犯罪被害者等の権利利益の保護を図るための刑事手続に付随する措置に関する法律及び総合法律支援法の一部を改正する法律
法令番号: 法律第十九号
公布年月日: 平成20年4月23日
法令の形式: 法律
犯罪被害者等の権利利益の保護を図るための刑事手続に付随する措置に関する法律及び総合法律支援法の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
平成二十年四月二十三日
内閣総理大臣 福田康夫
法律第十九号
犯罪被害者等の権利利益の保護を図るための刑事手続に付随する措置に関する法律及び総合法律支援法の一部を改正する法律
(犯罪被害者等の権利利益の保護を図るための刑事手続に付随する措置に関する法律の一部改正)
第一条 犯罪被害者等の権利利益の保護を図るための刑事手続に付随する措置に関する法律(平成十二年法律第七十五号)の一部を次のように改正する。
目次中「第四章 民事上の争いについての刑事訴訟手続における和解(第五条―第八条)」を
第四章
被害者参加弁護士の選定等(第五条―第十二条)
第五章
民事上の争いについての刑事訴訟手続における和解(第十三条―第十六条)
に、「第五章」を「第六章」に、「第九条―第十四条」を「第十七条―第二十二条」に、「第十五条―第十八条」を「第二十三条―第二十六条」に、「第十九条―第二十三条」を「第二十七条―第三十一条」に、「第二十四条」を「第三十二条」に、「第二十五条・第二十六条」を「第三十三条・第三十四条」に、「第六章」を「第七章」に、「第二十七条―第二十九条」を「第三十五条―第三十七条」に改める。
第二十九条中「第四章に規定する」の下に「被害者参加弁護士の選定等、第五章に規定する」を加え、同条を第三十七条とする。
第二十八条第二項中「第十九条第一項」を「第二十七条第一項」に改め、同条第三項中「第二十条第一項(第二十四条第四項」を「第二十八条第一項(第三十二条第四項」に改め、同条を第三十六条とする。
第二十七条第二項中「第四章」を「第五章」に改め、同条を第三十五条とする。
第六章を第七章とする。
第五章第五節中第二十六条を第三十四条とし、第二十五条を第三十三条とする。
第二十四条第一項中「第十六条第三項」を「第二十四条第三項」に改め、同条第四項中「第二十条から第二十二条まで」を「第二十八条から第三十条まで」に改め、第五章第四節中同条を第三十二条とする。
第二十三条中「第二十条第一項」を「第二十八条第一項」に改め、第五章第三節中同条を第三十一条とする。
第二十二条中「第二十条第一項」を「第二十八条第一項」に改め、同条を第三十条とする。
第二十一条第一項中「第十六条第四項」を「第二十四条第四項」に改め、同条を第二十九条とする。
第二十条第一項中「第九条第二項」を「第十七条第二項」に、「第十条」を「第十八条」に改め、同条を第二十八条とする。
第十九条を第二十七条とする。
第十八条第一項中「第十三条第一項」を「第二十一条第一項」に、「第二十条」を「第二十八条」に改め、第五章第二節中同条を第二十六条とする。
第十七条を第二十五条とする。
第十六条第一項中「第九条第一項各号」を「第十七条第一項各号」に改め、同条を第二十四条とする。
第十五条を第二十三条とし、第五章第一節中第十四条を第二十二条とする。
第十三条第一項第一号及び第四号中「第九条第一項各号」を「第十七条第一項各号」に改め、同条を第二十一条とする。
第十二条第一項中「第五条」を「第十三条」に改め、同条を第二十条とする。
第十一条を第十九条とする。
第十条中「第十三条第一項第一号」を「第二十一条第一項第一号」に改め、同条を第十八条とする。
第九条を第十七条とする。
第五章を第六章とする。
第八条中「第五条」を「第十三条」に改め、第四章中同条を第十六条とする。
第七条を第十五条とする。
第六条第一項中「前章」を「第三章」に改め、「(昭和二十三年法律第百三十一号)」を削り、同条を第十四条とする。
第五条を第十三条とする。
第四章を第五章とし、第三章の次に次の一章を加える。
第四章 被害者参加弁護士の選定等
(被害者参加弁護士の選定の請求)
第五条 刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第三百十六条の三十四から第三百十六条の三十八までに規定する行為を弁護士に委託しようとする被害者参加人(同法第三百十六条の三十三第三項に規定する被害者参加人をいう。以下同じ。)であって、その資力(その者に属する現金、預金その他政令で定めるこれらに準ずる資産の合計額をいう。以下同じ。)から、手続への参加を許された刑事被告事件に係る犯罪行為により生じた負傷又は疾病の療養に要する費用その他の当該犯罪行為を原因として請求の日から三月以内に支出することとなると認められる費用の額(以下「療養費等の額」という。)を控除した額が基準額(標準的な三月間の必要生計費を勘案して一般に被害者参加弁護士(被害者参加人の委託を受けて同法第三百十六条の三十四から第三百十六条の三十八までに規定する行為を行う弁護士をいう。以下同じ。)の報酬及び費用を賄うに足りる額として政令で定める額をいう。以下同じ。)に満たないものは、当該被告事件の係属する裁判所に対し、被害者参加弁護士を選定することを請求することができる。
2 前項の規定による請求は、日本司法支援センター(総合法律支援法(平成十六年法律第七十四号)第十三条に規定する日本司法支援センターをいう。以下同じ。)を経由してしなければならない。この場合においては、被害者参加人は、次の各号に掲げる区分に従い、当該各号に定める書面を提出しなければならない。
一 その資力が基準額に満たない者 資力及びその内訳を申告する書面
二 前号に掲げる者以外の者 資力及び療養費等の額並びにこれらの内訳を申告する書面
3 日本司法支援センターは、第一項の規定による請求があったときは、裁判所に対し、これを通知するとともに、前項の規定により提出を受けた書面を送付しなければならない。
(被害者参加弁護士の候補の指名及び通知)
第六条 日本司法支援センターは、前条第一項の規定による請求があったときは、裁判所が選定する被害者参加弁護士の候補を指名し、裁判所に通知しなければならない。
2 前項の規定にかかわらず、日本司法支援センターは、次条第一項各号のいずれかに該当することが明らかであると認めるときは、前項の規定による指名及び通知をしないことができる。この場合においては、日本司法支援センターは、裁判所にその旨を通知しなければならない。
3 日本司法支援センターは、第一項の規定による指名をするに当たっては、前条第一項の規定による請求をした者の意見を聴かなければならない。
(被害者参加弁護士の選定)
第七条 裁判所は、第五条第一項の規定による請求があったときは、次の各号のいずれかに該当する場合を除き、当該被害者参加人のため被害者参加弁護士を選定するものとする。
一 請求が不適法であるとき。
二 請求をした者が第五条第一項に規定する者に該当しないとき。
三 請求をした者がその責めに帰すべき事由により被害者参加弁護士の選定を取り消された者であるとき。
2 裁判所は、前項の規定により被害者参加弁護士を選定する場合において、必要があるときは、日本司法支援センターに対し、被害者参加弁護士の候補を指名して通知するよう求めることができる。この場合においては、前条第一項及び第三項の規定を準用する。
(被害者参加弁護士の選定の効力)
第八条 裁判所による被害者参加弁護士の選定は、審級ごとにしなければならない。
2 被害者参加弁護士の選定は、弁論が併合された事件についてもその効力を有する。ただし、被害者参加人が手続への参加を許されていない事件については、この限りでない。
3 被害者参加弁護士の選定は、刑事訴訟法第三百十六条の三十三第三項の決定があったときは、その効力を失う。
4 裁判所により選定された被害者参加弁護士は、旅費、日当、宿泊料及び報酬を請求することができる。
5 前項の規定により被害者参加弁護士に支給すべき旅費、日当、宿泊料及び報酬の額については、刑事訴訟法第三十八条第二項の規定により弁護人に支給すべき旅費、日当、宿泊料及び報酬の例による。
(被害者参加弁護士の選定の取消し)
第九条 裁判所は、次の各号のいずれかに該当すると認めるときは、被害者参加弁護士の選定を取り消すことができる。
一 被害者参加人が自ら刑事訴訟法第三百十六条の三十四から第三百十六条の三十八までに規定する行為を他の弁護士に委託したことその他の事由により被害者参加弁護士にその職務を行わせる必要がなくなったとき。
二 被害者参加人と被害者参加弁護士との利益が相反する状況にあり被害者参加弁護士にその職務を継続させることが相当でないとき。
三 心身の故障その他の事由により、被害者参加弁護士が職務を行うことができず、又は職務を行うことが困難となったとき。
四 被害者参加弁護士がその任務に著しく反したことによりその職務を継続させることが相当でないとき。
五 被害者参加弁護士に対する暴行、脅迫その他の被害者参加人の責めに帰すべき事由により被害者参加弁護士にその職務を継続させることが相当でないとき。
2 裁判所は、前項第二号から第四号までに掲げる事由により被害者参加弁護士の選定を取り消したときは、更に被害者参加弁護士を選定するものとする。この場合においては、第七条第二項の規定を準用する。
(虚偽の申告書の提出に対する制裁)
第十条 被害者参加人が、裁判所の判断を誤らせる目的で、その資力又は療養費等の額について虚偽の記載のある第五条第二項各号に定める書面を提出したときは、十万円以下の過料に処する。
(費用の徴収)
第十一条 被害者参加人が、裁判所の判断を誤らせる目的で、その資力又は療養費等の額について虚偽の記載のある第五条第二項各号に定める書面を提出したことによりその判断を誤らせたときは、裁判所は、決定で、当該被害者参加人から、被害者参加弁護士に支給した旅費、日当、宿泊料及び報酬の全部又は一部を徴収することができる。
2 前項の決定に対しては、即時抗告をすることができる。この場合においては、即時抗告に関する刑事訴訟法の規定を準用する。
3 費用賠償の裁判の執行に関する刑事訴訟法の規定は、第一項の決定の執行について準用する。
(刑事訴訟法の準用)
第十二条 刑事訴訟法第四十三条第三項及び第四項の規定は被害者参加弁護士の選定及びその取消しについて、同条第三項及び第四項並びに同法第四十四条第一項の規定は前条第一項の決定について、それぞれ準用する。
(総合法律支援法の一部改正)
第二条 総合法律支援法(平成十六年法律第七十四号)の一部を次のように改正する。
目次中「第三十九条の二」を「第三十九条の三」に改める。
第五条の見出し中「選任」の下に「及び国選被害者参加弁護士の選定」を加え、同条中「選任」の下に「並びに国選被害者参加弁護士(犯罪被害者等の権利利益の保護を図るための刑事手続に付随する措置に関する法律(平成十二年法律第七十五号。以下「犯罪被害者等保護法」という。)の規定に基づいて裁判所が選定する犯罪被害者等保護法第五条第一項に規定する被害者参加弁護士をいう。以下同じ。)の選定」を加える。
第三十条第一項第三号中「の選任」の下に「並びに国選被害者参加弁護士の選定」を加え、同号ロ中「国選弁護人等契約弁護士」の下に「及びハの通知に基づき国選被害者参加弁護士に選定された被害者参加弁護士契約弁護士」を加え、同号ロを同号ニとし、同号イの次に次のように加える。
ロ 犯罪被害者等保護法第五条第一項の規定による請求があった場合において、裁判所に対し、これを通知するとともに、同条第二項の規定により提出を受けた書面を送付すること。
ハ 支援センターとの間で国選被害者参加弁護士の事務を取り扱うことについて契約をしている弁護士(以下「被害者参加弁護士契約弁護士」という。)の中から、国選被害者参加弁護士の候補を指名し、裁判所に通知すること。
第三十四条第二項第二号中「国選弁護人等」の下に「及び国選被害者参加弁護士」を、「第三十九条第四項」の下に「、第三十九条の二第三項及び第三十九条の三第三項」を加える。
第三十六条の見出し並びに同条第一項、第二項及び第五項中「国選弁護人等」の下に「及び国選被害者参加弁護士」を加える。
第三十七条(見出しを含む。)中「国選弁護人等契約弁護士」の下に「及び被害者参加弁護士契約弁護士」を加える。
第三十八条の次に次の一条を加える。
(国選被害者参加弁護士の候補の指名及び通知等)
第三十八条の二 支援センターは、犯罪被害者等保護法の規定に基づいて国選被害者参加弁護士の候補を指名するときは、被害者参加弁護士契約弁護士の中から指名しなければならない。
2 支援センターは、被害者参加弁護士契約弁護士が国選被害者参加弁護士に選定されたときは、その契約の定めるところにより、当該被害者参加弁護士契約弁護士に国選被害者参加弁護士の事務を取り扱わせるものとする。
第三章第三節第一款中第三十九条の二の次に次の一条を加える。
(国選被害者参加弁護士の報酬等請求権の特則等)
第三十九条の三 被害者参加弁護士契約弁護士が国選被害者参加弁護士に選定されたときは、犯罪被害者等保護法第八条第四項の規定は、適用しない。
2 前項の場合においては、犯罪被害者等保護法第十一条第一項の規定の適用については、同項に規定するもののほか、次の各号に掲げる者が国選被害者参加弁護士に選定されたときは、当該国選被害者参加弁護士に係る当該各号に定める費用も同項に定める旅費、日当、宿泊料及び報酬とする。
一 報酬及び費用が事件ごとに定められる契約を締結している被害者参加弁護士契約弁護士 当該報酬及び費用
二 前号に規定する被害者参加弁護士契約弁護士以外の被害者参加弁護士契約弁護士 犯罪被害者等保護法第八条第四項の規定の例により裁判所がその額を定めた旅費、日当、宿泊料及び報酬
3 裁判所は、第一項の場合において、国選被害者参加弁護士に係る費用の額の算定に関し、支援センターに対して必要な協力を求めることができる。
附 則
(施行期日)
1 この法律は、犯罪被害者等の権利利益の保護を図るための刑事訴訟法等の一部を改正する法律(平成十九年法律第九十五号)の施行の日から施行する。
(刑事確定訴訟記録法の一部改正)
2 刑事確定訴訟記録法(昭和六十二年法律第六十四号)の一部を次のように改正する。
第二条第一項中「第六条第一項」を「第十四条第一項」に改める。
法務大臣 鳩山邦夫
内閣総理大臣 福田康夫