公共工事の品質確保の促進に関する法律の一部を改正する法律
法令番号: 法律第五十六号
公布年月日: 平成26年6月4日
法令の形式: 法律
公共工事の品質確保の促進に関する法律の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
平成二十六年六月四日
内閣総理大臣臨時代理 国務大臣 麻生太郎
法律第五十六号
公共工事の品質確保の促進に関する法律の一部を改正する法律
公共工事の品質確保の促進に関する法律(平成十七年法律第十八号)の一部を次のように改正する。
題名の次に次の目次及び章名を付する。
目次
第一章
総則(第一条―第八条)
第二章
基本方針等(第九条―第十一条)
第三章
多様な入札及び契約の方法等
第一節
競争参加者の技術的能力の審査等(第十二条・第十三条)
第二節
多様な入札及び契約の方法(第十四条―第二十条)
第三節
発注関係事務を適切に実施することができる者の活用及び発注者に対する支援等(第二十一条―第二十四条)
附則
第一章 総則
第一条中「かんがみ、公共工事の品質確保に関し、基本理念を定め、国等の責務を明らかにするとともに、」を「鑑み、公共工事の品質確保に関する基本理念、国等の責務、基本方針の策定等その担い手の中長期的な育成及び確保の促進その他の」に改め、「により、」の下に「現在及び将来の」を加える。
第三条第一項及び第二項中「かんがみ」を「鑑み」に改め、同条第七項中「当たっては、公共工事に関する調査」の下に「(点検及び診断を含む。以下同じ。)」を加え、「かんがみ」を「鑑み」に改め、「踏まえ」の下に「、公共工事に準じ、その業務の内容に応じて必要な知識又は技術を有する者の能力がその者の有する資格等により適切に評価され、及びそれらの者が十分に活用されること等により」を加え、同項を同条第十一項とし、同条第六項中「当たっては」の下に「、公共工事の受注者のみならず下請負人及びこれらの者に使用される技術者、技能労働者等がそれぞれ公共工事の品質確保において重要な役割を果たすことに鑑み」を、「請負契約」の下に「(下請契約を含む。)」を加え、「締結し、」を「適正な額の請負代金で締結し、その請負代金をできる限り速やかに支払う等」に改め、「履行する」の下に「とともに、公共工事に従事する者の賃金その他の労働条件、安全衛生その他の労働環境が改善される」を加え、同項を同条第十項とし、同条第五項中「競争に付された」を削り、同項を同条第九項とし、同条第四項中「並びに適正な」を「、その請負代金の額によっては公共工事の適正な施工が通常見込まれない契約の締結が防止されること並びに契約された公共工事の適正な」に改め、同項を同条第八項とし、同条第三項中「かんがみ」を「鑑み」に改め、同項を同条第五項とし、同項の次に次の二項を加える。
6 公共工事の品質は、完成後の適切な点検、診断、維持、修繕その他の維持管理により、将来にわたり確保されなければならない。
7 公共工事の品質は、地域において災害時における対応を含む社会資本の維持管理が適切に行われるよう、地域の実情を踏まえ地域における公共工事の品質確保の担い手の育成及び確保について配慮がなされることにより、将来にわたり確保されなければならない。
第三条第二項の次に次の二項を加える。
3 公共工事の品質は、施工技術の維持向上が図られ、並びにそれを有する者等が公共工事の品質確保の担い手として中長期的に育成され、及び確保されることにより、将来にわたり確保されなければならない。
4 公共工事の品質は、公共工事の発注者(第二十四条を除き、以下「発注者」という。)の能力及び体制を考慮しつつ、工事の性格、地域の実情等に応じて多様な入札及び契約の方法の中から適切な方法が選択されることにより、確保されなければならない。
第五条中「、国との連携を図りつつ」を削る。
第十五条第三項中「育成」の下に「及びその活用の促進」を、「備えた者の」の下に「適切な評価及び」を、「協力」の下に「、発注者間の連携体制の整備」を加え、同項を同条第四項とし、同条第二項の次に次の一項を加える。
3 第一項の規定により、契約により発注関係事務の全部又は一部を行う者は、基本理念にのっとり、発注関係事務を適切に実施しなければならない。
第十五条を第二十一条とする。
第十四条前段中「発注者は」の下に「、前条第一項の場合を除くほか」を加え、同条を第十九条とし、同条の次に次の一条及び節名を加える。
(地域における社会資本の維持管理に資する方式)
第二十条 発注者は、公共工事の発注に当たり、地域における社会資本の維持管理の効率的かつ持続的な実施のために必要があると認めるときは、地域の実情に応じ、次に掲げる方式等を活用するものとする。
一 工期が複数年度にわたる公共工事を一の契約により発注する方式
二 複数の公共工事を一の契約により発注する方式
三 複数の建設業者により構成される組合その他の事業体が競争に参加することができることとする方式
第三節 発注関係事務を適切に実施することができる者の活用及び発注者に対する支援等
第十三条第二項中「前条第四項ただし書」を「第十五条第五項ただし書」に改め、同条を第十七条とし、同条の次に次の一条を加える。
(技術提案の審査及び価格等の交渉による方式)
第十八条 発注者は、当該公共工事の性格等により当該工事の仕様の確定が困難である場合において自らの発注の実績等を踏まえ必要があると認めるときは、技術提案を公募の上、その審査の結果を踏まえて選定した者と工法、価格等の交渉を行うことにより仕様を確定した上で契約することができる。この場合において、発注者は、技術提案の審査及び交渉の結果を踏まえ、予定価格を定めるものとする。
2 発注者は、前項の技術提案の審査に当たり、中立かつ公正な審査が行われるよう、中立の立場で公正な判断をすることができる学識経験者の意見を聴くとともに、当該審査に関する当事者からの苦情を適切に処理することその他の必要な措置を講ずるものとする。
3 発注者は、第一項の技術提案の審査の結果並びに審査及び交渉の過程の概要を公表しなければならない。この場合においては、第十五条第五項ただし書の規定を準用する。
第十二条の見出し中「技術提案」の下に「を求める方式」を加え、同条第一項中「(競争に参加しようとする者を含む。以下同じ。)」を削り、同条第四項を同条第五項とし、同条第三項を同条第四項とし、同条第二項前段中「発注者は、」の下に「競争に付された公共工事につき」を加え、同項を同条第三項とし、同条第一項の次に次の一項を加える。
2 発注者は、前項の規定により技術提案を求めるに当たっては、競争に参加する者の技術提案に係る負担に配慮しなければならない。
第十二条を第十五条とし、同条の次に次の一条を加える。
(段階的選抜方式)
第十六条 発注者は、競争に参加する者に対し技術提案を求める方式による場合において競争に参加する者の数が多数であると見込まれるときその他必要があると認めるときは、必要な施工技術を有する者が新規に競争に参加することが不当に阻害されることのないように配慮しつつ、当該公共工事に係る技術的能力に関する事項を評価すること等により一定の技術水準に達した者を選抜した上で、これらの者の中から落札者を決定することができる。
第十一条を第十二条とし、同条の次に次の一条、節名及び一条を加える。
(競争参加者の中長期的な技術的能力の確保に関する審査等)
第十三条 発注者は、その発注に係る公共工事の契約につき競争に付するときは、当該公共工事の性格、地域の実情等に応じ、競争に参加する者(競争に参加しようとする者を含む。以下同じ。)について、若年の技術者、技能労働者等の育成及び確保の状況、建設機械の保有の状況、災害時における工事の実施体制の確保の状況等に関する事項を適切に審査し、又は評価するよう努めなければならない。
第二節 多様な入札及び契約の方法
(多様な入札及び契約の方法の中からの適切な方法の選択)
第十四条 発注者は、入札及び契約の方法の決定に当たっては、その発注に係る公共工事の性格、地域の実情等に応じ、この節に定める方式その他の多様な方法の中から適切な方法を選択し、又はこれらの組合せによることができる。
第十条を第十一条とし、同条の次に次の章名及び節名を付する。
第三章 多様な入札及び契約の方法等
第一節 競争参加者の技術的能力の審査等
第九条を第十条とし、第八条を第九条とする。
第七条中「実施するとともに、そのために必要な技術的能力の向上」を「実施し、下請契約を締結するときは、適正な額の請負代金での下請契約の締結」に改め、同条に次の一項を加える。
2 公共工事の受注者(受注者となろうとする者を含む。)は、契約された又は将来施工することとなる公共工事の適正な実施のために必要な技術的能力の向上並びに技術者、技能労働者等の育成及び確保並びにこれらの者に係る賃金その他の労働条件、安全衛生その他の労働環境の改善に努めなければならない。
第七条を第八条とし、同条の次に次の章名を付する。
第二章 基本方針等
第六条第一項中「公共工事の発注者(以下「発注者」という。)」を「発注者」に、「その発注に係る」を「現在及び将来の」に改め、「確保されるよう」の下に「、公共工事の品質確保の担い手の中長期的な育成及び確保に配慮しつつ」を、「という。)を」の下に「、次に定めるところによる等」を加え、同項に次の各号を加える。
一 公共工事を施工する者が、公共工事の品質確保の担い手が中長期的に育成され及び確保されるための適正な利潤を確保することができるよう、適切に作成された仕様書及び設計書に基づき、経済社会情勢の変化を勘案し、市場における労務及び資材等の取引価格、施工の実態等を的確に反映した積算を行うことにより、予定価格を適正に定めること。
二 入札に付しても定められた予定価格に起因して入札者又は落札者がなかったと認める場合において更に入札に付するときその他必要があると認めるときは、当該入札に参加する者から当該入札に係る工事の全部又は一部の見積書を徴することその他の方法により積算を行うことにより、適正な予定価格を定め、できる限り速やかに契約を締結するよう努めること。
三 その請負代金の額によっては公共工事の適正な施工が通常見込まれない契約の締結を防止するため、その入札金額によっては当該公共工事の適正な施工が通常見込まれない契約となるおそれがあると認められる場合の基準又は最低制限価格の設定その他の必要な措置を講ずること。
四 計画的に発注を行うとともに、適切な工期を設定するよう努めること。
五 設計図書(仕様書、設計書及び図面をいう。以下この号において同じ。)に適切に施工条件を明示するとともに、設計図書に示された施工条件と実際の工事現場の状態が一致しない場合、設計図書に示されていない施工条件について予期することができない特別な状態が生じた場合その他の場合において必要があると認められるときは、適切に設計図書の変更及びこれに伴い必要となる請負代金の額又は工期の変更を行うこと。
六 必要に応じて完成後の一定期間を経過した後において施工状況の確認及び評価を実施するよう努めること。
第六条第二項中「及び他の発注者による発注に」を「に、及び発注者間においてその発注に相互に、」に、「これらの資料の保存に関し、」を「その評価の標準化のための措置並びにこれらの資料の保存のためのデータベースの整備及び更新その他の」に改め、同条第三項中「ために」を「ため、」に改め、「整備に」の下に「努めるとともに、他の発注者と情報交換を行うこと等により連携を図るように」を加え、同条を第七条とする。
第五条の次に次の一条を加える。
(国及び地方公共団体の相互の連携及び協力)
第六条 国及び地方公共団体は、公共工事の品質確保の促進に関する施策の策定及び実施に当たっては、基本理念の実現を図るため、相互に緊密な連携を図りながら協力しなければならない。
本則に次の三条を加える。
(発注関係事務の運用に関する指針)
第二十二条 国は、基本理念にのっとり、発注者を支援するため、地方公共団体、学識経験者、民間事業者その他の関係者の意見を聴いて、公共工事の性格、地域の実情等に応じた入札及び契約の方法の選択その他の発注関係事務の適切な実施に係る制度の運用に関する指針を定めるものとする。
(国の援助)
第二十三条 国は、第二十一条第四項及び前条に規定するもののほか、地方公共団体が講ずる公共工事の品質確保の担い手の中長期的な育成及び確保の促進その他の公共工事の品質確保の促進に関する施策に関し、必要な助言その他の援助を行うよう努めなければならない。
(公共工事に関する調査及び設計の品質確保)
第二十四条 公共工事に関する調査又は設計の発注者は、その発注に当たり、公共工事に準じ、競争に参加しようとする者について調査又は設計の業務の経験、当該業務に配置が予定される技術者の経験又は有する資格その他技術的能力に関する事項を審査すること、受注者となろうとする者に調査又は設計に関する技術又は工夫についての提案を求めることその他の当該業務の性格、地域の実情等に応じた入札及び契約の方法を選択すること等により、その品質を確保するよう努めなければならない。
2 公共工事に関する調査又は設計の発注者は、公共工事に準じ、業務状況の評価の標準化並びに調査又は設計の成果及び評価に関する資料その他の資料の保存に関し、必要な措置を講ずるよう努めなければならない。
3 国は、公共工事に関する調査及び設計に関し、その業務の内容に応じて必要な知識又は技術を有する者の能力がその者の有する資格等により適切に評価され、及びそれらの者が十分に活用されるようにするため、これらに係る資格等の評価の在り方等について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。
附 則
(施行期日)
1 この法律は、公布の日から施行する。
(検討)
2 政府は、この法律の施行後五年を目途として、この法律による改正後の公共工事の品質確保の促進に関する法律の施行の状況等について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。
(民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律の一部改正)
3 民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律(平成十一年法律第百十七号)の一部を次のように改正する。
第十条第三項中「第十二条第四項本文、第十三条第一項前段及び第十四条」を「第十五条第五項本文、第十六条、第十七条第一項前段、第十八条第一項及び第二項並びに第十九条」に改める。
内閣総理大臣臨時代理 国務大臣 麻生太郎
総務大臣 新藤義孝
法務大臣 谷垣禎一
外務大臣 岸田文雄
財務大臣 麻生太郎
文部科学大臣 下村博文
厚生労働大臣 田村憲久
農林水産大臣 林芳正
経済産業大臣 茂木敏充
国土交通大臣 太田昭宏
環境大臣 石原伸晃
防衛大臣 小野寺五典