無電柱化の推進に関する法律
法令番号: 法律第112号
公布年月日: 平成28年12月16日
法令の形式: 法律

提案理由 (AIによる要約)

道路上の電線・電柱は、景観を損ない、歩行者や車椅子の通行を妨げ、災害時には緊急車両の通行に支障を来すなどの問題がある。我が国の無電柱化率は欧米やアジアの主要都市と比べて極めて低い状況にある。このような現状に鑑み、災害の防止、安全かつ円滑な交通の確保、良好な景観の形成等を図るため、無電柱化の推進に関する施策を総合的、計画的かつ迅速に推進することを目的として、国、地方公共団体、関係事業者の役割分担や責務、無電柱化推進計画の策定、必要な施策の実施等について定めるものである。

参照した発言:
第192回国会 衆議院 国土交通委員会 第7号

審議経過

第192回国会

衆議院
(平成28年12月2日)
(平成28年12月6日)
参議院
(平成28年12月8日)
(平成28年12月9日)
無電柱化の推進に関する法律をここに公布する。
御名御璽
平成二十八年十二月十六日
内閣総理大臣 安倍晋三
法律第百十二号
無電柱化の推進に関する法律
目次
第一章
総則(第一条―第六条)
第二章
無電柱化推進計画等(第七条・第八条)
第三章
無電柱化の推進に関する施策(第九条―第十五条)
附則
第一章 総則
(目的)
第一条 この法律は、災害の防止、安全かつ円滑な交通の確保、良好な景観の形成等を図るため、無電柱化(電線を地下に埋設することその他の方法により、電柱(鉄道及び軌道の電柱を除く。以下同じ。)又は電線(電柱によって支持されるものに限る。第十三条を除き、以下同じ。)の道路上における設置を抑制し、及び道路上の電柱又は電線を撤去することをいう。以下同じ。)の推進に関し、基本理念を定め、国及び地方公共団体の責務等を明らかにし、並びに無電柱化の推進に関する計画の策定その他の必要な事項を定めることにより、無電柱化の推進に関する施策を総合的、計画的かつ迅速に推進し、もって公共の福祉の確保並びに国民生活の向上及び国民経済の健全な発展に資することを目的とする。
(基本理念)
第二条 無電柱化の推進は、無電柱化の重要性に関する国民の理解と関心を深めつつ、行われるものとする。
2 無電柱化の推進は、国、地方公共団体及び第五条に規定する関係事業者の適切な役割分担の下に行われなければならない。
3 無電柱化の推進は、地域住民の意向を踏まえつつ、地域住民が誇りと愛着を持つことのできる地域社会の形成に資するよう行われなければならない。
(国の責務)
第三条 国は、前条の基本理念にのっとり、無電柱化の推進に関する施策を総合的、計画的かつ迅速に策定し、及び実施する責務を有する。
(地方公共団体の責務)
第四条 地方公共団体は、第二条の基本理念にのっとり、無電柱化の推進に関し、国との適切な役割分担を踏まえて、その地方公共団体の地域の状況に応じた施策を総合的、計画的かつ迅速に策定し、及び実施する責務を有する。
(関係事業者の責務)
第五条 道路上の電柱又は電線の設置及び管理を行う事業者(以下「関係事業者」という。)は、第二条の基本理念にのっとり、電柱又は電線の道路上における設置の抑制及び道路上の電柱又は電線の撤去を行い、並びに国及び地方公共団体と連携して無電柱化の推進に資する技術の開発を行う責務を有する。
(国民の努力)
第六条 国民は、無電柱化の重要性に関する理解と関心を深めるとともに、国又は地方公共団体が実施する無電柱化の推進に関する施策に協力するよう努めなければならない。
第二章 無電柱化推進計画等
(無電柱化推進計画)
第七条 国土交通大臣は、無電柱化の推進に関する施策の総合的、計画的かつ迅速な推進を図るため、無電柱化の推進に関する計画(以下「無電柱化推進計画」という。)を定めなければならない。
2 無電柱化推進計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。
一 無電柱化の推進に関する基本的な方針
二 無電柱化推進計画の期間
三 無電柱化の推進に関する目標
四 無電柱化の推進に関し総合的かつ計画的に講ずべき施策
五 前各号に掲げるもののほか、無電柱化の推進に関する施策を総合的、計画的かつ迅速に推進するために必要な事項
3 国土交通大臣は、情勢の推移により必要が生じたときは、無電柱化推進計画を変更するものとする。
4 国土交通大臣は、無電柱化推進計画を定め、又は変更しようとするときは、総務大臣、経済産業大臣その他の関係行政機関の長に協議するとともに、電気事業法(昭和三十九年法律第百七十号)第二条第一項第九号に規定する一般送配電事業者及び同項第十三号に規定する特定送配電事業者(次条第三項において「関係電気事業者」という。)並びに電気通信事業法(昭和五十九年法律第八十六号)第百二十条第一項に規定する認定電気通信事業者(次条第三項において「関係電気通信事業者」という。)(道路上の電柱又は電線を設置し及び管理して同法第百二十条第一項に規定する認定電気通信事業に係る電気通信役務を提供するものに限る。)の意見を聴かなければならない。
5 国土交通大臣は、無電柱化推進計画を定め、又は変更したときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。
(都道府県無電柱化推進計画等)
第八条 都道府県は、無電柱化推進計画を基本として、その都道府県の区域における無電柱化の推進に関する施策についての計画(以下この条において「都道府県無電柱化推進計画」という。)を定めるよう努めなければならない。
2 市町村(特別区を含む。以下この条において同じ。)は、無電柱化推進計画(都道府県無電柱化推進計画が定められているときは、無電柱化推進計画及び都道府県無電柱化推進計画)を基本として、その市町村の区域における無電柱化の推進に関する施策についての計画(以下この条において「市町村無電柱化推進計画」という。)を定めるよう努めなければならない。
3 都道府県又は市町村は、都道府県無電柱化推進計画又は市町村無電柱化推進計画を定め、又は変更しようとするときは、関係電気事業者(その供給区域又は供給地点が当該都道府県又は市町村の区域内にあるものに限る。)及び関係電気通信事業者(当該都道府県又は市町村の区域内において道路上の電柱又は電線を設置し及び管理して電気通信事業法第百二十条第一項に規定する認定電気通信事業に係る電気通信役務を提供するものに限る。)の意見を聴くものとする。
4 都道府県又は市町村は、都道府県無電柱化推進計画又は市町村無電柱化推進計画を定め、又は変更したときは、遅滞なく、これを公表するよう努めるものとする。
第三章 無電柱化の推進に関する施策
(国民の理解及び関心の増進)
第九条 国及び地方公共団体は、無電柱化の重要性に関する国民の理解と関心を深めるよう、無電柱化に関する広報活動及び啓発活動の充実その他の必要な施策を講ずるものとする。
(無電柱化の日)
第十条 国民の間に広く無電柱化の重要性についての理解と関心を深めるようにするため、無電柱化の日を設ける。
2 無電柱化の日は、十一月十日とする。
3 国及び地方公共団体は、無電柱化の日には、その趣旨にふさわしい行事が実施されるよう努めるものとする。
(無電柱化が特に必要であると認められる道路の占用の禁止等)
第十一条 国及び地方公共団体は、災害の防止、安全かつ円滑な交通の確保、良好な景観の形成等を図るために無電柱化が特に必要であると認められる道路について、道路法(昭和二十七年法律第百八十号)第三十七条第一項の規定による道路の占用の禁止又は制限その他無電柱化の推進のために必要な措置を講ずるものとする。
(電柱又は電線の設置の抑制及び撤去)
第十二条 関係事業者は、社会資本整備重点計画法(平成十五年法律第二十号)第二条第二項第一号に掲げる事業(道路の維持に関するものを除く。)、都市計画法(昭和四十三年法律第百号)第四条第七項に規定する市街地開発事業その他これらに類する事業が実施される場合には、これらの事業の状況を踏まえつつ、電柱又は電線を道路上において新たに設置しないようにするとともに、当該場合において、現に設置し及び管理する道路上の電柱又は電線の撤去を当該事業の実施と併せて行うことができるときは、当該電柱又は電線を撤去するものとする。
(調査研究、技術開発等の推進等)
第十三条 国、地方公共団体及び関係事業者は、電線を地下に埋設する簡便な方法その他の無電柱化の迅速な推進及び費用の縮減を図るための方策等に関する調査研究、技術開発等の推進及びその成果の普及に必要な措置を講ずるものとする。
(関係者相互の連携及び協力)
第十四条 国、地方公共団体、関係事業者その他の関係者は、無電柱化に関する工事(道路上の電柱又は電線以外の物件等に係る工事と一体的に行われるものを含む。)の効率的な施工等のため、相互に連携を図りながら協力しなければならない。
(法制上の措置等)
第十五条 政府は、無電柱化の推進に関する施策を実施するため必要な法制上、財政上又は税制上の措置その他の措置を講じなければならない。
附 則
(施行期日)
1 この法律は、公布の日から施行する。
(無電柱化の費用の負担の在り方等)
2 無電柱化の費用は、無電柱化に係る事業の特性を踏まえた国、地方公共団体及び関係事業者の適切な役割分担の下、これらの者がその役割分担に応じて負担するものとするとともに、政府は、第十三条に定めるもののほか、無電柱化を円滑かつ迅速に推進する観点から、無電柱化の費用の縮減を図るための方策その他の国、地方公共団体及び関係事業者の負担を軽減するための方策について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。
総務大臣 山本早苗
経済産業大臣 世耕弘成
国土交通大臣 石井啓一
内閣総理大臣 安倍晋三