陸軍各兵科予備後備下士補充条例
法令番号: 勅令第七十號
公布年月日: 明治22年5月22日
法令の形式: 勅令
朕陸軍各兵科豫備後備下士補充條例ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治二十二年五月二十一日
內閣總理大臣 伯爵 黑田淸隆
陸軍大臣 伯爵 大山巖
勅令第七十號
陸軍各兵科豫備後備下士補充條例
第一條 陸軍各兵科憲兵科屯田兵ヲ除ク以下之ニ做フ豫備下士ノ補充ハ左ニ揭クル者ヲ以テス
第一 豫備役上等兵中下士適任證書ヲ所持スル者
第二 現役免除ノ際下士ニ任セラレタル者
第三 服役七箇年ニ滿タスシテ現役ヲ退キタル下士
第二條 各大隊長ハ多數ノ豫備下士ヲ養成スルヲ以テ責任トス故ニ每年各大隊ニ於テ尠クモ上等兵六名騎兵砲兵ハ各一名輜重兵ハ四名ヲ下士ニ任シ或ハ下士適任證書ヲ附與シ除隊スルモノトス
第三條 第二條ノ下士ニ任ス可キ者ハ上等兵中技能優等ニシテ且品行方正ナル者ニ限ル
其當選者ハ聯隊長獨立大隊ニ在テハ大隊長以下之ニ做フヨリ近衞都督又ハ師團長步兵ハ旅團長ヲ經テニ具狀シ認可ヲ請ケ二等軍曹ニ任ス
第四條 陸軍各兵科後備下士ノ補充ハ左ニ揭クル者ヲ以テス
第一 後備役上等兵中下士適任證書ヲ所持スル者
第二 豫備役ヲ終リ後備役ニ轉入スル下士
第三 服役七箇年以上十二箇年ニ滿タスシテ現役ヲ退キタル下士
第五條 第一條第一及第四條第一ノ上等兵ハ戰時若クハ事變ニ際シ下士ノ缺員ニ應シ聯隊長之ヲ二等軍曹ニ任ス
第六條 豫備後備下士ハ任官後現役下士ノ進級停年ニ等シキ年數ヲ超ユルトキハ特ニ進級ノ爲メニスル勤務演習ニ於テ實地ノ技能ヲ査閱シ進級セシムルコトヲ得其方法ハ別ニ定ムル所ニ依ル
第七條 豫備後備ノ下士及下士適任證書ヲ所持スル上等兵ハ志願ニ由リ服役期限ヲ延スコトヲ得
第八條 禁錮ノ刑ニ處セラレ又ハ監視ニ付セラレ又ハ逃亡若クハ失踪シタル者其刑期中及逃亡失踪中ノ日數ハ服役年期ニ算入セス
附 則
第九條 豫備後備下士ハ當分豫備後備役兵卒中上等兵ニアラスシテ下士適任證書ヲ所持スル者ヨリ補充スルコトアル可シ
第十條 後備軍軀員滿期ノ際志願ニ由リ服役延期中ノ者ハ其期限滿ツル迄後備役ニ服セシム
朕陸軍各兵科予備後備下士補充条例ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治二十二年五月二十一日
内閣総理大臣 伯爵 黒田清隆
陸軍大臣 伯爵 大山巌
勅令第七十号
陸軍各兵科予備後備下士補充条例
第一条 陸軍各兵科憲兵科屯田兵ヲ除ク以下之ニ做フ予備下士ノ補充ハ左ニ掲クル者ヲ以テス
第一 予備役上等兵中下士適任証書ヲ所持スル者
第二 現役免除ノ際下士ニ任セラレタル者
第三 服役七箇年ニ満タスシテ現役ヲ退キタル下士
第二条 各大隊長ハ多数ノ予備下士ヲ養成スルヲ以テ責任トス故ニ毎年各大隊ニ於テ尠クモ上等兵六名騎兵砲兵ハ各一名輜重兵ハ四名ヲ下士ニ任シ或ハ下士適任証書ヲ附与シ除隊スルモノトス
第三条 第二条ノ下士ニ任ス可キ者ハ上等兵中技能優等ニシテ且品行方正ナル者ニ限ル
其当選者ハ連隊長独立大隊ニ在テハ大隊長以下之ニ做フヨリ近衛都督又ハ師団長歩兵ハ旅団長ヲ経テニ具状シ認可ヲ請ケ二等軍曹ニ任ス
第四条 陸軍各兵科後備下士ノ補充ハ左ニ掲クル者ヲ以テス
第一 後備役上等兵中下士適任証書ヲ所持スル者
第二 予備役ヲ終リ後備役ニ転入スル下士
第三 服役七箇年以上十二箇年ニ満タスシテ現役ヲ退キタル下士
第五条 第一条第一及第四条第一ノ上等兵ハ戦時若クハ事変ニ際シ下士ノ欠員ニ応シ連隊長之ヲ二等軍曹ニ任ス
第六条 予備後備下士ハ任官後現役下士ノ進級停年ニ等シキ年数ヲ超ユルトキハ特ニ進級ノ為メニスル勤務演習ニ於テ実地ノ技能ヲ査閲シ進級セシムルコトヲ得其方法ハ別ニ定ムル所ニ依ル
第七条 予備後備ノ下士及下士適任証書ヲ所持スル上等兵ハ志願ニ由リ服役期限ヲ延スコトヲ得
第八条 禁錮ノ刑ニ処セラレ又ハ監視ニ付セラレ又ハ逃亡若クハ失踪シタル者其刑期中及逃亡失踪中ノ日数ハ服役年期ニ算入セス
附 則
第九条 予備後備下士ハ当分予備後備役兵卒中上等兵ニアラスシテ下士適任証書ヲ所持スル者ヨリ補充スルコトアル可シ
第十条 後備軍躯員満期ノ際志願ニ由リ服役延期中ノ者ハ其期限満ツル迄後備役ニ服セシム