繭糸価格安定法の一部を改正する法律
法令番号: 法律第15号
公布年月日: 昭和51年4月23日
法令の形式: 法律

改正対象法令

提案理由 (AIによる要約)

蚕糸業は石油危機後の景気停滞による生糸需要の減退と、生糸・絹製品の無秩序な輸入増大により、糸価が長期低迷する厳しい状況にある。日本蚕糸事業団による外国産生糸の一元輸入措置が講じられているが、法律の盲点をついた繭・絹製品等の輸入急増により、一元輸入措置が形骸化し、蚕糸業が未曽有の危機に直面している。このため、繭・生糸・絹製品を通じた輸入秩序化制度の確立が急務となっている。本改正案は、日本蚕糸事業団による生糸の一元輸入を当分の間継続させ、繭・繭短繊維の輸入についても必要に応じて一元輸入措置を可能とし、さらに絹糸等の輸入に関して政府による適切な規制措置を講じることで、繭及び生糸の需給と価格の安定を図ろうとするものである。

参照した発言:
第77回国会 衆議院 本会議 第11号

審議経過

第77回国会

衆議院
(昭和51年3月29日)
(昭和51年3月29日)
参議院
(昭和51年3月31日)
(昭和51年3月31日)
(昭和51年5月8日)
繭糸価格安定法の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和五十一年四月二十三日
内閣総理大臣 三木武夫
法律第十五号
繭糸価格安定法の一部を改正する法律
繭糸価格安定法(昭和二十六年法律第三百十号)の一部を次のように改正する。
目次中「第三章 繭及び生糸の価格の中間安定に関する措置(第十二条の四―第十二条の十三)」を
第三章
繭及び生糸の価格の中間安定に関する措置
第一節
中間安定に関する措置(第十二条の四―第十二条の十三)
第二節
外国産生糸の輸入及び売渡し等に関する措置(第十二条の十三の二―第十二条の十三の九)
に、「第十六条」を「第十六条の二」に改める。
第三章中第十二条の四の前に次の節名を付する。
第一節 中間安定に関する措置
第十二条の四中「こえ」を「超え」に改め、「及び第十二条の十の二第三項の規定により輸入した生糸」を削る。
第十二条の七第二項中「及び第十二条の十の二第三項の規定による輸入によつて事業団が保有する生糸」を削る。
第十二条の十の二を削る。
第三章中第十二条の十三の次に次の一節を加える。
第二節 外国産生糸の輸入及び売渡し等に関する措置
(生糸の輸入)
第十二条の十三の二 外国産の生糸の輸入は、当分の間、事業団、第十二条の四十一の二の規定により事業団の委託を受けた者その他政令で定める者でなければ、してはならない。ただし、政令で定める特別の事情がある場合においては、この限りでない。
2 事業団は、当分の間、農林大臣の承認を受けて、外国産の生糸を輸入することができる。
(輸入生糸の売渡し)
第十二条の十三の三 事業団は、前条第二項の規定による輸入によつて保有する外国産の生糸(第十二条の十三の七第一項の規定による買換えによつて事業団が保有する生糸を含む。以下「輸入生糸」という。)を、政令で定めるところにより、一般競争入札その他の方法で売り渡すことができる。
2 前項の規定による輸入生糸の売渡しは、国内において製造された生糸の価格が基準糸価を下つている場合又は当該輸入生糸の売渡しによつて国内において製造された生糸の価格が基準糸価を下るおそれがある場合には、してはならない。
3 第一項の規定による輸入生糸の売渡しの価格は、事業団による当該輸入生糸の買入れの価格にその買入れ及び保管に要する費用の額を加えて得た額を下つてはならない。
(外国産繭等に関する措置)
第十二条の十三の四 政府は、外国産の繭又は繭短繊維(以下「外国産繭等」という。)の輸入が増加して国内における生糸の需給が均衡を失し又は失するおそれがあり、かつ、第十二条の四及び前二条に規定する措置によつては国内において製造された生糸の価格が第十二条の五第六項の規定により告示された中間買入価格を下ることを防止することが困難であると認められる場合には、外国産繭等の輸入に関し、当該事態を克服するため必要な措置を講じなければならない。
2 前項に規定する事態が生じた場合においては、政令で定める期間内は、外国産繭等(政令で定めるものを除く。)の輸入は、事業団、第十二条の四十一の二の規定により事業団の委託を受けた者その他政令で定める者でなければ、してはならない。ただし、政令で定める特別の事情がある場合においては、この限りでない。
3 事業団は、前項の政令で定める期間内においては、農林大臣の承認を受けて、同項の外国産繭等を輸入することができる。
第十二条の十三の五 事業団は、前条第三項の規定による輸入によつて保有する外国産繭等(第十二条の十三の七第一項の規定による買換えによつて事業団が保有する繭及び繭短繊維並びに第十二条の十三の八第一項の規定による加工又は交換によつて事業団が保有する生糸を含む。第十二条の十三の七第一項において「輸入繭等」という。)を、第十二条の十三の三の規定の例により売り渡すことができる。
(輸入生糸等の売渡しをしない場合)
第十二条の十三の六 事業団は、次の各号の一に該当するときは、第十二条の十三の三又は前条の規定による売渡しをしないものとする。
一 その売渡しを受ける旨の申込みが農林省令で定める荷口を単位としていないとき。
二 その売渡しを受けることが買占めその他による不当の利得を目的として行われると認められるとき。
三 その他農林省令で定める相当の理由があるとき。
(輸入生糸等の買換え)
第十二条の十三の七 事業団は、輸入生糸又は輸入繭等の品質の低下により著しい損失を生ずるおそれがある場合において、必要があるときは、予算の範囲内において、これらをそれぞれ同一の種類及び数量の生糸、繭又は繭短繊維に買い換えることができる。
2 前項の規定による買換えのための売渡し及び買入れは、同時期に行わなければならない。
(外国産の繭の交換等)
第十二条の十三の八 事業団は、第十二条の十三の四第三項の規定による輸入によつて保有する外国産の繭(前条第一項の規定による買換えによつて事業団が保有する繭を含む。)を、予算の範囲内において、生糸に加工し、又は生糸と交換することができる。
2 第十二条の二第二項及び第三項の規定は、前項の規定による交換について準用する。
(外国産の絹糸等に関する措置)
第十二条の十三の九 政府は、外国産の絹糸等の輸入が増加して国内における生糸の需給が均衡を失し又は失するおそれがあり、かつ、第十二条の四及びこの節に規定する措置によつては国内において製造された生糸の価格が第十二条の五第六項の規定により告示された中間買入価格を下ることを防止することが困難であると認められる場合には、蚕糸業及び絹業の健全な発展を図る見地に立つて、これらの輸入に関し必要な措置を講ずる等当該事態を克服するため相当と認められる措置を講ずるものとする。
第十二条の十四中「こえる」を「超える」に改め、「買入れ」の下に「、輸入」を加え、「行なう」を「行う」に改める。
第十二条の四十一第一項第一号中「第三章」を「第三章第一節」に、「行なう」を「行う」に改め、同項第七号中「行なう」を「行う」に改め、同号を同項第八号とし、同項第六号中「生糸又は繭」を「生糸、繭又は繭短繊維」に、「行なう」を「行う」に改め、同号を同項第七号とし、同項第五号の次に次の一号を加える。
六 第三章第二節の規定により、生糸、繭又は繭短繊維の輸入、売渡し、買換え、加工及び交換を行うこと。
第十二条の四十一第二項を削り、同条第三項中「前二項」を「前項」に、「行なう」を「行う」に改め、「図るための事業」の下に「その他蚕糸業の振興に資するための事業で農林省令で定めるもの」を加え、同項を同条第二項とし、同条第四項中「前三項」を「前二項」に、「行なう」を「行う」に改め、同項を同条第三項とする。
第十二条の四十一の二中「前条第二項の生糸」を「前条第一項第六号の生糸、繭又は繭短繊維」に改める。
第十二条の四十二第一項中「第四項」を「第三項」に改める。
第十二条の四十三第一項第三号中「第六号」を「第七号」に改める。
第十五条第一号中「第三項若しくは第四項」を「第二項若しくは第三項」に改める。
第十六条中「第十二条の十の二第三項」を「第十二条の十三の二第二項及び第十二条の十三の四第三項」に改める。
第五章中第十六条の次に次の一条を加える。
(経過措置)
第十六条の二 この法律の規定に基づき命令を制定し、又は改廃する場合においては、その命令で、その制定又は改廃に伴い合理的に必要と判断される範囲内において、所要の経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)を定めることができる。
第十七条第二項を削る。
第十七条の二中「第十二条の十の二第二項」を「第十二条の十三の二第一項又は第十二条の十三の四第二項」に改める。
第十九条の二第六号中「第四項」を「第三項」に、「行なつた」を「行つた」に改める。
附則第七項中「行なわれる」を「行われる」に、「第十二条の四十一第三項」を「第十二条の四十一第二項」に、「前二項」を「前項」に、「行なう」を「行う」に改める。
附 則
(施行期日)
1 この法律は、公布の日から施行する。
(経過規定)
2 この法律の施行前に改正前の繭糸価格安定法第十二条の十の二第三項の規定により輸入された生糸(改正前の繭糸価格安定法第十二条の四十一の二の規定により日本蚕糸事業団による輸入に関する業務の委託が行われた生糸であつて、この法律の施行の際現に輸入されていないものを含む。)は、改正後の繭糸価格安定法第十二条の十三の二第二項の規定により輸入された生糸とみなす。
3 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
農林大臣 安倍晋太郎
通商産業大臣 河本敏夫
内閣総理大臣 三木武夫