第二十條 禁治產ノ申立ハ治產ヲ禁セラル可キ者カ普通裁判籍ヲ有スル地ノ區裁判所ノ管轄ニ專屬ス
第二十一條 申立ハ書面又ハ口頭ヲ以テ之ヲ爲スコトヲ得其申立ニハ申立ノ理由タル事實及ヒ證據方法ノ表示ヲ包含ス可シ
第二十二條 裁判所ハ申立ニ表示シタル事實及ヒ證據方法ニ依リ職權ヲ以テ心神喪失ノ常況ニ在ルヤ否ヲ定ムル爲メニ必要ナル探知ヲ爲シ且適當トスル證據方法ヲ調フ可シ
裁判所ハ訴訟手續ヲ開始スルノ前診斷書ノ提出ヲ命スルコトヲ得
檢事ハ總テノ場合ニ於テ申立ヲ爲シテ訴訟手續ヲ追行スルコトヲ得
證人及ヒ鑑定人ノ訊問及ヒ宣誓ニ付テハ民事訴訟法第二編第一章第六節及ヒ第七節ノ規定ヲ適用ス
第二十三條 裁判所ハ公開セサル法廷ニ於テ一人又ハ數人ノ鑑定人ノ立會ヲ以テ治產ヲ禁セラル可キ者ヲ訊問ス可シ此訊問ハ受託判事ヲシテ之ヲ爲サシムルコトヲ得
右訊問ハ裁判所ノ意見ニ從ヒ實施シ難ク又ハ裁判ノ爲メニ必要ナラス又ハ治產ヲ禁セラル可キ者ノ健康ニ害アリトスルトキハ之ヲ爲ササルコトヲ得
右宣言ハ豫メ治產ヲ禁セラル可キ者ノ心神喪失ノ常況ニ付キ一人又ハ數人ノ鑑定人ヲ訊問シタル後ニ非サレハ之ヲ爲スコトヲ得ス
第二十五條 裁判所ハ治產ヲ禁セラル可キ者ノ身體ノ監護又ハ財產ノ保存ニ付キ必要ナル處分ヲ命スルコトヲ得
第二十六條 訴訟手續ノ費用ハ治產ヲ禁シタル場合ニ於テハ禁治產者之ヲ負擔シ其他ノ場合ニ於テハ禁治產ノ申立ヲ爲シタル者之ヲ負擔ス可シ但檢事カ申立ヲ爲シタルトキハ國庫之ヲ負擔ス
第二十七條 禁治產ニ付キ爲シタル決定ハ職權ヲ以テ申立人及ヒ檢事ニ之ヲ送達ス可シ
第二十八條 禁治產ヲ宣言スル決定ハ法律上ノ後見人アルトキハ其後見人ニ職權ヲ以テ之ヲ通知ス可シ
第二十九條 申立人及ヒ檢事ハ禁治產ノ申立ヲ却下スル決定ニ對シ卽時抗吿ヲ爲スコトヲ得
第三十條 禁治產ヲ宣言スル決定ニ對シテハ一个月ノ期間內ニ訴ヲ以テ不服ヲ申立ツルコトヲ得
訴ヲ起スノ權利ハ禁治產者、其後見人及ヒ民法ノ規定ニ從ヒ禁治產ノ申立ヲ爲スノ權ヲ有スル者ニ屬ス
右期間ハ禁治產者ニ對シテハ禁治產ヲ知リタル日ヲ以テ始マリ其他ノ者ニ對シテハ後見人ノ選定ヲ以テ始マリ又法律上ノ後見ノ場合ニ於テハ其決定ヲ法律上ノ後見人ニ通知スルヲ以テ始マル
第三十一條 訴ハ區裁判所ノ所在地ヲ管轄スル地方裁判所ノ管轄ニ專屬ス
第三十二條 禁治產ニ對シテ不服ヲ申立ル訴ニハ他ノ訴ヲ併合スルコトヲ得ス
第三十三條 禁治產者カ訴ヲ起サントスルトキハ其申立ニ因リ受訴裁判所ノ裁判長ハ訴訟代理人トシテ辯護士ヲ之ニ附添ハシム可シ
第三十四條 第六條及ヒ第七條ノ規定ハ本章ニモ之ヲ準用ス
第三十五條 第二十三條及ヒ第二十四條第二項ノ規定ハ不服申立ノ訴ニ付テノ訴訟手續ニ之ヲ準用ス
裁判所ハ區裁判所ニ於テ爲シタル鑑定ヲ十分ナリト認ムルトキハ鑑定人ノ訊問ヲ爲ササルコトヲ得
第三十六條 不服申立ノ訴ヲ理由アリトスルトキハ禁治產ヲ宣言シタル決定ヲ取消ス可シ
然レトモ此取消ノ判決ハ後見人ノ既ニ爲シタル行爲ノ效力ニ影響ヲ及ホサス
第三十七條 不服申立ノ訴ニ關スル訴訟費用ニ付テハ第二十六條ノ規定ヲ準用ス
第三十八條 受訴裁判所ハ禁治產事件ニ付キ爲シタル總テノ終局判決ヲ區裁判所ニ通知ス可シ
第三十九條 禁治產ノ解止ニ付テハ第二十五條ヲ除クノ外本章ノ規定ヲ準用ス
第四十條 準禁治產事件ニ付テハ左ノ特別ナル規則ヲ除クノ外本章ノ規定ヲ準用ス
又同條第三項、第二十五條、第三十三條及ヒ檢事ニ關スル規定ハ總テノ準禁治產者ニ之ヲ適用セス
準禁治產ヲ解止スル決定ニ對シテハ不服ヲ申立ツルコトヲ得ス