明治7年以降の戦役で戦死した軍人・軍属の遺族扶助に関する制度は、当初は父母への扶助が不十分であった。明治8年の太政官達では戸主に限って父母への扶助を認め、明治9年の恩給令では欧米の制度を模倣し過ぎて父母への扶助が極めて限定的となった。その後、明治16年の改正で父母への扶助が一部改善され、明治23年の恩給法で妻子と父母が同等の扶助を受けられるようになった。しかし、明治9-10年の戦役で戦死した軍人の遺族には新法が適用されず、困窮する遺族がいるため、これらの者にも恩給による扶助を及ぼすことが本法案の趣旨である。
参照した発言:
第2回帝国議会 貴族院 本会議 第7号