第一條 海軍高等武官軍級ノ最モ高キ者ヲ將官ト云ヒ之ニ次ク者ヲ佐官或ハ上長官ト云ヒ又之ニ次ク者ヲ尉官或ハ士官ト云フ而シテ之ヲ總稱シテ將校ト云フ
第二條 凡ソ進級ハ超級ノ陞進ヲ許スコトナク而シテ左ニ揭クル實役停年最下期限ヲ經タル者ニアラサレハ陞進スルコトヲ許サス又缺員ナキ時ハ除任ヲ行フコトナシ
第三條 中將ノ大將ニ進ムハ歷戰者或ハ遠征ニ從事シタル者ニ就キ特旨ヲ以テ親任スルヲ例トス故ニ最下ノ期限ヲ定ムルコトナシ
第四條 大尉及同等官ノ奏任五等ヨリ四等ニ進ムハ實役停年最下期限ノ半數ヲ過キタル者ニ就キ進等セシム大佐及同等官ノ奏任二等ヨリ一等ニ進ムモ亦同シ
第五條 初メテ大尉又ハ同等官ニ任シ奏任四等ニ敍セラレタル者實役停年海上勤務ノ各半數ヲ過キタルトキハ少佐又ハ同等官ニ進級セシムルコトヲ得初メテ大佐又ハ同等官ニ任シ奏任一等ニ敍セラレタル者ノ進級モ亦同シ
第六條 戰時ニ在テハ各官ノ實役停年海上勤務最下期限ヲ其半ニ減スルコトヲ得
第七條 進級ノ法二アリ一ヲ停年補除ト云ヒ一ヲ拔擢補除ト云フ參互之ヲ用フ其法左ノ如シ
少尉ヨリ大尉ニ陞ルハ停年四分ノ一拔擢四分ノ三ヲ以テス
大尉ヨリ少佐ニ少佐ヨリ大佐ニ大佐ヨリ少將ニ少將ヨリ中將ニ進ムハ皆拔擢ヲ以テス
第八條 平時少尉ノ進級ニ停年補除四分ノ一ヲ用フルノ例戰時ニ在テハ皆拔擢ノ例ヲ用フルコトヲ得
第九條 左ノ場合ニ在テハ前諸條ノ例ニ依ルコトナク進級セシムルコトヲ得
第十條 海上勤務ノ者ニシテ公務ニ原因セサル傷痍疾病ニ依リ上陸療養ノ日數ハ海上勤務ニ算入セス
第十一條 非職收禁及刑罰中ノ日數ハ實役停年ニ算入セス
第十二條 敵ノ捕虜トナリ正當ノ理由アル者ハ其年月ヲ實役停年ニ算入スルコトヲ得
第十三條 海上勤務最下期限ヲ終ラサレハ進級スルヲ得サルノ諸官ニシテ陸上勤務必要ナルヲ以テ海上勤務ヲ命セサル者ニ限リ實役停年最下期限ヲ超エタル時ハ進級セシムルコトアルヘシ
第十四條 上長官士官ノ進級順序ヲ定ムル爲メ每年定期檢閱畢ルノ後海軍大臣ハ同次官參謀本部長同次長海軍將官軍務局長在職機技總監軍醫總監主計總監ヲ海軍省ニ會同シテ決定候補名簿ヲ作ルモノトス
第十五條 前條ノ名簿ヲ作ルノ法上長官ニ在テハ候補名簿ニ就キ海軍大臣之ヲ決シ停年順序ヲ以テ其列序ヲ定メ士官ニ在テハ檢査合格者ヲ合シテ停年順序ヲ以テ其列序ヲ定ム
第十六條 海軍ノ學校卒業ノ者ハ海軍大臣先ツ之ニ少尉候補生少機關士候補生少技士候補生少軍醫候補生少主計候補生ヲ命シ一箇年以上試用ノ後檢査合格ノ者ハ海軍大臣ヨリ除任ノ事ヲ奏上シ各其本官ニ任ス
准士官ハ士官ニ進級スルヲ得サルヲ例トスト雖モ志操確實士官タルニ堪ヘ且學術技藝拔群ノ者ハ臨時試驗ノ上士官ニ任スルコトヲ得
第十七條 海軍官費生徒ニシテ外國留學卒業證書ヲ得タル者ハ其學科相當ノ官ニ補除ス
第十八條 高等武官決定候補名簿ハ海軍大臣ヨリ奏上シ置キ補除ヲ要スル每ニ其順序ニ從ヒ士官ニ在テハ停年進級者ヲ參互シ除任ノ事ヲ奏上スヘシ
第十九條 將官並其同等官ノ進級ハ上裁ニ出ルト雖モ先ツ內旨ヲ海軍大臣ニ諭シ然ル後除任スルヲ例トス
第二十條 興軍ノ日ニ方リ戰地ニ臨ムノ首將ニハ進級補除ノ權ヲ假スコトアルヘシト雖モ其權限ハ上旨ニ出ルヲ以テ之ヲ本條例ニ揭ケス