犯罪による収益の移転防止に関する法律の一部を改正する法律
法令番号: 法律第117号
公布年月日: 平成26年11月27日
法令の形式: 法律

提案理由 (AIによる要約)

最近の犯罪収益の移転状況を踏まえ、疑わしい取引の届出判断方法の整備、外国所在為替取引業者との契約締結時の確認義務、特定事業者の体制整備等の努力義務の拡充を行うもの。具体的には、疑わしい取引の届出判断において犯罪収益移転危険度調査書の内容を勘案すること、外国所在為替取引業者との継続的取引契約時に必要な体制整備を確認すること、特定事業者に対し取引時確認等の措置実施に関する規程作成や統括管理者選任等を求めることを定める。

参照した発言:
第187回国会 衆議院 内閣委員会 第7号

審議経過

第187回国会

衆議院
(平成26年10月31日)
(平成26年11月5日)
(平成26年11月6日)
参議院
(平成26年11月13日)
(平成26年11月18日)
(平成26年11月19日)
犯罪による収益の移転防止に関する法律の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
平成二十六年十一月二十七日
内閣総理大臣 安倍晋三
法律第百十七号
犯罪による収益の移転防止に関する法律の一部を改正する法律
犯罪による収益の移転防止に関する法律(平成十九年法律第二十二号)の一部を次のように改正する。
題名の次に次の目次及び章名を付する。
目次
第一章
総則(第一条―第三条)
第二章
特定事業者による措置(第四条―第十二条)
第三章
疑わしい取引に関する情報の提供等(第十三条・第十四条)
第四章
監督(第十五条―第十九条)
第五章
雑則(第二十条―第二十四条)
第六章
罰則(第二十五条―第三十一条)
附則
第一章 総則
第二条第二項第三十九号中「第二十一条第一項第十五号」を「第二十二条第一項第十五号」に改める。
第三条第三項中「国家公安委員会」を「前項に定めるもののほか、国家公安委員会」に改め、同項を同条第五項とし、同条第二項の次に次の二項を加える。
3 国家公安委員会は、毎年、犯罪による収益の移転に係る手口その他の犯罪による収益の移転の状況に関する調査及び分析を行った上で、特定事業者その他の事業者が行う取引の種別ごとに、当該取引による犯罪による収益の移転の危険性の程度その他の当該調査及び分析の結果を記載した犯罪収益移転危険度調査書を作成し、これを公表するものとする。
4 国家公安委員会は、第二項の規定による情報の集約、整理及び分析並びに前項の規定による調査及び分析を行うため必要があると認めるときは、関係行政機関、特定事業者その他の関係者に対し、資料の提出、意見の表明、説明その他必要な協力を求めることができる。
第三条の次に次の章名を付する。
第二章 特定事業者による措置
第四条第一項中「第十一条」を「第十二条」に改める。
第八条第一項中「取引時確認の結果その他の事情を勘案して、特定業務」を「特定業務に係る取引について、当該取引」に、「があり」を「があるかどうか」に、「特定業務に関し」を「当該取引に関し」に改め、「がある」の下に「かどうかを判断し、これらの疑いがある」を加え、同条第四項を同条第五項とし、同条第三項を同条第四項とし、同条第二項中「前項」を「第一項」に改め、同項を同条第三項とし、同条第一項の次に次の一項を加える。
2 前項の規定による判断は、同項の取引に係る取引時確認の結果、当該取引の態様その他の事情及び第三条第三項に規定する犯罪収益移転危険度調査書の内容を勘案し、かつ、主務省令で定める項目に従って当該取引に疑わしい点があるかどうかを確認する方法その他の主務省令で定める方法により行わなければならない。
第三十条中「第二十一条第六項各号」を「第二十二条第六項各号」に、「第二十六条」を「第二十七条」に改め、同条を第三十一条とする。
第二十九条第一号中「第二十四条」を「第二十五条」に改め、同条第二号中「第二十五条」を「第二十六条」に改め、同条第三号中「第二十六条」を「第二十七条」に改め、同条を第三十条とする。
第二十八条を第二十九条とし、第二十七条を第二十八条とし、第二十六条を第二十七条とする。
第二十五条第一号中「第十四条」を「第十五条」に、「第十八条第二項」を「第十九条第二項」に改め、同条第二号中「第十五条第一項」を「第十六条第一項」に、「第十八条第三項」を「第十九条第三項」に改め、同条を第二十六条とする。
第二十四条の前の見出しを削り、同条中「第十七条」を「第十八条」に改め、同条を第二十五条とする。
第二十三条を第二十四条とし、同条の次に次の章名を付する。
第六章 罰則
第二十二条を第二十三条とする。
第二十一条第二項中「第九条第一項」を「第九条」に改め、「係る第九条」の下に「及び第十条」を加え、同条第六項中「第十六条及び第十七条」を「第十七条及び第十八条」に改め、同条第十項中「第十四条から第十八条まで」を「第十五条から第十九条まで」に改め、同条を第二十二条とする。
第二十条を第二十一条とし、第十九条を第二十条とする。
第十八条第三項中「第十五条第二項」を「第十六条第二項」に改め、同条第五項中「第十五条第一項」を「第十六条第一項」に改め、同条を第十九条とし、同条の次に次の章名を付する。
第五章 雑則
第十七条中「若しくは第二項又は第九条」を「から第三項まで、第九条又は第十条」に改め、同条を第十八条とする。
第十六条を第十七条とし、第十五条を第十六条とし、第十四条を第十五条とし、第十三条を第十四条とし、同条の次に次の章名を付する。
第四章 監督
第十二条を第十三条とし、第十一条を第十二条とし、同条の次に次の章名を付する。
第三章 疑わしい取引に関する情報の提供等
第十条中「疑わしい取引の届出等の措置」の下に「(以下この条において「取引時確認等の措置」という。)」を加え、「使用人に対する教育訓練の実施その他の必要な体制の整備」を「次に掲げる措置を講ずるよう」に改め、同条に次の各号を加える。
一 使用人に対する教育訓練の実施
二 取引時確認等の措置の実施に関する規程の作成
三 取引時確認等の措置の的確な実施のために必要な監査その他の業務を統括管理する者の選任
四 その他第三条第三項に規定する犯罪収益移転危険度調査書の内容を勘案して講ずべきものとして主務省令で定める措置
第十条を第十一条とする。
第九条第一項中「(第二条第二項第一号から第十五号まで及び第三十号に掲げる特定事業者に限る。以下この条において同じ。)」及び「本邦の域外にある国又は地域をいい、」を削り、「外国に所在して業として為替取引を行う者をいう」を「当該政令で定める国又は地域に所在するものを除く」に改め、同条を第十条とし、第八条の次に次の一条を加える。
(外国所在為替取引業者との契約締結の際の確認)
第九条 特定事業者(第二条第二項第一号から第十五号まで及び第三十号に掲げる特定事業者に限る。次条において同じ。)は、外国所在為替取引業者(外国(本邦の域外にある国又は地域をいう。以下同じ。)に所在して業として為替取引を行う者をいう。以下同じ。)との間で、為替取引を継続的に又は反復して行うことを内容とする契約を締結するに際しては、主務省令で定める方法により、当該外国所在為替取引業者について、次に掲げる事項の確認を行わなければならない。
一 当該外国所在為替取引業者が、第四条、前三条及び次条の規定による措置に相当する措置(以下この号において「取引時確認等相当措置」という。)を的確に行うために必要な営業所その他の施設並びに取引時確認等相当措置の実施を統括管理する者を当該外国所在為替取引業者の所在する国又は当該所在する国以外の外国に置き、かつ、取引時確認等相当措置の実施に関し、第十五条から第十八条までに規定する行政庁の職務に相当する職務を行う当該所在する国又は当該外国の機関の適切な監督を受けている状態(次号において単に「監督を受けている状態」という。)にあることその他の取引時確認等相当措置を的確に行うために必要な基準として主務省令で定める基準に適合する体制を整備していること。
二 当該外国所在為替取引業者が、業として為替取引を行う者であって監督を受けている状態にないものとの間で為替取引を継続的に又は反復して行うことを内容とする契約を締結していないこと。
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して二年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、第三条の改正規定及び附則第三条の規定は、公布の日から施行する。
(経過措置)
第二条 この法律による改正後の第八条の規定は、この法律の施行の日(以下「施行日」という。)以後に行われる取引について適用し、施行日前に行われた取引については、なお従前の例による。
(政令への委任)
第三条 前条に定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。
(調整規定)
第四条 施行日が行政不服審査法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(平成二十六年法律第六十九号)の施行の日前である場合には、同法第十八条のうち犯罪による収益の移転防止に関する法律第二十一条第八項の改正規定中「第二十一条第八項」とあるのは、「第二十二条第八項」とする。
内閣総理大臣 安倍晋三
総務大臣 山本早苗
法務大臣 上川陽子
財務大臣 麻生太郎
厚生労働大臣 塩崎恭久
農林水産大臣 西川公也
経済産業大臣 宮沢洋一
国土交通大臣 太田昭宏