非サレハ狩獵ヲ爲スコトヲ得ス
第二十一條 獵區ヲ廢シ又ハ其區域ヲ減縮スルトキハ地方廳ヲ經由シテ農商務省ニ屆出ツヘシ
第二十二條 農商務大臣ハ免許本人此規則ニ違背シタルトキ若クハ第十六條第二項ノ制限ニ從ハサルトキ又ハ公益ニ害アリト認ムルトキハ其獵區ノ全部若クハ一部ニ對シテ免許ヲ取消スコトヲ得
第二十三條 第二十一條及第二十二條ノ場合ニ於テ既納ノ免許料ハ還付セサルモノトス
第四章 鳥獸保護
第二十四條 左ニ揭クル鳥獸ハ捕獲スルコトヲ禁ス
一 鶴各種
一 燕各種
一 雲雀
一 鶺鴒
一 四十雀シジフカラ
一 日雀ヒカラ
一 五十雀ゴジフカラ
一 葦雀ヨシキリ
一 鷦鷯ミソサヾイ
一 杜鵑
一 啄木鳥キツヽキ
一 ヒタキ
一 椋鳥ムクドリ
一 田鷚タヒバリ
一 一歲以下ノ鹿
第二十五條 左ニ揭クル鳥獸ハ三月十五日ヨリ十月十四日マテヲ保護期トシ其期間捕獲スルコトヲ禁ス
一 
一 鸜雉ヤマドリ
一 
一 鴻雁
一 鳧各種
一 シギ各種
一 バン
一 クヽヒ
一 ヒヨ
一 ツグミ
一 鷺各種
一 鳩各種
一 モズ
一 橿鳥カシトリ
一 秧鷄クヒナ
一 鹿
一 羚羊カモシカ
一 
地方長官ハ土地ノ情況ニ因リ農商務大臣ノ認可ヲ經テ適宜三十日以內前項ノ期限ヲ伸縮スルコトヲ得
第二十六條 第二十四條及第二十五條ニ揭クル鳥獸ト雖モ野蠶飼養ノ保護學術硏究其他特別ノ理由ニ因リ驅除又ハ捕獲ヲ要スルトキハ地方長官ハ特ニ其許可ヲ與フルコトヲ得
有害鳥獸ヲ驅除又ハ捕獲スル爲メ必要ト認ムル場合ニ於テハ地方長官ハ特ニ其許可ヲ與フルコトヲ得
第二十七條 捕獲ヲ禁セサル鳥獸ト雖モ特ニ保護ヲ要スルトキハ農商務大臣ハ此規則ニ拘ハラス其捕獲ヲ停止スルコトヲ得
第二十八條 第二十四條及第二十五條ニ揭クル鳥類ノ卵又ハ雛ヲ取リ若クハ之ヲ賣買スルコトヲ禁ス
第五章 罰則
第二十九條 免狀ヲ得スシテ狩獵ヲ爲シタル者及詐欺ノ所爲ニ由リ免狀若クハ獵區設定ノ免許ヲ得タル者ハ十圓以上百圓以下ノ罰金ニ處ス
第三十條 第二條第一項、第三條、第四條第一乃至第六ニ違背シタル者ハ五圓以上五十圓以下ノ罰金ニ處ス
前項ノ處罰ヲ受ケタル者ノ免狀ハ其效力ヲ失フモノトス
第三十一條 第四條第七、第十二條第一項第三項、第二十四條、第二十五條第一項、第二十八條ニ違背シタル者ハ二圓以上二十圓以下ノ罰金ニ處ス但第四條第七ニ付テハ土地所有者又ハ管理人ノ吿訴ヲ待テ處斷ス
第三十二條 第十三條第一項、第十五條、第二十一條ニ違背シタル者ハ一圓以上一圓九十五錢以下ノ科料ニ處ス
附 則
第三十三條 此規則ハ明治二十五年十月十五日ヨリ施行ス但銃器ヲ使用セサル狩獵ノ免許ハ明治二十六年十月十五日ヨリ施行ス
此規則施行以前職獵免狀又ハ遊獵免狀ヲ受ケタル者ハ更ニ免狀ノ下付ヲ要セス引續キ銃獵ヲ爲スコトヲ得但職獵免狀ヲ受ケタル者ニシテ第八條ニ該當スルトキハ第九條ニ依リ更ニ遊獵免狀ヲ受クヘシ
第三十四條 明治十年一月第十一號布吿鳥獸獵規則ハ此規則施行ノ日ヨリ廢止ス
朕枢密顧問ノ諮詢ヲ経テ狩猟規則ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治二十五年十月五日
農商務大臣 伯爵 後藤象二郎
勅令第八十四号
狩猟規則
第一章 猟具猟法
第一条 此規則ニ於テ狩猟ト称スルハ銃器、各種ノ網、放鷹、黐縄又ハ擌ヲ以テ鳥獣ヲ捕獲スルヲ謂フ
前項各猟具ノ種類及制限ハ農商務大臣ノ定ムル所ニ依ル
第二条 爆発物、据銃若クハ危険ナル罠及陥穽ヲ以テ狩猟ヲ為スコトヲ得ス
前項ノ外ノ猟具猟法ニシテ第一条ニ掲ケサルモノニ就テハ地方長官東京府下ハ警視総監以下倣之ハ農商務大臣ノ認可ヲ経テ便宜取締規則ヲ設クルコトヲ得
第三条 日出前、日没後又ハ市街、人家稠密ノ場所、衆人群集ノ場所ニ於テ若クハ銃丸ノ達スヘキ虞アル建物、船舶、汽車ニ向テ銃猟ヲ為スコトヲ得ス
第四条 左ニ掲クル場所ニ於テハ狩猟ヲ為スコトヲ得ス
一 御猟場
二 禁猟制札アル場所
三 公道
四 公園
五 社寺境内
六 墓地
七 欄、柵、囲障ヲ設ケ又ハ作物植付アル他人ノ所有地但所有者又ハ管理人ノ承諾ヲ得タルトキハ此限ニ在ラス
第五条 地方長官ハ土地所有者ノ出願又ハ其他ノ理由ニ因リ必要ト認ムル場合ニ於テハ禁猟制札ヲ建ツルコトヲ得
第二章 狩猟免許
第六条 狩猟ヲ為サント欲スル者ハ地方長官ニ願出テ免状ヲ受クヘシ但欄、柵、囲障アル宅地内ニ於テ銃器ヲ使用セスシテ狩猟ヲ為ス者ハ此限ニ在ラス
第三十条ノ処罰ヲ受ケタル者ハ満一箇年ヲ経過セサレハ再ヒ免状ヲ受クルコトヲ得ス
第七条 免状ヲ分チテ職猟免状、遊猟免状トシ更ニ分チテ各甲乙ノ二種トス
職猟免状ハ生計ノ為ニ狩猟ヲ為ス者ニ下付シ遊猟免状ハ遊楽ノ為ニ狩猟ヲ為ス者ニ下付スルモノトス
甲種免状ハ銃器ヲ使用セスシテ狩猟ヲ為ス者ニ下付シ乙種免状ハ銃器ヲ以テ狩猟ヲ為ス者ニ下付スルモノトス
第八条 左ニ掲クル者ハ職猟免状ヲ受クルコトヲ得ス
一 判任以上ノ官吏及其待遇ヲ受クル者
二 所得税ヲ納ムル者
三 地租拾五円以上ヲ納ムル者
四 所得税拾五円以上ヲ納ムル者ノ家族
第九条 免状ヲ受クル者ハ左ノ区別ニ従ヒ免許料ヲ納ムヘシ
職猟免状
甲種 金五拾銭
乙種 金壱円
遊猟免状
甲種 金五円
乙種 金拾円
第十条 甲種免状ノ有効期限ハ十月十五日ヨリ満一箇年トシ乙種免状ノ有効期限ハ十月十五日ヨリ翌年四月十五日マテトス
第十一条 免状ノ使用ハ免許本人ニ限ルモノトス但甲種職猟免状ヲ有スル者ハ助手トシテ無免状ノ者三人以下ヲ同伴スルコトヲ得
第十二条 猟者ハ出猟ノ際必ス免状ヲ携帯スヘシ
警察官、憲兵、森林官及市町村長ハ猟者ノ免状ヲ検査スルコトヲ得猟区管理人其管理スル猟区内ニ於テモ亦同シ
前項ノ場合ニ於テ猟者ハ免状ノ検査ヲ拒ムコトヲ得ス
第十三条 免状ヲ亡失シタルトキハ其地ノ所轄警察署及当初之ヲ下付シタル官庁ニ届出ツヘシ
免状ヲ亡失シ若クハ毀損シタルトキハ其再渡又ハ書換ヲ請求スルコトヲ得此場合ニ於テハ手数料金弐拾五銭ヲ納ムヘシ
第十四条 十六歳未満ノ者ハ乙種ノ免状ヲ受クルコトヲ得ス
第十五条 免状ハ其効力ヲ失ヒタル日ヨリ三十日以内ニ当初之ヲ下付シタル官庁ニ返納スヘシ
第三章 猟区設定
第十六条 日本臣民ニシテ猟区ヲ設定セント欲スル者ハ十箇年以内ノ期限ヲ定メ地方長官ヲ経由シテ農商務大臣ニ願出テ免許ヲ受クヘシ
猟区ノ設定ニ関スル制限ハ農商務大臣ノ定ムル所ニ依ル
第十七条 官有ノ森林、原野、水面ヲ借用シテ猟区ト為サント欲スル者ハ管轄官庁ニ願出テ許可ヲ受クヘシ
猟区設定ノ場所他人ノ所有ニ係ルトキハ先ツ其所有者又ハ管理人ノ承諾ヲ受クヘシ
第十八条 一猟区ノ面積ハ千五百町歩ヲ以テ最大限トシ一箇年金拾円ノ割ヲ以テ免許料ヲ納ムヘシ連続ノ面積最大限ヲ越ユルトキハ其越ユル所百町歩マテ毎ニ一箇年金壱円ノ割ヲ以テ免許料ヲ増納スヘシ
農商務大臣ハ土地ノ情況ニ因リ前項ノ免許料ヲ低減スルコトヲ得
第十九条 猟区内ニ於テハ免許本人及其承諾ヲ受ケタル者ノ外狩猟ヲ為スコトヲ得ス
第二十条 猟区内ト雖モ免状ヲ有スル者ニ非サレハ狩猟ヲ為スコトヲ得ス
第二十一条 猟区ヲ廃シ又ハ其区域ヲ減縮スルトキハ地方庁ヲ経由シテ農商務省ニ届出ツヘシ
第二十二条 農商務大臣ハ免許本人此規則ニ違背シタルトキ若クハ第十六条第二項ノ制限ニ従ハサルトキ又ハ公益ニ害アリト認ムルトキハ其猟区ノ全部若クハ一部ニ対シテ免許ヲ取消スコトヲ得
第二十三条 第二十一条及第二十二条ノ場合ニ於テ既納ノ免許料ハ還付セサルモノトス
第四章 鳥獣保護
第二十四条 左ニ掲クル鳥獣ハ捕獲スルコトヲ禁ス
一 鶴各種
一 燕各種
一 雲雀
一 鶺鴒
一 四十雀シジフカラ
一 日雀ヒカラ
一 五十雀ゴジフカラ
一 葦雀ヨシキリ
一 鷦鷯ミソサヾイ
一 杜鵑
一 啄木鳥キツヽキ
一 ヒタキ
一 椋鳥ムクドリ
一 田鷚タヒバリ
一 一歳以下ノ鹿
第二十五条 左ニ掲クル鳥獣ハ三月十五日ヨリ十月十四日マテヲ保護期トシ其期間捕獲スルコトヲ禁ス
一 
一 鸜雉ヤマドリ
一 
一 鴻雁
一 鳧各種
一 シギ各種
一 バン
一 クヽヒ
一 ヒヨ
一 ツグミ
一 鷺各種
一 鳩各種
一 モズ
一 橿鳥カシトリ
一 秧鶏クヒナ
一 鹿
一 羚羊カモシカ
一 
地方長官ハ土地ノ情況ニ因リ農商務大臣ノ認可ヲ経テ適宜三十日以内前項ノ期限ヲ伸縮スルコトヲ得
第二十六条 第二十四条及第二十五条ニ掲クル鳥獣ト雖モ野蚕飼養ノ保護学術研究其他特別ノ理由ニ因リ駆除又ハ捕獲ヲ要スルトキハ地方長官ハ特ニ其許可ヲ与フルコトヲ得
有害鳥獣ヲ駆除又ハ捕獲スル為メ必要ト認ムル場合ニ於テハ地方長官ハ特ニ其許可ヲ与フルコトヲ得
第二十七条 捕獲ヲ禁セサル鳥獣ト雖モ特ニ保護ヲ要スルトキハ農商務大臣ハ此規則ニ拘ハラス其捕獲ヲ停止スルコトヲ得
第二十八条 第二十四条及第二十五条ニ掲クル鳥類ノ卵又ハ雛ヲ取リ若クハ之ヲ売買スルコトヲ禁ス
第五章 罰則
第二十九条 免状ヲ得スシテ狩猟ヲ為シタル者及詐欺ノ所為ニ由リ免状若クハ猟区設定ノ免許ヲ得タル者ハ十円以上百円以下ノ罰金ニ処ス
第三十条 第二条第一項、第三条、第四条第一乃至第六ニ違背シタル者ハ五円以上五十円以下ノ罰金ニ処ス
前項ノ処罰ヲ受ケタル者ノ免状ハ其効力ヲ失フモノトス
第三十一条 第四条第七、第十二条第一項第三項、第二十四条、第二十五条第一項、第二十八条ニ違背シタル者ハ二円以上二十円以下ノ罰金ニ処ス但第四条第七ニ付テハ土地所有者又ハ管理人ノ告訴ヲ待テ処断ス
第三十二条 第十三条第一項、第十五条、第二十一条ニ違背シタル者ハ一円以上一円九十五銭以下ノ科料ニ処ス
附 則
第三十三条 此規則ハ明治二十五年十月十五日ヨリ施行ス但銃器ヲ使用セサル狩猟ノ免許ハ明治二十六年十月十五日ヨリ施行ス
此規則施行以前職猟免状又ハ遊猟免状ヲ受ケタル者ハ更ニ免状ノ下付ヲ要セス引続キ銃猟ヲ為スコトヲ得但職猟免状ヲ受ケタル者ニシテ第八条ニ該当スルトキハ第九条ニ依リ更ニ遊猟免状ヲ受クヘシ
第三十四条 明治十年一月第十一号布告鳥獣猟規則ハ此規則施行ノ日ヨリ廃止ス