(目的)
第一条 この法律は、住生活基本法(平成十八年法律第六十一号)の基本理念にのっとり、低額所得者、被災者、高齢者、障害者、子どもを育成する家庭その他住宅の確保に特に配慮を要する者(以下「住宅確保要配慮者」という。)に対する賃貸住宅の供給の促進に関し、基本方針の策定その他の住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する施策の基本となる事項等を定めることにより、住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進を図り、もって国民生活の安定向上と社会福祉の増進に寄与することを目的とする。
(定義)
第二条 この法律において「公的賃貸住宅」とは、次の各号のいずれかに該当する賃貸住宅をいう。
一 公営住宅法(昭和二十六年法律第百九十三号)第二条第二号に規定する公営住宅その他地方公共団体が整備する賃貸住宅
二 独立行政法人都市再生機構又は地方住宅供給公社が整備する賃貸住宅
三 特定優良賃貸住宅の供給の促進に関する法律(平成五年法律第五十二号)第六条に規定する特定優良賃貸住宅(同法第十三条第一項に規定する認定管理期間が経過したものを除く。)
四 高齢者の居住の安定確保に関する法律(平成十三年法律第二十六号)第三十四条に規定する高齢者向け優良賃貸住宅
五 前各号に掲げるもののほか、地方公共団体が住宅確保要配慮者の居住の安定の確保を図ることを目的としてその整備に要する費用の一部を負担して整備の推進を図る賃貸住宅(当該負担を行うに当たり付した条件に基づきその入居者を公募することとされているものに限る。)
2 この法律において「民間賃貸住宅」とは、公的賃貸住宅以外の賃貸住宅をいう。
(国及び地方公共団体の責務)
第三条 国及び地方公共団体は、住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進を図るため、必要な施策を講ずるよう努めなければならない。
(基本方針)
第四条 国土交通大臣は、住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する基本的な方針(以下「基本方針」という。)を定めなければならない。
2 基本方針においては、次に掲げる事項を定めるものとする。
一 住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する基本的な方向
二 住宅確保要配慮者に対する公的賃貸住宅の供給の促進に関する基本的事項
三 住宅確保要配慮者の民間賃貸住宅への円滑な入居の促進に関する基本的事項
四 その他住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する重要事項
3 基本方針は、住生活基本法第十五条第一項に規定する全国計画との調和が保たれたものでなければならない。
4 国土交通大臣は、基本方針を定めようとするときは、関係行政機関の長に協議しなければならない。
5 国土交通大臣は、基本方針を定めたときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。
6 前三項の規定は、基本方針の変更について準用する。
(公的賃貸住宅の供給の促進)
第五条 国及び地方公共団体は、所得の状況、心身の状況、世帯構成その他の住宅確保要配慮者の住宅の確保について配慮を必要とする事情を勘案し、既存の公的賃貸住宅の有効活用を図りつつ、公的賃貸住宅の適切な供給の促進に関し必要な施策を講ずるよう努めなければならない。
2 公的賃貸住宅の管理者は、公的賃貸住宅の入居者の選考に当たり、住宅確保要配慮者の居住の安定に配慮するよう努めなければならない。
(民間賃貸住宅への円滑な入居の促進)
第六条 国及び地方公共団体は、住宅確保要配慮者が民間賃貸住宅を円滑に賃借することができるようにするため、住宅確保要配慮者及び民間賃貸住宅の賃貸人に対する支援その他の住宅確保要配慮者の民間賃貸住宅への円滑な入居の促進に関し必要な施策を講ずるよう努めなければならない。
2 民間賃貸住宅を賃貸する事業を行う者は、国及び地方公共団体が講ずる住宅確保要配慮者の民間賃貸住宅への円滑な入居の促進のための施策に協力するよう努めなければならない。
(情報の提供等)
第七条 国及び地方公共団体は、住宅確保要配慮者が賃貸住宅に関しその事情に応じた適切な情報を効果的かつ効率的に入手することができるようにするため、賃貸住宅に関する情報の提供及び相談の実施に関し必要な施策を講ずるよう努めなければならない。
(住宅確保要配慮者の生活の安定及び向上に関する施策等との連携)
第八条 国及び地方公共団体は、住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する施策を推進するに当たっては、住宅確保要配慮者の自立の支援に関する施策、住宅確保要配慮者の福祉に関する施策その他の住宅確保要配慮者の生活の安定及び向上に関する施策並びに良好な居住環境の形成に関する施策との連携を図るよう努めなければならない。
(地域住宅計画への記載)
第九条 地方公共団体は、基本方針に即して、地域における多様な需要に応じた公的賃貸住宅等の整備等に関する特別措置法(平成十七年法律第七十九号。以下「地域住宅特別措置法」という。)第六条第一項に規定する地域住宅計画に、住宅確保要配慮者に係る公的賃貸住宅の整備及び管理に関する事項その他の住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関し必要な事項を記載するよう努めなければならない。
(居住支援協議会等)
第十条 地方公共団体、宅地建物取引業者、賃貸住宅を管理する事業を行う者、住宅確保要配慮者に対し居住に係る支援を行う団体その他住宅確保要配慮者の民間賃貸住宅への円滑な入居の促進に資する活動を行う者は、住宅確保要配慮者又は民間賃貸住宅の賃貸人に対する情報の提供等の支援その他の住宅確保要配慮者の民間賃貸住宅への円滑な入居の促進に関し必要な措置について協議するため、居住支援協議会を組織することができる。
2 前項の協議を行うための会議において協議が調った事項については、居住支援協議会の構成員は、その協議の結果を尊重しなければならない。
3 前二項に定めるもののほか、居住支援協議会の運営に関し必要な事項は、居住支援協議会が定める。
第十一条 前条第一項の規定により居住支援協議会が組織された地方公共団体の区域について地域住宅特別措置法第五条第一項の規定により地域住宅協議会が組織されている場合には、居住支援協議会及び地域住宅協議会は、住宅確保要配慮者の賃貸住宅への円滑な入居を促進するため、相互に連携を図るよう努めなければならない。
(地方公共団体への支援)
第十二条 国は、地方公共団体が講ずる住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する施策を支援するため、情報の提供その他の必要な措置を講ずるよう努めなければならない。