特定電子メールの送信の適正化等に関する法律の一部を改正する法律
法令番号: 法律第46号
公布年月日: 平成17年5月20日
法令の形式: 法律

提案理由 (AIによる要約)

迷惑メールの悪質化及び巧妙化が進んでいる状況を踏まえ、迷惑メールによる被害を防止し、電子メールの利用について良好な環境を確保することを目的として法改正を行うものである。改正内容として、特定電子メールの定義に法人等への送信メールを含めること、架空メールアドレスによる営業目的の大量送信の禁止、送信者情報を偽った広告・宣伝メールの送信禁止などを定めるとともに、電気通信事業者による電子メール役務提供の拒否に関する規定の整備等を行うものである。

参照した発言:
第162回国会 衆議院 総務委員会 第15号

審議経過

第162回国会

衆議院
(平成17年4月21日)
(平成17年4月26日)
(平成17年4月26日)
参議院
(平成17年5月10日)
(平成17年5月12日)
(平成17年5月13日)
特定電子メールの送信の適正化等に関する法律の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
平成十七年五月二十日
内閣総理大臣 小泉純一郎
法律第四十六号
特定電子メールの送信の適正化等に関する法律の一部を改正する法律
特定電子メールの送信の適正化等に関する法律(平成十四年法律第二十六号)の一部を次のように改正する。
題名の次に次の目次及び章名を付する。
目次
第一章
総則(第一条・第二条)
第二章
特定電子メールの送信の適正化のための措置等(第三条―第十三条)
第三章
登録送信適正化機関(第十四条―第二十七条)
第四章
雑則(第二十八条―第三十条)
第五章
罰則(第三十一条―第三十五条)
附則
第一章 総則
第二条第二号中「個人(事業のために電子メールの受信をする場合における個人を除く。)」を「者」に改め、同条に次の二号を加える。
四 架空電子メールアドレス 次のいずれにも該当する電子メールアドレスをいう。
イ 多数の電子メールアドレスを自動的に作成する機能を有するプログラム(電子計算機に対する指令であって、一の結果を得ることができるように組み合わされたものをいう。)を用いて作成したものであること。
ロ 現に電子メールアドレスとして利用する者がないものであること。
五 電子メール通信役務 電子メールに係る電気通信事業法第二条第三号に規定する電気通信役務をいう。
第二条の次に次の章名を付する。
第二章 特定電子メールの送信の適正化のための措置等
第三条中第三号を削り、第四号を第三号とし、第五号を第四号とする。
第五条を次のように改める。
(架空電子メールアドレスによる送信の禁止)
第五条 送信者は、自己又は他人の営業のために多数の電子メールの送信をする目的で、架空電子メールアドレスをそのあて先とする電子メールの送信をしてはならない。
第二十条中「前二条」を「前三条」に、「刑」を「罰金刑」に改め、同条を第三十四条とし、同条の次に次の一条を加える。
第三十五条 第二十二条第一項の規定に違反して財務諸表等を備えて置かず、財務諸表等に記載すべき事項を記載せず、若しくは虚偽の記載をし、又は正当な理由がないのに同条第二項各号の規定による請求を拒んだ者は、二十万円以下の過料に処する。
第十八条の前の見出し、同条及び第十九条を削り、第十七条を第二十九条とし、同条の次に次の一条、章名及び三条を加える。
(経過措置)
第三十条 この法律の規定に基づき命令を制定し、又は改廃するときは、その命令で、その制定又は改廃に伴い合理的に必要と判断される範囲内において、所要の経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)を定めることができる。
第五章 罰則
第三十一条 第二十五条の規定による業務の停止の命令に違反した者は、一年以下の懲役若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
第三十二条 次の各号のいずれかに該当する者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
一 第六条の規定に違反した者
二 第七条の規定による命令に違反した者
第三十三条 次の各号のいずれかに該当する者は、三十万円以下の罰金に処する。
一 第二十一条の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者
二 第二十六条の規定に違反して同条に規定する事項の記載をせず、若しくは虚偽の記載をし、又は帳簿を保存しなかった者
三 第二十八条第一項若しくは第二項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又はこれらの規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した者
第十六条第一項中「特定電子メール若しくは架空電子メールアドレスをその受信をする者の電子メールアドレスとする電子メール」を「特定電子メール等」に改め、同条第二項中「特定電子メール送信適正化業務」を「特定電子メール等送信適正化業務」に、「指定法人」を「登録送信適正化機関」に改め、同条を第二十八条とする。
第十五条を削り、第十四条中「指定法人の特定電子メール送信適正化業務の運営に関し改善が必要である」を「登録送信適正化機関が第十八条の規定に違反している」に、「その指定法人」を「その登録送信適正化機関」に、「その改善に」を「同条の規定による特定電子メール等送信適正化業務を行うべきこと又は特定電子メール等送信適正化業務の方法の改善に関し」に、「講ずべき」を「とるべき」に改め、同条を第二十四条とし、同条の次に次の三条及び章名を加える。
(登録の取消し等)
第二十五条 総務大臣は、登録送信適正化機関が次の各号のいずれかに該当するときは、その登録を取り消し、又は期間を定めて特定電子メール等送信適正化業務の全部若しくは一部の停止を命ずることができる。
一 第十五条第一号又は第三号に該当するに至ったとき。
二 第十九条から第二十一条まで、第二十二条第一項又は次条の規定に違反したとき。
三 正当な理由がないのに第二十二条第二項各号の規定による請求を拒んだとき。
四 前二条の規定による命令に違反したとき。
五 不正の手段により第十四条第一項の登録を受けたとき。
(帳簿の記載)
第二十六条 登録送信適正化機関は、総務省令で定めるところにより、帳簿を備え、特定電子メール等送信適正化業務に関し総務省令で定める事項を記載し、これを保存しなければならない。
(公示)
第二十七条 総務大臣は、次に掲げる場合には、その旨を官報に公示しなければならない。
一 第十四条第一項の登録をしたとき。
二 第十九条の規定による届出があったとき。
三 第二十一条の規定による届出があったとき。
四 第二十五条の規定により第十四条第一項の登録を取り消し、又は特定電子メール等送信適正化業務の停止を命じたとき。
第四章 雑則
第十三条の見出しを「(登録送信適正化機関の登録)」に改め、同条第一項を削り、同条第二項中「指定法人は」を「総務大臣は、その登録を受けた者(以下「登録送信適正化機関」という。)に」に、「を行うものとする」を「(以下「特定電子メール等送信適正化業務」という。)を行わせることができる」に改め、同項第一号中「第七条第一項」を「第八条第一項又は第二項」に改め、同項第二号中「第七条第二項」を「第八条第三項」に改め、同項第三号中「特定電子メール」を「特定電子メール等」に改め、同項を同条第一項とし、同条に次の一項を加える。
2 前項の登録は、特定電子メール等送信適正化業務を行おうとする者の申請により行う。
第十三条を第十四条とし、同条の次に次の九条を加える。
(欠格条項)
第十五条 次の各号のいずれかに該当する者は、前条第一項の登録を受けることができない。
一 この法律又はこの法律に基づく命令に違反し、罰金以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から二年を経過しない者
二 第二十五条の規定により登録を取り消され、その取消しの日から二年を経過しない者
三 法人であって、その業務を行う役員のうちに前二号のいずれかに該当する者があるもの
(登録基準)
第十六条 総務大臣は、第十四条第二項の規定により登録を申請した者が次に掲げる要件のすべてに適合しているときは、その登録をしなければならない。この場合において、登録に関して必要な手続は、総務省令で定める。
一 学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)による大学若しくは高等専門学校において電気通信に関する科目を修めて卒業した者でその後一年以上電子メール通信役務に関する実務に従事した経験を有するもの又はこれと同等以上の知識経験を有する者が特定電子メール等送信適正化業務に従事するものであること。
二 次に掲げる特定電子メール等送信適正化業務を適正に行うための措置がとられていること。
イ 特定電子メール等送信適正化業務を行う部門に専任の管理者を置くこと。
ロ 特定電子メール等送信適正化業務の管理及び適正な実施の確保に関する文書が作成されていること。
ハ ロに掲げる文書に記載されたところに従い特定電子メール等送信適正化業務の管理及び適正な実施の確保を行う専任の部門を置くこと。
2 登録は、登録送信適正化機関登録簿に次に掲げる事項を記載してするものとする。
一 登録年月日及び登録番号
二 登録送信適正化機関の氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては、その代表者の氏名
三 登録送信適正化機関が特定電子メール等送信適正化業務を行う事務所の名称及び所在地
(登録の更新)
第十七条 第十四条第一項の登録は、三年ごとにその更新を受けなければ、その期間の経過によって、その効力を失う。
2 第十四条第二項及び前二条の規定は、前項の登録の更新について準用する。
(特定電子メール等送信適正化業務の実施に係る義務)
第十八条 登録送信適正化機関は、公正に、かつ、第十六条第一項各号に掲げる要件及び総務省令で定める基準に適合する方法により特定電子メール等送信適正化業務を行わなければならない。
(変更の届出)
第十九条 登録送信適正化機関は、第十六条第二項第二号又は第三号に掲げる事項を変更しようとするときは、変更しようとする日の二週間前までに、その旨を総務大臣に届け出なければならない。
(業務規程)
第二十条 登録送信適正化機関は、特定電子メール等送信適正化業務に関する規程(次項において「業務規程」という。)を定め、特定電子メール等送信適正化業務の開始前に、総務大臣に届け出なければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
2 業務規程には、特定電子メール等送信適正化業務の実施の方法その他の総務省令で定める事項を定めておかなければならない。
(業務の休廃止)
第二十一条 登録送信適正化機関は、特定電子メール等送信適正化業務の全部又は一部を休止し、又は廃止しようとするときは、総務省令で定めるところにより、あらかじめ、その旨を総務大臣に届け出なければならない。
(財務諸表等の備付け及び閲覧等)
第二十二条 登録送信適正化機関は、毎事業年度経過後三月以内に、その事業年度の財産目録、貸借対照表及び損益計算書又は収支計算書並びに営業報告書又は事業報告書(その作成に代えて電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他の人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下この条において同じ。)の作成がされている場合における当該電磁的記録を含む。次項及び第三十五条において「財務諸表等」という。)を作成し、五年間事務所に備えて置かなければならない。
2 特定電子メールの受信をした者その他の利害関係人は、登録送信適正化機関の業務時間内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。ただし、第二号又は第四号の請求をするには、登録送信適正化機関の定めた費用を支払わなければならない。
一 財務諸表等が書面をもって作成されているときは、当該書面の閲覧又は謄写の請求
二 前号の書面の謄本又は抄本の請求
三 財務諸表等が電磁的記録をもって作成されているときは、当該電磁的記録に記録された事項を総務省令で定める方法により表示したものの閲覧又は謄写の請求
四 前号の電磁的記録に記録された事項を電磁的方法であって総務省令で定めるものにより提供することの請求又は当該事項を記載した書面の交付の請求
(適合命令)
第二十三条 総務大臣は、登録送信適正化機関が第十六条第一項各号のいずれかに適合しなくなったと認めるときは、その登録送信適正化機関に対し、これらの規定に適合するため必要な措置をとるべきことを命ずることができる。
第十二条中「特定電子メール」を「特定電子メール等」に、「電子メールに係る役務」を「電子メール通信役務」に改め、同条を第十三条とし、同条の次に次の章名を付する。
第三章 登録送信適正化機関
第十一条中「特定電子メール」を「特定電子メール等」に改め、同条を第十二条とする。
第十条を削り、第九条第一項中「電子メールに係る役務」を「電子メール通信役務」に改め、「特定電子メール」の下に「、架空電子メールアドレスをそのあて先とする電子メール又は送信者情報を偽った電子メール(以下「特定電子メール等」という。)」を加え、同条第二項中「電子メールに係る役務」を「電子メール通信役務」に、「特定電子メール」を「特定電子メール等」に改め、同条を第十条とし、同条の次に次の一条を加える。
(電気通信役務の提供の拒否)
第十一条 電気通信事業者は、一時に多数の架空電子メールアドレスをそのあて先とする電子メールの送信がされた場合において自己の電子メール通信役務の円滑な提供に支障を生ずるおそれがあると認められるとき、その他電子メールの送受信上の支障を防止するため電子メール通信役務の提供を拒むことについて正当な理由があると認められる場合には、当該支障を防止するために必要な範囲内において、当該支障を生じさせるおそれのある電子メールの送信をする者に対し、電子メール通信役務の提供を拒むことができる。
第八条を第九条とし、第七条第一項中「の受信をした者」を「又は送信者情報を偽った電子メールの受信をした者」に、「又は第四条」を「、第四条又は第六条」に、「当該特定電子メール」を「電子メール」に改め、同条第二項中「前項」を「前二項」に改め、同項を同条第三項とし、同条第一項の次に次の一項を加える。
2 電子メール通信役務を提供する者は、第五条の規定に違反して架空電子メールアドレスをそのあて先とする電子メールの送信がされたと認めるときは、総務大臣に対し、適当な措置をとるべきことを申し出ることができる。
第七条を第八条とする。
第六条中「前三条」を「、第三条若しくは第四条」に改め、「認める場合」の下に「又は架空電子メールアドレスをそのあて先とする電子メール若しくは送信者情報を偽った電子メールの送信をしたと認める場合」を加え、「当該規定が遵守されることを確保するため」を「電子メールの送信の方法の改善に関し」に改め、同条を第七条とし、第五条の次に次の一条を加える。
(送信者情報を偽った送信の禁止)
第六条 送信者は、自己又は他人の営業につき広告又は宣伝を行うための手段として、電子メールの送受信のために用いられる情報のうち送信者に関するものであって次に掲げるもの(以下「送信者情報」という。)を偽って電子メールの送信をしてはならない。
一 当該電子メールの送信に用いた電子メールアドレス
二 当該電子メールの送信に用いた電気通信設備(電気通信事業法第二条第二号に規定する電気通信設備をいう。)を識別するための文字、番号、記号その他の符号
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、次条及び附則第六条の規定は、公布の日から施行する。
(経過措置)
第二条 この法律による改正後の特定電子メールの送信の適正化等に関する法律(以下「新法」という。)第十四条第一項の登録を受けようとする者は、この法律の施行前においても、その申請を行うことができる。新法第二十条第一項の規定による業務規程の届出についても、同様とする。
第三条 この法律の施行の際現にこの法律による改正前の特定電子メールの送信の適正化等に関する法律(次条において「旧法」という。)第十三条第一項の規定により指定を受けている者は、この法律の施行の日から起算して六月を経過する日までの間は、新法第十四条第一項の登録を受けているものとみなす。
第四条 前条に規定するもののほか、この法律の施行前に旧法の規定(これに基づく命令を含む。)によってした処分、手続その他の行為であって、新法中相当する規定があるものは、これらの規定によってした処分、手続その他の行為とみなす。
(罰則に関する経過措置)
第五条 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
(政令への委任)
第六条 附則第二条から前条までに定めるもののほか、この法律の施行に関し必要となる経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)は、政令で定める。
(検討)
第七条 政府は、この法律の施行後三年以内に、電気通信に係る技術の水準その他の事情を勘案しつつ、この法律の施行の状況について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。
(登録免許税法の一部改正)
第八条 登録免許税法(昭和四十二年法律第三十五号)の一部を次のように改正する。
別表第一第四十七号の二の次に次のように加える。
四十七の三 特定電子メール等に係る登録送信適正化機関の登録
 特定電子メールの送信の適正化等に関する法律(平成十四年法律第二十六号)第十四条第一項(登録送信適正化機関の登録)の登録(更新の登録を除く。)
登録件数
一件につき九万円
総務大臣 麻生太郎
財務大臣 谷垣禎一
内閣総理大臣 小泉純一郎