労働契約法の一部を改正する法律
法令番号: 法律第五十六号
公布年月日: 平成24年8月10日
法令の形式: 法律
労働契約法の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
平成二十四年八月十日
内閣総理大臣 野田佳彦
法律第五十六号
労働契約法の一部を改正する法律
第一条 労働契約法(平成十九年法律第百二十八号)の一部を次のように改正する。
目次中「第十七条」を「第十七条・第十八条」に、「第十八条・第十九条」を「第十九条・第二十条」に改める。
第十七条に見出しとして「(契約期間中の解雇等)」を付し、同条第一項中「労働契約」の下に「(以下この章において「有期労働契約」という。)」を加え、同条第二項中「期間の定めのある労働契約」を「有期労働契約」に、「その労働契約」を「その有期労働契約」に改める。
第十九条を第二十条とする。
第十八条第一項中「前条」を「前章」に改め、同条を第十九条とし、第四章中第十七条の次に次の一条を加える。
(有期労働契約の更新等)
第十八条 有期労働契約であって次の各号のいずれかに該当するものの契約期間が満了する日までの間に労働者が当該有期労働契約の更新の申込みをした場合又は当該契約期間の満了後遅滞なく有期労働契約の締結の申込みをした場合であって、使用者が当該申込みを拒絶することが、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないときは、使用者は、従前の有期労働契約の内容である労働条件と同一の労働条件で当該申込みを承諾したものとみなす。
一 当該有期労働契約が過去に反復して更新されたことがあるものであって、その契約期間の満了時に当該有期労働契約を更新しないことにより当該有期労働契約を終了させることが、期間の定めのない労働契約を締結している労働者に解雇の意思表示をすることにより当該期間の定めのない労働契約を終了させることと社会通念上同視できると認められること。
二 当該労働者において当該有期労働契約の契約期間の満了時に当該有期労働契約が更新されるものと期待することについて合理的な理由があるものであると認められること。
第二条 労働契約法の一部を次のように改正する。
目次中「・第十八条」を「―第二十条」に、「第十九条・第二十条」を「第二十一条・第二十二条」に改める。
第二十条を第二十二条とし、第十九条を第二十一条とする。
第四章中第十八条を第十九条とし、同条の次に次の一条を加える。
(期間の定めがあることによる不合理な労働条件の禁止)
第二十条 有期労働契約を締結している労働者の労働契約の内容である労働条件が、期間の定めがあることにより同一の使用者と期間の定めのない労働契約を締結している労働者の労働契約の内容である労働条件と相違する場合においては、当該労働条件の相違は、労働者の業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度(以下この条において「職務の内容」という。)、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情を考慮して、不合理と認められるものであってはならない。
第十七条の次に次の一条を加える。
(有期労働契約の期間の定めのない労働契約への転換)
第十八条 同一の使用者との間で締結された二以上の有期労働契約(契約期間の始期の到来前のものを除く。以下この条において同じ。)の契約期間を通算した期間(次項において「通算契約期間」という。)が五年を超える労働者が、当該使用者に対し、現に締結している有期労働契約の契約期間が満了する日までの間に、当該満了する日の翌日から労務が提供される期間の定めのない労働契約の締結の申込みをしたときは、使用者は当該申込みを承諾したものとみなす。この場合において、当該申込みに係る期間の定めのない労働契約の内容である労働条件は、現に締結している有期労働契約の内容である労働条件(契約期間を除く。)と同一の労働条件(当該労働条件(契約期間を除く。)について別段の定めがある部分を除く。)とする。
2 当該使用者との間で締結された一の有期労働契約の契約期間が満了した日と当該使用者との間で締結されたその次の有期労働契約の契約期間の初日との間にこれらの契約期間のいずれにも含まれない期間(これらの契約期間が連続すると認められるものとして厚生労働省令で定める基準に該当する場合の当該いずれにも含まれない期間を除く。以下この項において「空白期間」という。)があり、当該空白期間が六月(当該空白期間の直前に満了した一の有期労働契約の契約期間(当該一の有期労働契約を含む二以上の有期労働契約の契約期間の間に空白期間がないときは、当該二以上の有期労働契約の契約期間を通算した期間。以下この項において同じ。)が一年に満たない場合にあっては、当該一の有期労働契約の契約期間に二分の一を乗じて得た期間を基礎として厚生労働省令で定める期間)以上であるときは、当該空白期間前に満了した有期労働契約の契約期間は、通算契約期間に算入しない。
附 則
(施行期日)
1 この法律は、公布の日から施行する。ただし、第二条並びに次項及び附則第三項の規定は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
(経過措置)
2 第二条の規定による改正後の労働契約法(以下「新労働契約法」という。)第十八条の規定は、前項ただし書に規定する規定の施行の日以後の日を契約期間の初日とする期間の定めのある労働契約について適用し、同項ただし書に規定する規定の施行の日前の日が初日である期間の定めのある労働契約の契約期間は、同条第一項に規定する通算契約期間には、算入しない。
(検討)
3 政府は、附則第一項ただし書に規定する規定の施行後八年を経過した場合において、新労働契約法第十八条の規定について、その施行の状況を勘案しつつ検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。
厚生労働大臣 小宮山洋子
内閣総理大臣 野田佳彦