第二條 郵便貯金ハ遞信大臣ノ指定スル郵便電信局郵便局ニ於テ其預入拂渡ヲ取扱フモノトス
遞信大臣ニ於テ必要ト認ムル場所ニハ特ニ郵便貯金預所ヲ設置シ郵便貯金ノ預入ヲ取扱ハシムルコトアルヘシ
第三條 郵便貯金ノ預入ハ貯金通帳ヲ以テ證トシ其拂戾ハ拂戾證書ヲ以テ證トス
第四條 郵便貯金一人一度ノ預金ハ拾錢以上トシ端數ハ厘位ニ限ル一人一日ノ預金ハ五拾圓以下トス
郵便貯金一人ノ預金總額ハ元利合セテ五百圓ニ超過スルコトヲ得ス
郵便貯金ノ利子ハ每年三月三十一日ヲ期トシテ之ヲ計算シ元金ニ加ヘ四月ヨリ更ニ利子ヲ付スヘシ
郵便貯金ハ之ヲ預リタル月及拾錢未滿ノ端數ニハ利子ヲ付セス
郵便貯金拂戾ノ請求アリタルトキハ拂戾證書發付ノ月ヨリ利子ヲ付セス
郵便貯金ノ利子計算上厘位未滿ノ端數ヲ生シタルトキハ之ヲ除棄スヘシ
第六條 郵便貯金預ケ人ハ何時ニテモ郵便貯金ノ全額又ハ其幾分ノ拂戾ヲ請求スルコトヲ得但幾分拂戾ノ場合ニハ其未タ元金ニ加ヘサル利子ハ拂戾ヲ請求スルコトヲ得ス
第七條 郵便貯金預ケ人ハ其貯金ノ幾分ヲ以テ公債證書ノ購入保管ヲ請求スルコトヲ得但其公債證書ハ額面五拾圓又ハ五拾圓ヲ遞加シタルモノニ限ル
郵便貯金預ケ人ハ何時ニテモ前項保管ニ係ル公債證書ノ下渡ヲ請求スルコトヲ得
郵便貯金預ケ人貯金全額ノ拂戾ヲ請求スルトキハ保管ニ係ル公債證書モ同時ニ其下渡ヲ請求スヘシ
第八條 郵便貯金ノ預ケ金額第四條ノ制限ニ超過シタルトキハ其旨ヲ貯金預ケ人ニ通知シ預ケ金額ヲ制限以內ニ引直サシムヘシ
前項ノ通知ヲ發シタル後六十日以內ニ引直ヲ爲ササルトキハ貯金預ケ人ノ爲メ其貯金ヲ以テ公債證書ヲ購入スルモノトス但此場合ニ於テ購入スル公債證書ハ額面五拾圓ヲ超過スルコトヲ得ス
第九條 郵便貯金通帳ハ一人一册ヲ限リトス若シ二册以上ノ通帳ヲ受領シテ貯金預入ヲ爲シタル者アリタルトキハ最初受領セシ通帳ニ記載セル貯金ノ外利子ヲ付セスシテ拂戾ヲ爲サシム若シ二册以上通帳ノ日附同一ナルトキハ其貯金最多額ノモノニ利子ヲ付シ其他ノモノニハ總テ利子ヲ付セスシテ拂戾ヲ爲サシム
第十條 郵便貯金預ケ人ハ最初貯金ノ預入ヲ爲シタル月ヨリ滿一年每ニ其通帳ヲ遞信省ニ差出シ前期間利子ノ記入ヲ受クヘシ但一年ノ終期四月又ハ五月ニ當ルモノハ之ヲ六月ニ差出スヘシ
第十一條 郵便貯金ハ其預ケ人最後ニ貯金預入ヲ爲シタル日又ハ通帳ヲ遞信省ニ差出シ其書換又ハ利子ノ記入ヲ受ケタル日又ハ拂戾ヲ請求シタル日ヨリ起算シ十年間預入ヲ爲サス又ハ拂戾ヲ請求セス又ハ通帳ヲ遞信省ニ差出ササルトキハ滿期ノ翌月ヨリ利子ヲ付セス但保管ニ係ル公債證書ノ利子ハ此限ニアラス
尙二十年間貯金ノ預入ヲ爲サス又ハ拂戾ヲ請求セス又ハ通帳ヲ遞信省ニ差出ササルトキハ其貯金ハ政府ノ所得トス
前項貯金ヲ政府ノ所得トスル場合ニ於テ保管ニ係ル公債證書アルトキハ其公債證書モ併テ政府ノ所得トス
若シ第二項ノ期限內ニ貯金ノ預入ヲ爲シ又ハ拂戾ヲ請求シ又ハ通帳ヲ遞信省ニ差出シタルトキハ其翌月ヨリ利子ヲ付ス
第十二條 郵便貯金ノ拂戾金又ハ下渡ヲ請求シタル公債證書ハ拂戾證書又ハ下渡證書ノ日附ヨリ一箇年以內ニ受取ルヘシ若シ此期限內ニ受取ラサルトキハ之ヲ供託所ニ寄託スヘシ
第十三條 郵便貯金預ケ人ハ郵便貯金ヲ家督相續人ニ讓與スル場合ヲ除クノ外其名前書換ヲ請求スルコトヲ得ス
第十四條 郵便貯金預ケ人ニ損害ヲ蒙ラシメ政府其辨償ノ責ニ任スヘキ場合ニ於テハ郵便貯金預ケ人ハ其事故ノアリタルコトヲ知リタル日又之ヲ知リ能ハサルトキハ次期ノ利子記入期限ヨリ一箇年以內ニ其辨償ノ請求ヲ爲スヘシ若シ其期限內ニ請求ヲ爲ササルトキハ政府其責ヲ免カルモノトス
第十五條 郵便貯金事務ニ關スル郵便物ハ郵便稅ヲ免除ス
第十六條 郵便貯金ノ受渡ニ關スル書類ハ證券印稅ヲ免除ス