特定電子メールの送信の適正化等に関する法律の一部を改正する法律
法令番号: 法律第五十四号
公布年月日: 平成20年6月6日
法令の形式: 法律
特定電子メールの送信の適正化等に関する法律の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
平成二十年六月六日
内閣総理大臣 福田康夫
法律第五十四号
特定電子メールの送信の適正化等に関する法律の一部を改正する法律
特定電子メールの送信の適正化等に関する法律(平成十四年法律第二十六号)の一部を次のように改正する。
目次中「第三十条」を「第三十二条」に、「第三十一条―第三十五条」を「第三十三条―第三十八条」に改める。
第二条第一号中「次条において」を「以下」に改め、同条第二号中「次に掲げる者以外の者に対し、」を削り、「電子メールの送信」の下に「(国内にある電気通信設備(電気通信事業法第二条第二号に規定する電気通信設備をいう。以下同じ。)からの送信又は国内にある電気通信設備への送信に限る。以下同じ。)」を加え、同号イからハまでを削る。
第四条を削る。
第三条中「次の事項」を「次に掲げる事項(前条第三項ただし書の総務省令で定める場合においては、第二号に掲げる事項を除く。)」に改め、同条第一号を削り、同条第二号中「当該送信者」の下に「(当該電子メールの送信につき送信委託者がいる場合は、当該送信者又は当該送信委託者のうち当該送信に責任を有する者)」を加え、「及び住所」を削り、同号を同条第一号とし、同条第三号中「次条」を「前条第三項本文」に改め、「当該送信者の」を削り、「電子メールアドレス」の下に「又は電気通信設備を識別するための文字、番号、記号その他の符号であって総務省令で定めるもの」を加え、同号を同条第二号とし、同条第四号を同条第三号とし、同条を第四条とし、第二章中同条の前に次の一条を加える。
(特定電子メールの送信の制限)
第三条 送信者は、次に掲げる者以外の者に対し、特定電子メールの送信をしてはならない。
一 あらかじめ、特定電子メールの送信をするように求める旨又は送信をすることに同意する旨を送信者又は送信委託者(電子メールの送信を委託した者(営利を目的とする団体及び営業を営む場合における個人に限る。)をいう。以下同じ。)に対し通知した者
二 前号に掲げるもののほか、総務省令で定めるところにより自己の電子メールアドレスを送信者又は送信委託者に対し通知した者
三 前二号に掲げるもののほか、当該特定電子メールを手段とする広告又は宣伝に係る営業を営む者と取引関係にある者
四 前三号に掲げるもののほか、総務省令で定めるところにより自己の電子メールアドレスを公表している団体又は個人(個人にあっては、営業を営む者に限る。)
2 前項第一号の通知を受けた者は、総務省令で定めるところにより特定電子メールの送信をするように求めがあったこと又は送信をすることに同意があったことを証する記録を保存しなければならない。
3 送信者は、第一項各号に掲げる者から総務省令で定めるところにより特定電子メールの送信をしないように求める旨(一定の事項に係る特定電子メールの送信をしないように求める場合にあっては、その旨)の通知を受けたとき(送信委託者がその通知を受けたときを含む。)は、その通知に示された意思に反して、特定電子メールの送信をしてはならない。ただし、電子メールの受信をする者の意思に基づき広告又は宣伝以外の行為を主たる目的として送信される電子メールにおいて広告又は宣伝が付随的に行われる場合その他のこれに類する場合として総務省令で定める場合は、この限りでない。
第五条を削る。
第六条中「、自己又は他人の営業につき広告又は宣伝を行うための手段として」を削り、「電子メールの送信を」を「特定電子メールの送信を」に改め、同条第二号中「(電気通信事業法第二条第二号に規定する電気通信設備をいう。)」を削り、同条を第五条とし、同条の次に次の一条を加える。
(架空電子メールアドレスによる送信の禁止)
第六条 送信者は、自己又は他人の営業のために多数の電子メールの送信をする目的で、架空電子メールアドレスをそのあて先とする電子メールの送信をしてはならない。
第七条中「架空電子メールアドレスをそのあて先とする電子メール若しくは送信者情報を偽った電子メール」を「送信者情報を偽った電子メール若しくは架空電子メールアドレスをそのあて先とする電子メール」に改め、「当該送信者」の下に「(これらの電子メールに係る送信委託者が当該電子メールの送信に係る第三条第一項第一号又は第二号の通知の受領、同条第二項の記録の保存その他の当該電子メールの送信に係る業務の一部を行った場合であって、当該電子メールの送信につき、当該送信委託者の責めに帰すべき事由があると認められるときは、当該送信者及び当該送信委託者)」を加える。
第八条第一項中「又は送信者情報を偽った電子メール」を削り、「、第四条又は第六条」を「から第五条まで」に、「電子メールの送信」を「特定電子メールの送信」に改め、同条第二項中「第五条」を「第六条」に改める。
第十条第一項中「架空電子メールアドレスをそのあて先とする電子メール又は送信者情報を偽った電子メール」を「送信者情報を偽った電子メール又は架空電子メールアドレスをそのあて先とする電子メール」に改める。
第十一条中「電気通信事業者は」の下に「、送信者情報を偽った電子メールの送信がされた場合において自己の電子メール通信役務の円滑な提供に支障を生じ、又はその利用者における電子メールの送受信上の支障を生ずるおそれがあると認められるとき」を加える。
第二十二条第一項中「第三十五条」を「第三十八条」に改める。
第二十八条第一項中「送信者」の下に「若しくは送信委託者」を加える。
第三十五条を第三十八条とする。
第三十四条中「前三条」を「次の各号に掲げる規定」に、「又は人に対しても、」を「に対して当該各号に定める罰金刑を、その人に対して」に改め、同条に次の各号を加える。
一 第三十四条 三千万円以下の罰金刑
二 第三十三条、第三十五条又は前条 各本条の罰金刑
第三十四条を第三十七条とする。
第三十三条第三号中「第二十八条第一項若しくは第二項」を「第二十八条第二項」に、「これら」を「同項」に改め、同条を第三十六条とする。
第三十二条第一号中「第六条」を「第五条」に改め、同条第二号中「命令」の下に「(第三条第二項の規定による記録の保存に係るものを除く。)」を加え、同条を第三十四条とし、同条の次に次の一条を加える。
第三十五条 次の各号のいずれかに該当する者は、百万円以下の罰金に処する。
一 第七条の規定による命令(第三条第二項の規定による記録の保存に係るものに限る。)に違反した者
二 第二十八条第一項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した者
第三十一条を第三十三条とする。
第四章中第三十条を第三十二条とし、第二十九条を第三十一条とし、第二十八条の次に次の二条を加える。
(送信者に関する情報の提供の求め)
第二十九条 総務大臣は、この法律の施行に必要な限度において、電気通信事業者その他の者であって、電子メールアドレス又は電気通信設備を識別するための文字、番号、記号その他の符号(特定電子メール等の受信をする者が使用する通信端末機器の映像面に表示されたもの又は特定電子メール等の送受信のために用いられたもののうち送信者に関するものに限る。)を使用する権利を付与したものから、当該権利を付与された者の氏名又は名称、住所その他の当該権利を付与された者を特定するために必要な情報の提供を求めることができる。
(外国執行当局への情報提供)
第三十条 総務大臣は、この法律に相当する外国の法令を執行する外国の当局(以下この条において「外国執行当局」という。)に対し、その職務(この法律に規定する職務に相当するものに限る。次項において同じ。)の遂行に資すると認める情報の提供を行うことができる。
2 前項の規定による情報の提供については、当該情報が当該外国執行当局の職務の遂行以外に使用されず、かつ、次項の規定による同意がなければ外国の刑事事件の捜査(その対象たる犯罪事実が特定された後のものに限る。)又は審判(同項において「捜査等」という。)に使用されないよう適切な措置がとられなければならない。
3 総務大臣は、外国執行当局からの要請があったときは、次の各号のいずれかに該当する場合を除き、第一項の規定により提供した情報を当該要請に係る外国の刑事事件の捜査等に使用することについて同意をすることができる。
一 当該要請に係る刑事事件の捜査等の対象とされている犯罪が政治犯罪であるとき、又は当該要請が政治犯罪について捜査等を行う目的で行われたものと認められるとき。
二 当該要請に係る刑事事件の捜査等の対象とされている犯罪に係る行為が日本国内において行われたとした場合において、その行為が日本国の法令によれば罪に当たるものでないとき。
三 日本国が行う同種の要請に応ずる旨の要請国の保証がないとき。
4 総務大臣は、前項の同意をする場合においては、あらかじめ、同項第一号及び第二号に該当しないことについて法務大臣の確認を、同項第三号に該当しないことについて外務大臣の確認を、それぞれ受けなければならない。
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、附則第五条の規定は、公布の日から施行する。
(特定電子メールの送信についての同意等に関する経過措置)
第二条 この法律の施行の際既に特定電子メール(この法律による改正後の特定電子メールの送信の適正化等に関する法律(以下この条及び次条において「新法」という。)第二条第二号に規定する特定電子メールをいう。以下この条において同じ。)の送信者(新法第二条第二号に規定する送信者をいう。以下この条において同じ。)又は送信委託者(新法第三条第一項第一号に規定する送信委託者をいう。以下この条において同じ。)に対し、その送信を求める旨又はその送信をすることに同意する旨の通知をしている者は、新法第三条第一項第一号に掲げる者とみなす。
2 この法律の施行の際既に自己の電子メールアドレス(新法第二条第三号に規定する電子メールアドレスをいう。)を送信者又は送信委託者に対し通知している者は、新法第三条第一項第二号に掲げる者とみなす。
3 この法律の施行の際既に送信者又は送信委託者にされている通知であって特定電子メールの送信をしないように求める旨(一定の事項に係る特定電子メールの送信をしないように求める場合にあっては、その旨)のものは、新法第三条第三項に規定する通知とみなす。
(措置命令に関する経過措置)
第三条 この法律の施行前にこの法律による改正前の特定電子メールの送信の適正化等に関する法律(以下この条において「旧法」という。)第七条の規定によりした命令(新法中相当する規定のある旧法の規定に係るものに限る。)は、新法第七条の規定によりした命令とみなす。
(罰則に関する経過措置)
第四条 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
(政令への委任)
第五条 前三条に定めるもののほか、この法律の施行に関し必要となる経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)は、政令で定める。
(検討)
第六条 政府は、この法律の施行後三年以内に、電気通信に係る技術の水準その他の事情を勘案しつつ、この法律の施行の状況について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。
総務大臣 増田寛也
内閣総理大臣 福田康夫