(手続の非公開)
第三十条 非訟事件の手続は、公開しない。ただし、裁判所は、相当と認める者の傍聴を許すことができる。
(調書の作成等)
第三十一条 裁判所書記官は、非訟事件の手続の期日について、調書を作成しなければならない。ただし、証拠調べの期日以外の期日については、裁判長においてその必要がないと認めるときは、その経過の要領を記録上明らかにすることをもって、これに代えることができる。
(記録の閲覧等)
第三十二条 当事者又は利害関係を疎明した第三者は、裁判所の許可を得て、裁判所書記官に対し、非訟事件の記録の閲覧若しくは謄写、その正本、謄本若しくは抄本の交付又は非訟事件に関する事項の証明書の交付(第百十二条において「記録の閲覧等」という。)を請求することができる。
2 前項の規定は、非訟事件の記録中の録音テープ又はビデオテープ(これらに準ずる方法により一定の事項を記録した物を含む。)に関しては、適用しない。この場合において、当事者又は利害関係を疎明した第三者は、裁判所の許可を得て、裁判所書記官に対し、これらの物の複製を請求することができる。
3 裁判所は、当事者から前二項の規定による許可の申立てがあった場合においては、当事者又は第三者に著しい損害を及ぼすおそれがあると認めるときを除き、これを許可しなければならない。
4 裁判所は、利害関係を疎明した第三者から第一項又は第二項の規定による許可の申立てがあった場合において、相当と認めるときは、これを許可することができる。
5 裁判書の正本、謄本若しくは抄本又は非訟事件に関する事項の証明書については、当事者は、第一項の規定にかかわらず、裁判所の許可を得ないで、裁判所書記官に対し、その交付を請求することができる。裁判を受ける者が当該裁判があった後に請求する場合も、同様とする。
6 非訟事件の記録の閲覧、謄写及び複製の請求は、非訟事件の記録の保存又は裁判所の執務に支障があるときは、することができない。
7 第三項の申立てを却下した裁判に対しては、即時抗告をすることができる。
8 前項の規定による即時抗告が非訟事件の手続を不当に遅滞させることを目的としてされたものであると認められるときは、原裁判所は、その即時抗告を却下しなければならない。
9 前項の規定による裁判に対しては、即時抗告をすることができる。
(専門委員)
第三十三条 裁判所は、的確かつ円滑な審理の実現のため、又は和解を試みるに当たり、必要があると認めるときは、当事者の意見を聴いて、専門的な知見に基づく意見を聴くために専門委員を非訟事件の手続に関与させることができる。この場合において、専門委員の意見は、裁判長が書面により又は当事者が立ち会うことができる非訟事件の手続の期日において口頭で述べさせなければならない。
2 裁判所は、当事者の意見を聴いて、前項の規定による専門委員を関与させる裁判を取り消すことができる。
3 裁判所は、必要があると認めるときは、専門委員を非訟事件の手続の期日に立ち会わせることができる。この場合において、裁判長は、専門委員が当事者、証人、鑑定人その他非訟事件の手続の期日に出頭した者に対し直接に問いを発することを許すことができる。
4 裁判所は、専門委員が遠隔の地に居住しているときその他相当と認めるときは、当事者の意見を聴いて、最高裁判所規則で定めるところにより、裁判所及び当事者双方が専門委員との間で音声の送受信により同時に通話をすることができる方法によって、専門委員に第一項の意見を述べさせることができる。この場合において、裁判長は、専門委員が当事者、証人、鑑定人その他非訟事件の手続の期日に出頭した者に対し直接に問いを発することを許すことができる。
5 民事訴訟法第九十二条の五の規定は、第一項の規定により非訟事件の手続に関与させる専門委員の指定及び任免等について準用する。この場合において、同条第二項中「第九十二条の二」とあるのは、「非訟事件手続法第三十三条第一項」と読み替えるものとする。
6 受命裁判官又は受託裁判官が第一項の手続を行う場合には、同項から第四項までの規定及び前項において準用する民事訴訟法第九十二条の五第二項の規定による裁判所及び裁判長の職務は、その裁判官が行う。ただし、証拠調べの期日における手続を行う場合には、専門委員を手続に関与させる裁判、その裁判の取消し及び専門委員の指定は、非訟事件が係属している裁判所がする。
(期日及び期間)
第三十四条 非訟事件の手続の期日は、職権で、裁判長が指定する。
2 非訟事件の手続の期日は、やむを得ない場合に限り、日曜日その他の一般の休日に指定することができる。
3 非訟事件の手続の期日の変更は、顕著な事由がある場合に限り、することができる。
4 民事訴訟法第九十四条から第九十七条までの規定は、非訟事件の手続の期日及び期間について準用する。
(手続の併合等)
第三十五条 裁判所は、非訟事件の手続を併合し、又は分離することができる。
2 裁判所は、前項の規定による裁判を取り消すことができる。
3 裁判所は、当事者を異にする非訟事件について手続の併合を命じた場合において、その前に尋問をした証人について、尋問の機会がなかった当事者が尋問の申出をしたときは、その尋問をしなければならない。
(法令により手続を続行すべき者による受継)
第三十六条 当事者が死亡、資格の喪失その他の事由によって非訟事件の手続を続行することができない場合には、法令により手続を続行する資格のある者は、その手続を受け継がなければならない。
2 法令により手続を続行する資格のある者が前項の規定による受継の申立てをした場合において、その申立てを却下する裁判がされたときは、当該裁判に対し、即時抗告をすることができる。
3 第一項の場合には、裁判所は、他の当事者の申立てにより又は職権で、法令により手続を続行する資格のある者に非訟事件の手続を受け継がせることができる。
(他の申立権者による受継)
第三十七条 非訟事件の申立人が死亡、資格の喪失その他の事由によってその手続を続行することができない場合において、法令により手続を続行する資格のある者がないときは、当該非訟事件の申立てをすることができる者は、その手続を受け継ぐことができる。
2 前項の規定による受継の申立ては、同項の事由が生じた日から一月以内にしなければならない。
(送達及び手続の中止)
第三十八条 送達及び非訟事件の手続の中止については、民事訴訟法第一編第五章第四節及び第百三十条から第百三十二条まで(同条第一項を除く。)の規定を準用する。この場合において、同法第百十三条中「その訴訟の目的である請求又は防御の方法」とあるのは、「裁判を求める事項」と読み替えるものとする。
(裁判所書記官の処分に対する異議)
第三十九条 裁判所書記官の処分に対する異議の申立てについては、その裁判所書記官の所属する裁判所が裁判をする。
2 前項の裁判に対しては、即時抗告をすることができる。
(検察官の関与)
第四十条 検察官は、非訟事件について意見を述べ、その手続の期日に立ち会うことができる。
2 裁判所は、検察官に対し、非訟事件が係属したこと及びその手続の期日を通知するものとする。