工兵方面条例
法令番号: 勅令第九十四號
公布年月日: 明治22年7月13日
法令の形式: 勅令
朕工兵方面條例ノ改正ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治二十二年七月十二日
內閣總理大臣 伯爵 黑田淸隆
陸軍大臣 伯爵 大山巖
勅令第九十四號
工兵方面條例
第一條 工兵方面ハ要塞堡壘砲臺及附屬營造物ノ建築修繕監視其他之ニ關スル工兵事業ヲ掌リ步工兵ノ工具材料ヲ調辨シ且工兵所屬地ノ事ヲ管轄スル所トス
第二條 工兵方面ハ之ヲ分テ二トス第一方面ハ本署ヲ東京ニ置キ第一第二第三ノ師管及北海道ヲ管轄シ第二方面ハ本署ヲ大阪ニ置キ第四第五第六師管ヲ管轄ス
各管內要塞及重要ノ砲臺ニハ支署ヲ置ク但支署ヲ設置スルトキハ陸軍大臣之ヲ吿示スヘシ
第三條 工兵方面ニ左ノ職員ヲ置ク
本署
提理 工兵大中佐一人
副提理 工兵少佐一人
署員 工兵大中尉四人
軍吏 一人
支署
支署長 工兵少佐或ハ工兵大中尉一人
署員 工兵大中少尉一人若クハ二人
軍吏 一人
第四條 要塞砲臺ノ位置ニ依リ大中尉ヲ支署長ト爲ストキハ他ノ士官及軍吏ヲ置カサルコトヲ得
第五條 第三條ニ揭クル職員ノ外本支署ニ工兵上等監護工兵監護技手及軍吏部書記若干人ヲ置ク
第六條 提理ハ陸軍大臣ニ隸シ方面ノ事務ヲ總理シ管掌ノ事務ニ於テハ其責ニ任ス
第七條 副提理ハ提理ヲ補佐シ方面ノ事務ヲ整理ス
第八條 支署長ハ提理ニ屬シ要塞砲臺ニ在テ工兵方面ノ事務ヲ分擔ス
第九條 署員軍吏ハ提理及署長ノ命ヲ受ケ各事務ヲ分掌ス
第十條 支署長ハ戰時及事變ニ在テハ要塞若クハ砲臺司令官ノ指揮ヲ受ケ工兵諸般ノ勤務ニ從事スヘシ
第十一條 要塞堡壘砲臺ノ改築其他防禦上必要ト認ムル事項アルトキ提理ハ要塞若クハ砲臺司令官ト熟議ノ後陸軍大臣ニ上申スルコトヲ得
第十二條 工兵隊ヲ以テ工業ニ從事セシムヘキ命アルトキハ提理ハ該隊長ニ工事施設ノ方法ヲ指示スヘシ
第十三條 提理ハ工事ニ關シ必要ト認ムルトキハ本支署ノ官僚ヲ彼此應用スルコトヲ得
第十四條 方面本署及支署ニハ各其所管ノ要塞堡壘砲臺ノ圖面竝ニ其周圍ノ地圖ヲ備フヘシ
朕工兵方面条例ノ改正ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治二十二年七月十二日
内閣総理大臣 伯爵 黒田清隆
陸軍大臣 伯爵 大山巌
勅令第九十四号
工兵方面条例
第一条 工兵方面ハ要塞堡塁砲台及附属営造物ノ建築修繕監視其他之ニ関スル工兵事業ヲ掌リ歩工兵ノ工具材料ヲ調弁シ且工兵所属地ノ事ヲ管轄スル所トス
第二条 工兵方面ハ之ヲ分テ二トス第一方面ハ本署ヲ東京ニ置キ第一第二第三ノ師管及北海道ヲ管轄シ第二方面ハ本署ヲ大阪ニ置キ第四第五第六師管ヲ管轄ス
各管内要塞及重要ノ砲台ニハ支署ヲ置ク但支署ヲ設置スルトキハ陸軍大臣之ヲ告示スヘシ
第三条 工兵方面ニ左ノ職員ヲ置ク
本署
提理 工兵大中佐一人
副提理 工兵少佐一人
署員 工兵大中尉四人
軍吏 一人
支署
支署長 工兵少佐或ハ工兵大中尉一人
署員 工兵大中少尉一人若クハ二人
軍吏 一人
第四条 要塞砲台ノ位置ニ依リ大中尉ヲ支署長ト為ストキハ他ノ士官及軍吏ヲ置カサルコトヲ得
第五条 第三条ニ掲クル職員ノ外本支署ニ工兵上等監護工兵監護技手及軍吏部書記若干人ヲ置ク
第六条 提理ハ陸軍大臣ニ隷シ方面ノ事務ヲ総理シ管掌ノ事務ニ於テハ其責ニ任ス
第七条 副提理ハ提理ヲ補佐シ方面ノ事務ヲ整理ス
第八条 支署長ハ提理ニ属シ要塞砲台ニ在テ工兵方面ノ事務ヲ分担ス
第九条 署員軍吏ハ提理及署長ノ命ヲ受ケ各事務ヲ分掌ス
第十条 支署長ハ戦時及事変ニ在テハ要塞若クハ砲台司令官ノ指揮ヲ受ケ工兵諸般ノ勤務ニ従事スヘシ
第十一条 要塞堡塁砲台ノ改築其他防禦上必要ト認ムル事項アルトキ提理ハ要塞若クハ砲台司令官ト熟議ノ後陸軍大臣ニ上申スルコトヲ得
第十二条 工兵隊ヲ以テ工業ニ従事セシムヘキ命アルトキハ提理ハ該隊長ニ工事施設ノ方法ヲ指示スヘシ
第十三条 提理ハ工事ニ関シ必要ト認ムルトキハ本支署ノ官僚ヲ彼此応用スルコトヲ得
第十四条 方面本署及支署ニハ各其所管ノ要塞堡塁砲台ノ図面並ニ其周囲ノ地図ヲ備フヘシ