小売商業調整特別措置法の一部を改正する法律
法令番号: 法律第七十五号
公布年月日: 昭和52年6月25日
法令の形式: 法律
小売商業調整特別措置法の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和五十二年六月二十五日
内閣総理大臣 福田赳夫
法律第七十五号
小売商業調整特別措置法の一部を改正する法律
小売商業調整特別措置法(昭和三十四年法律第百五十五号)の一部を次のように改正する。
第一条の次に次の一条を加える。
(定義)
第一条の二 この法律において「小売商」とは、小売業(飲食店業を除く。第三項第一号ロを除き、以下同じ。)に属する事業を主たる事業として営む者をいう。
2 この法律において「中小小売商」とは、資本の額又は出資の総額が千万円以下の会社並びに常時使用する従業員の数が五十人以下の会社及び個人である小売商(次条第二号に該当するものを除く。)をいう。
3 この法律において「大企業者」とは、次の各号の一に該当する者をいう。
一 次のイ又はロに該当する者以外の者(会社及び個人に限る。)であつて事業を営むもの
イ 資本の額又は出資の総額が一億円以下の会社並びに常時使用する従業員の数が三百人以下の会社及び個人であつて、工業、鉱業、運送業その他の業種(ロに掲げる業種を除く。)に属する事業を主たる事業として営むもの
ロ 資本の額又は出資の総額が千万円以下の会社並びに常時使用する従業員の数が五十人以下の会社及び個人であつて、小売業又はサービス業に属する事業を主たる事業として営むもの並びに資本の額又は出資の総額が三千万円以下の会社並びに常時使用する従業員の数が百人以下の会社及び個人であつて、卸売業に属する事業を主たる事業として営むもの
二 前号イ又はロに該当する会社であつて、同号に該当する者が単独でその会社に対し、その発行済株式の総数、出資口数の総数又は出資価額の総額の二分の一以上に相当する数又は額の株式又は出資を所有する関係その他その事業活動を実質的に支配することが可能なものとして主務省令で定める関係を持つているもの
第十四条の次に次の一条を加える。
(調査)
第十四条の二 中小小売商団体(一般消費者に対する特定の物品の販売事業(以下「特定物品販売事業」という。)を行う者であることをその直接又は間接の構成員(以下単に「構成員」という。)の資格とし、かつ、その構成員の大部分が中小小売商である団体であつて政令で定める要件に該当するものをいう。以下同じ。)は、大企業者が当該特定物品販売事業と同種の事業(大規模小売店舗における小売業の事業活動の調整に関する法律(昭和四十八年法律第百九号)第二条第二項に規定する大規模小売店舗(以下「大規模小売店舗」という。)において行われるものを除く。)につき当該中小小売商団体の構成員たる相当数の中小小売商の経営の安定に悪影響を及ぼすおそれのある事業の開始又は拡大の計画を有していると認めるときは、主務省令で定めるところにより、都道府県知事に対し、当該計画の内容に関し、その開始又は拡大の時期、規模その他の主務省令で定める事項について調査するよう申し出ることができる。
2 都道府県知事は、前項の規定による申出があつた場合において、当該申出に相当の理由があると認めるときは、当該申出に係る事項について必要な調査を行い、その結果を当該中小小売商団体に通知するものとする。
第十六条の次に次の五条を加える。
(調整の申出)
第十六条の二 中小小売商団体は、大企業者が当該中小小売商団体の構成員の資格に係る特定物品販売事業と同種の事業(大規模小売店舗において行われるものを除く。)につき事業の開始又は拡大をすることに関し、当該大企業者と当該中小小売商団体の構成員たる中小小売商との間に第十五条各号の一に該当する紛争が生じた場合(その紛争につき、同条のあつせん又は調停が行われている場合を除く。)において、当該事業の開始又は拡大をすることが、当該中小小売商団体の構成員たる相当数の中小小売商が現に販売している物品に対する需要の減少をもたらすことにより、これらの中小小売商の経営の安定に著しい悪影響を及ぼす事態が生ずるおそれがあると認めるときは、主務省令で定めるところにより、都道府県知事に対し、次条第一項の規定による勧告をするよう申し出ることができる。
2 都道府県知事は、前項の規定による申出があつたときは、その旨を当該申出に係る大企業者に通知するものとする。
(調整勧告)
第十六条の三 都道府県知事は、前条第一項の規定による申出があつた場合において、当該申出をした中小小売商団体及び当該申出に係る大企業者の間において同項に規定する事態の発生を回避することが困難であり、かつ、当該事態の発生を回避することにより中小小売商の事業活動の機会を適正に確保する必要があると認められるときは、当該大企業者に対し、当該事業の開始若しくは拡大の時期を繰り下げ、又は当該事業の規模を縮小すべきことを勧告することができる。
2 前項の規定による勧告の内容は、前条第一項に規定する事態の発生を回避するために必要な限度を超えないものであり、かつ、一般消費者及び関連事業者の利益を不当に害するおそれがないものでなければならない。
3 都道府県知事は、第一項の規定による勧告をしようとするときは、前条第一項の規定による申出をした中小小売商団体及び当該申出に係る大企業者並びに主務省令で定めるところにより選定した一般消費者、関連事業者その他の利害関係者の意見を聴かなければならない。
4 都道府県知事は、第一項の規定による勧告をした場合において、大企業者がその勧告に従わなかつたときは、その旨を公表することができる。
5 都道府県知事は、第一項の規定による勧告をしたときはその旨及びその勧告の内容を、同項の規定による勧告をしないこととしたときはその旨及びその理由を、前条第一項の規定による申出をした中小小売商団体に通知するものとする。
(一時停止勧告)
第十六条の四 都道府県知事は、第十六条の二第一項の規定による申出に係る大企業者が当該申出に係る事業の開始又は拡大についての計画を実施することにより前条第一項に規定する措置を執らせることが著しく困難となる事態が生ずると認めるときは、当該大企業者に対し、同項の規定による勧告が行われるまでの間の応急の措置として六月以内の期間を定めて、当該事態の発生を回避するために必要な限度を超えない範囲内において、当該計画の実施を一時停止すべきことを勧告することができる。この場合において、当該期間内に同項の規定による勧告をすることができない特別の事情があると認められるときは、六月を超えない範囲内において当該期間を延長することを妨げない。
2 前条第四項の規定は、前項の規定による勧告に準用する。
(調整命令)
第十六条の五 都道府県知事は、第十六条の三第一項の規定による勧告を受けた大企業者が、同条第四項の規定によりその勧告に従わなかつた旨を公表された後において、なお正当な理由がなくてその勧告に係る措置を執らなかつた場合において、第十六条の二第一項に規定する事態が生ずることにより同項の規定による申出をした中小小売商団体の構成員たる中小小売商の相当部分の事業の継続が著しく困難となるおそれがあると認められるときは、当該大企業者に対し、当該勧告に係る措置を執るべきことを命ずることができる。
2 第十六条の三第三項の規定は、前項の規定による命令に準用する。
(主務大臣による調整措置)
第十六条の六 主務大臣は、第十六条の二第一項の規定による申出に係る紛争につき、都道府県知事からの申出があつた場合において、自ら当該紛争の解決を図る必要があると認めるときは、第十六条の三から前条までの規定の例により、当該申出に係る大企業者の事業活動の調整に関し必要な措置を執ることができる。
2 主務大臣は、前項の規定によりその例によることとされる第十六条の三第一項又は前条第一項の規定により勧告をしようとするとき若しくはしないこととするとき又は命令をしようとするときは、通商産業大臣に協議しなければならない。
第十七条中「大規模小売店舗における小売業の事業活動の調整に関する法律(昭和四十八年法律第百九号)第二条第二項に規定する」を「第十六条の二第一項の規定による申出に係るもの及び」に改める。
第十八条第二項を削り、同条第三項中「第一項」を「前項」に改め、同項を同条第二項とする。
第十九条第三項を同条第四項とし、同条第二項中「前項」を「第一項」に改め、同項を同条第三項とし、同条第一項の次に次の一項を加える。
2 主務大臣又は都道府県知事は、第十六条の三から第十六条の六までの規定の施行に必要な限度において、第十六条の二の規定による申出に係る大企業者に対し、必要な事項の報告を求めることができる。
第二十条第二項中「都道府県知事」を「主務大臣又は都道府県知事」に改め、同条の次に次の一条を加える。
(主務大臣)
第二十条の二 第十六条の六、第十八条、第十九条第二項及び第二十条第二項の主務大臣は、第十六条の六第一項の規定によりその例によることとされる第十六条の三から第十六条の五までの規定による措置又は第十八条第一項の勧告の対象となる者の当該事業を所管する大臣(その勧告の対象となる者が特別の法律によつて設立された組合又は連合会であるときは、その勧告の対象となる者の当該事業を所管する大臣及びその組合又は連合会を所管する大臣)とする。
第二十一条中「第二条」を「第一条の二第三項第二号、第二条」に、「及び第十四条」を「、第十四条、第十四条の二第一項、第十六条の二第一項及び第十六条の三第三項(第十六条の五第二項において準用する場合を含む。)」に改める。
第二十二条中「五十万円」を「三百万円」に改め、同条に次の一号を加える。
四 第十六条の五第一項の規定による命令又は第十六条の六第一項の規定によりその例によることとされる第十六条の五第一項の規定による命令に違反した者
第二十三条中「一万円」を「十万円」に改め、同条第二号中「第一項」の下に「又は第二項」を加える。
第二十五条中「一万円」を「五万円」に改める。
附 則
1 この法律は、公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
2 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
大蔵大臣 坊秀男
厚生大臣 渡辺美智雄
農林大臣 鈴木善幸
通商産業大臣 田中龍夫
運輸大臣 田村元
内閣総理大臣 福田赳夫