バイオマス活用推進基本法
法令番号: 法律第52号
公布年月日: 平成21年6月12日
法令の形式: 法律

提案理由 (AIによる要約)

バイオマスの活用推進に関する基本理念を定め、関連施策を総合的かつ計画的に推進することで、持続可能な経済社会の実現に寄与することを目的としている。基本理念として、バイオマス活用を総合的・一体的に推進し、地球温暖化防止や農山漁村活性化、エネルギー供給源の多様化を図りつつ、食料安定供給や環境保全に配慮することを定める。国と地方公共団体には施策の策定・実施の責務を、事業者と国民には活用推進と施策への協力を求める。また、政府による基本計画の策定や、バイオマス活用推進会議及び専門家会議の設置を規定している。

参照した発言:
第171回国会 衆議院 農林水産委員会 第13号

審議経過

第171回国会

衆議院
(平成21年4月30日)
(平成21年5月8日)
参議院
(平成21年6月4日)
(平成21年6月5日)
バイオマス活用推進基本法をここに公布する。
御名御璽
平成二十一年六月十二日
内閣総理大臣 麻生太郎
法律第五十二号
バイオマス活用推進基本法
目次
第一章
総則(第一条―第十九条)
第二章
バイオマス活用推進基本計画等(第二十条・第二十一条)
第三章
基本的施策
第一節
国の施策(第二十二条―第三十一条)
第二節
地方公共団体の施策(第三十二条)
第四章
バイオマス活用推進会議(第三十三条)
附則
第一章 総則
(目的)
第一条 この法律は、バイオマスの活用の推進に関し、基本理念を定め、並びに国、地方公共団体、事業者及び国民の責務を明らかにするとともに、バイオマスの活用の推進に関する施策の基本となる事項を定めること等により、バイオマスの活用の推進に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって持続的に発展することができる経済社会の実現に寄与することを目的とする。
(定義)
第二条 この法律において「バイオマス」とは、動植物に由来する有機物である資源(原油、石油ガス、可燃性天然ガス及び石炭(以下「化石資源」という。)を除く。)をいう。
2 この法律において「バイオマスの活用」とは、バイオマスを製品の原材料(バイオマスを製品の原材料の原材料その他の間接の原材料として利用する場合における間接の原材料を含む。以下同じ。)として利用すること(農林水産物を食品の原材料として利用することその他の農林水産物を本来の用途に利用することを除く。)又はエネルギー源として利用することをいう。
(総合的、一体的かつ効果的な推進)
第三条 バイオマスの活用の推進は、太陽、大地、海等の自然の恩恵によってもたらされる資源をはじめとする枯渇することのない資源の活用を図ることが化石資源の乏しい我が国にとって経済社会の持続的な発展を実現する上で極めて重要であることにかんがみ、バイオマスを製品の原材料及びエネルギー源として最大限に利用することができるよう、総合的、一体的かつ効果的に行われなければならない。
(地球温暖化の防止に向けた推進)
第四条 バイオマスの活用の推進は、バイオマスの積極的な利用により温室効果ガスの排出の抑制並びに吸収作用の保全及び強化を促進し、人類共通の課題である地球温暖化の防止に資することを旨として行われなければならない。
(循環型社会の形成に向けた推進)
第五条 バイオマスの活用の推進は、廃棄物、副産物等であるバイオマスの利用を促進することにより、廃棄物の発生が抑制され、限りある資源が有効に活用される循環型社会の形成を推進することを旨として行われなければならない。
(産業の発展及び国際競争力の強化への寄与)
第六条 バイオマスの活用の推進は、バイオマスの活用による新たな事業の創出及び就業の機会の増大並びにバイオマスの活用に係る技術の研究開発及びその成果の普及等が図られることにより、産業の発展及び国際競争力の強化に寄与することを旨として行われなければならない。
(農山漁村の活性化等に資する推進)
第七条 バイオマスの活用の推進は、バイオマスの大部分が農林水産物に由来し、農林水産業及び農山漁村がバイオマスの供給に関し極めて重要な役割を担うものであることにかんがみ、農林水産業の持続的かつ健全な発展及び農山漁村の活性化が図られ、これにより我が国の農林水産物の供給能力の維持向上及び農林水産業の多面的な機能の持続的な発揮に資することを旨として行われなければならない。
(バイオマスの種類ごとの特性に応じた最大限の利用)
第八条 バイオマスの活用の推進は、まずバイオマスが製品の原材料として利用され、最終的にエネルギー源として利用されるなど、バイオマスの種類ごとの特性に応じて最大限に利用されることを旨として行われなければならない。
(エネルギーの供給源の多様化)
第九条 バイオマスの活用の推進は、エネルギーに関する国際情勢が不安定な要素を有していること等にかんがみ、エネルギーの安定的な供給の確保及び経済性に留意しつつ、バイオマスをエネルギー源として利用することを促進し、エネルギー資源の乏しい我が国におけるエネルギーの供給源の多様化が図られるよう行われなければならない。
(地域の主体的な取組の促進)
第十条 バイオマスの活用の推進は、バイオマスが小規模に散在し、バイオマスの分布状況をはじめとする自然的経済的社会的諸条件が地域ごとに異なることにかんがみ、各地域による創意工夫を生かした主体的な取組が促進されるよう行われなければならない。
(社会的気運の醸成)
第十一条 バイオマスの活用の推進は、バイオマスの活用が国民の生活に密接に関わっているものであり、国民の理解と協力を得つつ推進されるべきものであることにかんがみ、バイオマスの利用に自主的かつ積極的に取り組む社会的気運が醸成されるよう行われなければならない。
(食料の安定供給の確保)
第十二条 バイオマスの活用の推進は、食料が人間の生命の維持に欠くことができないものであり、かつ、健康で充実した生活の基礎として重要なものであることにかんがみ、食料の安定供給の確保に支障を来さないよう行われなければならない。
(環境の保全への配慮)
第十三条 バイオマスの活用の推進は、生活環境の保全、生物の多様性の確保その他の環境の保全に配慮して行われなければならない。
(国の責務)
第十四条 国は、第三条から前条までに定めるバイオマスの活用の推進に関する基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、バイオマスの活用の推進に関する施策を総合的に策定し、及び実施する責務を有する。
(地方公共団体の責務)
第十五条 地方公共団体は、基本理念にのっとり、バイオマスの活用の推進に関し、国との適切な役割分担を踏まえて、その地方公共団体の区域の自然的経済的社会的諸条件に応じた施策を策定し、及び実施する責務を有する。
(事業者の責務)
第十六条 事業者は、基本理念にのっとり、その事業活動に関し、自ら積極的にバイオマスの活用の推進に努めるとともに、国又は地方公共団体が実施するバイオマスの活用の推進に関する施策に協力するよう努めるものとする。
(国民の責務)
第十七条 国民は、基本理念にのっとり、その日常生活に関し、製品の購入に当たってバイオマスを利用した製品を選択すること等によりバイオマスの活用を推進するよう努めるとともに、国又は地方公共団体が実施するバイオマスの活用の推進に関する施策に協力するよう努めるものとする。
(連携の強化)
第十八条 国は、国、地方公共団体、事業者及び大学等の研究機関が相互に連携を図りながら協力することにより、バイオマスの活用の効果的な推進が図られることにかんがみ、これらの者の間の連携の強化に必要な施策を講ずるものとする。
(法制上の措置等)
第十九条 政府は、バイオマスの活用の推進に関する施策を実施するため必要な法制上、財政上、税制上又は金融上の措置その他の措置を講じなければならない。
第二章 バイオマス活用推進基本計画等
(バイオマス活用推進基本計画の策定等)
第二十条 政府は、バイオマスの活用の推進に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、バイオマスの活用の推進に関する基本的な計画(以下「バイオマス活用推進基本計画」という。)を策定しなければならない。
2 バイオマス活用推進基本計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。
一 バイオマスの活用の推進に関する施策についての基本的な方針
二 バイオマスの活用の推進に関し、国が達成すべき目標
三 バイオマスの活用に関する技術の研究開発に関する事項
四 前三号に掲げるもののほか、バイオマスの活用の推進に関する施策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項
3 政府は、バイオマス活用推進基本計画を策定したときは、遅滞なく、これをインターネットの利用その他適切な方法により公表しなければならない。
4 政府は、適時に、第二項第二号の規定により定める目標の達成状況を調査し、その結果をインターネットの利用その他適切な方法により公表しなければならない。
5 政府は、バイオマスの活用に関する技術の進歩その他のバイオマスに関する状況の変化を勘案し、及び前項の目標の達成状況の調査の結果を踏まえ、少なくとも五年ごとに、バイオマス活用推進基本計画に検討を加え、必要があると認めるときは、これを変更しなければならない。
6 第三項の規定は、バイオマス活用推進基本計画の変更について準用する。
(都道府県及び市町村のバイオマス活用推進計画の策定等)
第二十一条 都道府県は、バイオマス活用推進基本計画を勘案して、当該都道府県におけるバイオマスの活用の推進に関する計画(以下「都道府県バイオマス活用推進計画」という。)を策定するよう努めなければならない。
2 市町村は、バイオマス活用推進基本計画(都道府県バイオマス活用推進計画が策定されているときは、バイオマス活用推進基本計画及び都道府県バイオマス活用推進計画)を勘案して、当該市町村におけるバイオマスの活用の推進に関する計画(以下「市町村バイオマス活用推進計画」という。)を策定するよう努めなければならない。
3 都道府県及び市町村は、都道府県バイオマス活用推進計画又は市町村バイオマス活用推進計画を策定し、又は変更したときは、遅滞なく、これをインターネットの利用その他適切な方法により公表しなければならない。
第三章 基本的施策
第一節 国の施策
(バイオマスの活用に必要な基盤の整備)
第二十二条 国は、バイオマスの活用の推進を効果的かつ効率的に行うため、バイオマスの生産、収集、流通、利用等の各段階が有機的に連携し、経済性が確保されたシステムを構築することができるよう、各地域に分散して配置される小規模かつ効率的な施設の整備その他の必要な基盤の一体的な整備のために必要な施策を講ずるものとする。
(バイオマス又はバイオマス製品等を供給する事業の創出等)
第二十三条 国は、バイオマス又はバイオマス製品等(バイオマスを製品の原材料として利用した製品又はエネルギー源として利用したエネルギーをいう。以下同じ。)を供給する事業及びその関連事業の創出及び健全な発展並びに国際競争力の強化を図るため、その事業基盤の強化、バイオマス及びバイオマス製品等の生産及び流通の合理化その他の必要な施策を講ずるものとする。
(技術の研究開発及び普及)
第二十四条 国は、効率的かつ効果的なバイオマスの活用のためにはバイオマスの利用に関する技術の研究開発及びその成果の普及を図ることが不可欠であることにかんがみ、未利用のバイオマスの利用に関する技術その他の効率的なバイオマスの利用を確保するための技術の研究開発、バイオマスの利用に関する技術の実用化のための研究開発等の促進、地域の特性に応じたバイオマスの利用に関する技術の研究開発、これらの技術の研究開発の成果の普及事業の推進その他の必要な施策を講ずるものとする。
(人材の育成及び確保)
第二十五条 国は、バイオマスの活用に関する専門的知識を有する人材その他のバイオマスの活用の推進に寄与する人材の育成及び確保を図るため、バイオマスの活用に関する教育、研究及び普及の事業の充実その他の必要な施策を講ずるものとする。
(バイオマス製品等の利用の促進)
第二十六条 国は、バイオマス製品等の適切な利用の促進に資するため、自らの事務及び事業に関し、バイオマス製品等の利用を推進するとともに、バイオマス製品等に関し、利用の意義に関する知識の普及及び情報の提供、新たな需要の開拓、流通及び販売その他事業活動の円滑化、品質及び安全性の確保並びに製造等に係る経費の低減のための措置、バイオマスの活用により発電した電力の利用の促進のための支援その他の必要な施策を講ずるものとする。
(民間の団体等の自発的な活動の促進)
第二十七条 国は、事業者、国民又はこれらの者の組織する民間の団体が自発的に行うバイオマスの活用の推進に関する活動が促進されるよう、情報の提供、助言その他の必要な施策を講ずるものとする。
(地方公共団体の活動の促進)
第二十八条 国は、地方公共団体による地域に存するバイオマスを地域の実情に即して効果的かつ効率的に活用するための仕組みの構築を促進するとともに、地方公共団体による地域の特性を生かしたバイオマスの活用の推進に関する施策の適切な策定及び実施を確保するため、情報の提供その他の必要な施策を講ずるものとする。
(国際的な連携の確保及び国際協力の推進)
第二十九条 国は、バイオマスの活用の推進を国際的協調の下で促進することの重要性にかんがみ、バイオマスの持続可能な利用に関する基準等の作成、バイオマスの活用に関する研究開発の推進等のための国際的な連携、開発途上地域に対する技術協力その他の国際協力の推進のために必要な施策を講ずるものとする。
(国の内外の情報の収集等)
第三十条 国は、バイオマスの活用の推進に関する施策を総合的、一体的かつ効果的に行うことができるよう、バイオマスの活用の状況の的確な把握に資するため、バイオマスの活用に関する国の内外の情報の収集、整理及び活用その他の必要な施策を講ずるものとする。
(国民の理解の増進)
第三十一条 国は、国民が広くバイオマスの活用に関する理解と関心を深めることによりバイオマスの活用が促進されるよう、バイオマスの活用に関する教育及び学習の振興並びに広報活動等を通じた知識の普及その他の必要な施策を講ずるものとする。
第二節 地方公共団体の施策
第三十二条 地方公共団体は、前節に定める国の施策に準じた施策及びその他のその地方公共団体の区域の自然的経済的社会的諸条件に応じたバイオマスの活用の推進に関する施策を、これらの総合的かつ計画的な推進を図りつつ実施するものとする。
第四章 バイオマス活用推進会議
第三十三条 政府は、関係行政機関(内閣府、総務省、文部科学省、農林水産省、経済産業省、国土交通省、環境省その他の関係行政機関をいう。以下同じ。)相互の調整を行うことにより、バイオマスの活用の総合的、一体的かつ効果的な推進を図るため、バイオマス活用推進会議を設けるものとする。
2 関係行政機関は、バイオマスの活用に関し専門的知識を有する者によって構成するバイオマス活用推進専門家会議を設け、前項の調整を行うに際しては、その意見を聴くものとする。
附 則
この法律は、公布の日から起算して三月を経過した日から施行する。
農林水産大臣 石破茂
内閣総理大臣 麻生太郎