特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律の一部を改正する法律
法令番号: 法律第三十八号
公布年月日: 平成25年6月12日
法令の形式: 法律
特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
平成二十五年六月十二日
内閣総理大臣 安倍晋三
法律第三十八号
特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律の一部を改正する法律
特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律(平成十六年法律第七十八号)の一部を次のように改正する。
目次中「第四章 未判定外来生物(第二十一条―第二十四条)」を
第四章
未判定外来生物(第二十一条―第二十四条)
第四章の二
輸入品等の検査等(第二十四条の二―第二十四条の四)
に改める。
第二条第一項中「となる生物(」の下に「その生物が交雑することにより生じた生物を含む。」を加える。
第四条第二号中「第三章」を「次章」に改める。
第六条を次のように改める。
第六条 削除
第九条の見出しを「(放出等の禁止)」に改め、同条中「放ち、植え、又はまいて」を「放出、植栽又はは種(以下「放出等」という。)をして」に改め、同条に次のただし書を加える。
ただし、次に掲げる場合は、この限りでない。
一 次条第一項の許可を受けてその許可に係る放出等をする場合
二 次章の規定による防除に係る放出等をする場合
第九条の次に次の二条を加える。
(放出等の許可)
第九条の二 次章の規定による防除の推進に資する学術研究の目的で特定外来生物の放出等をしようとする者は、主務大臣の許可を受けなければならない。
2 前項の許可を受けようとする者は、主務省令で定めるところにより、主務大臣に許可の申請をしなければならない。
3 主務大臣は、前項の申請に係る放出等の目的が第一項に規定する目的に適合し、かつ、当該放出等が当該特定外来生物の生息地又は生育地を拡大させるおそれがないものであることその他の主務省令で定める基準に適合するものであると認めるときでなければ、同項の許可をしてはならない。
4 主務大臣は、第一項の許可をしたときは、主務省令で定めるところにより、許可証を交付しなければならない。
5 第一項の許可を受けた者は、その許可に係る放出等をするときは、前項の許可証を携帯しなければならない。
6 第五条第四項の規定は、第一項の許可について準用する。
(措置命令等)
第九条の三 主務大臣は、特定外来生物による生態系等に係る被害の防止のため必要があると認めるときは、第四条、第五条第五項、第八条若しくは第九条の規定又は第五条第四項(前条第六項において準用する場合を含む。)の規定により付された条件に違反した者に対して、その防止のため必要な限度において、当該特定外来生物の飼養等の中止、当該特定外来生物に係る飼養等の方法の改善、放出等をした当該特定外来生物の回収その他の必要な措置を執るべきことを命ずることができる。
2 主務大臣は、第五条第一項又は前条第一項の許可を受けた者がこの法律若しくはこの法律に基づく命令の規定又はこの法律に基づく処分に違反した場合において、特定外来生物による生態系等に係る被害が生じ、又は生じるおそれがあると認めるときは、その許可を取り消すことができる。
第十条第一項中「第五条第一項」の下に「又は第九条の二第一項」を加え、「求め、又はその職員に、特定外来生物の飼養等に係る施設に立ち入り、特定外来生物、書類その他の物件を検査させ、若しくは関係者に質問させる」を「求める」に改め、同条第三項中「第一項」を「第二項」に改め、同項を同条第四項とし、同条第二項を同条第三項とし、同条第一項の次に次の一項を加える。
2 主務大臣は、この法律の施行に必要な限度において、その職員に、特定外来生物の飼養等に係る施設又は放出等に係る区域に立ち入り、特定外来生物、書類その他の物件を検査させ、又は関係者に質問させることができる。
第十一条第二項第三号中「又は」を「若しくは」に改め、「という。)」の下に「又はその防除を目的とする生殖を不能にされた特定外来生物の放出等」を加える。
第十三条第一項中「捕獲等を」を「捕獲等若しくは放出等を」に改め、同条に次の一項を加える。
4 主務大臣等は、第二項の規定による通知をする場合において、相手方が知れないとき、又はその所在が不分明なときは、その通知に係る土地、水面又は立木竹の所在地の属する市町村の事務所の掲示場にその通知の内容を掲示するとともに、その要旨及び掲示した旨を官報に掲載しなければならない。この場合においては、その掲示を始めた日又は官報に掲載した日のいずれか遅い日から十四日を経過した日に、その通知は、相手方に到達したものとみなす。
第十八条第三項中「第三項」を「第四項」に改め、同条第四項に後段として次のように加える。
この場合において、第十三条第四項中「官報」とあるのは、「地方公共団体の公報」と読み替えるものとする。
第二十条中第三項を第四項とし、第二項の次に次の一項を加える。
3 主務大臣は、第十八条第二項の認定を受けた防除におけるその防除を目的とする生殖を不能にされた特定外来生物の放出等が第十一条第二項の規定により公示された事項に即して行われていないと認めるときは、その防除を行う者に対し、放出等をした当該特定外来生物の回収その他の必要な措置を執るべきことを命ずることができる。
第四章の次に次の一章を加える。
第四章の二 輸入品等の検査等
(輸入品等の検査等)
第二十四条の二 主務大臣は、特定外来生物又は未判定外来生物が付着し、又は混入しているおそれがある輸入品又はその容器包装(以下「輸入品等」という。)があると認めるときは、その職員に、当該輸入品等の所在する土地、倉庫、船舶又は航空機に立ち入り、当該輸入品等を検査させ、関係者に質問させ、又は検査のために必要な最小量に限り、当該輸入品等を無償で集取させることができる。
2 前項の規定による検査の結果、輸入品等に特定外来生物又は未判定外来生物が付着し、又は混入しているときは、主務大臣は、当該輸入品等を消毒し、若しくは廃棄し、又はこれを所有し、若しくは管理する者に対してこれを消毒し、若しくは廃棄すべきことを命ずることができる。
3 第一項の規定による権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
(委任規定)
第二十四条の三 前条第二項の規定による命令の手続及び基準は、主務省令で定める。
2 主務大臣は、前項の基準を定めようとするときは、あらかじめ、生物の性質に関し専門の学識経験を有する者及びその他の学識経験を有する者の意見を聴かなければならない。
(不服申立て)
第二十四条の四 第二十四条の二第二項の規定による命令については、行政不服審査法(昭和三十七年法律第百六十号)による不服申立てをすることができない。
第二十六条第一項中「第六条第一項又は第十条第一項」を「第九条の三第一項、第十条第一項若しくは第二項又は第二十四条の二第一項若しくは第二項」に改める。
第三十二条第二号中「第五条第一項」の下に「又は第九条の二第一項」を加え、同条第三号を削り、同条第四号を同条第三号とし、同条第五号を同条第四号とし、同条に次の一号を加える。
五 第九条の三第一項又は第二十四条の二第二項の規定による命令に違反した者
第三十三条第一号中「第五号」を「第四号」に改め、同条第三号を同条第五号とし、同条第二号の次に次の二号を加える。
三 第九条の二第六項において準用する第五条第四項の規定により付された条件に違反して特定外来生物の放出等をした者
四 第二十条第三項の規定による命令に違反した者
第三十五条中「第十条第一項に規定する報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による立入検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、若しくは質問に対して陳述をせず、若しくは虚偽の陳述をした」を「次の各号のいずれかに該当する」に改め、同条に次の各号を加える。
一 第十条第一項の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者
二 第十条第二項の規定による立入検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又は質問に対して陳述をせず、若しくは虚偽の陳述をした者
三 第二十四条の二第一項の規定による立入検査若しくは集取を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又は質問に対して陳述をせず、若しくは虚偽の陳述をした者
第三十六条第三号中「第三十四条又は第三十五条」を「前二条」に改める。
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、附則第四条の規定は、公布の日から施行する。
(命令に関する経過措置)
第二条 この法律の施行前にこの法律による改正前の第六条第一項の規定によりした命令は、この法律による改正後の第九条の三第一項の規定によりした命令とみなす。
(罰則に関する経過措置)
第三条 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
(政令への委任)
第四条 前二条に定めるもののほか、この法律の施行に伴い必要な経過措置は、政令で定める。
(検討)
第五条 政府は、この法律の施行後五年を経過した場合において、この法律による改正後の規定の施行の状況について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。
(動物の愛護及び管理に関する法律の一部改正)
第六条 動物の愛護及び管理に関する法律(昭和四十八年法律第百五号)の一部を次のように改正する。
第十二条第一項第六号中「若しくは第五号」を「若しくは第四号」に改める。
農林水産大臣 林芳正
環境大臣 石原伸晃
内閣総理大臣 安倍晋三