(調整の申出)
第十六条の二 中小小売商団体は、大企業者が当該中小小売商団体の構成員の資格に係る特定物品販売事業と同種の事業(大規模小売店舗において行われるものを除く。)につき事業の開始又は拡大をすることに関し、当該大企業者と当該中小小売商団体の構成員たる中小小売商との間に第十五条各号の一に該当する紛争が生じた場合(その紛争につき、同条のあつせん又は調停が行われている場合を除く。)において、当該事業の開始又は拡大をすることが、当該中小小売商団体の構成員たる相当数の中小小売商が現に販売している物品に対する需要の減少をもたらすことにより、これらの中小小売商の経営の安定に著しい悪影響を及ぼす事態が生ずるおそれがあると認めるときは、主務省令で定めるところにより、都道府県知事に対し、次条第一項の規定による勧告をするよう申し出ることができる。
2 都道府県知事は、前項の規定による申出があつたときは、その旨を当該申出に係る大企業者に通知するものとする。
(調整勧告)
第十六条の三 都道府県知事は、前条第一項の規定による申出があつた場合において、当該申出をした中小小売商団体及び当該申出に係る大企業者の間において同項に規定する事態の発生を回避することが困難であり、かつ、当該事態の発生を回避することにより中小小売商の事業活動の機会を適正に確保する必要があると認められるときは、当該大企業者に対し、当該事業の開始若しくは拡大の時期を繰り下げ、又は当該事業の規模を縮小すべきことを勧告することができる。
2 前項の規定による勧告の内容は、前条第一項に規定する事態の発生を回避するために必要な限度を超えないものであり、かつ、一般消費者及び関連事業者の利益を不当に害するおそれがないものでなければならない。
3 都道府県知事は、第一項の規定による勧告をしようとするときは、前条第一項の規定による申出をした中小小売商団体及び当該申出に係る大企業者並びに主務省令で定めるところにより選定した一般消費者、関連事業者その他の利害関係者の意見を聴かなければならない。
4 都道府県知事は、第一項の規定による勧告をした場合において、大企業者がその勧告に従わなかつたときは、その旨を公表することができる。
5 都道府県知事は、第一項の規定による勧告をしたときはその旨及びその勧告の内容を、同項の規定による勧告をしないこととしたときはその旨及びその理由を、前条第一項の規定による申出をした中小小売商団体に通知するものとする。
(一時停止勧告)
第十六条の四 都道府県知事は、第十六条の二第一項の規定による申出に係る大企業者が当該申出に係る事業の開始又は拡大についての計画を実施することにより前条第一項に規定する措置を執らせることが著しく困難となる事態が生ずると認めるときは、当該大企業者に対し、同項の規定による勧告が行われるまでの間の応急の措置として六月以内の期間を定めて、当該事態の発生を回避するために必要な限度を超えない範囲内において、当該計画の実施を一時停止すべきことを勧告することができる。この場合において、当該期間内に同項の規定による勧告をすることができない特別の事情があると認められるときは、六月を超えない範囲内において当該期間を延長することを妨げない。
2 前条第四項の規定は、前項の規定による勧告に準用する。
(調整命令)
第十六条の五 都道府県知事は、第十六条の三第一項の規定による勧告を受けた大企業者が、同条第四項の規定によりその勧告に従わなかつた旨を公表された後において、なお正当な理由がなくてその勧告に係る措置を執らなかつた場合において、第十六条の二第一項に規定する事態が生ずることにより同項の規定による申出をした中小小売商団体の構成員たる中小小売商の相当部分の事業の継続が著しく困難となるおそれがあると認められるときは、当該大企業者に対し、当該勧告に係る措置を執るべきことを命ずることができる。
2 第十六条の三第三項の規定は、前項の規定による命令に準用する。
(主務大臣による調整措置)
第十六条の六 主務大臣は、第十六条の二第一項の規定による申出に係る紛争につき、都道府県知事からの申出があつた場合において、自ら当該紛争の解決を図る必要があると認めるときは、第十六条の三から前条までの規定の例により、当該申出に係る大企業者の事業活動の調整に関し必要な措置を執ることができる。
2 主務大臣は、前項の規定によりその例によることとされる第十六条の三第一項又は前条第一項の規定により勧告をしようとするとき若しくはしないこととするとき又は命令をしようとするときは、通商産業大臣に協議しなければならない。